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シドニーさらば-6-


ジョージストリートとメトロ

18日。ホームページのバイト最終日だ。

実はこの日は、同じ部屋で働く上司にあたる2人にランチを ご馳走してもらえることになっていた。ご存知の通り、私は自分でも「こんな奴が部下だったらゼッタイ嫌だ!」と思う程に職場で心を開かず、しゃべらずに いたので、職場の人とランチに行ってもその場の空気が苦いものになるのが目に見えていたので行きたくなかった。しかし最後なので 逃げ切れずに行くという話になったのだ。

しかし幸運、いや残念なことに今日は11時から親知らずの診断で歯医者へ行く予約をしているため、ランチどころでは ないのだ。ランチは無理だという事と、11時の診察に行って、そのまま歯を抜くことになれば12時からのバイトには遅れるかもしれないという事を 伝えるために職場へ行く。その事を伝えると、「残念だねー。今日の分は働いたことにしておくから診察が終ったら もう一度来て下さい。」という事だ。なんと素晴らしい上司だこと! 人の優しさと親知らずの痛さで、涙が出そうになった。

「本当に申し訳ありません」と何度も詫びながら、とりあえず職場を後にする。 歯医者のあるビルへと歩くが、一歩踏み出すたびにズキズキと痛みが走り、 半泣きの状態で地図を見ながらビルに辿りつき、結構高い階にある歯医者へ到着。 年末に風邪をひいた時に行った日本語医療センターのように、受付の人も日本語を話せる人だろう と思って入っていくと、受付には普通にオージーらしき女性が座って英語でぺらぺら話している。 「えー、この人日本語話せる人じゃなさそうやな・・・」とさらに泣きそうになりながら、受付に近づき、 予約をしていた事を伝えると奥の方から日本人の看護婦さんみたいな人が出てきてホッとする。

泣きそうなぐらいの痛みを抱えて、不安だらけの時、英語でその痛みを説明できる術を 私は持っていない。だから日本語通訳の人がいる歯医者を選んだ。 日本語を話せる人がいると、ホッとする。

名前や、症状などを紙に記入し、呼ばれるのを待つ。 痛さを紛らわせるために窓からシドニーの景色を一望する。AMPタワーも見える。 「ああ、そういえば来た頃に登ったな、AMPタワー。」などと感傷にふけってみるが、 痛みは紛れなかった。

先生はオージーだ。 通訳をしてもらいながら診てもらうと、親知らずが斜めに生えてきて手前の歯につかえているため 痛いということが判明した。「今、抜いたとして3日後にはシドニーを出て旅を始めるのだが 大丈夫なのか?」「お金はいくらぐらいかかるのか?」という不安な点を聞くと、大丈夫だということ で、費用は全部で300ドルぐらいだと言うことなので、「すぐにでも抜いて下さい!」と懇願し、抜くことになった。一刻も早くこの痛みから 開放されたい。

しかし世の中はそう甘くなかった。まず、レントゲンを取らねばならないが、「ここには その施設が整っていないため少し離れた場所にあるところまで行ってくれ。」という事だ。 泣きそうになりながら、ズキンズキンと痛みをかみ締めながら、徒歩10分で指定された場所へ行く。 そこにも日本人の看護婦みたいな人がいて安心する。レントゲンの順番を待っている間に痛みが頂点に達し、本気で涙が頬を伝いそうになった。 そんな私の痛みをあざ笑うかのようにレントゲンの機械の調子が悪く、使えないらしい・・・。 「この下にある歯医者に行って下さい。地元の歯医者だけどこれを見せれば分かるから」 と言われる。たらい回しかよ!!!

「看護婦さんみたいな人、付いてきてくれへんのかな・・・。」と思うが、そんな 子供みたいに甘えたことなど言えるはずもなく、目で不安な様子を伝えようとしたが通じるはずもなく、ビビりながら一人で行くしかなかった。 その歯医者に行くと、受付の人も待合室で待っている人も、オージーだけ。 不安でキョロキョロしながらも、オージーに混じって、さもオージーかのように 順番を待つが、なかなか順番が回って来ない。何度か話かけられてオージーと交流しながら、 「ああ、外国にいるんやな私。」と久しぶりに外国にいるということを実感する。 随分待って順番が回ってきて、顎か何かのレントゲンをとられてお金を58ドル払って歯医者を後にする。

そして機械の調子の悪かった歯医者へ戻り、診断して、ここからはもう痛すぎて(というか日記に書いていなかったので)あまり記憶に残っていないのだが、 また1番はじめに行った歯医者へ戻って抜いたのか、機械の調子の悪かった歯医者で抜いたのか覚えていないのだけど。

寝転んで 
麻酔をかけられて 
ものすごい力で歯を抜こうとする力が 私の口の奥の方に加わって 
グイグイとものすごい苦戦し
これは1年ぐらい前に抜いた八重歯の時より苦戦してるなと思いながら
ああ 抜けた 
なんか縫ってる
痛みは感じない
麻酔の力はすごい

という事は覚えている。縫われたのは、手前の歯の下に親知らずが生えてきているため、少し皮膚を切ったという理由だったような記憶があるが曖昧。「何日後に糸を抜きに来て下さい」と 言われたが、「いや、もうシドニーを出るので来れないです」と言ったら、「まあしばらくしたら自然に抜けると 思うので、大丈夫です」と言うことだ。結構適当な感じだ。(この糸は黒くて、自然に少しずつ取れたが最後にちょっとだけ残ったものが なかなか取れなくて大変気持ち悪い思いをした。)

痛み止めをもらい、お金を250ドル払って歯医者を後にする。

もう、外は暗くなっていた。6時近くになっていただろうか。実は今日は7時から、ワーホリ出発前に このホームページや同じ時期に出発する人のホームページを通じて知り合ったユミさん達と、会う約束をしていたのだが 歯を抜いた疲労と痛みで行けないという事を電話で伝える。最後なのに会えなくて残念だった。

そしてホームページのバイト先へ行き、 仕事をいきなり休んだことを詫び、今までどうもお世話になりましたと最後の挨拶をした。結局最後まで馴染めなかったが、 このバイトをしてよかったと思うのは好きな仕事だったからだ。やりたい事がみつかった!という気がした。 素人の作るホームページ。しかも前任者の作ったものに少し手を加える程度の仕事しかしていないが。 仕事というより遊びという感じだったが。でも上司におだてられるがままに調子に乗って少し自信を持ってしまっていた。

(帰国後しばらくして、この旅行会社のホームページを見ると以前よりずっと良い、プロが作ったと思われる 分かりやすいホームページに変わっていて、「あぁ、やっぱり私がやっていたことは遊びだったのか」と現実を知りました。 その時に気付けよ!)

そういうわけで長い一日は幕を閉じた。そして親知らずは抜いたあともアホみたいに痛くてアホみたいに腫れて、次の日は 一日中寝込む。血も止まらない。本当にシドニー出発できるの?そして大食い大会は明日・・・。

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