北海道の峠道が本州と際だって異なる点は、「道路の整備状態」と「風景」でしょう。
本州の峠は、古くからの徒歩による交通路を、馬車や自動車が通れるように整備したためか、道幅が狭く、勾配やカーブもきつく、いかにも「難所」といったところが多いようです。 逆に、近代になって新たに開かれた道路は、長大なトンネルで山を貫いています。
それに対して、北海道の主要な道路は、明治以降の北海道開拓の中で、当初から馬車や自動車による交通路として整備されてきたため、かなり高い規格の走りやすい道路となっています。
本州以南では、主要都市を相互に結ぶ高速道路網がほぼ完成していますが、北海道では、高速道路の整備はまだまだ進んでいません。 それだけに、道内の主要国道の峠道は、交通・物流の動脈として、きわめて重要な役割を担っています。 そのため、冬期の除雪体制も万全で、道内の主要国道は、
知床峠
など一部を除いて、異常気象時以外は昼夜とも2車線確保がなされています。 また、一般的に、北海道の道路は道幅がとても広いですが、そのことには、「冬期の除雪のため」という側面があることも見逃せないでしょう。
北海道の峠の中には、 美幌峠 や 知床峠 のように、その風景の美しさゆえに、峠自体が観光地となっているところが多くあります。 特に、屈斜路湖の外輪山を越える 美幌峠 、 小清水峠 、 津別峠 の3ヶ所は、いずれも屈斜路湖の展望台として、多くの観光客が訪れています。 これらの峠は、交通路であるとともに、それ自体が観光資源として目的地となりうる、という性格を兼ね備えているのです。
北海道の峠道の大敵は、冬の積雪・凍結・吹雪、それに夏の濃霧です。 道内のテレビ・ラジオの道路情報では、渋滞、事故、工事などの情報だけでなく、必ず主要な峠道の路面状況が報告されます。 ドライブの際には、道路情報に十分注意して、安全運転を心がけましょう。