このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

北京の大砂塵

   北京の春の砂嵐は凄いとは聞いていたが、こんなに凄いとは知らなかった。5階の窓から見ていると、まず風の吹き始めは、並木の木がざわざわとざわつき出し、そのうちビニールの切れ端が5階の窓のあたりまで吹き上がってくるようになる。ついにはあたりが薄暗くなり、黄砂がやってくるのである。その頃は街の中の土砂も巻き上げて、本格的な砂嵐になる。道を自転車で行く人はやっと前に進んでいるようである。前に進めないのは風の圧力だけではなく、飛んで来る土砂の重さにも影響しているように見える。目も明けられないので、埃除けベールを頭からかぶった女性も多い。

  街の中が全て黄砂に覆われるので、空も黄土色になっている。窓を閉めた部屋の中は影響が無いかと言うと、そうではない。ドアの下の隙間、窓の隙間を通して、細かい砂がどんどん入ってくる。部屋のあらゆる物が砂を被ってしまう。私が借りている家も何回も家中の掃除をしなければならなかった。

  新聞によると、今年は春の砂嵐が例年になく多いとのことで、中国の砂漠化が原因とも言われていた。実際、内蒙古方面の砂漠は既に北京から70kmまでのところに迫っていると言われている。又新聞によると、この砂嵐の後には、冬の枯れ木にビニールの切れ端がひらひらと引っかかり、花が咲いたようになったとのことである。中国の首都北京のことでもあるので、翌日にはどこかの組織を動員して、棒などを持ち出し、ビニールを取り払ったと書かれていた。しかし砂嵐が度々起きるので、ビニールの除去も追いつかない様であった。このひらひらの原因であるビニールは、到るところに放置されているので、これも何とかしなければならない環境破壊の原因の一つである。

  確かに今年の砂嵐はことのほか多い様で、私が北京の郊外にいたときは、三日に一度の割合で、砂嵐が起きた。そうして砂嵐により北京からの飛行機の出発が3時間も遅れ、西安での乗り継ぎが出来るかどうかひやひやものであった。ようやく飛行機が飛び立った時に見た下界は、黄色い砂で 北京の街は何も見えなかった 。北京の春の砂嵐はそれほど凄いのである。

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