このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

渦中の人となる

   酒泉の町 を夜散歩をしていたら、交通事故に出会った。暫くして救急車がやってきて怪我人を運んで行った。しかしパトカーはいつまでたっても来ない。ただ一人だけの警官が現場の保存にあたっていた。中国では何時ものことであるが、物見高い見物人がぐるっと取り巻いている。警官は見物人を遠ざけるだけでおおわらわであった。
私はこの様子を見ていて、これを写真に撮ったら旅の良い記念になるのではと思いついた。この現場を撮ったからといって、まさか違反ではないだろうと考えて写真を撮った。時刻は夜のことなので当然フラッシュが光った。そうしたら当然警官が駆け寄ってきた何か言い出したのである。
その言葉が全く分からない。この地方の言葉は方言であって、ちんぷんかんぷんなのは既に体験済みであったが、やはり全く分からなかった。

  確かにここは中国の中心部から遠く離れた辺境ではあるが、ホテルのフロントやタクシーの運転手などは結構標準語を話すし、こちらの都合を考えて、ゆっくり話してくれたりもする。
英語で話しかけてくれたりもする。それで何とか用は足りたのである。旅行者が利用する通常の場所では、殆ど言葉の問題は無かった。ところが旅行者が辿るルートを外れると結構大変なことになる。

  警官が私に近づくと、私と警官はあっという間に中国人に取り囲まれてしまった。まさに渦中の人となってしまったのである。中国人は本当に物見高い。興味津々な様子で近寄ってくる。
警官が言っている言葉を推理してみて、まず聞いて来る質問は『どこから来たのか?』ではないかと想定した。それで『日本から来た』と言ってみた。言ってはみたが相手も解ったとは思えない様子であった。

  そんなやり取りをしているうちに、警官の怒っているような様子から、カメラを没収されるのではないかと心配になってきた。中国に旅行に来た理由の一つは写真を撮りに来たようなものであるから、カメラを没収されては困るのである。そのうち警官は事故現場を大勢の観客から守らなければならないので、現場の方に行ってしまった。それで何とかその場を離れることが出来た。事故が起きてから、写真を撮るまでが2,30分、それからごたごたがあって、4,5分経ったが、未だに本署からの警官は到着していなかった。

  もしカメラを没収されそうになったら、カメラを没収する法的根拠を示せと言おうと考えたが、とてもそんなことを中国語で言えるはずもなかった。言えたとしても中国では法律を盾にして抵抗はできなかったかもしれない。中国では、日本と同じ理屈が通るとは考えてはいけないのかもしれない。反省すべきことであった。

  反省すべきことはもう一つあった。 事故の写真 などは旅の思い出になるようなものではなかった。どうせここで写真を撮るならば、事故を取り巻く中国の物見高い群衆の方が、良い写真になったと思う。

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