このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

黄土高原に行くのを諦める

  甘肅省の天水から、寧夏回族自治区の固原へ行って黄土高原を見て来るつもりであった。天水からは200km以上はあるらしいので、バスでの移動は大変かなと少し心配だった。
固原へのバスの出発時刻を聞こうと考えて、バスのターミナルに行った。そこには農民らしき老人が一人いるだけで、がらんとしていた。その老人が窓口で何か聞いているのであるが、切符売りの女性は、なかなか理解しない老人に、いらいらしながら説明しているようであった。
老人は怒鳴られて、ついに諦めたらしいので、続けて私が、『固原へのバスは何時に出発か?』と聞いた。ところが『あなたの言っている事は解らないわよ!』と怒鳴られてしまった。これでは意思の疎通が不可能かなと思ったが、受付の女性は私の顔を見て、しまったと思ったらしく、今度は親切にも紙に出発時刻を書いてくれた。多分農民らしき老人のとの対応で気が立っていて、私のことも同じ地元の人と勘違いしたのだと思う。外国人と分かると対応が違うようである。

  結局、固原行きは諦めた。書いてもらった時刻は5時30分であったので、4月では未だ暗い時刻なので、諦めたのである。あの切符売りの女性の対応も、旅の前途を不安に思わせたのかもしれない。

  見に行きたかった黄土高原とは、チョット口では表現できない風景である。勿論見たことは無いが、写真では見たことがある。それは何十メートルもの黄土が堆積しているところで、その大地に何本もの亀裂が入っている。人間が住めるのは、平らな黄土の上の部分で、黄土が削られて出来た谷の部分は人間が住めないらしい。平らな部分は風化して削られていって、やせ細って行く。

  削られた部分はなだらかに崩れるのではなく、いきなり絶壁の様に崩れる。残った平らな部分は、 上から見ると、まるで葉の細いもみじの葉の様に見える 。もみじの葉の表面だけに耕地と部落がある。冬には一切の緑はない。部落は黄色い粉にまぶされたようになっている。春になっても木の緑は殆ど見えず、小麦の畑が広がるだけ。人間が高いところに住んでいるのだから水も不足しているに違いない。こんな黄土の風景を見に行こうと考えたのである。

  しかし、その様な、私が本物の黄土高原と考える風景が、固原の付近にあるのかどうかは、本当は知らないのである。多分見られるのではないかと考えて計画した。飛行機から見た西安の近くには、確かにそのような風景が空から見えた。

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