このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

偽警官

  西安から、法門寺へのツアーに参加した時の話しである。このツアーは中国人向けの現地のツアーあるが、ホテルにある旅行代理店に参加を申し込むと、翌朝ホテルを回ってお客を集めて、出発するツアーである。目的地は法門寺だけでなく、乾陵やその他の博物館を見物するのだが、その他にお土産屋に立ち寄って、お土産を買わせるのである。その一つに貴石博物館というのがあった。博物館と言う看板が掛かっていても、実は宝石を売りつける場所である。宝石といっても中国の事であるので、翡翠や金の指輪が多いのであるが。

  マイクロバスの観光バスが貴石博物館に乗りつけると、警官が宝石の割引券を配り始めた。これは何としたことだろうと、警官が腕に付けているワッペンを見たところ、普通の警官と全く同じく、“公安”と書かれている。勿論制服は警官と全く同じである。
やはりこれは本物の警官であるはずは無く、単なる警備員である。けれど姿形は全く警官である。

  本物の警官の服装を知らないから、間違えたのだろうとの反論も有ろうが、私は偽警官にチョット興味が有るので、警官の服装に付いては良く見ているのである。勿論、警官の服装やワッペンは全国統一ではなくて、様々なバリエーションが有ることも知っている。この場合の服装は、普通の人が見れば、極めて紛らわしいであることは間違い無い。

  それで前の座席に座っている夫婦に、彼らは偽の警官ではあるまいか?とたずねたところ、政府が関わらない公安だと答えた。私はビックリして尋ねたのであるが、その夫婦は別にビックリした様子も無かった。
ここまでおおぴらに警察官の服装を真似てもいいものだろうか? 他の場所にこの服装のままで現れたら、誰もが警官と思うだろう。偽警官が居ると言う話しは度々聞いたことがあるが、警察官ではない人が警察官の格好をしているのを今回始めて見た。勿論この場合は偽警官とは言わないのであろうが。

  そもそも私が警官の服装に興味が有ると言うのは、中国のテレビや新聞で、偽警官の話しを度々見たり聞いたりしたからである。それにしても中国では警察官風の服装にかなり寛容であるらしい。
テレビで見た光景では、偽警官風の者に本物の警官が見分証を見せろと言い、警察官ではないと分かると、何故その服装をしているのかと言い、服装を変えるように言っていた。つまりは服装だけでは犯罪にならないらしい。私にはそんな服装をしているのは、何の為なのかと不思議に思えるのだが。

  中国の警察官は直接に現金を扱う場合がしばしばある。罰金なども現金で受け取る場合がある。今はどうか知らないが、以前には確かにあった。私がいた吉林市では、市内に入る自動車で汚いものは、隣の洗車所で洗車しないと、市内に入れさせないこともあった。隣の洗車所は警察関係の経営である。別のところでは偽の警官がそれをやっていた。
解放軍の服装をして、解放軍の名前で商売に熱心な人もいた。その中には偽物も居た。騙すに為に、服装は良い小道具なのであろう。

  突然別の話題になってしまうが、バスの中で前の席に座っていた夫婦は本当の夫婦なのかなと、考えたりした。中年夫婦にしては、べたべたし過ぎていたからである。もしかしたら不倫関係かもしれない。中国でもその様な関係は多いらしい。私が知っている公司の社長と女性経理部長の間は、その関係だともっぱらの噂であった。ガイドの説明の中国語は、あまり聞き取れないので、いろいろな想像をする時間もできてしまう。お客がどこから来たかは良く分かった。ガイドがお客にどこから来たか聞いたからである。ツアーのバスの中にいろいろな人が乗っている。一番多いのは、出張したついでにツアーで観光するケースであった。中国のサラリーマンにとって出張はかなりの楽しみであるらしい。

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