このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

北京の方言

  娘と一緒に 慕田峪長城 に観光に行くことにして、中国人向けの観光バスに乗り込んだ。外人向けの観光バスに乗らなかったのは、中国人向けの方がぐっと安かったからである。定員の半分位の乗車率で出発したが、当然回りは中国人ばかりである。私と娘の回りには、北京近郊の人らしいお爺さんとその近所のおばさんのグループが乗っていた。そのグループの言葉が殆どわからない。空席があるバスの中であるから、離れた席の間で大きな声で話しているにも関わらずである。どうやら誰かの噂話をしているらしいのだが、それ以上のことは分からない。

  私の中国語も役に立たないのかと悲観的にもなった。ところが後ろの方に女子学生風の二人が乗っていて、その二人の言葉は結構良く分かるのである。それで長城見物の帰りに、二人の女子学生と話してみると、それなりに会話が出来るのである。その二人の学生の出身は、上海と重慶とのことであった。上海にしても重慶にしても北京から遠い地であって、かなり方言が強いところと聞いている。それなのに良く聞き取れるし、私の言葉も聞き取ってくれる。
何故あなた達の言葉が解るのだろうと、聞いてみたところ、やはり意識的に普通語(共通語)で話しているとのことであった。大学の寮に入っているとのことであったが、各地の学生がいて、そのままの方言で話しをしたのでは通じないのだとか。

  女子学生といっても日本の学生から比べると子供っぽくて、寮では金曜、土曜の晩だけテレビを見るのが許されているとのことであった。日本の一休さんのマンガを見ているとのことで、一休さんは本当は誰か偉い人の子供なのではないかと、聞かれたが、私には分からなかった。後で良く考えてみると、マンガの一休さんは将軍の落としだねと言う設定になっているのかもしれない。

  女子学生にあの老人達の言葉はどこの言葉と聞いたところ、あの人達は北京の人達で、私達もあの人達の言葉は分からないといっていた。

  それにしても、北京の方言があれほど凄いとは知らなかった。舌を咽の奥に巻き上げて、思いきり引き込んで、レロレロと言っているように聞こえるのである。普通に聞く中国語はメリハリの利いた言葉であるが、北京語はそうではない。わざわざ発音を不明瞭にしているように聞こえるのである。もしかしたら私が聞いた言葉は、本物の古い北京の言葉であったのかもしれない。

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください