このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

中国で始めてオオーケストラを聴く

  この日中国で始めて本格的なオーケストラを聴いた。中国には結構長く駐在していたのだが、中国には音楽会そのものが極めて少なかった。あったとしても一般にチケットを売り出さない形式の音楽会であった。大部分の音楽会は、役所や企業が催す慰安会風の音楽会が多かった。私も何回か音楽会に行ったことがあるが、全て無料のチケットを貰って行った音楽会ばかりであった。

  今回は自分でチケットを始めて買って聴いた、音楽会であった。5、6日前にオスロ交響楽団の音楽会の広告が目に付いたが、時間が無いと思って、チケットは買わなかった。ところが当日になって会場の前を通るとダフ屋がチケットを売っているのである。値段は定価より5割位高かった。もう開演時間に10分位に迫っていた頃なので、負けさせることが出来るのではないかと思って、定価の200元(2,800円位)でなければ買わないと言ったところ、あっさりまけて定価で買えた。開演間際であったので、もう少し粘れば、もっと安くなったのかもしえない。
しかし、あのダフ屋のチケットの仕入値はどうなっているのであろう。中国は思いがけないことのある国だから特別なルートでもあるのだろうか?

  この音楽会は中国で始めて聴いたオーケストラであるので、音楽を聴くより、様々なことが気になってしまった。例えば平均給与の一割近くを払って音楽を聴きに来る人はどんな人だろうかとか。もっとも、中国は貧富の差が極めて大きいから、実際には来る人の給与の一割にも満たないはずである。

  他には、果たして音楽を静かに聞くのだろうか、拍手は盛大にするのだろうかとかが気になった。以前中国で聴いた音楽会では、結構賑やかにお喋りをしながら音楽を聴いていたからである。ひまわりの種をプチプチ割って食べながらなんてのもあった。
しかしここは北京の中心地の会館である。さすがにそんなことはなく、私語も少なく、拍手は日本よりは少な目ではあったが、惜しみなく拍手を送っていた。

  会場は、民族文化宮の付属の大きなホールであったが、何故か天井の中央に梁が横に下がっていた。解放軍の軍楽隊ならがば、圧倒的な音量でこの梁も突破してしまうかもしれないが、管弦楽ではそこで音が止まってしまうような感じがした。

  肝心の音楽のことであるが、ノルウェーのオーケストラであるのでグリークの音楽を中心としたプログラムであった。最後は中国人女性のピアニストによる、グリーグのピアノ協奏曲で、なかなかのものであった。

  音楽会が終った後どうするのだろうと、少し会場に残っていたかった。中国の音楽会の後は、大抵政府関係者などのお偉いさんが、出演者と一緒に舞台の上で記念撮影を撮ることが多かった。それで今回の外国からのオーケストラはどうするのだろうと見てみたかったのである。この習慣は日本には無いので、中国には何故この習慣があるのだろうと考えていたからである。習慣化しているには訳がありそうでもある。つまり政府は芸術を常に奨励しているとのPRの為かなと思ったりした。確かに中国は政治的宣伝の多い国ではある。めったに無いチャンスだから記念写真を撮る、というそれだけのことなのかもしれないが。

 音楽以外のことが気になりはしたが、本当はもっと中国で音楽会に行きたかったのでる。しかし中国では中国音楽の音楽会でさえもそんなにに多くない。ハルピンではやっと産業祭り協賛の音楽会を見つけて会場に行ってみたが、どこかの単位(企業とか役所)が借り切っていると言って、切符は売ってくれなかった。つまり一般公開の音楽会ではないのである。
北京でも音楽会は極めて見付け難い。それを見つけるにはどうすれば良いか。いろいろと聞いて解ったことは、北京で発行の無料の日本人向けミニコミ誌を見ることらしい。やはり日本の情報はとても便利だと思った。

  他にも日本の情報がすばらしく良いと思った点は、旅行してみて始めて解ったのだが、日本の旅行のガイドブックである。これほどの情報が載ったガイドブックは現地の中国にも無い。

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