このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

女人国の湖で船を漕いで誉められる

  ルーグー(瀘沽)湖の側に住むモソ人は女系家族の形態を残している。そんな特殊な家族形態を残しているくらいだから、ルーグー湖は本当に山の奥にあった。寧浪からバスで80km行った所である。モソ人の社会は母系家族で、財産は母から娘へと受け継がれ、夫は夜だけそこへ通ってくる妻問い婚である。子供は女性の家で育てられ、男も女も一生産まれた家を出ないことになる。妻問いと言うのはハッキリ言って夜這いのような形態であるらしい。勿論それでだけではなく、相手を探す課程や、結婚してからのことについても、様々な伝統的習慣が在るらしい。


  中国語ではそこを女児国という俗称で呼んでいる。ルーグー湖とその付近のモソ人の習慣は、かなり知られているらしく、観光地になっていた。湖のほとりには民宿風のホテルが沢山あった。そこで昆明の医療検査技師の女性二人と一緒になったので、ルーグー湖に観光ボートで乗り出した。漕ぎ手はモソ人の若者なのであるが、その若者と何か冗談を言ってウフフと笑っている。普通語ではないので、私にはサッパリ分からないのであるが、モソ人と昆明の女性とは同じ雲南省なので、話はお互いに良く通じるらしい。そのうち彼女達の泊まっている部屋の番号を聞き出しているようなので、私は彼女達の部屋の番号を、その若者に教えてやった。部屋の番号を聞いて夜になったら訪れるということらしかったが、彼女達はケラケラ笑っていて迷惑そうではなかった。このやり取りは冗談だと思うが、それらしい風習は現在でも残っているようである。

  ボートに乗ったとき、ボートを漕ぐのを一時私が変わって漕いだ。そうしたら、「貴方は何でそんなに船を漕ぐのが上手いの?」と昆明の女性に聞かれた。「日本では恋愛をするときにボートによく乗るのだ」と答えたが、中国ではボートを漕ぐことの出来る人はあまり多くないのである。

  ここで特筆すべきことは、ホテルでの身分証明書のチェックが全くなかったことであった。これは中国ではめったに無いことで、外国人であるならばパスポートのチェックをする。中国人の男女ならば結婚証明書まで必要である。それなのに全くフリーであった。西洋系外国人の観光客も見えたが、日帰りで帰った行った。それなのに私がそこへ泊まれたのは、モソ人の女性ガイドの実家のホテルであった為だからなのだろうか。まさか夜這いの習慣がある所なので、ホテルに泊まるのも自由というのではあるまい。

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