このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

シャングリラのマツタケ

  ホテルのオーナーに観光地への道筋を質問していたら、ある中国人がタクシーを割り勘でチャーターして、一緒に観光をしないかと言ってきた。それで翌朝、中甸からもっと奥地の80kも行ったところにある奇観、 白水台 や、神秘的な湖である 碧塔海 へ行くことにした。

  その晩は簡単な肉まん風のもので、食事を済まそうと思い、外に出て食堂を探した。そうすると、モウニュウと言う文字が目に付いた。中国語で書くと、モウは牡の右の部分を毛の字に替えたものである。ニュウは牛の字である。ヤク牛のことであるがヤクは毛がふさふさ生えているので、モウニュウと言われると極めて解り易い。ここシャングリラにはヤクが沢山いて、店先にはヤクの干し肉をぶら下げて売っている。それで珍しいヤクの肉を食べてみようと、ヤク肉料理の食堂に入った。ちょうど牛肉の煮込み、みたいなものを煮ていたので、それを注文した。そうしたら何と丼一杯ものヤク肉の煮込みが出てきたのである。これが一人分という単位なのか、単なる丼一杯という単位なのか解らないが、一人で食べるにはとても食べきれる量ではなかった。味はやはり牛の系統の味であったが、硬くて美味いというものではなかった。しかしめった出来ない経験をしたことには違いない。

  翌朝、声をかけてくれた北京の人と、タクシーに乗って出掛けたのであるが、前夜何となく腹痛になるのではないかと予感がしていた。その心配が本当になって腹が痛くなりだし、心配を抱えながら出発した。
中国人が一緒であると都合がよいことも多い。費用が安く上がることもあるが、運転手との話を聞いていると、いろいろなことが解ることである。これは自分で聞き出すよりは良くわかる。勿論自分の語学力の問題が有るのであるが。

  ヤクにもいろいろな種類があり、それぞれ名前が付いていて、値段がかなり違うとかの話をきいていたら、そのうち日本がどうのこうのと言う話になってきた。その話しはキノコの話しであったので、よく聞いてみると松が何とかというので、それがどうやらマツタケのことらしいことが解った。そのマツタケは少数民族が山に入って取ってきて、市場も出来ていて、かなりの金になるとのことであった。そして驚くべきことに、ここ中甸には飛行場があり、昆明を経由して、すばやくマツタケを日本に届けるルートが出来ているとのことである。

  つまり日本にはシャングリラのマツタケが大量に輸入されていることを始めてしったのである。中国からマツタケが輸入されていることは知っていたが、それがシャングリラ産だとは知らなかった。もっとも後で調べてみると、寧浪や女人国の方でもマツタケは採れるらしく、マツタケ大尽もいるとのことだった。それと司馬遼太郎氏の著書『雲南の道』の中には、既に雲南省でマツタケが採れることが書かれていた。この本が書かれたのは十年以上も前のことである。

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