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このページでは香港の特徴・習慣・その他私が見聞きしたものの中で皆さんに知ってほしいなと思う事柄を載せています。若干私の偏見も入ってますが、それはまあそれとして香港ってこんな習慣があるんだな程度に読んでみてください。
香港は大きく香港島・九龍・新界の3つの地域に分けられています。
[香港島]
ビクトリアピークや水上レストランといった有名どころがあります。面積は香港全体の約8%、経済の中心地で在住日本人の多くがここに住んでいます。香港内でホンコンサイドといえば普通ここのことです。
[九龍]
KOWLOON・カウルーン・広東語ではガウロンと読みます。商業の中心地ですが面積は全体のわずか1%未満。ホンコンサイドに対してカウルーンサイドと呼ばれることもあります。
[新界]
NEW TERRITORIES・ニューテリトリーズ、広東語ではサンガイと読みます。島を含む九龍半島のほとんどで面積は全体の91%。昔は山と田園ののどかな土地だったそうですが、今では居住区が広がり高層マンションが続々と建っています。
香港の全面積は1000平方キロ、32キロ四方の正方形に収まる計算ですね。関東でいえば東京都の半分、関西でいえば淡路島1個半なんだそうです。狭き土地かな、香港。そんな所で生まれ育てば考え方や感じ方も他の国とは随分変わってくるんでしょうね。
返還からもう2年近くたちました。今でも日本の方から「香港は変わりましたか?」なんて聞かれることがあります。断言しましょう、
「ち〜っとも変わってません。」
少なくとも市民生活に変化らしい変化は見られませんね。中国国語である普通語を勉強する人が多くなったぐらいです。返還前は英国の属領というイメージが多分にありましたが、今ではすっかり自立して独立都市国家の様相さえ呈してます。相変わらず中国人の流入を制限してますし。いつまでもこの活気を持ち続けてほしいものです。
ただ遠慮という単語をもう少し勉強してほしいなとは思いますが。
亜熱帯ですが一応四季があります。緯度は沖縄より南、北回帰線の少し南側で台湾の台南と同じぐらいの位置になります。四季と書きましたがどちらかといえば三季ですね。日本のような春はほとんどありません。
5月ぐらいから雨の多い夏が始まります。気温は連日30℃、湿度は90%ぐらい。これが7月になるといよいよジトジトです。どれぐらい湿度が高いかというと、レストランから外へ出ると眼鏡が真っ白に曇って前が見えない、トイレットペーパーがシトシトっとしてすぐ破れる、建物から外に出た瞬間体の産毛がシナシナ〜となるのがわかる、などなど。洗濯物にいたっては全然乾かなくなるので、私なんか乾かないうちから着て体温で乾かしてます。この時期は集中豪雨も多くなりレッドレイン・ブラックレインといった大雨警報もよく出ますね。
9月、10月になると雨は減ってきますがかわりに台風がよく来ます。でも香港はこのとおり小さすぎるのでよほど狙いすましてこないと直撃というのはなかなかありません。台風が来て警報が出ると会社が休みになるので、それた時なんか思わずチッなんて言ってしまいます。
11月ぐらいからようやく秋になりカラッとしたいい天気が続きます。でもこちらでは紅葉というものがなく、日本人がイメージする秋はどこにもありません。よく晴れた体育の日が続くようなものです。快晴が続き11月から2月まで7割以上が晴れ、気温は15〜20℃ですね。それとこの時期は乾燥しやすくて山火事も多くなります。
1月、2月のうちに数日間気温の下がる日があります。それが冬で最低気温は5℃。
「な〜んだ5℃か。」
日本じゃ全然厳しくない寒さでしょう。でもこちらの人にとっては”冬将軍来たる!”なんですね。毎年凍死者が出ますから。
3月に入ると天気の崩れる日が多くなります。今年の3月も半分は曇り、しかもどんよりどよどよといった曇り方ですね。4月に入ると少し晴れが多くなり、そしてそのままジトジトの夏に突入するのです。つらい・・・。
約600万人が住んでいて95%がチャイニーズ、このうち300万人が香港生まれの香港育ちで本当の意味での香港人なんだそうです。
残りの5%・約30万人が外国からの移住者、もちろん日本人も含まれます。この30万人のうち半分ぐらいはフィリピン人で、アマと呼ばれる住みこみの家政婦をやってます。これが外国人第1位。あとはどど〜んと減ってカナダ人・英国人・アメリカ人がそれぞれ3万人ぐらい。日本人は5番目あたりで2万人ぐらいです。他にもインド・マレーシア・タイ・中東・南米といろんなところから来てるそうですよ。
淡路島1個半によくまあこれだけいるもんです。
基本的には中国広東省で広く使われる広東語で、中国にあまたある方言の一つです。北京語とは発音が全く違い、例えば一番簡単な「こんにちは」は北京語では”ニーハオ”ですが広東語では”ネイホウ”です。
漢字にしても北京語は簡体文字(略字です)、広東語は昔ながらの繁体文字です。こんなふうだから中国北部と南部の人が会話すると”?”の連続になるという摩訶不思議な状態になるそうですよ。
ところで北京語と広東語、これから中国語を勉強するならどちらがいいと思います?中国に仕事や旅行で行くならもちろん北京語です。でも中国以外で使えるかというとこれがろくに使えません。シンガポールくらいです(ここは北京語・英語・マレー語・インド語が国語です)。世界に数多くあるチャイナタウンでは南方言語が主流で、主に上海語・福建語が使われ広東語もかなり通じるようです。ですから世界で使うとなると広東語の方がいいような気がします。
話がそれました、香港内の言語の続きをやります。第2言語は英語です。もともと英国領ですから当然ですね。若い世代の人達は学校で勉強するのでかなり話せます。ただ独特の訛りがあって多少聞き取りにくいですが。この独特の訛り英語を称してホングリッシュ(ホンコンイングリッシュ)なんていう人もいますね。
これが年配になると中国移民が多くなるせいか通じない人が多くなります。
第3言語として最近注目されているのは北京語を改良した普通語と呼ばれる中国国語。最近これを勉強する人が多くなりました。まあ母国語が第3言語になること自体異常なんですが、香港の生い立ちからすればいたしかたないことなんでしょうね。
ところで日本語ですが一部の観光地やブティックでは通じるところもあります。通じるといっても商品の値段ぐらいで、「これ安い」とか「3枚千円」といったレベルです。ですから基本的に日本語は言うだけムダだと思った方がいいでしょう。もし何か伝えたいことがあるならメモに漢字で書いて見せればけっこう通じます。漢字の意味やニュアンスはかなり共通してますから。
概ねいいと思います。少なくとも今の日本よりはいいんじゃないでしょうか。統計的にはシンガポールに次いでいいそうです(東京はその下)。3年暮らしてますが恐い思いをしたことは一度もありません。600万人都市ですから当然犯罪は起こりますが、注意を怠らなければ巻き込まれることはないでしょう。それに市中なら警官の巡回も多いですし。
ところでその警官達、巡回して何やってるかってもちろん犯罪を未然に防ぐためなんですが、どちらかというと怪しげなヤツに職務質問してイジメルといったかんじがあります。私なんか10回ぐらい捕まってますからよくわかります。とにかく怪しげなナリをした男性は片っ端から止められて身分証明提示をさせられるんですね。以前東平洲という島で
「テメェ、不法入国者だろう、コノォ!」
とまあアントニオ猪木調で迫られた時はさすがにタジタジになってしまいました。恐い思いをしたのは実にこの時だけです。
私、そんなに怪しいんでしょうか?
もちろん香港ドル。一部の観光地やブティックでは日本円を使えるところもあります。でもこれって日本人旅行者にとっては便利かもしれませんが、なんだかバカにされてるようで買い物をする気にはなれません。まあそんなことはどうでもいいです。
その香港ドルですが、世界的には日本円ほど通用しません。なんせ日本ではほとんど換金できませんから。東南アジアでは換金は容易です。ヨーロッパやアメリカではどうでしょうか、ちょっとわかりません。そんな香港ドルですから大量に日本に持ち帰っても持ち腐れてしまいますよ。
為替レートはUSドルに比例し常にUS1ドル=7.75香港ドルとなっています。ですから円安になったりすると私達の生活にもモロに影響が出てきます。一時US1ドル140円台半ばまできた時は換金するのがイヤになってやめてしまいました。
流通している札とコインは札は上から1000・500・100・50・20・10ドル。コインは10・5・2・1ドルと50・20・10セントです。10ドル札はすっかりコインに置き換わってしまい最近ではめっきり少なくなってしまいました。それと20年ぐらい前までは1セント札というのもあったそうです。以前古物商で見たことがあります。
ところでその札なんですが、香港ドルを持っている方はよく見てください。同じ金額の札で図柄の違うものが見つかるはずです。これは3つの銀行が政府からの委託を受けそれぞれに発行しているからで、種類もやっぱり3つずつあります。種類の違う通貨がまかり通る、いかにも香港らしいですね。
香港はフリーポート、一部を除いて輸出入に関税はかかりません。日本みたいに輸入品に必ず税金がかかって市場価格を上げてしまうなんてことがなく、そのままの値段で入ってくるわけです。ですから香港そのものがデューティフリーなんですね。旅行者はとかくデューティフリーショップで買うことが多いですが、同じ品物でも一般の店の方が安い場合なんてのも往々にしてあります。まあデューティフリーショップの利点といえば品物がある程度確かということぐらいでしょうか。
関税がかかるのは自動車・タバコ・酒で、自動車は新車だと100%ぐらいだったと思います。この狭い香港のこと、不必要に車を増やしたくないってことなんでしょうね。タバコもすごいです。例えばマイルドセブンは日本では240円でしょ。香港では460円でどのタバコも一律この値段になってます。
ありません。強いて言うなら観光業でしょうか。昔は紡績業が多かったそうですが輸入品におされすっかりさびれてしまったそうです。それに人々の勤労意識も変化し、今では職人的な技術をそれほど必要としない輸出入業や自営業、流通、金融、不動産といった第三次産業が圧倒的に多くなっています。お金と品物の流れだけで成り立っているようなものですね。まさに砂上の楼閣と言うべきでしょうか。株の暴落でもあったらたちまちコケてしまいそうでちょっと恐いです。
香港と対照的なのはシンガポールです。ここもフリーポートで商業関係が多いのは確かですが、地場産業として精密電子部品の生産に力を入れています。もし経済的打撃を受けてもすぐに立ち直れるでしょう。そんなことをあんまり考えてない香港って一回コケたら一気に中国の地方都市にまで成り下がってしまうんでしょうね。
英国の習慣を受け継いでいて香港にもこの習慣があります。本来心づけの意味のもので絶対に必要というわけではありません。特に香港の場合「チップよこせよ」といったお金儲けの面が見え隠れすることもあるので、イマイチ気分良く渡せないことがあります。
さてそのチップですが渡す場面はだいたい決まっていて、ホテル・レストラン・タクシー・あとトイレというのもあります。一通り紹介しますね。
まずはホテル。チェックインした時ポーターが荷物を運んでくれるので、部屋に着いてから10ドルコインを渡せばいいでしょう。なければ気前良く20ドルでもいいです。1ドルとか2ドルなんてみみっちいのはやめましょうね。それから100ドル札を渡してお釣りをもらうなんてのもナシです。
あとルームサービスを頼んだ時も10ドルぐらい。ベットメイクには枕の下に10ドル置いとけばいいです。チェックアウトの時にはサービス料が料金に含まれているはずですからチップの必要はありません。
次はレストラン。ここで注意してください。レストランではホテルと違い「チップを渡します」というのはありません。多くの場合料金のお釣りをいくらか残すといったパターンです。それを踏まえて以下をお読みください。
普通レストランでは料金の10%がサービス料として請求額に含まれています。ですから請求書を見て10%上乗せされていればチップの必要はありません。でもたいていはお釣りの中の細かい額(1・2・5ドルやセントコイン)をチップとして置くようです。参考までに私はこうしてます。
例えばサービス料込みで97ドルなら100ドル札を渡してそのまま帰ります。3ドルのお釣りを待ってそれを渡すということはしません。料金が123ドルなら200ドル渡して、お釣りの77ドルのうち2ドルまたは7ドルだけ残して帰ります(その日の気分で違う)。
ここで「チップよこせ」のパターンがどんなふうかというと、お釣りの77ドルが10$X6+5$X1+2$X・・・というジャラ銭ばっかりにして持ってくるんですね。お釣りを取りにくくしてチップを多く残させようという魂胆です。こんなことをされるとムッとくるタチなのであえて全部取り上げて帰ってきます。そんなあざといマネする人にはチップはあげません。逆に香港人にしてはサービスがいいなと思ったら60ドルだけ取って17ドルをチップとして残します。
とまあこれらはホテルや市中のレストランでの話ですが、香港(特に新界)には大衆食堂以下のところもかなりあります。そういったところではチップの必要はありません。私はどちらかというときれいなレストランよりこんな小汚い店の方が好きで、新界をブラつく時は必ずそういったお店で食事してます。
次はタクシーですがこちらは乗り物指南の
タクシー編
に載せていますからそちらを参照ください。
最後にトイレです。ここで言うトイレはレストランやホテルのトイレであって一般の公衆トイレではありません。有名なホテルやレストランのトイレには掃除のオジサンやオバサンがけっこういます。仕事はもちろんお掃除なんですが、水道で手を洗うとティッシュやおしぼりを渡してくれたりします。洗面台にお金の入った皿が置いてあるのですぐわかるでしょう。そこに1ドルか2ドルを入れればいいです。たまに10ドルが入ってたりしますがこれはオジサンが用意したただの見せ金。つられて10ドルを置く必要はありません。
チップの習慣は慣れれば簡単です。でも慣れたからといってのべつまくなしというのは感心しません。”金をすぐに見せたがる日本人”なんて思われるのはイヤですもんね。
香港にはちょっと変わった警察制度があります。香港輔助警察(HONGKONG AUXILIARY POLICE)というもので、有志の市民が警察官をやれるという制度です。例えば本職が八百屋さんでも漁師さんでもかまわないわけです。私の知人にも一人いて、その人は普段はOLですが休日になると婦人警官に変身します。銃の携帯もできるし給料も出るそうですよ。
それで誰にでもできるかというともちろん資格がいります。必須は香港市民であること。身分証明(IDカード)を持っている人でないとできません。私のような在住の外国人でもIDがあればできるそうです。
他には確か要英語というのもあったと思います。警官が外国人相手に道案内できないんじゃ話になりませんからね。それに体力テスト。虚弱体質ではやっぱり警官はつとまらんでしょう。その彼女も年1回体力テストを受けに行くそうです。あとたぶん筆記試験なんてのもあると思います。
それで勤務なんですが、年に何日以上というのがあるようです。このあたりは詳しく聞けなかったのでよくわかりませんが、一般人が警察官(のバイトみたい)をやれるなんてちょっとない制度ですね。道理で巡回する警官が多いはずです。
冬の風物詩、それは山火事。香港ではとにかく山火事が多いです。年間100件ぐらいはあるんじゃないでしょうか。
”淡路島1個半でそんなに山火事したら大変じゃない!”
そうでもないです。香港の全面積のうち70%は山。でもそのほとんどが原生林か低木や草で覆われていて、日本のような植林というものが全くありません。
香港人は木材で家を建てることがないので、木に建材としての価値を見出していないわけです。植えるものといえば庭の木か街路樹くらい。杉だの檜だのは見たことがありません。
そんなふうだから山が燃えたところで
”お〜今日もよ〜燃えとる”
ぐらいにしか思わないようです。それにたいてい燃えるのは下生えだけで原生林に達すると自然鎮火してしまいます。自分の家の近くまで火が来ないと気にも留めません。ですから苦労するのは消防だけ。沿岸地区なんかヘリを出動させて、海水汲んでそれを撒いてます。いつもながらご苦労様。
それにしても海水撒いて塩分上がってるのに草木が立派に生えるのは不思議です。
香港内の土地には必ず英語名がついています。例えば銅鑼湾(トンローワン)ならCauseway Bay(コーズウェイベイ)、淺水湾(ジンソイワン)なら Repulse Bay(リパルスベイ)といったぐあいです。
マップを作りながらえらく困ってしまいました。いったいどの名前を入れたらいいの?アルファベットを使うと英語のにがてな人にいやがられるかもしれないし、かといってカタカナじゃ雰囲気が出ないし。それにカタカナにしても英語読み?広東語読み?清水湾なんてクリアウォーターベイってちょっと長くてマップに書けないんですけど。
というわけで結局広東語の漢字表記に統一し、Windowsに登録されてない漢字の入った地名だけカタカナ表記にすることにしました。
話が飛びました、本題に戻ります。
英国領土になる以前からこの地には人が住み街もいくつかあったそうです。その後英国領土になり英国人達が勝手に英国風の名前をつけたのが混乱の始まり。元々の名前とはまったく違う名前にしてみたり、土地の名前の英語表記にしてみたりと統一性がありません。Repulse Bayが淺水湾だなんて外国人には誰にもわかりませんよ。地下鉄沿線の太子なんか Prince Edward です。地下鉄駅の名前が ”エドワード皇太子”、熱が出てきます。
旺角も困りもの。英語読みだとモンコックで広東語読みならウォンコです。まあそこまではいいんですがこれがKCRの旺角駅になると全然違ってて、なんと ”アーガイル駅”です。在住日本人でもここがアーガイル駅だって知ってる人は少ないようですね。
私ね、今でも自分が住んでる上水(ションソイ)の英語発音がうまくできません。だってへんなんですよ。人が話すのを聞いてるとシュンシュイって聞こえたり、ションショイって聞こえたりパラパラなんです。まったく困ったことをしてくれたもんです。
おそらくここの新聞ほど過激で大袈裟に書きたてようとする新聞は他にないでしょう。香港には大別すると英語と中国語の二種類があり、英語で代表的なものはChina Morning Post、中国語では東方日報・リンゴ日報(リンゴの中国語が見つからない)などがあります。
過激と言われるのは主に中国語系。何がどう過激かというと、事故があれば即座に駆けつけ血まみれの写真を撮って平気でそれを新聞に掲載してしまうことです。被害者の人権や肖像権は全く考慮されていません。以前起こったある工場でのガス爆発事故では、爆発で吹き飛ばされ天井の梁に宙ずりになった死体の写真が掲載されていました。
これほどの掲載を平気でする背景には人権を無視してでも利益を求めようとする拝金主義、そして一説には読者の側にも他人の不幸を見て優越感に浸ろうとするあさましい考えがあるのだと言われています。4年の滞在で私が感じた印象は前者7割・後者3割といったところでしょうか。
何より問題視されていた事は記者が警察や救急車よりも早く到着していたにも関わらず、記事や撮影を優先させ救助を怠っていたことです。非難されて当然ですね。これに関しては最近改善されつつあるようですが、血まみれ写真は相変わらず掲載されています。人の不幸を食い物にしているようで私はあまり好意的になれませんが。
どこへ行っちゃったんでしょうね、これ。日本のマスコミにはそれほど取り上げられなかったようですが、こちらでは2万人デモとか反日運動が続き私達日本人にはえらい迷惑なことでした。「尖閣諸島は祖国中国の領土だ、日本の領土ではない!」というあの抗議行動です。一体誰のための抗議なんだか、と私は冷めた目で見ていましたが。
ところで私はこの島が日本の領土だとは知りませんでした。というより、この島の存在自体を知りませんでした。沖縄本島のはるか西に浮かぶ小さな島々で長崎県なんだそうです。同様に知らなかった方もおそらく多いのではないでしょうか。なんせ日本で領土の帰属問題といえば北方四島ぐらいですから。
それが突然話題に出たのは返還を翌年に控えた96年夏、たしか9月頃だったと思います。背景にあったのはもちろん香港の中国への返還です。当時返還後の生活の確実なる保証が得られず、誰もが不安と諦めの中で暮らしていました。そこへ突然降ってわいたのがこの話。多くの人がこれに飛びついてしまいました。返還後の安定が見えない香港の人々としては中国政府に対し優等生ぶりを見せたかった、かなり悪く言えば媚をうりたかったということです。私達はこれほどに祖国中国のことを思い行動しているのだと。当時の人々の心情からすれば無理からぬところだと思います。
事の発端やその後の展開を書くとかなり長くなるので端折りますが、返還から3年たった今では尖閣の文字さえ見えません。事態はとうに沈静化し、めったなことでは再燃しないでしょう。
さて、実際のところ地図ではどうなっているのでしょうか。私は中国内でそれを確かめました。するとこれが領海線がないのです。東南アジア方面では領海線が描かれ更に台湾もその領海内に入っているのですが、そこで領海線がプッツリ切れてしまいます。尖閣諸島がどちらの国に帰属するのか明記されていないのですね。中国側としてもそれほど興味がないということなんでしょう。南沙諸島のように天然資源が見つかりでもすればおそらく状況は大きく変わるでしょうが。
最後にこの問題で反日運動やデモに参加した人は全体の1割未満であって、残りの9割以上の人達は私達日本人に対し友好的であったことを付け加えておきます。
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