このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


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落書き帳

12年3月15日

ケロリン風呂桶
(ふろおけ)


 中学3年の夏休み。一人で、私は、生まれて初めて上京した。
「とりあえず、自分一人だけで、上京とやらをしてみたかった。」
ただ、それだけだ。目的は、とくになかった。
しかも、初めての上京は、夜行列車にしようと、昔から心に決めていた。


級友から、普通電車乗り放題「青春18きっぷ」について教えてもらい、
お小遣いをためて、冊子状の5枚つづりの「青春18きっぷ」を購入した。
地元、大阪の最寄り駅から、何度も、普通電車や快速などを乗り継ぎ、
岐阜県の大垣駅から出る、普通「東京行」に乗車した。
通称「大垣夜行」と呼ばれていた。普通電車の夜行である。
窮屈な、4人掛けのボックスシートに座ったまま、仮眠。
東京駅には、明朝の4時40分頃に到着した。

 
通称「大垣夜行」「大垣鈍」。18きっぷ族には、お馴染みの列車。
「15歳の夜」・・・私の人生、記念すべき初めての上京は、この列車でした。

 初めて見る、意外な東京駅の姿に、私は感動した。
午前5時前の東京駅は、カラスが鳴き、動き始めた「山手線」もガラガラ、
眠りから、完全に覚めていない「東京駅の素顔」を見ることが出来た。
改札を出て、まず、国会議事堂・警視庁・皇居のあたりを散歩した。
ラッシュ時の山手線で目が廻ったのか、その後のことは覚えていない。
・・多分、渋谷のハチ公を見たのかな?

 ホテルに泊まるお金などはない。
従って、また、「大垣夜行」で帰らなくてはならない。
でも、お風呂には入りたかった。今、思えば、笑ってしまうが、
夕方、新宿駅前交番で、「この辺に、銭湯。ないですか?」と、訪ねた。
「にーちゃん。新宿ですから、さすがに、この近くには、ないですよ。
不純な浴場なら、いっぱいあるけど・・・(笑)
にーちゃんが、行くような、ふつーの銭湯はないです。」
でも、新橋駅の近くにあるって事は、聞いたことがありますよ」

 ついに、新橋の交番にて、徒歩5分の所に存在するとの情報を得た。
スナックやクラブ・料亭などの店が並ぶなかに、真面目な銭湯があった。
昔ながらの、普通の銭湯だった。


JR新橋駅銀座口より、徒歩5分。私の行きつけ?の銭湯
「金春湯」

 私は、黄色い「ケロリン風呂桶」を見て、胸が熱くなった。
大都会の東京で、これに巡り会えるとは・・・

 私は、小学1年生まで、毎日、銭湯に通っていた。
毎日、黄色い「ケロリン風呂桶」を使っていたのだ。

・浴槽に入る前に体を洗う
・タオルは浴槽に浸けない
・風呂場で、下着を洗濯しないなどの、注意書きもなつかしい・・・

そして、入れ墨のおじさん達も・・・(^_^;)

入れ墨のおじさんは、子供には、やさしかった。
マンガ日本昔話に出てくるような、立派な、龍の絵柄のおじさんは、
僕の背中を流してくれたこともあった・・
「僕のパパは、背中や肩に、なんで、絵が描いていないのかなあ?」
なんて、思ったことも・・・(^_^;)

 後に、高校に入って、友人と上京した際など、
「金春湯」へは、何度か訪れている。
しかし、社会人になってからは、1度も足を運んでいない。

 そういえば、地元、大阪の、銭湯にも行っていない。
当時、通っていた、銭湯は、今も健在している。
ブロンプトンで、その銭湯に行って来ようかなあ・・・。
時々、銭湯で飲ませてもらった、ビンの「ラムネ」は、忘れられない。
今も、あるのかなあ?



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