このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


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落書き帳

12年4月15日

アレルギー性鼻炎



 「アレルギー性鼻炎」に、わたしは、小さな頃から悩まされてきた。

年中、毎日、毎食後、鼻炎の薬を飲んだ。
「その副作用で、背丈が伸びないのでは?」
思春期に、勝手に、決めつけていた。
 
 症状は、鼻で息が出来ないくらい、ひどかった。
結局、高校3年生まで、薬を飲み続けた。

 小学校高学年の夏休み。大阪と北九州を結ぶフェリーに乗ったとき、
わたしは、ある、医学的な発見をした。(たいした事では、ないが・・)

 その年の夏休みは、母と妹が、先に新幹線で帰省。父は、仕事の都合で、
会社で用事を済ましてから、フェリーで帰省だった。
わたしは、新幹線よりフェリーの方が好きだったので、父と一緒だった。

 父とフェリーターミナルに到着した時、すでに乗船開始が始まっており、
わたしが乗船した時点で、船室は満員。「2等」の客で船内はごった返し。
ゲームセンター、ラウンジも仮設「2等船室」になっていた。
それでも、裁ききれず、なんと、通路にもシーツと毛布が敷かれていた。

 2等客の父とわたしは、毛布と枕を手に、
寝るスペースを探し、船内をさまよい歩いた。
しかし、どこも空いていなかった。
結局、外(甲板)で、寝ることになった。
1枚の毛布を甲板に敷き、その上に、
わたしと父は添い寝。もう1枚の毛布に
2人でくるまった。
 「野宿」ならぬ「海宿?」である。

まだ、明石海峡大橋もない時代の話だ。

 

 しばらく、甲板で横になっていたら、ひどい鼻詰まりが、治った。
信じられなかった。鼻で呼吸できた。
ところが、翌朝、九州に到着し、船を降りると、鼻が詰まりだした。
わたしは、「海上では、鼻詰まりが、治まる」という発見した。

 耳鼻科医師に、聞いたところ、「海風は、鼻に良い」そうである。

 わたしが、静岡の船の専門学校に行ってから、数ヶ月で、
アレルギー性鼻炎は、自然に治った。
 薬の力ではなく、海風の力で、完治した。

 わたしは、「母なる海」に、感謝している。


 父と添い寝したのは、甲板で毛布にくるまり寝た、あの夜が最後だ。
あの夜、瀬戸内海で、生まれて初めて「天の川」・「流れ星」を見た。
そして、まだ、建設途中の「瀬戸大橋」の下を潜った。
船が変針すれば、天球が廻る。無数の星空の下で、夜を明かした。
ある意味、最上級の特等船室で、寝るよりも、贅沢な船旅である。
 朝、目が覚めると、一晩中、海風にさらされていたので、
お互い、顔や腕には、塩が吹いていた(伯方の塩かもしれない)。

 今、思えば「一生で数えられるほどしかない、幸せな時間」
だった、かもしれない。

  


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