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国連海洋法の解説
〜21世紀の新たな海洋法秩序を見る〜

第1編 はじめに

 1994年11月16日、「海洋法に関する国際連合条約」( 国連海洋法条約United Nations Convention on the Law of the Seas, UNCLOS、平成8年条約第6号)が、60番目の批准国の批准から6ヶ月を経過して効力が発生した。1982年に決議されたこの多国間条約は、それまで領海条約、公海条約その他の個別条約や慣習国際法によって規律されてきた海洋に関する国際法を、320ヶ条の条文と9つの附属書を以って包括した基本的な条約であり、今後長期に渡って国際紛争を解決する基準として用いられるであろう、言わば「海の憲法」である。地球の表面の70%が海洋であることを考えれば、その重要性は一層増す。
 ところで、4面を海で囲まれた我が国は、エネルギーの81%・4525兆キロカロリー(1997年・資源エネルギー庁長官官房総務課『総合エネルギー統計』平成10年版)を輸入に依存し、鉄鉱石を100%海外に依存し、3879億ドルの製品(1998年・通商産業省『通商白書』1999年版)を輸出し、588万トンの漁獲量を誇る世界第3位の漁業大国(1位中国、2位ペルー)である(FAO Production Yearbook 1998)。以上の統計からも理解されるように、我が国は世界第2位の経済大国であると同時にその生存を海洋に依存した海洋国家であり、多国の領海や経済水域を通過しなければ何も輸出入できない。また、我が国は多数の離島を持つために、比較的広い面積の領海及び経済水域を有しており、沖合漁業の漁業資源の保護や海底・大陸棚の鉱物資源開発について、国際法上の主権的権利を有している。
 そこで本稿では、この新しい国連海洋法条約について、特に我が国にとり重要と思われる部分を、図表を交えてわかりやすく解説してゆきたい。


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