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第11編 海洋の区分(9):深海底

意義

 海洋探査技術の発達で、今日では、公海下の深海底に様々な鉱物資源(マンガン団塊等)が存在することが確認されている。これらの深海底資源は公海下にあるのでいずれの国の管轄権にも属さないが、近年、「人類の共同遺産」common heritage of mankind海洋法条約第136条 )という考え方の下にこの深海底資源の国際管理の気運が高まった。この考え方は元々、1967年にマルタのパルドA Pardo大使が提唱した考え方で、1970年には、こうした気運を反映した「深海底を律する原則宣言」が国連総会で可決されている。
 そこで 国連海洋法条約 では 第11部「深海底」 でこの問題を取扱い、併せて 第11部第4節・第5節 で深海底資源を一括して管理する「国際海底機構」International Sea-bed Authority)(本部・ジャマイカ)の設立を定めている。そして、同機構を通じて、開発技術の強制移転や生産制限、補償制度等を実行に移すことが決められた。こうした管理方式は、特に深海底開発技術に乏しい発展途上国にとって有利なものとなっている。
 しかし、こうした中央集権的な国際管理体制は、いくつかの海洋先進国が伝統的な「開発の自由」を主張して同意せず、1994年、「海洋法に関する国際連合条約第11部の実施に関する協定」(平成8年条約第7号)が締結され、事実上 第11部 を開発自由の方向に修正した。

※図 新海洋法秩序(海洋法条約の定義)

 新海洋法秩序での大陸棚

※参考文献
香西 茂他 『国際法概説』第3版改訂 有斐閣双書、1994年 159ページ他。


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