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FAQ(3)

Q14 :(キーワード:鼻の手術を受けた、夜間のみ、口が渇く)
 舌の渇きで目がさめます。8月に鼻中核湾曲症の手術をしました。
 日中の鼻つまりは改善されましたが、睡眠中は舌が渇き目がさめてしまいます。
 何かアドバイスありましたら御願いします。

A14
 まず!
 ”のどちんこ”が原因の無呼吸が残っていないか?ベッドパ−トナーや、無呼吸の
 得意な
医療機関(耳鼻科?)で、確認してもらう事が必要ですね。

 それが無かった場合、
 原因は、睡眠して無意識になると、口呼吸の癖が出てしまう事ですね。

 従って、その対策として、基本的には、
  1.口を開かない様にする。
  2.吸い込む空気に湿気を持たせる。

 1.として
  ・通常、気道を広くするには、枕を低く (極端な場合 肩枕)しますが、
   思いっきり、枕を高くする。
  ・横向きに寝る。
  ・軽い力では、はずれないマウスピースを、して寝る。
  ・頭と顎を(口が開かない様に、縦に)タスキ様に縛ってみる

 2.として
  ・部屋を加湿する。(カビが生えるか?)
  ・口にだけ、マスクをする。

 といった所でしょうか?




Q15:(キーワード遠方、効率良い受診、口を塞ぐと苦しそうに頬が膨らむ、
             レーザーは元に戻る、座って居眠りしてもいびきをかく、

             検査・手術の実例その1 (手前味噌その1

 身長157センチ、体重50キロ 40歳代、東京都在住の女性です。
 昔からいびきがひどいといわれ、うつぶせ寝でも、椅子に座って居眠りしても
 いびきをかきます。

 近所の耳鼻科を受診し、口呼吸が原因と言われました。
 その耳鼻科の話では、「しばらく、点鼻薬と 口閉テープを使用して寝て様子を
 見てから、レーザーで咽の手術、ということでした。

 ( 家族の観察では、テープで口を閉じていても、いびきをかいているそうです。
  しかも、その時、頬が膨らんだり縮んだりして、苦しそうに見えるそうです。)

 手術が必要ならば、レーザーではない手術をしたいと思っています(レーザーは
 2年くらいで、元に戻る
と説明された)。診察お願いしたいのですが、事前に
 用意必要なものがありますか?遠い(東京都在住)ので無駄足にならないように
 したいのです。予約ができますか?


A15-1:(口呼吸、レーザー手術)
 口呼吸になるのは、鼻から息ができなくなるからの場合が、大半(泥酔した時も
 あるか?)です。鼻から息できないのに、口を完全に閉じたら、窒息します。
 原因を明確にする事が、必要ですね。

 レーザー手術(LAUP)は、いびき症には効果があるが、睡眠時無呼吸症には、
 無効とされています。日帰り手術も可能な事が長所です。私は経験例が少なく、
 断定的な事は言えませんが、レーザーは、(熱を発生するため)切り込んだ傷が、
 後で縮んできて、浅くなってしまう という事はありそうです。


A15-2:(遠方、効率的受診
 外来診察のみであれば、健康保険証だけあれば良いと思います。
 (と診察料、高くても数千円と思います)診察日は、当HPの診療科を御覧下さい。
 外来だけでも、ある程度以上のお話はできますが、

 可能であれば、2泊3日の入院検査(3日目は早朝に帰宅可)を受けられた方が、
 より正確なお話ができます。2日目が火 or 金曜になるような日付でお願いします。

 誓約書(保証人1名以上の記名・捺印)は、事前に書いておく必要があります。
 他は、その場で書ける書類と思います。

 他の準備品は、洗面用具、食器(箸、スプーン、湯呑み)、衣類(ガウン等、
 パジャマ、下着)、日用雑貨(ティッシュ)、スリッパ)といった所でしょう。これらは、
 病院内の売店で購入する事もできます。

 費用は、3万円まではかかりません。
 2日目の午後の薬物睡眠検査は、保険点数が無く、費用を請求できません。
 でも、いびきをかいている時の咽喉の様子=いびきの原因が、良く解る、とても
 良い検査だと、私は思っています。

 詳しくは、メールでご相談致したいと思います。(当HPのリンクページから、
 メールアドレス記載ページにジャンプできますので、文字列をコピーし、
 OUTLOOK EXPRESS等のTO欄にペースト(貼り付け)して、送信して下さい)

 尚、手術適応の場合は、当院では、10日弱の入院で、全身麻酔下に、UPPPを
 行うのを基本にしています。費用は17〜18万円になってしまいます。


A15-3(検査結果と手術結果検査・手術の実例その1)
 検査結果と術後経過等を、下記に示します。  (「本人を特定できない程度の
 表現で、HPに載せても良い。」との御本人の御承諾を戴きました。)

初診時の口の奥は、右写真の様でした。ノドチンコが
大きく、その脇の薄い膜も広く、これらが”いびき”の
原因と推定されました。



入院検査の結果は、下記でした。

 AI(無呼吸数/1時間):3.0回 →いびき症:睡眠時無呼吸症には入らない。
 AHI(無呼吸・低呼吸数/1時間):12.3回 →睡眠時無呼吸症候群・軽症。
 睡眠時の平均血中酸素濃度は99 %、最低濃度も 94 % と、大変良い。

(精神安定剤注射による)睡眠時の咽喉の様子は、下記でした。

ノドチンコの後は、一番広い状態(左
上写真)で、既に狭い。殆どの呼吸で
下記の状態が観察された。

呼気時に、まず、ノドチンコの脇の
膜が(呼気に)吹き上げられ(右上)、
続いて、軟口蓋全体が吹き上げられ
(左下)完全に閉塞する。

行き場のない呼気が、軟口蓋を、
更に押し上げる(右下)。


時には、舌の後・喉頭蓋部で閉塞する
状態も観察された。


検査結果のまとめとして、下記を説明しました。

・総合的評価は、(睡眠時無呼吸症候群には まだ入らず)いびき症です。
・いびきの原因の80%程度は、ノドチンコとその周りの粘膜部が狭くなる
 事で、これは、手術(UPPP)で治ります。
・20%程度は、舌の後の喉頭蓋が原因です。

・治療法の選択枝としては、
  1.手術(UPPP)+マウスピース
  2.CPAP
 です。

 重症ではないので、CPAPを装着する気には、なれないでしょう。
 UPPP手術を受けるのであれば、自宅では、それだけで十分です。

 人前では、絶対にいびきしたくないというならば、
 (口を塞いでも、頬が苦しそうに膨らまないのを確認して、)
 舌を上下の歯の間に挟みこむ様なマウスピースを作成すると良いでしょう。
 (当HPのリンクページにある歯科医院等で、作ってもらえます。)


この方、「手術もすぐ受けて、子供の春休み中に、治療を終わりたい。」
との事でした。通常1ヶ月先付近でないと、手術予定を立てられませんが、
たまたま、2週後に手術キャンセルがあり、ご希望に沿う事ができました。

術後5日(抜糸の日)、抜糸直前の
のどの様子です。まだ痛々しいですね。
(抜糸翌日には退院可なのですが、この方、
週末に退院したいとの事で)
 術後8日
(退院日)の のどの様子(左写真)。
まだ、縫い目の跡等、少し凹凸があり
ますが、たった3日で、随分きれいに
なりました。(今は、更に滑らかでしょう。)

上から見ると(右写真)、ノドチンコの
後ろも、よほど広くなりました。



A15-4(手前味噌な宣伝になってしまいますが・・・・。)
 この方が退院して1ヶ月後、私は、治療効果の確認メールを出そうと思って
 いました。私が、メールを出そうとした、まさに、その直前に、下記のメールが
 届きました。手前味噌な宣伝になるかも知れませんが、治療者冥利に尽き、
 嬉しい!ので、下記に掲載します。

 ***ショパンです。その後快調です***
  東京では紫陽花のつぼみが膨らんできました。

  扁桃腺の手術ではお世話になりました。
  その後、とても快調です。家族の話では、仰向けで寝ていてもあまりいびきを
  かいていないようです。自分でも、ビデオを撮ったりしてみましたが、以前より
  ずっと少なくなったと思います。

  テープで口を止めて寝ても、呼吸ができなくてほっぺたを脹らますようなことは
  ありません。音もちょっとかわいくなったように思います。息子の話では、他人
  にはいびきに聞こえるけど、家族には寝息が大きい程度。と、いうことです。
  でも、電車の中ではなるべく寝ないようにしています。

  退院した帰りは、雨が降っていましたが、御薬園に寄りました。
  まったくの季節はずれで、何も無かったのですが、静かでとても良かった。
  その帰りに、田季野に行こうと思い、御薬園の出口で道を尋ねたら、車で
  送ってくれました。若い頃は、ヒッチハイクや野宿で旅行をしましたが、この
  年になって車に乗せてもらう事があるとは思いませんでした。
                      V(○⌒∇⌒○)   ルンルンの気分でした。
  田季野も美味しく。世界のガラス館にも寄って満喫して帰りました。
  先生にお願いして本当に良かったと思っています。ストレスが無くなりました。

  冷酒の美味しい季節になりましたね。 (私には、一年中美味しいのですが)
  先生もお体を大切にしてください。

  *** (ショパン) ***


 (→→)「診断した通り、舌根部の症状が少し残ってはいるものの、主因であり
   (手術した)”のどちんこの周り”は、大幅に改善した。」と、私は解釈しました。




補遺1:検査・手術例その2その3

 その2:50歳、女性、東京都在住。
      「子供達も大きくなり、手が離れた。これからは、友達と旅行に行ったり
       して、自分の人生を楽しみたい。でも、いびきが 大きくて、友達と一緒
       に宿泊できない。いびきを治したい。」と言って受診されました。

      無呼吸低呼吸指数は、1.3 で、いびき症でした(睡眠時無呼吸症候群には入らない)


(↓)手術前の口の中。
両脇の大きな扁桃腺、中央の長いノドチンコ、その脇の広い膜が目立ちます。
(↓)睡眠検査中に、上から見たノドチンコの裏側。
(一番開いている時)
(↓)その後、左右の扁桃腺が寄ってきて・・・(↓)その後、ノドチンコとその脇の膜が寄って、前後も狭くなる。


(↓)手術後(退院日)の口の中。


(↓)同日に、上から見たノドチンコの裏側。随分
広くなりました。(写真下縁の白がノドチンコ周囲、中央下
の灰色は舌の後ろ、中央の皿状の物が喉頭蓋)
 しかも、手術例その1より、
 この写真の縮尺倍率の方
 が小さいです。

 術前の5倍弱の広さか?


口の奥上も見てみます。
写真下が、口の突き当たりの後壁。写真中央やや
下が、鼻の後の空間。そして、中央の白く反射して
いる部分が、ノドチンコ。ノドチンコの中心軸が、
少し(写真では上)を向いています。これで、ノド
チンコが、後に吸い込まれにくくなります!




 その3:44歳、男性、会津若松市在住。
      「睡眠中に、息が吐けなくなって目が覚める。おかげで、熟睡できない。」
      と言って受診されました。

      無呼吸低呼吸指数は、12.0 で、睡眠時無呼吸症候群・軽症でした。

(↓)手術前の口の中。
ノドチンコの脇の広い膜が目立ちます。
(↓)睡眠検査中に、上から見たノドチンコの裏側。
(最大開大時)
(↓)呼気時、ノドチンコ周囲の
膜(写真下半)が、呼気に吹き
上げられ、空気の通り道(写真
中央の暗い部分)が狭くなる。


(↓)手術後(退院日)の口の中。


(↓)同日に、上から見たノドチンコの裏側。
”その2”程ではありませんが、広くなりました。



 手術例のまとめ
 
 1.各例の改善度(上咽頭狭窄部の面積の変化)

  喉頭蓋(写真中央の皿状の物)の左右径を、1として、ノドチンコの後の
  ”空気通り道”の面積を、(目分量で)測定してみましょう。
 
手術前手術後面積比(後÷前)
手術例その10.3 X 1.50.6 X 2.02.6倍
手術例その20.6 X 1.31.2X 3.04.6倍
手術例その30.3 X 1.80.8X 2.33.4倍
   *注:この表の計算の元にした画像は、術前は入院検査時の寝ている時(入院検査時に
        全例を撮影・記録)の最大開大時の画像、術後は退院時に診察台に座っている時
        の画像(必要性・目的のある場合のみ撮影・記録)です。条件が違うので、厳密に
        言えば比較できません。実際の改善度は、この7
〜8割程度と考えて下さい。
        ”症例に拠って改善度は違うんだよ”という説明のために、計算してみました。


  この様に、上咽頭狭窄部(ノドチンコの後の空気の通り道)の面積の改善度は、
  同じ手術をしても、患者様により大分 差が有ります。

  その理由は、UPPP手術は、粘膜部分の修正のみであり、骨には手つけない
  からです。つまり、顔(特に口の奥)の骨格の大きい人は、面積が大きく改善し
  ますが、骨格の小さい人は、改善幅が小さくなります。
  高度肥満のかたも、(周りの脂肪により)骨格が小さいのと同じ状況になります。

  手術例その1のかたは、ノドチンコの後のスペースが骨格としても狭く、
  したがって、改善度も、平均的期待値よりは小さめでした。一見の直感的には、
  面積比は、2倍に少し足りないかと思いました。それでも、上述の様に、「症状
  の大半は消失した。」とおっしゃていました。

  その2のかたは、口の後の骨格が大きく、平均的期待値より大分大きく改善
  しました。一見の直感的には、5倍程になったかと思いました。その3のかたは、
  ほぼ平均的期待値、やや良い方くらいでしょう。
 
 2.手術の適応について

  上記の手術例を見て、「軽症ばっかり手術しているのではないか?」と思われた
  方も多いと思いますが、実は、その通り! 一般的に、手術適応は、いびき症
  〜睡眠時無呼吸症候群・中等症までと考えております。
 
  私の場合、入院検査の薬物睡眠下の観察で、症状が改善する(最低でも半分
  以下になる)と推定される場合のみ、期待値を説明し、手術を勧めています。
  重症のかたは、高度肥満が多く、手術による改善幅の期待値は低い様です。
  (そして、重症の方は、CPAPにも馴染めます。)
 
  携帯型の検査機で在宅(自宅)で検査を受けて、重症と診断されたかたは、
  (高度肥満でなければ)中等症の可能性もあります。是非、入院検査も受け
  られてみて下さい。
 
  LAUP手術は、いびき症に関して、日帰り手術(=外来手術)が可能ですが、
  その効果には限界があり、また、外来手術の割には、痛みも暫くあります。
  (数年後には元に戻るとゆう事も、多々有るようです。)
  期待できる最大限の改善を望むならば、入院して、UPPP手術を受けられた
  方が良いと、(私個人は)思います。

 3.蛇足
 
  もう一つ、気がつきました。掲載した手術例は、40〜50歳代ばっかりでしたね。
  これは、そうでもありません。幼稚園児〜60歳代のかたまで、手術しています。
  (70歳代の方は、体力・重症度・本人の希望に拠ってでしょうか?)

  おそらく、子育て期には、とりあえず命の危険な無さそうな事は我慢して・・・、
  子供達が自立し始めた頃、自分の健康上の(あるいは周囲との関係上の?)
  問題を解決しようと思ったかたが、多かったのかもしれません。
  



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