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房総半島横断鉄道を辿る 〜〜いすみ鉄道・小湊鉄道乗車記〜〜
TAKA 2005年 6月 2日
(2)いすみ鉄道に乗車して(大原〜大多喜間)
早速試乗記です。5月8日はGWの最終日で房総は「手軽な観光地」として客を集めたみたいで行きの車では京葉道路が宮野木JCT〜千葉東JCTで渋滞していました。元々ボトルネックの区間ですが仕事の我々は「長かったGWの最終日だから遊びに行く人間なぞ居ないだろう」と思っていましたが、房総の観光地は近場で有るので「最後の遊び」で行く人が多いのかもしれません。大多喜・養老渓谷等の観光地も有る午後の目的地はどんな感じなのか興味が募ります。
午前中に仕事を終わらせ打ち合せ方々の昼食後、12:30過ぎに上総一ノ宮の駅まで送ってもらいます。上総一ノ宮の駅では昼間は上り千葉方面は平均毎時2本有りますが下り鴨川方面は平均毎時1本しかありません。次の列車を待っていると次の13:04発は上総一ノ宮でわかしお9号を待避します。けれども先を急いでもいすみ鉄道が無いので各駅停車で行く事にします。わかしお9号はE257系5両編成ですが半分強の乗車率です。まあ連休最終日の昼間の列車ですから、乗車率が悪くても仕方ないでしょう。それに対して6両編成の普通列車は部活帰りと思える学生等が多く半分強の乗車率が有りました。
普通列車で15分強で大原に到着です。途中の各駅でもそんなに出入りが無く同じぐらいの乗車率でしたが、流石に比較的街の大きい大原では50人位電車から降ります。入れ違いで13:21発の東京行きビューわかしおが出発していきます。向こうは9両編成ですが乗車率は多めに見ても30%位です。観光から帰るには少々早い時間ですが、房総の観光の場合に実際はJRではなく車を使う場合の方が圧倒的に多いのかも知れません。
大原でも30分程度時間に余裕が有るので、駅周辺をふらふらして見ます。駅前広場は「普通の田舎の駅」と言う感じで小さな駅前広場と平屋建てのJR・いすみ鉄道の駅舎が仲良く並んでいます。駅前の店舗もこの近辺で言えば上総一ノ宮と一緒で、店は有る物のローカルな日常品を売る店やちょっと田舎仕様の喫茶店の様な店が主体で若者の入るような店は有りません。もっと大きい店や若者向けの店(マック等)は東側の国道128号線沿いに行かないと無いのかもしれません。
[1]JR・いすみ鉄道 大原駅 [2]大原駅前状況
駅前を一通り回った後、いすみ鉄道の駅に入ってみます。いすみ鉄道大原駅運転手の詰め所のプレハブが有るだけで実質的には無人駅で「料金は車内でお支払い」になっています。しかし私が大原駅に着いた時からすでにいすみ鉄道の車輌は止まっています。着いた列車を待合室代わりに使っているみたいで、エンジンはアイドリングで止まっておりすでに乗客が居ます。
基本的に上りが大原駅で外房線上りの普通or特急に5分〜20分の間合いで接続していますが、下り同士の接続はそんなに考慮されていないようです。(実際私も大原で30分も時間調整)エンジンを切るのは空調等の問題が有ると言っても、駅で30分もアイドリングで止めておくのは無駄な話です。色々な理由は有るのでしょうがもう少し効率的な運転方法が有るような気がします。
[3]いすみ鉄道大原駅といすみ200形
駅前をブラブラした後発車10分ぐらい前に乗車します。発車10分前ですが座席は有る程度埋まっています。オールロングシートで座席定員が44名ですから30名近い人が乗っています。比較的普通の人が多い感じでしたが私が乗った後学生がどんどん乗ってきて比率は半々位になります。
発車時間の数分前になったら運転手が乗車して暫くしたら発車です。最終的には座席が埋まり立ち客が多少出る程度(約50名位)の乗客が乗り出発です。出発すると西へ大きく曲がり国道465号線と平行して大多喜を目指します。線路自体は線形は直線と曲線が混じり合った路線ですが、保線状況は過疎ローカル線と考えれば「まあそれなり」の線路で40km/h〜50km/h程度の速度で運転されていますが時々大きな振動を感じます。
乗客は大原から大多喜に向かい減っていく感じです。只下車する人は殆どが学生で、上総東・国吉では下車が多い感じがしました。上総東では小さな駐輪場もあり駅から自転車で出て行く姿も散見されました。又国吉では中学生の部活帰りの集団が乗ってきてかなり賑やかになります。(結果的に乗客が一番乗っていたのは国吉〜大多喜間)大多喜では半数以上の人が降り出発していきました。出発して行った列車が「上総中野で小湊鉄道の接続が無い」「国吉で乗った中学生と老人が乗客の大部分」と言う状況から、いすみ鉄道の利用の大部分は大多喜までで其処から先の利用は少ない学生と老人しか居ないと言う感じがしました。
[4]いすみ鉄道車内(大原発車時) [5]いすみ鉄道車内(国吉)
[6]いすみ鉄道車内(大多喜発車時) [7]大多喜駅乗降状況
(3)大多喜市内を散策して
大多喜まで列車に乗ってきましたが、前述の通りこの列車は上総中野で小湊鉄道に接続しておらず上総中野で1時間半近く足止めを受けます。それならば「房総の小江戸」と呼ばれる「本多忠勝公開祖の上総大多喜10万石の城下町」を散策しながら時間調整をしようと思いました
只大多喜は通った事はあれども街中を歩いた事はないので、只駅周辺・旧市街地・夷隅川周辺をふらふら歩くだけになりました。(大多喜城(県立博物館)は有名だし坂を上るのも辛かったので敢てはずしました)
※
大多喜町市街地観光地図
(大多喜町HP 全域と市街に分かれている)
大多喜市街地地図(主に駅周辺・ゼンリンデーターコム)
先ずは駅周囲です。駅は町役場周辺の旧街道と大多喜城の中間に位置しています。大多喜駅にはいすみ鉄道本社と検車区等が併設されており、いすみ鉄道の中核をなしています。又駅前には
観光案内所
があり町役場方面に商店街が続いていますが寂れた感じであり、駅前も又活気に乏しい感じで列車が来て乗降客が居なくなると静まった感じになります。その様な感じから見ると駅前は「房総の小江戸」と言う感じはしません。
[8]いすみ鉄道大多喜駅前 [9]大多喜駅構内状況
そういう訳で見るところも無いので、駅前の道を旧街道・夷隅川の方に下ります。そうすると古めかしいつくりの建物(建物自体は新しい感じだが)が有り建物の前には踏切があります。看板を見ると「
房総中央鉄道館
」と有るので、早速200円払って入ってみます(一日乗車券を持っている人は無料と有りました)
中身自体はそんなに驚くほどの物ではありません。鉄道模型とオーナーの趣味で集めたと感じる各種のグッズ類が飾ってあり、其の中にいすみ鉄道・国鉄木原線のコーナーもありました。その様な物に見慣れている人たちには「刺激の乏しい」と言う感じはしますが、普通の観光客には観光の一環として一見の価値が有るかもしれません。只大多喜の駅にも案内が無かったので、せっかくいすみ鉄道や木原線を扱った展示館なのですから駅に案内を出す位の協力はしてあげるべきかも知れません。(有ったのかも知れないが私は気付かなかった。気付かなければ意味が無いですから・・・因みにいすみ鉄道のHPの「房総の小江戸散歩」の地図には載っていました)
[10]房総中央鉄道館(外観)
房総中央鉄道館を見た後旧街道に出てみます。旧街道沿いは「川越の蔵作りの町並み」に比べたら町並み・賑わい共比べ物にならないですが(それは歴史的に同じ城下町でも「大国である武蔵の中心的物資集散地」として栄えた川越と「房総半島の夷隅郡周辺の物資集散地」と言う規模の大多喜の歴史的な街の規模の差から来ると言えます)それなりに風情の有る昔ながらの町並みが有ります。只観光客も殆ど居ないし観光客向けの店にも乏しく(観光施設は「渡辺家住宅・商い資料館」位しかない)生活密着の店と混在している感じで、観光地としての街づくりはイマイチなのかな?と言う感じはしました。(川越市と大多喜町では自治体としての規模も違うので、大多喜町が幾ら頑張っても限界は有るでしょうが・・・)
[11]大多喜町旧街道沿いの町並み [12]夷隅川沿いから見た大多喜町旧市街・大多喜城
旧街道の町並みを散歩した後、夷隅川の対岸の方へ移動していきます。旧街道から一歩はずれて夷隅川沿いまで行けば住宅が主になります。此れまで大多喜の町を散策してきましたが、未だ大きな商店等を見てきていません。人口11,500人程度の街ですからそんなに発展していないと言えますが房総半島の中心に位置し夷隅郡の中央で国道が混じる交通の要衝と言う事を考えると、大型スーパーが1軒位有っても良い物です。なので国道297号線大多喜バイパスと国道465号線の交差点まで足を伸ばしてみることにしました。
[13]大多喜バイパス沿いのショッピングセンター
大多喜バイパスと国道465号線の交差点である船子交差点まで行ったらいきなり大多喜バイパス沿いに「島忠」「いなげや」等の大型ショッピングセンターや「ガスト」等のファミレスやマクドナルド等が並んでいます。又車の通行量も市街地とは比べ物にならないぐらい多くショッピングセンターの駐車場も車で一杯です。
やはりこの周辺は車主体の生活でなければ成り立たない様になっています。房総や九十九里地域で公共交通が有るのは茂原・木更津までの外房・内房線周辺の市街地・住宅地だけで、それ以外は「電車やバスが走っていればOK。1時間に1本走っていたら充実している」と言うのが公共交通の現状です。その様な状況である事と、道路がかなり整備されている状況から考えると、この様な市街地が寂れバイパス沿いのショッピングセンターが栄える現状は致し方ないのかもしれません。
(4)再びいすみ鉄道に乗車して(大多喜〜上総中野間)
船子交差点から再びいすみ鉄道に乗るために大多喜駅に戻ります。駅に居ると20名程度の人が居て観光客と思しき人が半分位を占めています。私は多少時間が有ったので駅待合室で休憩していると15:36発大原行きがやってきます。向こうにはすでに20名程度の人が乗っており駅周辺・待合室に居た人の殆どが大原行きに乗っていきます。時刻表を見たら明らかです。東京に行くのであればこの後の小湊鉄道経由よりこの列車の方が特急に接続し便利です。
「大原廻り」 大多喜15:36→16:04大原16:11→17:22千葉17:34→東京18:13 2時間37分
「大原廻り特急」 大多喜15:36→16:04大原16:17→(ビューわかしお20号)→17:34東京 1時間58分
「大原廻り(1本後)」 大多喜16:14→16:41大原16:47→18:01千葉18:09→18:51東京 2時間37分
「大原廻り特急(1本後発)」 大多喜16:14→16:41大原16:53→(新宿わかしお号)→18:16秋葉原18:20→18:24東京 2時間10分
「五井廻り」 大多喜15:59→16:20上総中野16:38→17:48五井17:50→18:51東京 2時間52分
「京成高速バス」 大多喜17:03→東京駅八重洲口18:45 1時間42分
上記に日曜午後15時半過ぎに大多喜を出た場合の東京までの所要時間を示してみました。有る意味当然の結果ですが、単純に所要時間で見比べれば高速バス→大原廻り特急→大原廻り普通→小湊鉄道ルートと言う事になります。距離で比較すれば高速バス・小湊鉄道廻り→大原廻りと言う事になります。結果は房総半島横断鉄道には極めて厳しい結果がでています。
15:36発大原行きが出た後、奥に留置した車輌がアイドリングを始めます。可笑しいな?と思ったら上総中野行きが入線して来て、お客さんを降ろし始めたら奥に留置中の車輌が大原よりへ動き出し入換を始めたと思ったら上総中野行きの後ろに連結されます。この列車は16:32上総中野→17:35大原18:14→19:03上総中野と言う運用になりますが、今日は日曜日ですから通勤需要・部活帰りの遅めの帰宅学生需要が期待できない中で大原17:35着だと接続列車が普通のみ(特急は約1時間待ち)と言う観光には便利でない接続・時間から考えると2両編成は過剰です。大多喜〜上総中野間が1閉塞で有ることも関係しているのかもしれませんが、何で下り列車の此処で1両増結したのでしょうか?空で2両で運転することによる非効率等を考えると疑問が残ります。
15:59定時に上総中野行きは2両編成で発車します。乗客は私以外にお婆さん2名に若者1名に小学生姉妹2名だけで、途中(東総元)から1名乗車してきましたがお婆さん1名・若者1名が久我原で降りただけで、上総中野まで寂しい限り動きは有りません。
車窓もこの地域になると国道からも離れ住宅もめっきり減り山と谷間の少ない畑が有るだけの寂しい風景が続きます。需要の少ない過疎地帯で有る事は沿線の風景を見れば一目瞭然です。
[14]いすみ鉄道車内(小谷松発車時)
大多喜から20分強で上総中野に到着します。お婆さん・小学生は迎えに来た車等で姿を消しいすみ鉄道→小湊鉄道に乗り換えるのは私だけです。上総中野の構内は一応いすみ・小湊の両線が線路はつながっていますが、実質的にはいすみ・小湊共に棒線が途切れて折り返しているだけで只接続していると言う状況です。
上総中野では15分強時間が有ったので駅の周りを少し散策してみます。駅舎はローカル線によく有る(この後小湊鉄道の各駅に見る形)木造ですが、隣に立派なコンクリート製の竹の形をした公衆トイレが有り非常にアンバランスな形になっています。この辺りは筍が名産なのでそれをモチーフにするのはわかりますがもう少しバランスを考えて欲しい物です。
駅前には広場が有りますが広場の周りには工務店とタクシー&観光会社の他は目立った店は広場の先の県道にも無く、駅前広場で子供がキャッチボールをしているのどかな状況です。両鉄道は大きな町が有るから上総中野を目指したのでなく、安房小湊・久留里の目的地を目指して進んでいたら上総中野で接続し此処で延伸の力が尽きたと言う状況がありありと見えます。
[15]上総中野駅駅舎と駅前広場 [16]上総中野駅広場の状況
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