このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
【トミカ建設車両をN化する】
[ラフテレーンクレーンの巻]
「ラフテレーンクレーン」とは、ひとつの運転席で走行とクレーン操作が行え、不整地や比較的軟弱な地盤でも走行ができるほか、狭隘地での機動性にも優れたクレーン、だそうです。 → タダノ 類似呼称に「ラフタークレーン」がありますが「ラフター」は加藤製作所の登録商標のようです。加藤製作所は「自動車並びにその部品及び附属品」・・という分類で商標権を取得しているようです。 →トミカのCREVO(クレヴォ)600-№073 (建設車両セットVol.3) です。 なかなかよく出来ています。 ミニカーとしてコレクションするだけならこれで十分、楽しめます。 1/160ということなんですが・・・残念ながらとんでもないオーバースケールになっており、そのままではNレイアウトに使えません。 |
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どれほどのオーバースケールかはこの両側の写真をご覧になれば一目瞭然。 下敷きにしている図面は1/150に縮小してありますが、このモデルが仮に1/150換算で作られていたとしてもあり得ない大きさです。トミカはこれをなぜ1/160と表記しているのでしょうか? 甚だ 疑問です |
しっかし、これをどうやって料理しましょうか〜 言うまでもありませんが、これを種車にする以上、正確なスケールモデルに変身させることなど、絶〜対に不可能です。
なので可能な限り車体を切り詰めながら、実車の雰囲気が残る範囲でちっちゃくすることにチャレンジします。
それは縮尺はさておき、トミカによるデフォルメ自体には素晴らしいものがあるからで、新製パーツへの置換を乱用するとトミカを種車にした意義が失われてしまいます。
【作業開始! 】 吐水栓(通称“蛇口”)のスピンドルです。 |
例によって、油粘土と瞬間接着剤を使ったスタンプ方式です。 深い凹みを作ろうとして幾つか失敗しました。ん〜 想像していたイメージとは異なり、エッジの丸いタイヤになってしまいました(1個は予備です)。 ↓ |
次に、太すぎるブームを細身に改修します。 写真は、“ブームの開き”です。 この後、貼り合わせて終了。 金鋸の刃厚+α だけ薄くできる、との目論見です。結果は、当初8.5mmあった太さ(幅)を、なんとか6.5mmまで細くすることに成功しました。 なお、ついでに先端につり下がるフックを多少、ディテールアップ! |
次に、旋回台及びキャビンを改修します。 取り敢えず左写真の状態まで切り開いてみました(右写真が切断位置)。切断回数が増すほどにパーツが小さくなり、掴む場所が減ってゆくのでイラッときました。 なんだか見覚えのある写真です。 こんな工作、以前にもやったような記憶が・・・ | 旋回台及びキャビン、ブームの切断位置です |
各パーツを図面に重ねて現物合わせで削るということを繰り返し、形を整えてから、旋回台及びキャビンを組み直してみました。 キャビンの前後方向の切り詰めができなかった事もあり、オーバースケールを完全に解消させることはできませんでした。大きさ比較のため加工前の走行台に載せて記念撮影しています。 まだ整形の途中です。 |
整形後の様子です。 この辺で許したろ!!(誰が・・誰を?) キャビン後部のウエイト(?)を低めにすべく削ったので、ウエイト上部に上絞り方向の面取りを再現させました。 ヤスリ掛けでは、綺麗な“面”を出すのと、カットラインを明瞭にさせるのは難しいです。 |
次に走行台の改修を始めます。 こちらは旋回台に比べて形状が単純ではありますが、それ故に却ってオーバースケールが目立っており、従って切り詰め位置を多くしなければ対応できず、面倒そうです。取り敢えず、写真の状態までバラバラにしてみました。 |
でも、なるべく元パーツを活かしたい。 ・・・ということで、ちょっと悩みの時間稼ぎと気分転換を兼ねて、旋回台のディテールアップを先に進めることにしました。
← ブームの側面や上面に、ワイヤやケーブルのガイドとおぼしきディテールを付けました。 → ブームの後端に臨む位置にも、ワイヤのガイドとなるリールを取り付けました。これはKATOの高圧鉄塔に付いていた碍子からの改造・転用です。 |
実車では、ブームの左側面に2段伸縮ジブが収縮・折り畳んだ状態で収納されています。
トミカはこのジブを省略していますが、全く表現しないというのはデフォルメが過ぎるため、新たに製作し付加することにしました。
しょうがないので、雰囲気だけ真似することにしました(左下写真:組立途中)(右下写真:組立後)。 ↓
毎度おなじみのフロッピー板(フロッピーの殻材)を張り合わせたり折り曲げたり、いろんなことして使いました。 あと0.6mmや1mmのスチール線も使っています。製作したジブは、この後、ブームの側面に折り畳んだ状態で固定します。 そこで、ここでちょっとコーヒーブレイク。 お遊びで、作業風景を仮組みしてみました。 ジブは2段伸縮構造のようですが、縮んだ状態で、且つ、補強用の支持アームも折り畳んだ状態で製作してしまってます。 本当はブームの下に2本の油圧シリンダが並び、壮観な眺めになる筈なんですが・・(スペースが無くて断念しました) |
いつまでも遊んでいられませんね。 (^^;) 塗装が大の苦手で嫌いな私にとって建機の塗装はまだましです。 なんてったって最初からウエザリングを施せますから。 旋回台側も一緒に塗装しましたが、こちらを厚塗りしているうちにブーム側との色差が顕著に出てしまいました。 |
キャビンの上半分に濃いグレーを色入れし、窓ガラスを嵌め、操縦者に搭乗してもらいました。 窓ガラスはブリスターからの切り出しです。 操縦者は、トミーテックのザ・人間(011)働く人々から招聘しました。 旋回台及びキャビンのほうは、あと適当なデカールでも貼るぐらいの作業や汚しが残っているぐらいで、だいたいこんな所と思います。 |
次に走行台に取りかかります。 まず、アウトリガを少々動きのあるものとして再生してみます。
アウトリガは、ジャッキとこれを張り出させたり収納させたりするスライダとで構成されていますが、ジャッキの方は、直径2mmのランナーをシリンダーに見立ててこれに直径1mmのシリンダロッドを差し込むだけです。 左下写真はランナーへドリル孔を開けている様子で、右下写真はシリンダロッドの差し込み具合を確かめている様子です。
シリンダロッドは、
カプセルトミカを使った改造
で出てきた車軸です。
スライダの方はフロッピィのシャッター部分を使って製作します。 ストロークの制限とスライド動作の安定、脱落防止が一気に、そして簡単に得られるのがその理由です。
左下写真の手前に写っている小さなパーツが、1本のスライダです。 これを取り出すために1枚のフロッピーを潰します。 切り出したパーツにジャッキのシリンダを接着し、そのまわりにパテ盛りをしました(右下写真)。
この後、再び整形を加えます。 着色し、仮組み立てした写真も載せておきます(下部中央写真)。
走行台については、いろいろ考えてみたものの良い解決策が浮かばないので、取り敢えずフロッピー板を使って走行台の側板を切り出してみました(左下写真)。
また、小さな板片を組み合わせて複雑な形状のフェンダーを作ってみました(右下写真)。 切り出した2枚の側板でこれらのフェンダーを挟み込み、その中央に種車から切り出した金属パーツ(旋回台の支持部分)を使おうかと企てました。試しに左右の前部フェンダーを連結してみたのですが、板片を継ぎ足しているうちにあれよあれよのうちに前部車体が出来上がってしまいました。 このまま突っ走ってしまうと種車の金属パーツを使い忘れてしまいそうです。 イカンイカン・・
なお、1)はじめ有機溶剤を使って板片同士を仮接着し、2)生乾きとなったときに立体形の修正を行い、3)最終的な形状が決まったところで継ぎ目に瞬間接着剤をすり付け、4)全体が硬化した後でヤスリ掛けをする、という手順を採用すると、板片同士の位置決めをストレスなく行うことができます。 同じようにして後部車体も組み立ててみました。
後部車体では左右のフェンダー間にエンジンが載ります。 エンジンは当然に種車から流用しますが、種車のエンジンはオーバースケールだったので、幅、高さ、長さ全てを削りました。
前部車体と後部車体をフロッピー板で連結し、この連結部分の裏に、種車から取り出した旋回台の支持部分を埋め込みました。
裏から見るとこんな感じです。 ↓ 中央に見えている孔の空いた正方形のパーツが旋回台の支持部分です。 結局、種車の走行台から流用できたのは、この支持部分とエンジンだけです。
ここで二つの問題が出ました。 一つは支持部分の上面(円盤状に飛び出たボス)がフロッピー板の厚さに吸収され、そのぶん、上まわり(旋回台及びキャビン)を支持する高さが低くなって、上まわりを旋回させるときにフェンダーやエンジン部分と干渉してしまうことです。
もう一つは、前後のフェンダーやそれらの前後間隔が図面通りに組み立てられなかったため、側板が形状的にも寸法的にも合わないことです。← 旋回台の支持部分にスペーサ板を接着することで上まわりの干渉を解消させました。 またこのスペーサ板が横から丸見えになるのを、ちょっとでも隠すため、甲板部の両脇を二重に重ね張りしました。 → 側板は作り直しです。 なお、エア取入口を上下に区画するための仕切り板も一緒に切り出しておきました。 |
← エア取入口は、仕切り板とスペーサ板とを交互に挟みながら仕切り構造体を組み立て、これを側板に開口させた部分へ裏側から嵌め込んで作ります。 → あちこちに隙間が出来てしまいましたので、パテ埋め作業が面倒そうです。 |
さて、走行台のパテ埋め作業を進める中で、先に作ってあったタイヤを合わせてみました。 どう見てもタイヤの径が小さすぎます(下写真)。
(フェンダーの形状が図面と違い過ぎるのは見なかったことにしてください)
ちょっと無視できそうにないので、作り直しも視野に入れながら修正の方法を探ります。
← 何気に目に付いた水性ペンのキャップ | ← キャップを輪切りにしてタイヤに嵌めてみました → 使えそうです |
下の写真のようにようやく走行台の塗装まできました。
塗装後にタイヤを履かせます。 自作タイヤのため中心を割り出しにくい、ということもあったのですが、レイアウト中に静置させるミニカーではタイヤが回転する必要もないと思えるので、迷わず接着してしまいました。アウトリガーも装着させ、走行台の前面にはバンパーを取り付けます。
バンパーに取り付けたヘッドライトは、金属蒸着テープに半透明の樹脂シート(A4のクリアファイル)から切り出したチップを張り付けることで表現しました。走行台まわりの細々したもの | ||
↑ マフラーみたいなもの | ↑ エアフィルターみたいなもの | |
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走行台まわりの細々したもの | ||
↑ 後正面 | ↑ 補巻フックはここに収納します |
キャビンまわりの細々したもの | ||
↑ 運転席横のバックミラー | ↑ 運転席と天窓のワイパー・サインポール? |
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【そして・・・ようやく完成! 】
ただ、トミカがベースであるということは、裏を返せば樹脂部や金属部を問わず、各部で厚みや丸みが残っていることを意味します。 それ故、松下さ、三洋さ、いやいやシャープさがもう一つ、出ていません! |
こんな感じになりました(ワァー 写真で見るときっちゃない出来!・・・自滅)。 まだ、あちらこちらにオーバースケール感が残っています。改修前 改修後 |
ただただ、疲れた〜ァ、というのが唯一の感想というのは、チト悲しいものがあります。 まあ、夏の暑さを凌ぐイベントとしては良かったのですが、季節は もぅすっかり秋です。(^m^) 少々引っ張りすぎでしょうか。 改修前改修後 |
最初に書きましたように、今回のテーマは“改造後もトミカでアリ続けること”です。 それはこの車両から「あれ?トミカじゃーん!」「えっ!トミカぁ? どっか違わない??」な〜んて意外性を感じてもらえればな、と考えたからです。
そのため、できるだけ新製パーツとの「置換」という作業を避けて、使えるパーツは可及的に使おう・・・と心がけました。が、しかーし。
実際、出来上がってみれば、タイヤやアウトリガを含む走行台の殆ど、といった具合に新製パーツと置換した箇所が随所に及んでしまいました。おまけに、抑える筈のディテールアップも、ちとヤリ過ぎてしまった面があったように思います。
はてさて、こんな姿に変身してしまった車両を見ても「あれトミカじゃーん!」「えっ!トミカぁ?」と感じてもらえるのでしょうか。甚だ 疑問です
結果論ですが、ここまで手を加えるならフルスクラッチしたほうがよかったのかもしれません。というわけでこれにて【トミカ建設車両をN化する】/[ラフテレーンクレーンの巻]は「完」とします。 さて、いかがだったでしょうか? ご意見・ご感想など BBS へカキコを頂ければ幸いです。2007.10/14 UP |
【おまけ】 楽しい“夏の思い出”を与えてくれたトミカさんへ、敬意を表して。 |
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