このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
韓国遊学日記
韓国のバスに乗ろう
韓国のバスに乗ろう市内バス編
|
|
●難易度「上」、乗りこなせれば韓国プロ!?
文字通り庶民の足。街の中を走る市内バス(시내버스/シネボス)こそ、もっとも乗車難易度の高いバスかもしれません。
なんたって、外国人観光客どころか、「地域外の人」の利用をまったく想定していません。韓国の人でも、周りの人に尋ねまくっています。「臆するな、聞け!」こそ、市内バス必勝法といえるかも。
●市内バスの種類
市内バスにも、設備や速度によっていくつか種類があります。まずは、市内バスの概要について解説しましょう。
(ただしソウルでは、2004年夏にバスシステムの大改編が行われており、ここに挙げる例とはだいぶ異なるようです)
○市内バス(시내버스/シネボス)
もっとも普通に走っている、一般的な路線バスです。
前乗り、後降りの運賃先払いシステムで、日本と違って地方都市のバスでも同様です。日頃、後ろ乗りのバスに乗っていると、ついつい間違えそうになりますが、気をつけましょう。後ろから乗ろうとするおばさんを、ドアで挟んで意地でも乗れないようにしている運転士を見たことありますので^^;;
運賃は市内均一が基本。都市部では700ウォンが相場で、地方都市ではもう少し高くなります。運賃箱の運賃表には大人、中学生、子供の順に料金が記載されていますので、その金額を投入しましょう。小銭がない時は1,000ウォンを入れれば、機械からジャランとおつりを出してくれますが、稀に嫌がられる場合もあるようです。5000ウォン、1万ウォン札の使用は、まず無理と思ってください。
市内バスでも長距離の区間では、1区間・2区間の運賃を設けていることがあります。また郡部を走る「郡内バス」では、区間別の運賃を採る場所もあるようで、この場合は乗るときに行き先を宣言してお金を払います。
さらに均一制の市内バスでも、運賃が表記されていない場合があり、分からない時には運転士に目的地を紙に書いて示し、お金を取ってもらうしかありませんね。
バスの車両は、ピンからキリまで。低床バスこそないものの、都市部のバスはきれいで、空調もバッチリ。LPGガス駆動車も都市によっては普及しており、環境対策も考えられています。一方、田舎のバスになると高いくせに、クーラーないわ、雨漏りするわで…
○座席バス(좌석버스/ジャソクボス)
座席を多く設けている定員制バスで、急行運転を行う…というのが、座席バスの定義。前部1ドアで、バスの前部に「座席(좌석)」と表記してあるので、容易に区別できます。また系統番号も、同系統の一般市内バスに100番をプラスするなどして、区分されている場合が多いようです。
運賃は広域市など大都市の場合一般バスの倍額程度ですが、地方都市では一般バスの運賃+100ウォン程度と割安です。さらに田舎の街に行くと、座席バスそのものが存在しません。
ただし、バスが満員でも定員以上に載せるのは通例です。次のバスを待たされるよりはいいですが… 2ドアで、一部に1列の座席を交えた、明らかに「立席前提」の座席バスなんてのもあり、それに立たされたときは「なにゆえに倍額?」と思ってしまいました。
それでも、市内の端から端まで移動するような時には、一般バスよりかなり早いことは確か。適宜、一般バスと使い分けましょう。
○マウルバス(마을버스)
「マウル」とは、村や集落などを差す言葉。僕は乗る機会がありませんでしたが、地下鉄駅と団地を結ぶ路線など、一定の狭い地域を循環するバスをこう呼びます。マイクロバスを利用し、運賃も安めの場合が多いようです。旅行で乗ることはあまりなさそうですが、友達の家を訪ねる時などには、使うことがありそうですね。
マイクロバスを利用した一般市内バスもあるので、それに乗っても「なんだ安くねーじゃないか」と思わないで下さいね。
|
|
|
●乗り場を探せ!
それでは、私の経験を元に市バス乗車シミュレーションをやってみましょう。出発地は大田駅前、目的地は大田広域市庁(市役所)です。
大田駅前のような主要バス停では、乗り場が方面別に複数あります。各々のバス停には、行き先(ハングル)と系統番号が書いてあるので、これを頼りに探します。目的地の地名があればそこで待って、表記された番号のバスに乗ればいいのですが、探し回っても市庁(시청)の文字はなし。バス停には主要な行き先しか書いていないのです。
おや、よく見ると街頭に「バス案内システム」の端末があるじゃないか!! さすがはIT先進国、と機械をあたってみたのですが、系統番号と経由地のインフォメーションしか出ません。乗り場はもちろん、時刻も分からないとあってはまったく意味なし!
やはり最後の手段、通行人に聞くしかないようです。ところが、市庁行きのバスを知らない人ばかり。韓国では、たいていの行政手続は地区内にある「洞事務所」で済んでしまうため、普通に生活している限りは市庁に行く用事がないのです。
最後の最後の手段、他のバス運転士に聞く!なぜ最後の最後なのかといえば、おっかないからの一言に尽きます。韓国のおばちゃんたちは、臆することなく聞いているんですけどね。
ちょうど、運転士交代で降りてきた運転士に聞いたところ、
「ん、市庁? 道渡って、180番の乗れ」
命令形です。
それでも分からず、これまたおっかない人が多い「停留所横の売店のおばちゃん」に聞いて、ようやく乗り場を発見しました。この間、約20分。あ〜疲れた。
このような苦労をしないためにも、一番てっとり早いのは駅やバスターミナルにある「観光案内所」で、事前に情報を仕入れておくことです。きっと親切に、バスの系統番号や所要時間を教えてくれるでしょう。もっとよい案内所なら、「これを運転士に見せてください」と、『○○で降ろしてください』と書いた紙をくれます。
●バスの車内では
乗り場が分かったら、バスを待ちます。一日に数本しか走っていないようなローカルバスを除き、バスの時刻は示されていないのが通例ですので、辛抱強く待つ他ありません(僕の最長記録は40分)。韓国人ってせっかちなくせに、こういう所に往々として時間の無駄があります。よく言えば、おおらかです。
別の方面に向かうバスは、次々やってきます。韓国語ができない限り、ハングルで書かれた行き先を瞬時に判別するのは困難ですから、系統番号が頼りになります。釜山のバスなら漢字表記も見られるので、日本人には助かります。
市庁方面のバスは、20分待ってようやくやってきました。小さな停留所では、「乗ります」って意思表示をしないと、勢いよく走り去ってしまいますので注意。大きなバス停では一応扉を開けてくれますが、他のバスがいると停留所から遠く離れた場所に停車してしまうので、ダッシュでバスの元へ駆けましょう。
料金700ウォンを運賃箱に投げ込み、乗車します。
市内バスの座席はかなり少なく、座れることはあまりありありません。立つときには、慣れないうちは手すりを両手でしっかり掴みましょう。急発信、急ブレーキの連続で、カーブにも全速力で突っ込んでいくので、生半可に構えていたら、かなり危険です。なお、出口付近には「老弱者保護席」がありますが、そうでなくとも若者がお年寄りに席を譲るのは当然とされています。
最後尾の座席を見ると、座席の前に手すりが渡してありますが、これがダテではない。急ブレーキの際、これがなければ、間違いなく吹っ飛びます。最前部の座席も、事故のときを考えれば危ないかもしれません。なお、仮に急ブレーキでケガをしても、構えていなかった本人の責任とされるそうです。自分の身は自分で守りましょう。
ただ危険な分、早い早い。車を追い越しながら、一般道路でも高速道路のごとく飛ばしていきます。韓国のバスに慣れると、日本のバスがもどかしく思えるほどです。
●降りるのも難儀
乗るのに神経を使った後は、降りる番です。ある程度の規模の都市ならば、バスの車内放送があります。大田の場合は、
「次は○○、○○です。その次は○○です」
という感じで、2つ先の停留所まで放送しますので要注意。主要停留所の場合は英語の案内も入るので、頼りになります。
ただ英語の放送がない限り、聞き取るのは至難の業。さらに地方都市の市内バスでは、案内放送そのものがありません。周りの乗客や、運転士に降りるバス停をアピールする必要があります。こうしておけば、自分のバスが本当に目的地に行くかも、確認できますね。
日本と同様に、降りる際にはブザーで知らせますが、それだけでは停まってくれません。出口の近くに移動し、降りるという意思表示を見せておかない限り、そのまま通過される恐れがあります。2つ前の停留所から案内する理由には、こんなところにもあるのです(たぶんね)。
目的地のバス停に着いたら、すばやく下車しましょう。
●交通カード
ソウルや釜山では「交通カード」が使えます。これは地下鉄と共通で使えるICカードで、財布から出さなくても、読み取り機にかざすだけで使える優れもの。日本のスイカやイコカより、ずっと早く普及していました。
購入の際には、保障金として2000ウォンが必要。ソウルでは1万ウォンから、釜山では5000ウォンから購入できます。便利な上に、1乗車当たりで数十ウォンの割引もあるので、何度も乗るときはオトクです。
不便な点はソウルの場合、購入場所が限られていること。地下鉄の駅では一切扱わず、バス停横の売店もどこにでも置いてあるわけではありません。確実なのは「ウリ銀行(우리은행)」の窓口ですが、これもソウル郊外に出ると扱っていません。仁川国際空港でも扱わず、この辺り旅行者に不親切。あくまで「市民向け」という位置付けなのでしょうね。
釜山の場合では、地下鉄駅の窓口で扱っているので、ここがもっとも確実です。
カードの残金が少なくなった場合は、スイカと同様にチャージ(充填)ができます。これは地下鉄の駅でも扱います。
複数人で1枚のカードを利用する際には、前もって運転士さんに利用人数を告げましょう。2回連続でかざしても、二重取りを防止するために、運賃が落ちない仕組みになっているようです。
また仁川空港〜ソウル市内のように、区間別に運賃が決まっているバスでは、かざす前に行き先を宣言しましょう。
なお、提携の国内系クレジットカードだけでなく、クレジット機能を搭載した携帯電話も使えるようで、韓国の人には便利な限り。忠北圏(清州、忠州)のように、使用できるのはクレジットカードに限られている地域もあります。
またあまりないとい思いますが、ソウルと釜山の交通カードを同じ財布に入れていると、うまく反応してくれません。将来的には全国の交通カードを統一する動きもあるとかで、ますます便利に使えるようになりそうです。
●乗車券(スンチャクォン/승차권)
カードが登場するまでは一般的だった、バスの切符です。これを事前に購入すると、20ウォン程度ですが割引料金で乗れます。バス停横の売店や、「バス乗車券発売所(버스승차권발매소)」と書かれた商店などで購入できます。
10枚つづりでしか売らない場所あり、1枚からでもバラ売りしてくれる場所ありと、都市によって売り方はまちまちのようです。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |