このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
☆ リニモ(愛知高速鉄道)訪問記
12月30日朝コンビニで買ったおにぎりで朝食をとり、7時過ぎに名駅前の定宿(今話題の東横イン)を出て、リニモ・ガイドウエイバスを訪問するために出かけます。トランクを預ける為に名駅地下でコインロッカーを探すが見つかりません。仕方なくトランクを持ったまま地下鉄東山線に乗り、リニモとの乗換駅藤が丘を目指します。
名古屋駅から地下鉄東山線で25分程で藤が丘に着きます。藤が丘に近づくと東山線は地上に出ます。藤が丘周辺は住宅地ですがマンション等も多く、東京の近郊住宅地とそんなに変わりません。実際東京からの赴任者が多く住んでいるとの事も聞きますので、雰囲気が東京に似た感じがするのかもしれません。
藤が丘自体も、東山線の東側のターミナルで、駅前に松坂屋ストア等が有り、周辺からバス路線が多く入ってきて居ます。セントレアへのアクセスバスも発着しています。丁度1台セントレア行きのバスが到着しており、20名近くのトランクを持った人がバスに乗り込んでいます。本当なら私もそれに乗りセントレアに向うべきですが、その前の目的を果たす為地下鉄改札から出て直ぐのリニモの地下出入口を降り改札に向います。
(地下鉄藤ヶ丘駅入口とリニモ出入り口)
(左:リニモ藤ヶ丘駅改札口 右:リニモ藤が丘駅ホーム)
地下に降りるとリニモの改札口が有ります。12月30日の朝早くなので流石にお客様も少なく、コンコース・改札が広々と見えます。只万博の時には地k鉄とリニモの輸送力・利用者の多さから考えたら調整の空間としてはこれでは足りなかったのでしょう。それでも今見ると広々として居て乗客が少ない事も有り、閑散としています。万博時は地下の待機空間に使用して、終了後は地下街や店舗等に一部転用と言う様な、美味いスペース作りは出来なかったのでしょうか?
名古屋でトランパスカードを買っていたので、早速自動改札を通りホームに降り止まっている列車に乗車します。3両編成の列車には数人の乗客が居るものの、私の乗った先頭車両には1人も乗っていません。これ幸いとばかりに最前部に陣取る事にします。
(左:リニモ運転席と同乗者 右:リニモ車内)
私が乗り込んでいると、直前の運転席に初老のリニモ職員が入ってきて鍵が閉まっていた運転席の蓋を開け操作盤の前に座ります。しかし職員が何もしないのにベルがなりドアが閉まり発車します。自動運転で職員は只添乗しているだけのようです。
次の「はなみずき通り」駅でリニモは地上に出ます。添乗の職員は此処で降りてしまいます。基本的には全自動無人運転で運行されているのですが、地下区間だけ安全の問題上から添乗員が居るようです。
「はなみずき通り」駅を出ると、高架に上がり左に大きく曲がり暫く行くと東に90度直角に曲がり県道力石名古屋線(グリーンロード)の上に入り、大きなアピタ(駅直結になっている)が見えてきて杁ヶ池公園駅になります。
(左:リニモと沿線状況(はなみずき通り〜杁ヶ池公園) 右:リニモと沿線状況(芸大通〜公園西・上の道路は名古屋瀬戸道路))
杁ヶ池公園を出るとだんだん丘陵地帯に入ります。この辺りから住宅が少なくなり緑が多くなります。長久手古戦場駅の先には左にトヨタ博物館・右に豊田中央研究所・正面に万博公園の観覧車が見えます。トヨタと言えば豊田市が企業城下町ですが、長久手町に博物館と研究所と言うのはチョット違和感を感じます。でもこの施設が沿線開発の大きな原動力になることは間違い有りません。
芸大通駅の先で、高架で名古屋瀬戸道路がリニモの脇に入ってきます。この辺りからは丘陵の地形に沿って高低差が強くなってきます。しかし流石は高低差に強いリニモだけあってスムーズに速い速度で進んでいきます。
暫くすると万博会場の跡地が見えてきます。万博会場は予め2面3線の駅になっており、万博時の多客輸送でも対応できる構造になっています。2200万人もの観客を集めた万博の期間中はさぞかし賑やかだった事でしょうが、今は解体工事が進んでいる会場が有るだけで、大きな駅にも殆ど人が居ない状況です。会場の解体後どのような跡地利用(
都市公園として利用予定
)がされるかで、この地域の発展は変わってくる事であろうと思います。自然と開発の共生は非常に難しい話ですが、その困難さを克服して開発を進めてほしいものです。
(左:トヨタ博物館と観覧車(長久手古戦場〜芸大前) 右:愛・地球博会場跡(万博会場))
万博公園を過ぎると左に瀬戸市の市街地が見えながら、丘陵の上を進み陶磁器資料館南を過ぎるとS字に坂を下り終点の万博八草に到着です。万博八草では愛知環状鉄道と接続しています。前は万博時の乗降客を分離する為に2面2線のホームでしたが、仮設だった乗車用ホームが解体され、1面2線に変更されています。
万博八草ではホームが乗降分離されていて、奥の引き上げ線で折り返す様になっています。その為に奥にポイントがあります。動作自体はあっと言う間に動きますが、構造はモノレールよりは複雑な感じです。只リニモの桁自体は鉄骨製なので、ポイントの桁を動かすと言う点では、PC桁のモノレールよりか鋼構造桁のリニモの桁を動かす方が楽なのかも知れません。
只万博八草では愛知環状鉄道に接続していて藤が丘と並ぶ乗換駅になっています。万博八草のリニモ駅は有人駅ですが愛知環状鉄道の駅は無人駅です。写真に有るように駅の周りは未だ山林が残っているので、乗換客以外は殆ど居住者が居ないのがこの地域の現状でしょう。今や「宴の後」と言う状況ですが、今後の愛知高速鉄道の厳しさがまざまざと見せ付けられたと言えます。
(左:万博八草駅 右:万博八草駅での折り返し風景)
今回駆け足でリニモを見てきましたが、全体的な印象としては、リニモはモノレール・案内軌条式新交通システムに比べて運転が非常にスムーズで非常に乗り心地が良かった感じです。リニアモーターカーの「浮いている」と言う感じは実感できませんでしたが、急曲線・急勾配の路線で有るにも関わらずそれらを殆ど苦にはしていませんでした。
少なくともゴムタイヤの新交通システムより、スムーズかつ高速で走れるシステムで有ると思います。都市内では急曲線・急勾配に対応でき、郊外では高速運転が可能なリニモは、中量交通システムとして将来(国内外を問わず)他の都市・地域でも導入を検討するに値するシステムで有る事が、リニモの実用化で示されたと言えます。
リニモはモノレール・案内軌条式新交通システムと同じく普通鉄道とは互換性の無いシステムですが、その点以外は特に欠点が無いシステムで、リニアモーターカーと言う特性を、特に速度面で上手く使えれば、モノレール・案内軌条式新交通システムよりかも発展性が有るシステムでは無いかと思います。その実力の一部を今回リニモ試乗で感じることが出来たと思います。
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