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「貨物路線」と言う名のミステリーゾーンを走る列車

-鎌倉〜大宮を結ぶ「ホリデー快速鎌倉号」乗車記-



TAKA  2006年10月15日





「ホリデー快速鎌倉号」大宮行き @横浜駅


 「 ホリデー快速 」はJR各社で土・日に運行している「自由席の観光臨時快速列車」で、「観光」と言うと鉄道絡みの旅行or車で行く仕事がらみの釣り・ゴルフ以外縁のない私は、土・日の仕事で中央線を利用していた時に2〜3回「ホリデー快速おくたま・あきかわ」に偶々乗った事が有る位で、恥ずかしながらその例以外殆ど利用した事が有りませんでした。
 今回10月14日に偶々仕事の絡みで江ノ島・腰越に釣りに行ったのですが、事情により車が使えず電車で行く事になり、行きは「自宅〜(タクシー)〜池袋〜(山手線・東海道線)〜藤沢〜(タクシー)〜江ノ島・腰越」と言う経路で向ったのですが、帰りは大漁でクーラーボックスも重かったので階段が少ない経路を考え「腰越〜(江ノ電)〜鎌倉〜(湘南新宿ライン)〜池袋〜(西武池袋線)〜自宅」と言う経路を選択して、帰宅する事にしました。
 釣りの後の「反省会」が終わった後、江ノ電で腰越から鎌倉に向ったのですが、鎌倉でタッチの差で湘南新宿ラインを乗り過ごしてしまい、「仕方ないから30分待つか・・・」と思っていたら、「ホリデー快速鎌倉号大宮行き」「武蔵野線経由・新秋津にも停まります」と言う案内があり、新秋津の乗換は距離が有るが階段は全部バリアフリーなので「武蔵野南線経由は乗った事ないし、鎌倉で30分待つなら武蔵野線・新秋津経由で行くか」と思い「ホリデー快速鎌倉号」を利用してみることにしました。

 その様な事情で今回は前回の「 使い慣れた経路に有るミステリーゾーンを走る列車?-八王子〜大宮を直結する「快速むさしの号」乗車記- 」に続く、武蔵野線関連の旅客営業を殆どしない貨物線・短絡線を使う列車の乗車記の第二段として、今回は武蔵野南線経由で運転される「 ホリデー快速鎌倉号 」を取り上げてみました。
 武蔵野南線(府中本町〜鶴見間)はJR東日本の 武蔵野線 の中で唯一旅客かされていない路線です。しかもその大部分は生田トンネル等の長大トンネルで地上に出ている部分は京王線稲城駅周辺・梶ヶ谷貨物ターミナル周辺など限られていて、なかなか全容が明らかでないながら、「 武蔵野南線旅客化 」の動きが過去にあり、今でも「川崎縦貫高速鉄道の代替や南武線のバイパスとして使えないか?」と言う説も聞いたりします。
 今回偶々「ホリデー快速鎌倉号」と言う珍しい列車に乗り、「武蔵野南線」と言う珍しい路線を経験する事が出来たので、駆け足の通過だけでしたが、「ホリデー快速&武蔵野南線」の訪問記を書いてみる事にしました。


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 ☆ 10/14 「ホリデー快速鎌倉号」試乗記 16:08鎌倉→17:22新秋津

 江ノ電に乗り鎌倉に着いたのは丁度16:00で江ノ電のホームを歩いているとE231系がホームに停まっており、あっと言う間に湘南新宿ラインは出発してしまい、仕方なく前述の様に検討した結果「ホリデー快速鎌倉号」で新秋津経由と言う普通では考えられないルートで帰宅する事にしました。
 ホームは鎌倉観光を楽しんだ人々でかなり混雑しています。其処へスカ色の115系6両編成のホリデー快速鎌倉号が入線してきます。逗子から回送されて来た115系ですが、今や新形式化されステンレス主流となった横須賀線で昔のスカ色の車両が来ると懐かしい感じがします。此処で大勢の観光客が乗って満員状態で鎌倉を発車します。
 鎌倉を満員状況で発車した列車は北鎌倉・大船と停まり、大船で半分以上の客が降りて座席に座れる状況で横浜へ向います。大船を出た後60km/h位でゆっくり走り「如何したんだろう?」と思っていると、戸塚の手前のポイントを渡り東海道線に入ります(写真1)。「湘南新宿ラインのキーポイント」と言えるポイントですが、横須賀線→東海道線と渡る列車の存在は知りませんでした。武蔵野南線経由のホリデー快速運行の一つのポイントで有ると言えます。

  
左:(写真1)横須賀線から東海道線へのポイントを渡る@戸塚  右:(写真2)東海道本線から貨物線へのポイントを渡る@横浜〜川崎間

 東海道線を60km/h〜80km/hと言う流しの速度で走り横浜駅に停車します。横浜駅で「次の停車駅は武蔵野線・北府中です」と言われると変な感じがします。時間調整を兼ねてチョット停車した後発車して又東海道線を60km/h〜80km/hと言う流しの速度で走ります。「何処で貨物線に入るのだろう」と思っていると、右に貨物線が並走し、京急生麦駅が見える地点でさらに徐行運転をします。「あれ?」と思うと先の渡り線ポイントが分岐していて渡り線を通り貨物線に入ります。(写真2)
 暫く貨物線を走ると鶴見駅構内で停まってしまいます。貨物列車は何時も停まっている所ですが此方は旅客列車なので「何だろう?」と思い外を見ると、交替の運転手が待っています(写真3)。どうも此処で運転手が交代し武蔵野南線内は別の運転手が運転する様です。武蔵野南線での定期列車は無く、第二種事業者のJR貨物の貨物列車が殆どの武蔵野南線でJR東日本の運転手が運転すると言う形ですが、この列車の為に特別に要員を養成したのでしょうか?そうするとこの臨時列車の為に特別の要員を確保していると言う事になりますので、かなりコストが掛かっていると言う事になるでしょう。

  
左:(写真3)鶴見駅構内の貨物線での乗務員交代  右:(写真4)JR貨物新鶴見機関区の脇を走るホリデー快速鎌倉号

  
左:(写真5)武蔵野南線の中核 梶ヶ谷貨物ターミナル  右:(写真6)南武線を平行して多摩川を渡るホリデー快速鎌倉号

 鶴見で運転停車をしたあと、武蔵野南線に入り横須賀線でも見慣れた新鶴見操車場の跡地を走ります。只何時もとは違う路線を走るので、チョット岩間が有ると言えます。新川崎駅の脇やJR貨物新鶴見機関区(写真4)の脇を過ぎると、武蔵小杉の手前で地下の小杉トンネル(5,382m)に入りいよいよ武蔵野南線に突入です。
 「普通では通れない武蔵野南線」と言えども、実体は殆どがトンネルです。武蔵野南線は小杉トンネル(5,382m)・生田トンネル(10,359m)等長大トンネルが主流であり、地上の区間は梶ヶ谷貨物ターミナル・稲城の京王線を跨える高架区間・多摩川橋梁〜府中本町間等限られた区間しか有りません。その為「始めて乗る路線」と言っても「地下鉄」に乗っているのと変わらない状況です。
 いきなり車窓が明るくなると梶ヶ谷貨物ターミナルです(写真5)。しかし武蔵野南線自体は貨物も通る路線で軌道は良い感じがするのですが、列車の中は写真で手ブレがするほどかなり揺れます。携帯のカメラで取ったので手ブレ防止機能がない事も大きいのですが、トンネル内の騒音の大きさ・列車の揺れには寿命が迫りつつある115系の限界を示しているのかも知れません。武蔵野南線内では殆どが「ゴー」と言う騒音との戦いでした。
 生田トンネルを過ぎるといきなり高架区間に出ます。此処は丁度京王相模原線稲城駅の付近に当たり、京王相模原線・鶴川街道を高高架で越えます。武蔵野南線は京王相模原線稲城・小田急線生田・東急田園都市線宮崎台と言う各駅の近くを通っていますが、何処も武蔵野南線は高高架or山岳トンネルで出来ている区間であり、今まで運輸政策審議会答申で出ていた様な「武蔵野南線の旅客化」は乗っている「ホリデー快速」の様なバイパスする臨時列車以外はなかなか困難であると感じました。実際は工事の困難さに加えて武蔵野南線の乗換駅は各民鉄の拠点駅を微妙に外しているので、それなら乗換駅が拠点化されている南武線の機能を快速運転・増発等で強化した方が効率的で有ると感じます。
 トンネル群を過ぎ、いきなり車窓が開けると其処は多摩川の上で、南武線と平行して多摩川を渡ります(写真6)。此処まで来ればサントリー武蔵野工場・東京競馬場の脇と中央高速の下を通り府中本町の駅は直ぐ其処です。府中本町からは何時もの武蔵野線に入りますが、府中本町は南武線・武蔵野線のホーム間に有る通過線を通るので配線の構造上南武線との接続駅でありながら止まることが出来ません。その代わりに北府中に停まりますが、北府中は武蔵野線内乗車客が乗ってくるだけで乗務員の交代も西国分寺で行っている様なので、「北府中通過・横浜の次は西国分寺」で良いのかもしれません。
 
  
左:(写真7)新秋津を発車するホリデー快速鎌倉号  右:(写真8)ホリデー快速鎌倉号 列車表示幕

 西国分寺ではホームで多数の乗客が待っています。確かに西国分寺では中央線→武蔵野線外回りの乗換客が多いし、武蔵野線の運転間隔が開いてしまえば普通利用がされてしまい115系6両では混雑してしまうのは有る意味当然で有ると言えます。その点 快速むさしの号 は西国分寺を短絡線経由でパスしている為、立川〜八王子⇔新秋津・北朝霞・大宮を結ぶ客に特化した輸送で武蔵野線内輸送の大部分から逃れている為に115系6両でも輸送力不足にはならないのでしょう。そういう意味ではホリデー快速鎌倉号は停車駅の検討が必要かもしれません。
 ホリデー快速鎌倉号は西国分寺の次は新秋津です。西国分寺で横浜発車時に居た人の何人かが降りたのが見えましたが、西国分寺での大量乗車で観光客と武蔵野線利用客が完全に同化してしまい区別つかなくなってしまいました。私はこの日は朝が早く(3時半起き)大型クーラーボックスも有ったので、家への乗換駅で有る途中の新秋津で降りましたが、新秋津での降車客・乗車客は普通の武蔵野線列車より少なく(写真7)又「いかにも観光客」と言う人が殆ど居ない状況でした。運転車両が205系でなく表示幕に「ホリデー快速鎌倉号 大宮行 武蔵野線経由」と書いて有るのが「普段とは違う列車」で有るのをアピールしているな?と思わせるだけでした。


 ☆ 今の「ホリデー快速鎌倉号」が観光列車として相応しいのか?

 今回「ホリデー快速鎌倉号」に偶々鎌倉〜新秋津間で乗車して、実質的に初めて「ホリデー快速」を利用しました。私自身は中央線のイメージが強かったので「ホリデー快速=普通の列車を観光用快速にしているだけ」と言うイメージが強かったのですが、ホリデー快速鎌倉号の場合「武蔵野線経由大宮行」と言う特殊な運行形態であることも有ってか、ほぼ全区間で一般客利用と混在している「ホリデー快速おくたま・あきかわ」とは異なり、特徴的な利用状況で有ったと言えます(写真11〜13)。

  
ホリデー快速鎌倉号乗車状況(1両目)左:(写真9)鎌倉発車時点 中:(写真10)横浜到着前 右:(写真11)武蔵野南線走行中

 少なくとも写真11の鎌倉〜大船間は時間が鎌倉16:08発と言う観光利用に最適な時間もあり、鎌倉帰りの観光客が大量にこの列車に集中し短時間乗っているのが精一杯と言う非常に混んでいる状況に有ると言えます。この時間の鎌倉駅は15:56上総一ノ宮・16:01(湘南新宿ライン)小金井・16:08ホリデー快速鎌倉号・16:13成田空港と言う様に、ホリデー快速の前は7分前に湘南新宿ライン・横須賀線は12分前と言う様に間が空いているので長距離観光客目当てのホリデー快速に大船で東海道線・横須賀線・根岸線乗換の客が流れ込んでしまったと言えます。
 その為写真12の様に大船〜横浜間では大船乗換の短距離客が減り、観光的利用の感じの客の割合が多くなり立ち客チラホラ居る程度の乗車率で落ち着きます。しかし横浜で鎌倉・大船〜横浜間区間利用客が減り武蔵野南線を利用する純粋に多摩・大宮地域⇔鎌倉間の観光利用の客だけが残り、車内は写真13の様にガラガラになります。武蔵野南線内の利用状況は全車両で50名前後の乗車率だった筈です。これでは少なすぎると言えます。
 この状況を見ると、殆ど利用が根付いていないと言う事が出来ます。確かにホリデー快速鎌倉号は運転する時間帯は良いのですが、使用している車両は115系でレベルは高いとは言えませんし、鎌倉⇔大宮間には約30分毎・グリーン車付の湘南新宿ラインが運転されている上に、この後鎌倉16:39発の快速八王子行きが有る為、ホリデー快速鎌倉号の真の利用客は鎌倉⇔多摩地区を結ぶ利用客に限定されていて利用客が少ないと言う事が出来るのだと思います。

 今の状況を見る限り「ホリデー快速鎌倉号」が観光列車として相応しい状況に無いと言うことが出来ると思います。その要因は「限定的な需要しか確保できない」「車両が相応しくない」と言う2点が有ると言えます。
 需要に関しては、確かに「鎌倉」と言うのは観光地として大きな物が有りますし、湘南地域は意外に車で観光に行くと渋滞に巻き込まれて苦労する地域です。その為「電車での観光需要」が望める地域で有ると言えます。只ホリデー快速鎌倉号の場合列車の知名度がイマイチの状況に加えて、対大宮での30分毎運転・グリーン車付・知名度抜群の湘南新宿ラインの存在は大きいと言う事が出来ますし、多摩地域の武蔵野線沿線⇔鎌倉の観光需要だけでは需要の絶対のパイが少ないと言う現実がこの武蔵野南線内の需要が少なく、利用が多いのは既存路線内で需要が有る地域の停車駅間だけで有ると言う現在の状況を現出していると言えます。この様な今の需要が少なく知名度もイマイチの状況では「観光列車」と言う事が出来ないと言う事が出来ます。
 加えて運転されている車両が115系と言うのが引っかかります。写真で明らかな様に115系の車内設備は老朽化しており、観光列車と言うイメージには程遠い物が有ります。同じホリデー快速でも「 ビューやまなし号 」ではダブルデッカーの215系が使用されていたり、「 ホリデー快速河口湖号 」では特急車両の485系が使用されています。これらから比べると115系使用のホリデー快速鎌倉号は明らかに劣ると言う事が出来ます。
 今の状況ではホリデー快速鎌倉号は知名度が低いイレギュラーな経路の為「武蔵野南線を使った鎌倉への直通列車」と言う売りが生かせて居らず、加えて停車駅の関係から鎌倉〜大船間と武蔵野線内で中途半端に普通客が流れ込んで居て不要な混雑を招き、加えて使用の車両が115系と言う内装が貧弱な車両の為普通の観光客であれば敬遠してしまうと言う状況になっています。この状況を解消しないと「真の観光列車として相応しい列車」とはならないと言えます。
 今や「湘南と新宿・高崎線・宇都宮線を直結する」湘南新宿ラインが有る為、ホリデー快速が只単純に「直通列車」を謳っても何もアピールにならない状況になってしまっています。加えてグリーン車料金がリーズナブルになり湘南新宿ラインも全列車グリーン車付で運行されているため、観光客が普通に運行されている中距離電車利用に抵抗を感じなくなっています。その様なJR東日本の中距離電車のネットワークの進化が結果的にホリデー快速の様な臨時列車を中途半端な存在にしていると思います。その様な状況を打破しないと今後の存続は難しいのではないか?と今回改めて感じさせられました。

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 今回偶然にも観光利用でホリデー快速を利用しましたが、何時もは観光等に車を利用する立場からすると「臨時列車は中途半端で使いづらい」と言う印象しか感じることが出来ませんでした。
 本当なら私の構想では、前に腰越での釣りの時に電車を利用したときと同じ「帰りは鎌倉から湘南新宿ラインのグリーン車で池袋へ」と決めていましたが、グリーン車でも男一人の利用でも大きなクーラーボックスを持っての電車利用は難儀でしたし、今回時間が合わずホリデー快速鎌倉号で新秋津乗換と言う経路を選択しましたが、観光利用で有るのですが大きな荷物の置場一つに苦労する状況でしたし、鎌倉→新秋津間約1時間15分の間115系のロングシートに座っていた為飲み物も軽食も憚れる状況でした。
 確かに何時もの車での釣行の場合、朝早くの出発の為帰りの車の運転は「眠くて大変」と言う状況であり、電車で間に合う時間の釣行の場合電車の方が便利で安全と言う点も有ります。しかし関東近郊での鉄道利用の観光の場合、通勤列車使用の場合が多いため大きな荷物を持っての利用は憚られますしロングシートに載るのも気が引けます。実際この様な電車利用の場合(朝始発の東海道線は利用客が少ないので普通車両を使ったが・・・)私が気兼ねせず釣行の帰りに利用できるのはグリーン車だけと言えます。
 やはり観光列車には「クロスシート」「有る程度の着席保証」「一般客と激しく混在しない環境」は必要で有ると思います。そうしないと「運転の必要が無い」「渋滞知らず」等電車が車より優れている点が有っても観光で電車を利用してくれないと思います。今回の偶々の「電車の観光利用」と観光列車と言える「ホリデー快速」利用で改めてその点を感じさせられました。
 鉄道会社も一般客の視点で「観光利用の時に何が必要か?」と言う利用者のニーズを掴んで観光列車を運転しないと利用客は着かないと思います。「只臨時列車を運行すれば観光客は乗ってくれる」と言う時代は、イベント輸送を除いて終わってしまったと言えます。その様な点を良く考えなければならないと思います。





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