東武3月ダイヤ改正訪問記
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東武ダイヤ改正直前の東武伊勢崎線・日光線訪問記



 2006年 3月21日 TAKA (訪問日3月12日)





すれ違う100系スペーシアと6050系快速(板倉東洋大前)


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 今回「家から近い関東圏の鉄道」とは言えども中々利用した事の無い東武鉄道の「白紙ダイヤ改正」だったので、比較対象の資料として改正前の東武の輸送状況を見てみようと思い、改正前最後の日曜日だった3月12日に午前中の用事が終わった後、駆け足ですが東武伊勢崎線・日光線を訪問して来ました。

 「3月12日訪問経路」
12時過ぎ北千住着→<準急新栃木行>→草加→<区間準急東武動物公園行>→せんげん台→<準急南栗橋行>→春日部→<快速東武日光・会津田島行>→板倉東洋大前→<準急浅草行>→東武動物公園→<快速浅草行>→春日部→<野田線普通>→15時半過ぎに大宮着


 (1)北千住→<準急新栃木行>→草加

 3月12日午前中の立川での用事を終わらせて、新宿・西日暮里経由で北千住に入ります。北千住に到着して東武ホームに着くと、丁度10000系6両編成の準急進栃木行きが来たので、この列車で取りあえず利用状況を見ながら先に進み「浅草12:20発快速に春日部から乗車」を目指す事にします。

   
(左:10000系準急新栃木行き   右:準急新栃木行き1両目車内)


 日曜日の正午頃と言う事も有るのでしょうが、北千住発車段階で丁度座席が埋まる程度の利用率です。20m車6両編成の準急ですから、関東の主要路線東急・小田急・京王・西武・東上の各路線優等列車に比べると輸送力が明らかに劣ります。只これらの路線は時々利用しますが、日曜日の昼間の優等列車でターミナル駅発車時点で立ち客が居ない状況は殆ど見かけません。そう考えると伊勢崎線の利用客はそんなに多くないのかもしれません。
 準急は複々線の外側を流して進みます。走行速度は70〜80km/h程度と見受けます。関東最長の複々線である北千住〜北越谷間複々線を持つ東武ですが、「只分けて走らせているだけ」と言う利用状況です。全般的に東武の走行速度は遅いと言えます。通勤列車まで「猫も杓子も120km/h運転」とは言いませんが、もう少し速い速度で走ってストレスを感じさせないで欲しい物です。
 途中準急は西新井に停車して、多少の乗降が有りチョット乗客が減った形で草加に到着します。

   
(左:草加駅と緩行線を走る20000系日比谷線直通普通列車   右:草加駅での普通〜準急の緩急接続)


 草加駅では丁度内側緩行線を走る普通列車と緩急接続します。この区間は準急6本に対し日比谷線直通普通が6本走っていて草加で緩急接続します。この先の普通列車しか止まらない松原団地・新田・蒲生の3駅の内 松原団地(56,517人/日)新田(30,900人/日)と隣接準急停車駅の草加(80,235人/日)には及ばない物の、松原団地の乗降客は西新井の自駅乗降客50,840人/日より多い利用客が有り 、加えて北千住の日比谷線直通〜準急の乗換が1階〜3階の2フロア移動と言う不便な状況に有り、其れを背景に草加での緩急接続客は双方向でかなりの数になります。


 (2)草加→<区間準急東武動物公園行>→せんげん台→<準急南栗橋行>→春日部

 草加駅で下り区間準急に乗り換える為に途中下車しましたが、その間多少時間が有ったので上り列車の様子を見てみる事にしました。上りホームに行くと丁度半蔵門線直通の中央林間行きが入ってきます。

   
(左:草加駅停車中の半蔵門線中央林間行き   右:草加駅停車中の半蔵門線直通列車1両目車内)


 上りの半蔵門線直通列車は草加で特急・急行・快速待避のダイヤが組まれているようで、数分間停車しています。(この時にはカラ待避だったが)只流石に日曜日昼の時間の上り列車だけ有って10両編成の最前部でも座席がサラリと埋まる程度の利用客が有ります。只緩急接続が無い分乗客の絶対量は準急より少なく、輸送力列車と実際の利用客数が噛み合わない今の東武近郊ダイヤの問題点が如実に示されています。
 そうしている内に下りの区間準急が入線してきたので、下り区間準急が待避待ちをしている間に下りホームに向います。下り区間準急の東武動物公園行きは 東武30000系 の10両編成です。この30000系は97年製造開始の半蔵門線直通用車両で製造開始から既に9年が経っていますが、東武の車両としては特に内装が洗練されていて東武8000系に感じる「ダサい」感じが無く、半蔵門線内で営団・東急の車輛と比べても遜色のない車両に仕上がっています。
 
   
(左:東武動物公園行き区間準急車内(草加)   右:せんげん台駅での区間準急〜準急接続状況)


 下り区間準急は座席の半分以上が空いている状況で、草加で(待避は有るが)緩急接続が無いので利用客は只減って行くだけです。上り列車以上に準急より多い輸送力が生かされていない事は明白です。この点が3月18日ダイヤ改正でどう生かされるかは注目です。
 武蔵の線の乗換駅の新越谷からは各駅停車になります。新越谷・越谷で多少乗客が有ったものの、上の写真の草加の利用状況と殆ど変わらないままで進んでいきます。
 区間準急は途中のせんげん台で、曳舟で接続・後発した準急と緩急接続します。目的は「区間準急は新越谷以北では普通列車の役割を肩代わりさせ、遠距離輸送を行う準急とせんげん台で緩急接続させて利便性を上げたい」と言う所だったのでしょう。
 実際私もせんげん台で緩急接続で乗換ながら様子を見ましたが、普通の感じでは準急→区間準急の乗換が多い感じだと思うのですが、このときの実際は区間準急→準急の乗換の方が多く準急降車客も区間準急乗換客よりせんげん台降車客の方が多い状況でした。北越谷〜東武動物公園間の中間駅は圧倒的に多いせんげん台・春日部以外はどの駅も多くて20,000人/日程度の利用客しかないので、せんげん台緩急接続は以外に機能していないのかもしれません。
 
   
(左:南栗橋行き準急車内(せんげん台)   右:春日部駅での30000系区間準急東武動物公園行き)


 せんげん台で乗り換えた準急は流石に6両編成である事もあり、座席がサラリと埋まる程度です。北千住で乗った2本前の準急の北千住時点の利用率とそんなに変りません。近郊区間の東武準急は意外に乗客が漸減傾向でなく出入りして少しずつ減って行く状況なのかもしれません。
 せんげん台の次の停車駅は春日部です。春日部は人口24万の春日部市の玄関口であると同時に東武野田線との接続点で、乗換を含めた乗降客数は127,229人/日と北千住の次の乗降客のある大駅です。流石にそれだけ有って乗降客も多く準急からも多くの降車客が有りましたが、乗車客も多く到着時点とそんな変わらない感じで出発していきます。
 

 (3)春日部→<快速東武日光・会津田島行>→板倉東洋大前

 春日部で準急を降りて北千住から各駅を通過してくる快速電車を待ち受けます。快速は大部分が今回のダイヤ改正で東武動物公園以北各駅停車の区間快速に変更される大きな変更点の一つです。快速は元々日光線系列で特急の補完と中距離輸送の重要な一翼を担っている列車であり、私も「初めての一人での遠出は野岩鉄道開業時に東武快速で会津高原往復」でしたので、東武快速と6050系には一方ならぬ思い出が有ります。
 春日部に到着した6050系快速は春日部で1両辺り数人の乗降が有る物のボックスシートに1〜2人程度の乗客が有り、1両辺り20〜30名と言う程々の乗客数で発車していきます。
 
   
(左:6050系快速東武日光・会津田島行(春日部)   右:快速東武日光・会津田島行1両目車内(春日部発車時点))


 快速は東武動物公園に止まった後、ポイントを渡り伊勢崎線から日光線に入って行きます。元々伊勢崎線が先に開業(1899年)し後から日光線が開業(1929年)した歴史が有るからか日光線に入る快速は伊勢崎線上りを跨ぐ形で2回ポイントを渡って日光線に入ります。今回のダイヤ改正では「久喜改良」を行い久喜・南栗橋系統分割をしていますが、純粋に東武の運行系統を見る限りは「東武動物公園配線改良を含む東武動物公園系統分割」も検討に値する内容だったのではないかと言えます。
 日光線に入ると、東武が開発した杉戸高野台・南栗橋、昔から市街地の幸手と言う「顔が違う各駅」を通過して北上していきます。特に南栗橋は「東武が開発した住宅地」に加え「東武最大の車両基地」が有り、宛ら「東武の城下町」状態です。(しかし住宅地は随分売れ残っているらしいが・・・)その点では日光線「南栗橋系統分割」は東武の事情から見れば納得する内容だと言えます。
 南栗橋で東北新幹線を潜った後、東北線をオーバーパスして今回のダイヤ改正のキーポイントの一つ栗橋駅に入ります。今回「新宿〜日光・鬼怒川間直通運転」の為に、 栗橋に東武とJRを結ぶ連絡線が建設 されています。現地を車窓から見てみると確かに東武日光線とJR宇都宮線は駅部では平行している物の、日光線が南からJRをオーバーパスしてカーブを連ねて駅部で接着して又直ぐカーブして行く線形を見ると、今の形が線形・コストの面からベターな接続形態とも言えるでしょう。只今の連絡線形態では今後とも特急の連絡が精一杯で、普通列車も乗り入れと言うのは難しいかも知れません。
 
   
(左:6050系快速東武日光・会津田島行1両目車内(板倉東洋大前)   右:上り線を疾走する快速浅草行き(利根川鉄橋))


 栗橋を過ぎて関東平野の中の線形の良い場所を快速は調子よく走っていきますが、如何も高速運転に敏感でない関東人が見ても「流している感じ」で80km/h程度のスピードで運転されています。元々130km/h運転も可能な100系スペーシアは日光線で120km/h運転が平成4年9月から行われていますし1720系DRCによる110km/h運転は昭和37年から行われており、東武が高速運転に不熱心な訳では有りません。しかし特急への速度向上に関しては努力していても、実際の走行速度を見れば分かる通り快速の速度向上に関しては不熱心です。
 此れは使用車両の6050系が影響しているのかも知れません。元々 6050系 は1986年製ですが1964年製の6000系から台車・主電動機等を流用した車体更新車が大部分を占めています。元々6000系は「8000系に1720系DRCの制御機器を載せた2ドア長距離用車両」と言う性能であったにも関わらず、6050系への車体更新の時に冷房搭載等で車体重量が増加しているので、可能性としては6050系の走行能力は8000系以下で80km/h程度の流し運転は、6050系に取っては「能力上の制約から発生した流し運転」なのかもしれません。
 快速は栗橋を通過するので、東武動物公園の停車駅は日光線唯一の群馬県の駅である、板倉東洋大前になります。今回は栃木まで行く事も考えましたが、昼食も食べたかったので板倉東洋大前で下車して折り返すことにしました。私は板倉東洋大前で下車しましたが、板倉東洋大前は板倉ニュータウンの玄関口で栗橋〜栃木間中間駅で他の駅が2,000人/日程度に対し4,162人/日有り、それなりに利用客が多いのだろうと思いましたが、快速列車全体で10名程度の降車客しか居なくて利用客の少なさに驚きました。


 (4)板倉東洋大前→<準急浅草行>→東武動物公園→<快速浅草行>→春日部

 取りあえず板倉東洋大前で降りて、遅い昼食を取ろうとしました。駅に東口は開けていない感じだったので、駅前広場のある西口に降りて見たら何と駅前には冴えないショッピングセンターが1件あるだけで、食べ物を売る店はショッピングセンター駐車場に「コロちゃんのコロッケ屋」が1件有るだけです。此れでは仕方有りません。食事は諦めて1本早い準急で東武動物公園に戻り立ち食い蕎麦屋を探す事にしました。
 改正前ダイヤでは、上り快速は板倉東洋大前で快速と緩急接続なので、実際は対東京有効列車は2本しか有りません。上りの快速・準急は板倉東洋大の手前ですれ違ったので、快速を待つと小一時間待ちますし次の準急も約30分待つ必要が有ります。その待ち時間で食事を考えましたが飲食店が無いので(コンビにすら見えなかった)、ホームで15分位待って準急で戻る事にします。
   
   
(左:板倉ニュータウン状況(板倉東洋大駅前より)   右:上り準急浅草行き車内(栗橋))


 板倉東洋大前のホームで15分位待つと1番線に8000系6両の準急浅草行きが来ます。此処で数分停まっている間に特急が通過していきます。特急通過の後追いかけて準急も発車します。準急はやはり座席がサラリと埋まる程度の利用率です。只同じ三越の紙袋を持った中学生と思しき学生とその親が何組も乗っていました。もしかしたら新入生の登校日か何かが有ったのかもしれません。只栗橋・東武動物公園方面から栃木の学校への通学需要が意外に存在すると言うのは驚きです。
 この区間各駅に停まる準急ですが、駅間が長いにも関わらず8000系の準急も80km/h程度で流して走ります。快速と準急では現状は「停車駅だけ所要時間が異なる」だけの状況です。やはり無料優等は「東武の103系」とも言える8000系の高くない能力を基にダイヤが引かれている事は間違いありません。
 準急は各駅でチョットづつ乗降が有りながら進んでいきます。宇都宮線の乗換駅である栗橋では多少大きな乗客の動きが有りますが、乗換駅だから大幅に入替えると言う事が無く拍子抜けです。日光線自体の利用客が少ないから栗橋での逸走が少ないのでしょうが、その点は伊勢崎線久喜とは違う状況と思います。取りあえず準急は東武動物公園で降りて後続の快速を待つ事にしました。
   
   
(左:6050系快速浅草行き(東武動物公園)   右:快速浅草行き車内(春日部到着時))



(発車時点での快速浅草行き利用状況(春日部発車時))


 東武動物公園に着いた段階で、何か食事をする気にもならなかったので、食事は「 大宮のecute 」でかにチャーハンを食べる事にして、取りあえず売店で3月18日改正の東武時刻表を買い、春日部まで試しに上り快速を利用することにしました。
 暫くホームで待っていると快速浅草行きが来ます。東武動物公園では流石に「快速実質廃止」まで1週間をきった最後の週末と言う事もあり、東武動物公園では鉄道マニアの集団と思しき人たちが出ています。
上りの快速は座席がほぼ埋まり、少々立ち客が出ている状況です。写真を見れば分かりますが、荷棚に大きな荷物も多くボックスシート客の大半は日光・鬼怒川方面からの宿泊を絡めた観光客であると推察します。板倉東洋大ですれ違った上りスペーシアも半分以上の座席が埋まっており、観光地から帰るにはチョット早い日曜日の昼間の上り列車で有る事を考えても、観光客を中心になかなかの利用率であると思います。
 快速電車は東武動物公園から春日部までの一駅の乗車なので、あっと言う間の乗車時間でした。しかし車内は観光地帰りの独特の賑やかさで何とも言えない雰囲気です。ボックスクロスシートと言うのはチョット時代遅れといえば時代遅れですが、シートは座り心地が良いですし大きなテーブルも有り、6050系はグループ観光客の利用には最適の車両かもしれません。
 今回は早めに帰りたかったので、春日部で下車して大宮経由で帰る事にしていました。そういう訳で私も春日部で下車しましたが、以外に降車客が多く立ち客の大部分とボックスシートに空席が見えるほどの降車客が居ます。又快速からの降車客は以外に野田線ホームへ移動する客も多く、大宮・柏へ接続している野田線の威力の大きさも感じさせます。只快速への乗車客も多く最終的には春日部到着時の9割程度の乗車率で北千住へ向います。
 毎時1本2ドアクロスシート6両の快速ですが、入れ替わり立ち代り結構の利用客が有り、それも日曜日午後と言う恵まれた条件下では、長距離利用の栃木地区〜北千住の利用客もかなり居ます。この様な客層が区間快速化されたときに東武の目論見通りに、特急に転移してくれるのか?それとも逸走してしまうのか?これから観光シーズンを迎えるにあたり、今回のダイヤ改正の注目点として注目したい点であるとは今回の訪問で感じました。





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