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JR三江線並行道路を行く・第10章(2018年〔平成30年〕7月11日公開)
今年4月1日に廃止されたJR三江線に並行する道路の現状(取材は2017年〔平成29年〕10月8日と11月5日、11月26日の3回に分けて実施)をこれまで紹介してきたわけであるが、ここでは総集編として並行道路の現状を振り返り、今後どのようにしていけば良いのかなどについて記すことにしたい。
三江線の並行道路とは
三江線の並行道路を定義することは実は難しい。確かに三江線は江の川に沿って敷設されているのだが、大半は江の川左岸を通っているものの江の川右岸を通っているところも少なくないし、江の川から大きくそれたところに駅があるところがあるからである。また、幹線道路からいくらか離れた場所に駅があるところも少なくない。まあ律義に全ての駅のすぐそばに立ち寄るような並行道路はまず考えないだろうが、そこで私は次のように三江線並行道路を定義することにした。
※下表は上り方向(三次→江津)で記載している。
※路線名称はその区間における最上位路線のみ記載している。
※複数経路が考えられる場合は最短経路を並行道路としている。
この取材では通らなかった道も少なくないのだが、三江線が江の川右岸・左岸双方を通っていることを踏まえて江の川右岸・左岸双方を通る道を三江線並行道路と定義することにした。また、江の川からかなり離れたところにある沢谷駅(邑智郡美郷町石原。1975〜2018)に江の川右岸ルートから通じる道も並行道路と見なしている。
さて、上表からうかがえることとしては次のようなことが挙げられる。
・三江線が長大な路線だっただけに並行道路も複数の国道・県道・市道・町道に跨っていること。
・三次市と江津市の結び付きが必ずしも強いとは言えないこと(三次・江津線なる県道路線はあるが未開通箇所があるなど有用にはなっていない)。
・江の川右岸ルート・江の川左岸ルートとも国道や県道ではない部分、すなわち市道や町道になっている部分があること(江の川左岸ルートのほうが市道・町道の部分が長い)。
・江の川左岸ルートは途中で途切れている箇所があること(つまり全区間通行可能なのは三江線が通っていた距離が短い江の川右岸ルートとなる)。
次の節では並行道路として挙げた各路線の現状を記すことにしたい。
並行道路各路線の現状
前節で並行道路として挙げた各路線の現状は下表の通りである。
ルート名 | 路線名称 | 区間 | 現状 | |
---|---|---|---|---|
起点 | 終点 | |||
三次共通 | 国道375号線 |
三次市十日市中二丁目/ 三次駅前交差点 |
三次市三次町/ 三次町交差点 | ・全線が上下2車線化されている。 ・案内は十分ではない。 ・市街地を通っているが歩道の幅が十分ではないところがある。 |
江の川右岸 本線 | 国道375号線 |
三次市三次町/ 三次町交差点 |
三次市三次町/ 尾関大橋北詰交差点 | ・全線が上下2車線化されている。 ・市街地を通っているが歩道が整備されていない箇所がある。 |
国道54号線 |
三次市三次町/ 尾関大橋北詰交差点 |
三次市三次町/ 日山橋東詰交差点 | ・全線が上下2車線化されている。 | |
国道375号線 |
三次市三次町/ 日山橋東詰交差点 |
邑智郡美郷町粕渕/ 邑智小学校西交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・大半は上下2車線化されている。 ・三次市日下町〜三次市作木町香淀間に狭隘箇所がある。 ・邑智郡美郷町長藤にわずかながら中央線のない箇所がある。 ・三次市三次町〜三次市作木町下作木間は異常気象時通行規制区間に指定されている。 ・三江線や信喜(しき)橋取り付け道路をくぐる箇所がある。 | |
県道40号川本・波多線 |
邑智郡美郷町粕渕/ 邑智小学校西交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡美郷町吾郷/ 吾郷大橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・全線が上下2車線化されている。 | |
美郷町道 |
邑智郡美郷町吾郷/ 吾郷大橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡美郷町港/ 湊橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 | |
県道291号別府・川本線 |
邑智郡美郷町港/ 湊橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡川本町多田/ 松原橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 | |
県道31号仁摩・邑南線 |
邑智郡川本町多田/ 松原橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡川本町久座仁/ 久座仁バス停東交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・全線が上下2車線化されている。 | |
県道291号別府・川本線 |
邑智郡川本町久座仁/ 久座仁バス停東交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡川本町谷戸/ 谷戸橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・全区間が異常気象時通行規制区間に指定されている。 | |
県道187号川本・大家線 |
邑智郡川本町谷戸/ 谷戸橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡川本町谷戸/ 川本大橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・全体的に中央線がなく、狭い箇所もある。 ・全区間が異常気象時通行規制区間に指定されている。 | |
県道40号川本・波多線 |
邑智郡川本町谷戸/ 川本大橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡川本町川下/ 川下橋西詰交差点 (交差点名標なし) | ・全線が上下2車線化されている。 | |
国道261号線 |
邑智郡川本町川下/ 川下橋西詰交差点 (交差点名標なし) |
江津市渡津町/ 下長田交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・全線が上下2車線化されている。 ・異常気象時通行規制区間に指定されているところはないが山が江の川のすぐそばまで迫っているところを通っていることから落石や土砂崩落が起きやすい。 ・鹿賀大橋取り付け道路をくぐる箇所がある。 | |
江津市道 |
江津市渡津町/ 下長田交差点 (信号機・交差点名標なし) |
江津市渡津町/ 渡津町交差点 | ・全線が上下2車線化されている。 ・JR山陰本線をくぐる箇所がある。 | |
国道9号線 |
江津市渡津町/ 渡津町交差点 |
江津市江津町/ 江川橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・全線が上下2車線化されている。 ・江川橋(全長:488.5m)は1950年(昭和25年)に完成した橋であり、上下2車線ではあるが狭く感じる。 | |
江の川右岸 沢谷支線 | 県道166号美郷・飯南線 |
邑智郡美郷町上川戸/ 丸郡橋西詰交差点 (交差点名標なし) |
邑智郡美郷町石原/ 沢谷駅前 | ・全線が上下2車線化されている。 ・三江線をくぐる箇所がある。 |
江の川左岸 | 県道112号三次・江津線 |
三次市三次町/ 三次町交差点 |
三次市粟屋町/ 落岩交差点 | ・祝橋(全長:210m)付近を除いて上下2車線化されている。 ・三江線をくぐる箇所がある。 ・祝橋は老朽化により重量制限(8トン以上の自動車は通行禁止)がかけられている。 |
国道54号線 |
三次市粟屋町/ 落岩交差点 |
三次市粟屋町/ 荒瀬交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・全線が上下2車線化されている。 | |
県道112号三次・江津線 |
三次市粟屋町/ 荒瀬交差点 (信号機・交差点名標なし) |
安芸高田市高宮町佐々部/ 川毛踏切南交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・上下2車線化されている箇所もあるが大半が狭い道である。 ・三江線をくぐる箇所がある。 ・三次市粟屋町〜安芸高田市高宮町船木間は異常気象時通行規制区間に指定されている。 ・異常気象時通行規制区間に指定されていない箇所も山が江の川のすぐそばまで迫っているところを通っていることから落石や土砂崩落が起きやすい。 | |
県道4号甲田・作木線 |
安芸高田市高宮町佐々部/ 川毛踏切南交差点 (信号機・交差点名標なし) |
安芸高田市高宮町川根/ 梶矢橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・上下2車線化されている箇所もあるが大半が狭い道である。 ・全区間が異常気象時通行規制区間に指定されている。 | |
安芸高田市道 |
安芸高田市高宮町川根/ 梶矢橋北詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
安芸高田市高宮町川根/ 広島・島根県境 | ・上下2車線化されている箇所もあるが大半が狭い道である。 ・三江線をくぐる箇所がある。 ・落石や土砂崩落、浸水の危険性がある。 | |
邑南町道 |
邑智郡邑南町上田/ 広島・島根県境 |
邑智郡邑南町下口羽/ 両国橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・三江線をくぐる箇所がある。 ・落石や土砂崩落、浸水の危険性がある。 | |
県道4号甲田・作木線 |
邑智郡邑南町下口羽/ 両国橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡邑南町下口羽/ 口羽大橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・上下2車線化されている箇所もあるが中央線のない箇所が多い。 | |
県道294号邑南・飯南線 |
邑智郡邑南町下口羽/ 口羽大橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡美郷町都賀西/ 都賀大橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・三江線をくぐる箇所がある。 ・邑智郡邑南町下口羽〜邑智郡美郷町都賀西間は異常気象時通行規制区間に指定されている。 ・落石や土砂崩落、浸水の危険性がある。 | |
美郷町道 |
邑智郡美郷町都賀西/ 都賀大橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡美郷町都賀行/ 郷橋北交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・落石や土砂崩落、浸水の危険性がある。 | |
県道296号川本・美郷線 |
邑智郡美郷町都賀行/ 郷橋北交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡美郷町都賀行/ 都賀行大橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 | |
美郷町道 |
邑智郡美郷町都賀行/ 都賀行大橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡美郷町簗瀬/ 吾郷大橋南詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・三江線や信喜橋取り付け道路をくぐる箇所がある。 ・明塚橋(全長:46.0m)には重量制限(9トン以上の自動車は通行禁止)がかけられている。 ・落石や土砂崩落、浸水の危険性がある。 | |
県道40号川本・波多線 |
邑智郡美郷町簗瀬/ 吾郷大橋南詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡川本町川本/ 川本東大橋南詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・大半は上下2車線化されている。 ・邑智郡美郷町乙原〜邑智郡川本町川本間に狭隘箇所がある。 ・邑智郡美郷町乙原〜邑智郡川本町川本間は異常気象時通行規制区間に指定されている。 | |
県道31号仁摩・邑南線 |
邑智郡川本町川本/ 川本東大橋南詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡川本町川本/ 石見谷バス停前交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・上下2車線化されている箇所もあるが中央線のない箇所が多い。 | |
県道291号別府・川本線 |
邑智郡川本町川本/ 石見谷バス停前交差点 (信号機・交差点名標なし) |
邑智郡川本町因原/ 中因原踏切東交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・落石や土砂崩落の危険性がある。 | |
県道295号日貫・川本線 |
邑智郡川本町因原/ 中因原踏切東交差点 (信号機・交差点名標なし) |
江津市桜江町川越/ 第二渡田踏切北交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・三江線をくぐる箇所がある。 ・江津市桜江町鹿賀〜江津市桜江町川越間は異常気象時通行規制区間に指定されている。 | |
江津市道 |
江津市桜江町川越/ 第二渡田踏切北交差点 (信号機・交差点名標なし) |
江津市桜江町川戸/ 桜江大橋南詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・落石や土砂崩落の危険性がある。 | |
県道41号桜江・金城線 |
江津市桜江町川戸/ 桜江大橋南詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
江津市桜江町川戸/ かどや商店前交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・全線が上下2車線化されている。 | |
県道112号三次・江津線 |
江津市桜江町川戸/ かどや商店前交差点 (信号機・交差点名標なし) |
江津市江津町/ 円覚寺前交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・三江線や導水管をくぐる箇所がある。 ・江津市桜江町後山〜江津市川平町南川上間は未開通である(注1)。 ・江津市川平町南川上〜江津市金田町間は異常気象時通行規制区間に指定されている。 | |
江津市道 |
江津市江津町/ 円覚寺前交差点 (信号機・交差点名標なし) |
江津市江津町/ 江川橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) | ・ほとんどが狭い道である。 ・三江線や国道9号線現道、山陰本線、国道9号線江津道路をくぐる箇所がある。 | |
江津共通 | 国道9号線 |
江津市江津町/ 江川橋西詰交差点 (信号機・交差点名標なし) |
江津市江津町/ 江津市駅前交差点 | ・全線が上下2車線化されている。 ・市街地を通っているが歩道の幅が十分ではないところがある。 |
三江線並行道路を三次共通・江の川右岸本線・江の川右岸沢谷支線・江の川左岸・江津共通の五つに分類したのだが、この五つのルートのうち改良が完成しているのは三次共通・江の川右岸沢谷支線・江津共通の三つである。残る江の川右岸本線と江の川左岸はともに未改良箇所を多く残しているが、改良率は国道や主要地方道の部分が多い江の川右岸本線が高い。道路状況は直轄国道(国土交通省が管理する国道路線)>補助国道(都道府県・政令指定都市が管理する国道路線)>主要地方道>一般県道>市町村道といったところであり、道路にも格差があることを感じさせる。
また、川のすぐそばまで山が迫るところを通っていることから異常気象時通行規制区間に指定されている箇所が少なくないのも三江線並行道路の特徴である。異常気象時通行規制区間に指定されていなくても広島県が走行注意区間(注2)に指定しているところもあり、地形の険しさを感じさせる。
江の川に架かる橋などの状況
次に江の川右岸本線ルートと江の川左岸ルートを結んでいる、江の川に架かる橋などの状況を紹介することにしたい(下表参照)。
※橋または堰堤(えんてい)の延長は小数点以下を四捨五入して記載している。
県名 | 名称 | 路線名称 | 架橋地点 | 全長 (単位:m) | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
右岸側 | 左岸側 | |||||
広島県 (5箇所) | 祝橋 | 県道112号三次・江津線 | 三次市三次町 | 三次市粟屋町 | 210 | |
尾関大橋 | 国道54号線 国道184号線 | 三次市三次町 | 三次市粟屋町 | 297 | ||
唐香橋 | 安芸高田市道/ 三次市道 | 三次市作木町香淀 | 安芸高田市高宮町船木 | 120 | ||
式敷大橋 | 国道433号線 国道434号線 県道112号三次・江津線 | 三次市作木町香淀 | 安芸高田市高宮町佐々部 | 151 | ||
香淀大橋 | 安芸高田市道/ 三次市道 | 三次市作木町門田 | 安芸高田市高宮町川根 | 204 | ||
島根県/ 広島県 (3箇所) | 三国橋 | 邑南町道/ 三次市道 | 三次市作木町下作木 | 邑智郡邑南町上田 | 130 | |
丹渡橋 | 邑南町道/ 三次市道 | 三次市作木町下作木 | 邑智郡邑南町上田 | 114 | ||
両国橋 | 県道4号甲田・作木線 県道7号浜田・作木線 県道112号三次・江津線 | 三次市作木町大津 | 邑智郡邑南町下口羽 | 150 | ||
島根県 (23箇所) | 宇都井大橋 | 邑南町道/ 美郷町道 | 邑智郡美郷町上野 | 邑智郡邑南町宇都井 | 174 | |
都賀大橋 | 県道55号邑南・飯南線 | 邑智郡美郷町都賀本郷 | 邑智郡美郷町都賀西 | 175 | ||
大浦橋 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町長藤 | 邑智郡美郷町都賀行 | 148 | ||
大和大橋 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町長藤 | 邑智郡美郷町都賀行 | 133 | ||
高梨大橋 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町長藤 | 邑智郡美郷町都賀行 | 158 | ||
都賀行大橋 | 県道296号川本・美郷線 | 邑智郡美郷町長藤 | 邑智郡美郷町都賀行 | 125 | ||
信喜橋 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町潮村 | 邑智郡美郷町信喜 | 173 | ||
浜原ダム堰堤 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町上川戸 | 邑智郡美郷町滝原 | 361 | ||
浜原大橋 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町浜原 | 邑智郡美郷町滝原 | 154 | ||
あけぼの大橋 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町久保 | 邑智郡美郷町野井 | 243 | ||
吾郷大橋 | 県道40号川本・波多線 | 邑智郡美郷町吾郷 | 邑智郡美郷町簗瀬 | 120 | ||
栗原橋 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町吾郷 | 邑智郡美郷町簗瀬 | 250 | ||
みなと橋 | 美郷町道 | 邑智郡美郷町港 | 邑智郡美郷町乙原 | 160 | ||
川本東大橋 | 県道31号仁摩・邑南線 | 邑智郡川本町久座仁 | 邑智郡川本町川本 | 160 | ||
川本大橋 | 県道40号川本・波多線 県道291号別府・川本線 | 邑智郡川本町谷戸 | 邑智郡川本町川本 | 218 | ||
川下橋 | 国道261号線 | 邑智郡川本町川下 | 邑智郡川本町因原 | 213 | ||
鹿賀大橋 | 江津市道/ 川本町道 | 邑智郡川本町川下 | 江津市桜江町鹿賀 | 218 | ||
川越大橋 | 江津市道 | 江津市桜江町大貫 | 江津市桜江町田津 | 212 | ||
大貫橋 | 江津市道 | 江津市桜江町大貫 | 江津市桜江町田津 | 231 | ||
桜江大橋 | 県道41号桜江・金城線 | 江津市桜江町谷住郷 | 江津市桜江町川戸 | 211 | ||
松川橋 | 県道221号川平停車場線 | 江津市松川町長良 | 江津市川平町南川上 | 188 | ||
新江川橋 | 国道9号線江津道路/ 江津市道 | 江津市渡津町 | 江津市江津町 | 378 | 二階橋で上を国道9号線江津道路が、下を江津市道がそれぞれ通っている。 | |
江川橋 | 国道9号線 国道186号線 | 江津市渡津町 | 江津市江津町 | 489 |
祝橋から江川橋まで31箇所の橋または堰堤があるわけであるが、記すまでもなく通行に問題のない橋または堰堤ばかりではない。そこでこれらの橋または堰堤の開通年や通行上の支障をまとめたのが下表となる。
※高さ制限と幅員制限、重量制限は橋の袂に標識または看板で示されているもののみ記載している。
※高さ制限と幅員制限、重量制限の数値はその橋または堰堤を通れる最大のものを記している(つまりそれ以上の数値の自動車は通れないということである)。
県名 | 名称 | 開通年 | 通行上の支障 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
高さ制限 | 幅員制限 | 重量制限 | ||||
広島県 (5箇所) | 祝橋 | 1960年 (昭和35年) | — | — | あり (8トン) | 1921年(大正10年)に完成した太田川橋(広島市安佐南区八木八丁目〜広島市安佐北区可部南一丁目間にある国道54号線〔国道183号線・国道191号線・国道261号線重用〕の橋)を移築したものであり、広島県が管理する鋼橋では最古のものになる。 |
尾関大橋 | 1975年 (昭和50年) | — | — | — | ||
唐香橋 | 1964年 (昭和39年) | — | — | あり (2トン) | 所木駅(安芸高田市高宮町船木。1956〜2018)のすぐそばに大型車の通行を禁止する旨の標識がある(所木踏切に対する規制だが実質的に唐香橋を含めたものとなる(注3))。また、所木踏切のすぐ北側に普通自動車以上は通過に難渋する恐れのある屈曲がある。 | |
式敷大橋 | 1966年 (昭和41年) | — | — | — | 「作木村誌」(1990年〔平成2年〕双三郡作木村編)によると1972年(昭和47年)7月中旬の集中豪雨で一部が流出し、1974年(昭和49年)に再建されたとのことである。 | |
香淀大橋 | 1985年 (昭和60年) | — | — | — | ||
島根県/ 広島県 (3箇所) | 三国橋 | 1974年 (昭和49年) | — | — | あり (9トン) | |
丹渡橋 | 1978年 (昭和53年) | — | — | あり (14トン) | ||
両国橋 | 1974年 (昭和49年) | — | — | — | ||
島根県 (23箇所) | 宇都井大橋 | 1991年 (平成3年) | — | — | あり (14トン) | |
都賀大橋 | 1978年 (昭和53年) | — | — | — | ||
大浦橋 | 1989年 (平成元年) | — | — | あり (14トン) | ||
大和大橋 | 2003年 (平成15年) | — | — | — | ||
高梨大橋 | 1984年 (昭和59年) | — | — | — | 幅員制限や重量制限は特にかけられていないが橋の袂に大型車2台以上の同時通行はできない旨の標識がある。 | |
都賀行大橋 | 1973年 (昭和48年) | — | — | あり (11トン) | ||
信喜橋 | 1979年 (昭和54年) | — | — | あり (9トン) | ||
浜原ダム堰堤 | 1953年 (昭和28年) | あり (3.5m) | — | あり (8トン) | ||
浜原大橋 | 1975年 (昭和50年) | — | — | あり (14トン) | ||
あけぼの大橋 | 1992年 (平成4年) | — | — | — | ||
吾郷大橋 | 1954年 (昭和29年) | — | — | — | ||
栗原橋 | 1976年 (昭和51年) | — | — | あり (14トン) | ||
みなと橋 | 1967年 (昭和42年) | — | — | あり (14トン) | ||
川本東大橋 | 1967年 (昭和42年) | — | — | — | ||
川本大橋 | 1961年 (昭和36年) | — | — | — | ||
川下橋 | 1989年 (平成元年) | — | — | — | ||
鹿賀大橋 | 2002年 (平成14年) | — | — | — | ||
川越大橋 | 2007年 (平成19年) | — | — | — | ||
大貫橋 | 1969年 (昭和44年) | — | — | あり (9トン) | 大型車通行禁止規制がかけられている。 | |
桜江大橋 | 1977年 (昭和52年) | — | — | — | ||
松川橋 | 1957年 (昭和32年) | — | — | — | ||
新江川橋 | 1993年 (平成5年) | — | — | — | 二階橋で上を国道9号線江津道路が、下を江津市道がそれぞれ通っている。 | |
江川橋 | 1950年 (昭和25年) | — | — | — |
上表からうかがえる問題点は次の通りである。
・完成から半世紀以上が経過した橋または堰堤が10箇所ある(祝橋・唐香橋・式敷大橋・浜原ダム堰堤・吾郷橋・みなと橋・川本東大橋・川本大橋・松川橋・江川橋)。
・重量制限がかけられている橋または堰堤が13箇所ある(祝橋・唐香橋・三国橋・丹渡橋・宇都井大橋・大浦橋・都賀行大橋・信喜橋・浜原ダム堰堤・浜原大橋・栗原橋・みなと橋・大貫橋)。
・重量制限がかけられている橋または堰堤のほとんどが市道か町道である(県道になっているのは祝橋と都賀行大橋だけ(注4))。
問題のある橋がかなりあることがうかがえると思うのだが、重量規制については交通量や周辺道路の状況を考えれば理にかなっている面はあると言える。しかし、今後三江線並行道路の整備が進めばどうなるのだろうか。更に中央自動車道笹子トンネル崩落事故(2012年〔平成24年〕12月2日)を契機に大きな課題とされるようになった社会資本の老朽化対策はどのように進めるのだろうか。管理者にとっては頭の痛い話ばかりである。
それでも三江線が廃止された理由
三江線が日本国有鉄道(国鉄。千代田区丸の内一丁目。1949〜1987)の経営再建の過程では廃止を免れた理由は並行道路の整備が進んでいないことであった。それから30年以上が経過したのだが、現在でも国道375号線や県道40号川本・波多線、県道112号三次・江津線、県道294号邑南・美郷線などには狭隘箇所がいくつも残っており、三江線を引き取った西日本旅客鉄道(JR西日本。大阪市北区柴田二丁目)が三江線を廃止することはできないはずであった。
しかし、西日本旅客鉄道が管理する路線ではないのだが、並行道路の整備が完成していないのに廃止に踏み切った路線が2010年代に入って発生した。それは岩手県東部の山間部を通っていたJR岩泉線であった。岩泉線はJR山田線茂市駅(宮古市茂市)と下閉伊(しもへい)郡岩泉町中心部を結んでいた全長38.4kmの路線だったのだが、沿線の過疎化が進展したことから利用は減り、日本国有鉄道在りし頃から何度も廃止は取り沙汰されてきた。しかし、宮古市・下閉伊郡岩泉町境付近の国道340号線が未整備であることを理由に日本国有鉄道の経営再建の過程では廃止を免れ、東日本旅客鉄道(JR東日本。渋谷区代々木二丁目)の管理路線になった。
過疎化の進展は止まらなかったことや周辺の交通事情が大きく変わったこと(注5)もあって利用者があまりいなくなっても並行道路の未整備状態は解消されなかったために存続したのだが、そんな中で起きたのが押角〜岩手大川間で列車が斜面から崩れて線路を塞いでいた土砂に乗り上げて脱線し、数人の負傷者を出した事故(2010年〔平成22年〕7月31日発生)であった。地元では復旧を要望したが東日本旅客鉄道は復旧や災害対策には莫大な費用がかかるとして路線廃止→バス転換を打ち出した。結局宮古市・下閉伊郡岩泉町境付近の国道340号線の整備(注6)に東日本旅客鉄道が協力することを条件に地元は廃止提案を呑み、岩泉線は2014年(平成26年)4月1日をもって廃止されたのだが、このことは並行道路が整備されていないから存続させなければならないという鉄則が崩壊した出来事になった。
この出来事を見て中には地元が復旧を強硬に主張していれば岩泉線は廃止されずに済んだのではないかと思う方がいることであろう。災害に見舞われたことを契機に存廃問題が起きたが結局復旧がなったか復旧することになった路線(注7)はいくつかあることを思えば岩泉線だけ廃止提案を呑んだのはどうなのかと思う人もいると思うのだが、次に挙げる事情があって折れたのではないかと考えている。
・茂市駅と下閉伊郡岩泉町中心部を結ぶ以外に存在意義がなく、広域的展開がなかったこと(注8)。
・下閉伊郡岩泉町には龍泉洞(下閉伊郡岩泉町岩泉)という観光名所があるが、岩泉線を使って訪れる人はほとんどいなかったこと(注9)。
・沿線自治体は宮古市と下閉伊郡岩泉町しかなく、更に沿線人口も過疎化により著しく減っていたこと。
・岩手県の県庁所在地である盛岡市や近隣にある中心都市である宮古市との往来に岩泉線を使う人はほとんどいなくなっていたこと。
・岩泉線を復旧させるべきだと主張していた人々は少数派だったこと。
・沿線自治体の財政事情が厳しい上に復旧させても利用が増える見込みはなかったため地方自治体が復旧費用を捻出することに消極的な人が多勢を占めたこと。
・東日本大震災(東北地方太平洋沖地震。2011年〔平成23年〕3月11日)で宮古市や下閉伊郡岩泉町は沿岸部を中心に甚大な被害を受けたこと。
・東日本大震災では東北地方の鉄道路線は太平洋に沿って敷設されているものを中心に甚大な被害を受けたこと。
・東日本旅客鉄道は首都圏の輸送需要はまだまだ多いが、少子・高齢化による人口減少でいずれは減ることを見越した経営をしなければならなくなっていたこと。
・東日本旅客鉄道としては人口の多い地域に投資したほうが得策だと考えていること。
存続・復旧を声高に叫べない状況があった上に東日本大震災が発生したことが岩泉線の運命を決めてしまったということになるのだろうが、このことは並行道路が未整備のままでも廃止は断行できるという論理をJRグループ各社に抱かせたことは否めないであろう。しかも西日本旅客鉄道は2010年(平成22年)春に利用の少ない路線の廃止を進めることを表明しており、西日本旅客鉄道が管理する路線で最も利用の少ない三江線(注10)は並行道路の整備が完成しない状態であっても廃止を提起しても良いという状況が生じたのである。
中国地方から遠く離れた東北地方の山間部を通っている鉄道路線の顛末(てんまつ)が三江線の運命を決めたということになるのだろうが、もし岩泉線を廃止に追い込んだ土砂崩落・脱線事故がなかったら、そして東日本大震災が起きなかったらどうだったのだろうか。それでもある時期をもって岩泉線や三江線は廃止されたのだろうか。それとも…。
並行道路の今後の改良計画
これまで記してきた通り三江線並行道路の整備はまだ終わっていないわけであるが、記すまでもなく改良事業はいくつも進められている。現在進められている主な改良事業は下表の通りである。
路線名称 | 区間 | 概要 |
---|---|---|
国道375号線 | 三次市日下町〜三次市作木町香淀 | 広島県内の国道375号線で唯一の狭隘箇所を解消する事業。この改良事業が完成すると国道375号線が三次市中心部と島根県中部(大田市・江津市・邑智郡)を結ぶ幹線道路として更に有用になる。 |
県道40号川本・波多線 | 邑智郡川本町谷戸〜邑智郡美郷町乙原 | 邑智郡美郷町・邑智郡川本町境や邑智郡川本町中心部の狭隘箇所を解消する事業。三度江の川を渡ることになっており、並行して通り、完成から半世紀以上が経過する三つの橋(川本大橋・川本東大橋・みなと橋)の架け替えも念頭に置いているものと思われる。 |
県道112号三次・江津線 | 三次市三次町〜三次市粟屋町 | 三次市中心部と国道54号線(国道184号線)三次バイパスを結ぶ道路を整備する事業。明言されてはいないのだが広島県最古の鋼橋で老朽化が著しい祝橋の架け替えも含まれているものと思われる。 |
これらの改良事業が完成すれば三江線に並行する道路の整備はほぼ完成することになるのだが、その時期は未定である。早くても2020年代中期、場合によっては2030年代初頭になるのではないかと思われるのだが、果たしてどうなるのだろうか。
今後三江線並行道路はどのように整備すべきなのか〜私が考える一つの案〜
平成時代における、中国地方の主要河川に沿って敷設されていた鉄道路線が廃止された例は下表の通りである。
県名 | 路線名称 | 線路に沿っている 主要河川 | 廃止年月日 | 概要 |
---|---|---|---|---|
島根県 広島県 | JR三江線 | 江の川 | 2018年(平成30年)4月1日 | 廃止されたのは全線(江津〜三次間)。 ほぼ全線にわたって江の川に沿っている。 |
岡山県 | 同和鉱業片上鉄道 | 吉井川 | 1991年(平成3年)7月1日 | 廃止されたのは全線(片上〜柵原〔やなはら〕間)。 和気〜柵原間について吉井川に沿っている。 |
広島県 | JR可部線 | 太田川 | 2003年(平成15年)12月1日 | 廃止されたのは一部区間(可部〜三段峡間)。横川〜可部間は現在も存続し、更に廃止区間のうち可部駅から1.6kmの区間については2017年(平成29年)3月4日に復活している(但しその区間にあった河戸〔こうど〕駅〔広島市安佐北区亀山二丁目。1956〜2003〕は復活していないため可部駅から1.6kmの区間は新規開業路線と見なしている)。 横川〜可部〜筒賀間について太田川に沿っている。 |
三江線(江の川)に並行する道路の現状は既に記した通りであるが、では同和鉱業片上鉄道(吉井川)や可部線(太田川)に並行する道路の現状はどうなのかを示すと下表の通りになる。
鉄道路線名称 | 概要 |
---|---|
同和鉱業片上鉄道 | ・片上〜和気〜周匝(すさい)間で並行している国道374号線(備作大橋〔全長:366m〕以南は吉井川左岸を、備作大橋以北は吉井川右岸をそれぞれ通っている)は全線が上下2車線化されている。 ・美作飯岡(みまさかゆうか)〜柵原間で並行している県道26号津山・柵原線(吉井川左岸を通っている)は全線が上下2車線化されている。 ・なお、周匝〜美作飯岡間を直接結ぶ道路は存在せず、その区間を往来する場合は遠回りしなければならない。 ・国道374号線や県道26号津山・柵原線には異常気象時通行規制区間は存在しない。 ・この他の同和鉱業片上鉄道が通っていたところの吉井川に沿って延びる県道路線には未整備の箇所が少なくない。特に県道417号和気・吉井線の和気郡和気町津瀬〜赤磐市稲蒔間は通行不能のままになっている(よって和気郡和気町佐伯〔さえき〕地区〜赤磐市吉井地区間は国道374号線以外に道はないことになる)。 |
JR可部線 | ・可部〜安芸飯室間で並行している県道267号宇津・可部線(太田川左岸を通っている)は上下2車線化されているところもあるが、大半は狭い道である。また、異常気象時通行規制区間に指定されているところもある。 ・安芸飯室〜津浪間で並行している国道191号線は全線が上下2車線化されているが異常気象時通行規制区間に指定されているところもある。 ・国道191号線は広島市安佐北区可部七丁目で国道183号線(国道54号線旧道)に接続しており、結果可部〜安芸飯室間を並行して通る県道267号宇津・可部線の迂回路としての役割を担っている。 ・津浪〜加計間で並行している国道433号線(国道191号線旧道。太田川左岸を通っている)は全線が上下2車線化されているが異常気象時通行規制区間に指定されているところがある。 ・加計駅(山県郡安芸太田町加計。1954〜2003)の北方を通る国道434号線(国道191号線旧道。太田川左岸を通っている)は全線が上下2車線幅(中央線はないが普通自動車同士のすれ違いは十分できる幅があることを指す)である。 ・加計〜筒賀間で並行している国道186号線(太田川左岸を通っている)は全線が上下2車線化されている。 ・田之尻駅(山県郡安芸太田町中筒賀。1969〜2003)付近で並行する県道304号中筒賀・下線(太田川右岸を通っている)はほとんどが狭い上に異常気象時通行規制区間に指定されているところもある。また、可部線在りし頃は中国自動車道太田川橋の真下付近に未開通箇所があった(2009年〔平成21年〕解消)。 ・この他の可部線が通っていたところの太田川に並行して延びる県道路線(県道177号下・佐東線しかないが…)には未整備の箇所や異常気象時通行規制区間に指定されている箇所が少なくない。 ・広域的な並行道路としては広島自動車道や中国自動車道がある。 |
可部線に並行する道路のうち県道267号宇津・可部線や県道304号中筒賀・下線に未改良の箇所が多く残されているが、広島自動車道や中国自動車道、国道191号線が迂回路としての役割を果たしており、結果同和鉱業片上鉄道も可部線も並行道路が十分整備された状態で廃止されたということになる。そのように考えれば三江線の廃止は性急に過ぎる感が否めないのだが、西日本旅客鉄道としては次に挙げる理由から見切り発車せざるを得なくなったのであろう。
・少子・高齢化やモータリゼーションの進展などにより利用が減少したこと。
・三江線は何度も災害に見舞われており、その度に復旧させることは収入に見合わなくなっていたこと。
・観光で振興を図ろうとしても著名な観光地から遠いなどの理由から難しい面があったこと。
・存続を求めている沿線自治体が不便であることや改善されないことを理由に自治体運営の路線バスを設定するようになり、たださえ少ない利用を更に減らす原因になったこと。
・現実に目覚めて冷めてしまったことは否めないが、沿線自治体に何が何でも残したい、そして振興を図りたいという強い思いがあったとは言い難い状況があったこと。
・三次市と江津市の結び付きは強いとは言えない上に三江線は最短経路で敷設されていないことなどから広域的観点からしても有用ではなかったこと。
・沿線自治体の志向が必ずしも江津市や三次市を向いていないこと(高速道路の整備で広島市へのストロー効果〔ストロー現象〕が著しくなったのは否めない)。
・確かに三江線に並行する道路の整備は遅れているが、中国自動車道や浜田自動車道、山陰自動車道、国道54号線、県道62号庄原・作木線、県道166号美郷・飯南線などの並行道路を迂回する格好の道路は整備が進んでいること。
・いわゆる平成の大合併で中心機能を喪失した地域があること(市役所や町役場が三江線から離れた場所にある場合(注11)、三江線に対する熱意はどうしても弱くなる)。
・平成の大合併における論議の過程で邑智郡が一つにまとまることなく終わってしまったこと(中心地とされてきた川本町の中心部が交通の要衝にないことや道路事情が良いとは言えないこと、たとえ全ての町村が一つの自治体になっても市制施行は要件人口が足りないためにできなかったこと(注12)、そして志向する都市が地域で分かれていたことも原因であろう)。
・西日本旅客鉄道としては需要がまだまだ多い近畿(関西)地方の施設整備に重きを置きたいこと。
・確かに今も近畿(関西)地方での需要は多いが、西日本旅客鉄道としては少子・高齢化による人口減少でいずれは減ることを見越した経営をしなければならなくなっていたこと。
・西日本旅客鉄道に冷遇されている感が否めない中国地方でも車両更新や電化、複線化、新駅設置、自動改札の拡充などを求める声は多数あること。
・西日本旅客鉄道の株主などからいつまでもお荷物路線は抱えておくべきではないというような声が上がっていたこと。
道路が整備されたから廃止して良いという問題ではないし、私自身そんな主張は一切する考えもないのだが、いずれにせよ致し方ない事情があったのだろう。記すまでもないがそれは鉄道路線だけの問題ではない(注13)。
決まり、実行されてしまったものは致し方ない。更に後ろ向きになってもどうしようもない。これからどうしていくのかを我々は考えるしかない。そこで三江線並行道路はどのように整備していけば良いのか、ここからは私なりの考えを紹介していくことにしたい。なお、島根県・広島県とも財政事情が厳しく、ここ数年は県道路線の異動はほとんど行われていないこと(注14)や三江線沿線地域は人口希薄地帯でもあり、島根県・広島県ともそこに投資を集中することはできないこと、県道路線の再編には賛否両論があること、そして実現する可能性は皆無に近いことは承知した上で記しているし課題も併せて紹介しているのでその点はご理解頂きたい。
1 江の川右岸ルート本線を主幹線、江の川左岸ルートを副幹線としてそれぞれ整備すること
三江線に並行する道路は江の川右岸ルートと江の川左岸ルートの二通りに分かれるのだが、「並行道路各路線の現状」でも触れた通り江の川右岸ルートのほうが改良率は高い。つまり、江の川右岸ルートを生かして三江線亡き後の地域の主要幹線道路にしたほうが得策だと私は考えたいのである。
江の川右岸ルートのうち未改良なのは次に挙げる区間である。
・国道375号線の三次市日下町〜三次市作木町香淀間。
・国道375号線の邑智郡美郷町長藤。
・邑智郡美郷町吾郷(あごう)〜邑智郡川本町谷戸(たんど)間の江の川右岸道路(美郷町道→県道291号別府・川本線→県道31号仁摩・邑南線→県道291号別府・川本線→県道187号川本・大家〔おおえ〕線。但し県道31号仁摩・邑南線は整備済)。
国道375号線の三次市日下町〜三次市作木町香淀間は前記の通り既に改良に着手しているし、国道375号線の邑智郡美郷町長藤についても島根県に残る国道375号線のもう一つの未改良箇所(邑智郡美郷町粕渕〜邑智郡美郷町湯抱〔ゆがかい〕間)とともに恐らくそう遠くない時期に改良に着手するのは確実であろう。残るのは邑智郡美郷町吾郷〜邑智郡川本町谷戸間の江の川右岸道路であるが、管理者が統一されていないことや人家・集落が少ないことから積極的な整備はなされないままになっている。島根県としては並行して県道40号川本・波多線があり、そちらの整備に重きを置いていることから整備を考えないのであろうが、私としてどうかと考えているのはその県道40号川本・波多線が何度も江の川を渡るということである。特に現在計画中の川本バイパスが途中で三度も江の川を渡る経路になっていることや吾郷大橋(全長:120.0m)の前後に急な曲線が入っていること、吾郷大橋自体完成から60年以上が経過していることは問題視されても良いのでは…と考えているところである。
そこで私は県道40号川本・波多線は
邑智郡川本町谷戸/川本大橋西詰交差点(信号機・交差点名標なし)
〜
邑智郡美郷町吾郷/吾郷大橋北詰交差点(信号機・交差点名標なし)
間についても江の川右岸を通るように経路を変更してはどうかと考えるわけである。そのように考えた理由は次の通りである。
・江津方面から国道261号線→県道40号川本・波多線を走ってきた場合、快走路が
邑智郡川本町谷戸/川本大橋西詰交差点(信号機・交差点名標なし)
で打ち切られるのはどうかと感じること。
・川本バイパスは完成から半世紀以上が経過している川本大橋(全長:218.0m)や川本東大橋(全長:160.4m)、(管理者は邑智郡美郷町になるのだが)みなと橋(全長:160.0m)の架け替えも念頭に置いて経路を選定した可能性があるが、三つも江の川を渡る橋を架けることにより建設費用がかさむのは確実であること。
・2015年(平成27年)に側道橋が整備された川本大橋や交通量が少ないみなと橋の架け替えを急ぐ必要があるのか疑問があること。
・川本バイパスは起点部、すなわち邑智郡川本町谷戸での現道との接続が難しくなること。
・川本バイパスはようやく邑智郡川本町・邑智郡美郷町境のトンネル(多田〔たた〕トンネル〔仮称。全長:1,012m〕)の建設に取りかかったところであり、現在のところあまり進展していないこと。
・県道40号川本・波多線は広島方面と大田・三瓶山方面、邑智郡各地と三瓶山・国道54号線・松江自動車道方面を結ぶ幹線道路と位置付けられる存在であり、もし改良するのであれば路線の連続性が確保されるべきだと考えること。
・島根県は国道9号線と(一つに繋がるにはまだかなりの時間がかかるが)山陰自動車道以外に東西を結ぶ交通路の整備が進んでおらず、特に内陸部は道路事情が脆弱なために往来に時間がかかること。
・三江線沿線にあった自治体の中心部は並行道路の改良率が低い江の川左岸にある場合が多い(注15)が、幹線筋から外れたことで不都合が起きている感じは見受けられないこと。
・県道40号川本・波多線が通る地域の江の川にはある程度の間隔を置いて橋が架けられており、もし主たる幹線道路が江の川右岸に移っても問題はないと考えられること。
・島根県は完成から60年以上が経過している吾郷大橋をどのようにするのか未だに明らかにしていないこと。
・
邑智郡美郷町吾郷/吾郷大橋北詰交差点(信号機・交差点名標なし)
付近をよく見ると江の川右岸に沿って川本方面に道路を延伸しようとした感じがあること。
無論この案には問題点はないわけではない。それを挙げると次の通りになる。
・江の川のそばまで山が迫っているところが少なくなく、多田トンネル以外にも長いトンネルを掘らざるを得なくなること。
・邑智郡の中心地とされてきた邑智郡川本町の中心部を無視する格好になるため邑智郡川本町が更に寂れる恐れがあること。
・川本大橋・川本東大橋・みなと橋・吾郷大橋の架け替え問題が先送りされること。
・邑智郡川本町から江津市桜江地区にかけての国道261号線を江の川左岸から江の川右岸に付け替えることができたのは建設省(現:国土交通省)の直轄事業になったからであるが、県道40号川本・波多線を江の川左岸から江の川右岸に付け替えることについてはそれは適用できないこと(県道40号川本・波多線は主要地方道なのである程度の補助は国土交通省から出るのだが…)。
・江の川左岸地域の住民から幹線道路を江の川の対岸に移すのは容認できないという声が上がる恐れがあること。
・江の川左岸を通る県道40号川本・波多線はある程度改良は進んでおり、結果その改良が無駄になる恐れがあること。
幸いまだ建設は始まったばかりであり、修正できる可能性はあるのだが、一度役割や経路について再検討してはどうであろうか。
一方、江の川左岸ルートはある程度の人口のある集落が少なくないことや三江線と並行する箇所が長かったこと、三江線亡き後の交通路として整備が望まれるが未改良箇所が多いことから島根県と広島県、江津市、安芸高田市、邑智郡邑南町、邑智郡美郷町に跨る管理者を島根県と広島県に集約する必要があるのではないかと考えている。つまり、安芸高田市道や邑南町道、美郷町道になっている箇所を県道にし、江の川右岸ルートを補佐する道路として整備するのである。県道112号三次・江津線の経路を大幅に変更して充てる案や複数の県道路線を発足させる案などいろいろ考えられるところである。
無論この案についても問題点はないわけではない。それを挙げると次の通りになる。
・島根県・広島県とも財政事情が厳しく、ここ数年は県道路線の異動はほとんど行っていないこと(注14)。
・島根県・広島県とも財政事情が厳しく、人口が少ない上に費用がかかる地域への投資には消極的であること。
・大半が国土交通省から補助金の出ない一般県道になる上に地形が厳しいところが多いために整備が進まない可能性が高いこと。
・多くの県道路線の再編が避けられない状況が生じること。
・市町村道の県道路線への移行の交換条件で既存の県道路線の改廃が行われる可能性があること(注16)。
・江の川左岸ルートの未開通箇所(県道112号三次・江津線の江津市桜江町後山〜江津市川平町南川上間)の解消のメドが立っていないこと。
・他の国道路線または県道路線との接点がない区間が長い箇所がいくつか生じること。
・江の川右岸ルートと江の川左岸ルートの格差が問題になる可能性があること。
実現する可能性は皆無に近いのだが、明らかに三江線は路線の大半が江の川左岸を通っていたし、集落も少なくない。そのことをどのようにとらえるかがカギになることは間違いないであろう。
2 江の川に架かる橋梁の老朽化対策を考えること
「江の川に架かる橋などの状況」で祝橋から江川橋までの江の川に架かる橋などの状況を紹介したのだが、それらの橋などの中には完成からかなりの年数が経過したものが少なくない。特に問題視したいのは下表に挙げる橋である。
名称 | 問題点 |
---|---|
祝橋 | ・前身の太田川橋時代(1921〜1957)を含めると一世紀近い歴史を有する橋であり、老朽化が著しくなっている。 ・そのため重量規制(8トン以上の自動車は通行禁止)が実施されており、国道54号線(国道184号線重用)三次バイパスと三次市中心部を往来するための道路としては有用な存在ではなくなっている。 |
唐香橋 | ・現在の橋が完成したのは1964年(昭和39年)のことであり、老朽化が著しくなっている。 ・道幅が狭い上に重量規制(2トン以上の自動車は通行禁止)が実施されており、国道375号線(国道433号線及び国道434号線重用)と安芸高田市高宮町船佐地区を往来するための道路としては有用な存在ではなくなっている。 |
江川橋 | ・現在の橋が完成したのは1950年(昭和25年)のことであり、老朽化が著しくなっている。 ・建設された時期を考えれば致し方ないことなのだが、道路規格が低い。 |
このうち祝橋に関しては(架け替えは明言されていないのだが)改良する計画があるのだが、唐香橋や江川橋については今のところ架け替えなどの話はない。しかし、どちらも放置できる問題ではないのは明らかである。唐香橋は交通量こそ少ないが国道375号線(国道433号線及び国道434号線重用)と安芸高田市高宮町船佐地区北部(佐々部・船木)を結ぶ橋であるし、江川橋は国道9号線江津道路の開通により交通量は減ったが大田・川本方面と江津市中心部を往来する場合必ずと言って良いほど通る橋である。重要性があることはこのことからも明らかであるが、唐香橋を管理している安芸高田市と三次市、江川橋を管理している国土交通省はどのように考えているのであろうか。その点が気になる。
これらの橋の架け替えに関しては他にも意匠が変わることに抵抗感を持つ方が出る可能性があることなどいろいろ課題はあるのだが、どのように折り合いを付けていくのか。長い目で見ていく必要があろう。
3 並行道路を補佐する道路の整備を考えること
三次市及びその周辺の県道路線網を見ていて気付いたことの一つは中国地方各地に甚大な被害をもたらした1972年(昭和47年)7月中旬の集中豪雨を契機に江の川及びその支流に沿って延びる県道路線と幹線道路を結ぶ県道路線をいくつか発足させているのではないかということである。私がそのように感じた路線を挙げると下表の通りになる。
路線名称 | 認定年月日/ 告示番号 | 概要 |
---|---|---|
県道433号穴笠・三次線 | 1996年(平成8年)4月25日 広島県告示第469号 | ・三次市西河内町または三次市君田町東入君(注17)と三次市十日市東五丁目を結ぶ路線。 ・起点で県道186号新市・三次線と、終点で国道183号線(国道184号線及び国道375号線〔安芸高田・大田・雲南方面のみ〕重用)及び国道375号線とそれぞれ接続する。 ・現在のところ 三次市三次町/願万地交差点 〜 三次市十日市東五丁目/上原(かんばら)交差点(終点) 間しか開通していない(残りの部分は経路すら決定していない。「三次市西河内町または三次市君田町東入君と三次市十日市東五丁目を結ぶ路線」と書いたのはそのためである)。 |
県道435号木呂田・本郷線 | 1996年(平成8年)4月25日 広島県告示第469号 | ・三次市君田町東入君で完結する路線。 ・起点で県道186号新市・三次線と、終点で県道39号三次・高野線(県道62号庄原・作木線重用)とそれぞれ接続する。 ・「木呂田」は三次市君田町東入君の小字だが、「本郷」は地図を見ても見当たらない。終点のある辺りの小字は「東入君郷」なので「木呂田・東入君郷線」とすべきなのだろうが、三次市君田町東入君で完結する路線であることや三次市君田町東入君字東入君郷は三次市君田地区の中心部に当たることから東入君郷を本郷と見立てて木呂田・本郷線という名称にしたのではないかと思われる。 |
県道436号香淀・三次線 | 1996年(平成8年)4月25日 広島県告示第469号 | ・三次市作木町香淀と三次市三原町を結ぶ路線。 ・起点で国道375号線と、終点で国道54号線(国道184号線重用)とそれぞれ接続する。 ・現在のところ三次市作木町香淀(起点)〜三次市作木町大山間しか区域が決定していない(三次市作木町大山〜三次市三原町〔終点〕間は県道に編入されると思しき道はあるが区域編入は行われていない)。 |
県道437号大津・横谷線 | 1973年(昭和48年)10月2日 広島県告示第722号 | ・三次市作木町大津と三次市布野町横谷を結ぶ路線。 ・起点で国道375号線と、終点で国道54号線(国道184号線重用)とそれぞれ接続する。 |
県道455号金田・平和線 | 1974年(昭和49年)1月8日 広島県告示第3号 | ・庄原市口和町金田(きんで)と庄原市平和町を結ぶ路線。 ・起点で県道186号新市・三次線と、終点で国道183号線とそれぞれ接続する。 |
上記5路線の中には未開通箇所や区域未決定箇所を抱えるものもあるのだが、実は上記5路線の起点は江の川右岸に沿って延びる国道375号線か江の川支流の西城川右岸に沿って延びる県道186号新市・三次線に、終点は三次市から放射状に延びている国道路線または主要地方道路線にそれぞれある。これは何を意味するのか。私は1972年(昭和47年)7月中旬の集中豪雨の際に被災地に向かうのに手間取ったところが多かったことを教訓として既存の国道路線・主要地方道路線を補佐する県道路線を認定したのではないかと考えている。
整備が進まなかったり区域決定がなされなかったりするなど広島県の思惑通りになったとは言い難い面があるのだが、もし三江線沿線(江の川流域)とどこかを結び、三江線並行道路を補佐する県道路線を発足させるとしたらどういう路線が考えられるのだろうか。私が考えた案は下表の通りである。
路線名称 | 発足目的 | 概要 | 課題 |
---|---|---|---|
日下・秋町線 | ・尾関大橋〜唐香橋間に橋がない状況を解消すること。 ・三次市粟屋町北部から国道54号線や国道375号線、県道64号三次・美土里線に円滑に出られるようにすること。 ・異常気象時通行規制区間に指定されている県道112号三次・江津線の迂回路を確保すること。 ・三次市粟屋町北部で災害が発生した時に備えて緊急輸送道路を確保すること。 | ・現在は三次市粟屋町若屋と三次市秋町を結んでいる県道429号若屋・秋町線の起点を三次市日下町に変更して発足させる。 ・三次市粟屋町の県道112号三次・江津線との交点より南側については県道64号三次・美土里線と県道429号若屋・秋町線、三次市道を区域に編入する。 ・三次市日下町〜三次市粟屋町間については江の川に新たな橋を架ける。 | ・三次市内を通る一般県道路線はそのほとんどが財政規模が小さく、なおかつ財政事情が厳しい三次市が管理するようになっていること(注18)。 ・三次市の財政規模が小さく、なおかつ財政事情が厳しいこともあって三次市が管理する県道路線の整備が進んでいないこと。 ・県道429号若屋・秋町線はほぼ全区間が異常気象時通行規制区間に指定されていること。 |
佐々部・香淀線 | ・安芸高田市と三次市に跨り、老朽化や重量規制などの問題を抱えている唐香橋の架け替えを進めること。 ・安芸高田市高宮町船佐地区北部から国道375号線に円滑に出られるようにすること。 ・走行注意区間(注2)に指定されている県道112号三次・江津線の迂回路を確保すること。 ・安芸高田市高宮町船佐地区北部で災害が発生した時に備えて緊急輸送道路を確保すること。 | ・現在は安芸高田市美土里町北と安芸高田市高宮町船木を結んでいる県道322号北・船木線の起点を安芸高田市高宮町佐々部に、終点を三次市作木町香淀にそれぞれ変更して発足させる。このことからもうかがえるように県道322号北・船木線のうちの国道433号線や県道4号甲田・作木線と重用している部分(安芸高田市美土里町北〜安芸高田市高宮町佐々部間)については新規発足路線の区域から外れることになる。 ・新唐香橋江の川左岸側架橋地点(安芸高田市高宮町船木)より南側については県道112号三次・江津線と県道322号北・船木線を区域に編入する。 ・安芸高田市高宮町船木〜三次市作木町香淀間については江の川に唐香橋に代わる新しい橋(新唐香橋)を架ける。 | ・新唐香橋をどこに架けるかでもめる可能性があること。 ・唐香橋は通行に制約こそあるが味わいのある橋であり、架け替えに反対する声が上がる可能性があること。 ・安芸高田市高宮地区中心部と三次市中心部を結ぶ幹線道路としては既に県道64号三次・美土里線があるので二つも要らないという声が上がる可能性があること。 ・安芸高田市高宮地区中心部と三次市中心部を往来する場合、佐々部・香淀線→国道375号線経由は県道64号三次・美土里線→国道54号線経由より遠回りになること。 ・県道322号北・船木線には異常気象時通行規制区間に指定されている箇所があること。 |
大津・阿須那線 | ・邑智郡邑南町宇都井や三次市作木町伊賀和志から国道375号線や県道7号浜田・作木線に円滑に出られるようにすること。 ・異常気象時通行規制区間に指定されている県道294号邑南・美郷線の迂回路を確保すること。 ・邑智郡邑南町宇都井や三次市作木町伊賀和志で災害が発生した時に備えて緊急輸送道路を確保すること。 | ・現在は邑智郡邑南町宇都井と邑智郡邑南町阿須那を結んでいる県道292号宇都井・阿須那線の起点を三次市作木町大津に変更して発足させる。 ・県道292号宇都井・阿須那線と県道294号邑南・美郷線、三次市道、美郷町道を区域に編入する。 | ・県道292号宇都井・阿須那線の整備が進んでいない状態で県外になる三次市の中心部に通じる道の整備を進めることに対して抵抗感を持つ人が出る恐れがあること。 ・邑智郡邑南町阿須那と三次市作木地区を結ぶ幹線道路としては既に県道7号浜田・作木線があるので二つも要らないという声が上がる可能性があること。 ・県道294号邑南・美郷線や三次市道には異常気象時通行規制区間に指定されている箇所があること。 ・島根県と広島県で利害が合致するかどうか分からないこと。 |
跡市・黒松線 | ・江津市川平町から国道9号線や国道261号線に円滑に出られるようにすること。 ・江津市川平町で災害が発生した時に備えて緊急輸送道路を確保すること。 | ・県道298号跡市・川平停車場線と県道221号川平停車場線を統合して発足させる(注19)。 ・県道297号皆井田・江津線の一部区間も編入して江津市都野津町を起点とする都野津・黒松線にしても良い。 ・反対に県道298号跡市・川平停車場線の全区間と県道221号川平停車場線の一部区間を統合して跡市・松川線を発足させても良い(県道221号川平停車場線の残り部分は松川・黒松線に再編する)。 | ・県道298号跡市・川平停車場線には異常気象時通行規制区間に指定されている箇所があること。 ・江津市跡市町または江津市都野津町と江津市黒松町を結ぶ県道路線を発足させる大義名分が見出しにくいこと。 ・完成から60年以上が経過している松川大橋(全長:188.1m)の架け替え問題が浮上し、整備費用がかさむ恐れがあること。 |
無論既存の県道路線の中にも整備が望まれるものは少なくない。そのような路線を挙げると下表の通りになる(お断りしておくが上表・下表に挙げなかった路線は整備しなくても良いということではない。その点は誤解しないようお願いしたい)。
県名 | 路線名称 | 整備が望まれる理由 | 課題 |
---|---|---|---|
広島県 | 県道436号香淀・三次線 | ・国道375号線を補佐する道路であること。 | ・かつては双三郡作木村(1889〜2004(注20))と三次市に跨る路線だったがいわゆる平成の大合併で三次市内で完結する路線になった上に三次市が管理する路線(注18)になったため区域未決定箇所の解消がうやむやになっていること。 ・もし全線の区域が決定しても三次市は財政規模が小さく、なおかつ財政事情が厳しいので整備が滞る恐れが高いこと。 |
広島県/ 島根県 | 県道4号甲田・作木線 | ・式敷駅(安芸高田市高宮町佐々部。1955〜2018)付近と口羽駅(邑智郡邑南町下口羽。1963〜2018)付近を最短経路で結んでいること。 | ・地形が険しく、改良にはかなりの費用がかかる恐れがあること。 ・異常気象時通行規制区間に指定されている箇所があること。 |
県道7号浜田・作木線 | ・口羽駅付近と因原駅(邑智郡川本町因原。1934〜2018)付近を最短経路で結んでいること。 | ・改良はかなり進んでいるが未だに改良のメドが立っていない箇所があること。 | |
島根県 | 県道31号仁摩・邑南線 | ・邑智郡川本町中心部と邑智郡美郷町大和地区や邑智郡邑南町羽須美地区を最短経路で結ぶ道路の一つを構成していること。 ・邑智郡川本町・邑智郡邑南町境にあって完成から80年以上が経過している八色石トンネル(全長:118.0m)が老朽化していること。 | ・島根県として整備に力を入れているのは大田市仁摩地区〜邑智郡川本町中心部間であること。 ・邑智郡川本町以南は交通量が少なく、費用対効果が見込めないこと。 ・同じ邑智郡に属してはいるが邑智郡川本町中心部と邑智郡美郷町大和地区や邑智郡邑南町羽須美地区の往来が盛んであるとは言い難い面があること。 |
県道55号邑南・飯南線 | ・邑智郡川本町中心部と邑智郡美郷町大和地区を最短経路で結ぶ道路の一つを構成していること。 ・邑智郡美郷町大和地区と国道54号線を結んでいること。 | ・邑智郡美郷町都賀西にある、急な屈曲を多数用いて高度を上げる箇所をどのように快適な道にするかでかなりの費用がかかる恐れがあること。 ・県道296号川本・美郷線とこの路線のどちらを優先させるかでもめる恐れがあること。 ・同じ邑智郡に属してはいるが邑智郡川本町中心部と邑智郡美郷町大和地区の往来が盛んであるとは言い難い面があること。 | |
県道296号川本・美郷線 | ・邑智郡川本町中心部と邑智郡美郷町大和地区を最短経路で結ぶ道路の一つを構成していること。 | ・ほとんどが未改良であり、改良には多額の費用がかかること。 ・県道55号邑南・飯南線とこの路線のどちらを優先させるかでもめる恐れがあること。 ・同じ邑智郡に属してはいるが邑智郡川本町中心部と邑智郡美郷町大和地区の往来が盛んであるとは言い難い面があること。 ・もし改良された後冬期閉鎖区間の扱いをどのようにするかが問題になる可能性があること。 |
三江線亡き後、三江線沿線地域の交通はどうしても道路交通に頼らざるを得なくなる。上の二つの表で挙げた、整備したほうが良いと感じる県道路線はその一例といったところであるが、費用対効果が求められ、なおかつ財政状況が厳しい中でどのように整備していくのか。今後も注目したいところである。
4 もう少し案内を充実させること
今回の旅で気付いたことの一つは案内が充実しているとは言い難い状況があったということである。私が気になった点を挙げると次の通りになる。
・(
第1章
で触れているのだが)三次市中心部にある案内標識にいい加減な面が目立つこと。
・その道路に入ってから通行上の不都合(狭隘箇所や高さ制限箇所、重量制限箇所、異常気象時通行規制区間、走行注意区間(注2)、未開通区間、通行不能区間、冬期閉鎖区間)を知ることになる場合が多いこと(中にはかなりの距離を走ってから知らされることもあるしわずか数百m程度のところに続けざまにいくつも予告標識が設置されていたこともあった)。
・広島県では案内標識に「大型車通行困難」という注意書きを付けていることが多いが、どのくらいの幅の車またはどのくらいの重量の車までなら通行しても良いのかを記載したほうが良いように感じたこと。
「大型車通行困難」という注意書きを付けた案内標識の例(安芸高田市高宮町佐々部)。
案内標識の矢印が細いことや行き先のローマ字表記がないことから県道112号三次・江津線は狭いことは何となく分かるのだが…。
1
規制内容を記した案内標識の例(三次市三次町)。
これなら自分が運転する車は通って良いのかどうか分かるので好ましい。
・島根県では交差点名標のある信号機のある交差点をほとんど見かけなかったこと(この取材で見たのは
江津市江津町/江津市駅前交差点
だけ)。
・三江線並行道路は複数の国道路線や県道路線が重用している箇所が少なくないが、重用している国道路線または県道路線の路線識別手段がないことが多いこと。
重用している路線を全て表示している例(左:三次市粟屋町/右:福山市御幸町森脇〔もりわけ〕)
(今ここでこういうことを書いてもどうしようもないのだが)この他に気付いたこととしては三江線の駅への案内が不十分だったというのがある。最も探すのに苦労させられたのが(
第9章
で触れているのだが)千金駅(江津市金田町。1958〜2018)であったが、地元住民ですら「そんな駅あったの? 知らなかった」という声が出かねないこと(注21)を思えばもう少し考えて頂きたかったと思っているところである。
三江線亡き後、三江線沿線地域の交通はどうしても道路交通に頼らざるを得なくなる。しかし、案内が不十分であることは地元住民はともかく、他地域からの来訪者にとって由々しき問題になるのは間違いないであろう。どこまでも親切にするのが良いわけではないのだが、きちんとした案内の充実を望みたい。
さて、2017年(平成29年)秋から順次公開してきた「JR三江線並行道路を行く」シリーズも次の章で最終章となる。そこで次の章ではこの取材の感想などいろいろなことを綴り、このシリーズを締めくくることにしたい。
注釈コーナー
注1: 第8章 の「川戸駅から川平駅へ」でも触れている通り県道112号三次・江津線の未開通区間は江津市川平町平田字瀬尻で200mほど途切れている(つまり200mほど自動車通行可能区間がある)。但し 第8章 の「川戸駅から川平駅へ」でも触れている通り狭い江津市道を通る以外に自動車でそこにたどり着く手段はないためその部分も未開通区間の一部と見なしている。
注2:落石・土砂崩落の危険性が高い箇所を指定する制度。2017年(平成29年)に指定され、最も落石・土砂崩落の危険性が高い箇所には注意を喚起する標識を設置している。広島県内の三江線並行道路では国道375号線と県道112号三次・江津線に指定箇所がある。
県道112号三次・江津線にある注意喚起標識(撮影場所:安芸高田市高宮町船木)
注3:唐香橋と所木踏切の間には一切脱出路がないためである。
注4:祝橋に重量制限がかけられているのは老朽化が原因である。また、都賀行大橋は開通時点では大和村道であり、県道ではなかった(都賀行大橋が県道になったのは1995年〔平成7年〕のことである)。
注5:盛岡市と下閉伊郡岩泉町を結ぶ国道455号線が整備されたことや三陸鉄道の開通により宮古市と下閉伊郡岩泉町を往来する場合は三陸鉄道北リアス線岩泉小本駅(下閉伊郡岩泉町小本)を経由したほうが近くなったことを指す。
注6:このため岩泉線押角トンネル(全長:2,987m)は国道340号線の押角トンネル(仮称。全長:3,094m)に転用されることになった。国道340号線押角トンネルは2020年度(平成32年度)開通予定となっている。
注7:東日本旅客鉄道が管理する路線では只見線会津川口〜只見間27.6kmがある。2011年(平成23年)7月末の集中豪雨で被災したその区間は長らく復旧させるか廃止するかでもめていたが、2021年度(平成33年度)を目途に復旧させることになった。
また、東海旅客鉄道(JR東海。名古屋市中村区名駅一丁目)が管理する名松線も2009年(平成21年)秋の台風18号で被災した家城(いえき)〜伊勢奥津(いせおきつ)間17.7kmが復旧させるか廃止するかでもめていたが、結局2016年(平成28年)3月26日に復旧を果たしている。
注8:岩泉線は実は終点の岩泉駅(下閉伊郡岩泉町岩泉。1972〜2014)で終わりになるのではなく、岩泉小本駅まで通じる予定になっていた。しかし、岩泉駅まで開業した時点で存廃問題が浮上していたことや岩泉小本駅付近の鉄道路線の建設がなかなか進まなかったこと、更に日本国有鉄道の経営状況が悪化したことから岩泉〜岩泉小本間の建設は起工式こそ行われたもののほとんど着手されないまま放棄されている。
注9:龍泉洞は岩泉駅の北北東約2kmのところにあり、岩泉駅で路線バスに乗り換える必要があった(岩泉駅からは路線バスで20分ほどかかる)。
注10:2008年度(平成20年度)のデータでは一日の利用者数は83人だった。なお、岩泉線は三江線よりも少なく49人だった(結果岩泉線がJRグループ各社の管理する路線で最も利用が少なかったということになる)。
注11:平成の大合併以前の三江線沿線には2市4町3村があったが駅の近くに市役所または町村役場がなかったのは高田郡高宮町(1956〜2004)だけであった(式敷駅〔安芸高田市高宮町佐々部。1955〜2018〕の南方約5.5kmのところに町役場があった)。それに対して平成の大合併以降の三江線沿線には3市3町があるがそのうち駅の近くに市役所または町村役場がないのは邑智郡邑南町(石見川越駅〔江津市桜江町川越。1931〜2018〕の南方約6.6kmのところに町役場がある)と安芸高田市(式敷駅の南方約16.7kmのところに市役所がある)の二つになっている。
※この注釈における距離は当該市役所または町村役場とそこから最も近くにある三江線の駅(それが当該市町村にあるかどうかは問わないものとする)の間の直線距離を地図サイト「
MapionBB
」のキョリ測を用いて測ったものである。
注12:平成の大合併では町村統合で人口が3万人を超えた場合市制施行に踏み切れる特例を設けていた。しかし、邑智郡の2000年(平成12年)10月1日実施の国勢調査による人口は2万8,878人となっており、市制施行要件を満たしていない。
注13:私が住んでいる福山市では道路整備が終わっていないのに休校に追い込まれた学校が存在する。福山市最北端の小学校であった福山市立山野北小学校(福山市山野町山野)である。福山市山野町の中心部と福山市立山野北小学校を結ぶ唯一の道路である県道21号加茂・油木線には現在でもすれ違いに難渋する箇所が少なくないにもかかわらず2002年(平成14年)春に休校となっている。過疎化により児童数が減少し、十分な教育が施せなくなったことが休校の理由であろうが、統合先の福山市立山野小学校(福山市山野町山野)への道路が十分整備されていない状態での統合に疑問を持った方はいなかったのだろうか(記すまでもなく道路が整備されたから統合しても良いなどとは私は一切主張しない)。
福山市立山野北小学校校舎。現在は福山市民病院附属田原診療所として使用されている。
狭隘箇所が残る福山市山野町山野の県道21号加茂・油木線。
福山市山野町の中心部から福山市立山野北小学校に行くにはこの道を通らなければならない。
注14:島根県の県道路線の異動は こちら で、広島県の県道路線の異動は こちら でそれぞれ紹介しているが、島根県の県道路線の異動は2014年(平成26年)を最後に、広島県の県道路線の異動は2010年(平成22年)を最後にそれぞれない。
注15:現在では邑智郡川本町だけだが、平成の大合併以前に存在した自治体では邑智郡桜江町(1956〜2004)と邑智郡羽須美村(1957〜2004)が該当した。なお、邑智郡桜江町の中心部は1970年代末期まで国道261号線が通っていたことがあった。
注16:公式な発表はないがそのように考えられる例はいくつか存在する。例えば鳥取県では県道326号大山(だいせん)スマートインター線(2009〜2011。現:県道326号大山高原スマートインター線)が認定された少し後に県道326号大山スマートインター線と同じ西伯郡伯耆(ほうき)町を通る県道180号伯耆溝口(ほうきみぞぐち)停車場線(1958〜2009)と県道222号岸本停車場線(1958〜2009)を廃止して西伯郡伯耆町に移管しているのだが、県道路線の整理を打ち出した鳥取県が県道326号大山スマートインター線の認定と引き換えに県道180号伯耆溝口停車場線と県道222号岸本停車場線の西伯郡伯耆町への移管を提案したのでは…と受け取れるところである。
注17:県道433号穴笠・三次線の起点を三次市穴笠町ではなく三次市西河内町または三次市君田町東入君としているのは三次市穴笠町には一切県道路線は通っておらず、他の県道路線と接続するには三次市西河内町または三次市君田町東入君まで延ばさざるを得ないからである。それでも路線名称を「穴笠・三次線」としたのは幹線道路から外れている三次市穴笠町の利便性向上を主眼に置いているからではないかと思われる。
注18:2007年(平成19年)10月25日広島県告示第1,057号に基づいて2007年(平成19年)10月26日から三次市内で完結する一般県道路線(下表参照)は三次市が管理するようになっている。但し県道424号甲奴インター線は三次市内で完結する路線であるにもかかわらず広島県が管理する路線になっている(恐らく路線の途中で接続する尾道自動車道が新直轄方式で建設されたからではないかと思われる)。
路線 番号 | 路線名称 | 読み方 | 起点 | 終点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
222 | 甲奴停車場線 | こうぬていしゃじょうせん | 甲奴町本郷 | 甲奴町本郷 | |
223 | 吉舎停車場線 | きさていしゃじょうせん | 吉舎町三玉 | 吉舎町三玉 | |
224 | 三良坂停車場線 | みらさかていしゃじょうせん | 三良坂町三良坂 | 三良坂町三良坂 | |
225 | 塩町停車場線 | しおまちていしゃじょうせん | 塩町 | 塩町 | |
227 | 志和地停車場線 | しわちていしゃじょうせん | 下志和地町 | 下志和地町 | 正式な終点と事実上の終点は下志和地町だが場所が異なる。 |
228 | 三次停車場線 | みよしていしゃじょうせん | 十日市南一丁目 | 十日市中二丁目 | 事実上の終点は十日市南一丁目。 |
229 | 神杉停車場線 | かみすぎていしゃじょうせん | 高杉町 | 江田川之内町 | |
425 | 梶田・三良坂線 | かじたみらさかせん | 甲奴町梶田 | 吉舎町知和 | 灰塚ダム建設に伴う付け替えで終点は三良坂町灰塚から吉舎町知和に変更されたが路線名称は変更されていない。 |
426 | 太郎丸・吉舎線 | たろうまるきさせん | 甲奴町抜湯 | 吉舎町三玉 | |
429 | 若屋・秋町線 | わかやあきまちせん | 粟屋町 | 秋町 | |
430 | 糸井・塩町線 | いといしおまちせん | 糸井町 | 塩町 | |
431 | 和知・塩町線 | わちしおまちせん | 和知町 | 塩町 | |
432 | 青河・江田川之内線 | あおがえたかわのうちせん | 青河町 | 高杉町 | |
433 | 穴笠・三次線 | あながさみよしせん | 西河内町 または君田町東入君 | 十日市東五丁目 | 西河内町または君田町東入君(起点)〜三次町間は区域未決定(未開通)。 |
434 | 和知・三次線 | わちみよしせん | 和知町 | 三次町 | |
435 | 木呂田・本郷線 | きろたほんごうせん | 君田町東入君 | 君田町東入君 | |
436 | 香淀・三次線 | こうよどみよしせん | 作木町香淀 | 作木町大山 | 作木町大山〜三原町(終点)間は区域未決定(区域になると思しき道路はある)。 |
437 | 大津・横谷線 | おおつよこたにせん | 作木町大津 | 布野町横谷 | |
440 | 羽出庭・三良坂線 | はでにわみらさかせん | 三和町羽出庭 | 三良坂町三良坂 | 事実上の終点は有原町。 |
470 | 三次インター線 | みよしいんたーせん | 西酒屋町 | 西酒屋町 |
注19:廃止された鉄道路線の上にある駅に通じる二つの都道府県道路線を一つの路線に再編した例は宮崎県で存在する。2014年(平成26年)3月31日宮崎県告示第220号で県道215号板上・曽木線を認定した代わりに次の告示、すなわち2014年(平成26年)3月31日宮崎県告示第221号では県道215号大保下・曽木停車場線(1967〜2014)と県道218号曽木停車場線(1959〜2014)を廃止している。延岡市北方町板上字大保下と高千穂鉄道高千穂線曽木駅(延岡市北方町曽木。1936〜2007)を結んでいた県道215号大保下・曽木停車場線と、高千穂鉄道高千穂線曽木駅と国道218号線を結んでいた県道218号曽木停車場線を統合して延岡市北方町板上字大保下と国道218号線を結ぶ県道215号板上・曽木線が発足したというわけであるが、その背景にあったのが高千穂鉄道高千穂線の廃止(曽木駅を含む区間、すなわち延岡〜槙峰間は2007年〔平成19年〕9月6日廃止)であった。県道215号大保下・曽木停車場線の終点と県道218号曽木停車場線の起点はともに曽木駅のすぐ前(北側)にあったことや延岡市北方町板上字大保下と国道218号線を結ぶ幹線道路は必要だったことからこういう路線再編が可能だったのであろう。
注20:双三郡作木村は発足当時、すなわち広島県で市制町村制が施行された1889年(明治22年)4月1日時点では三次郡に属していたが1898年(明治31年)10月1日に三次郡と三谿郡が統合して双三郡が発足した時に双三郡に所属郡を変更している。
注21:市区町村の代表駅でもその存在や位置を知らないという人はいる可能性はある。昔読んだ旅行作家・種村直樹(1936〜2014)の著作にJR江差線江差駅(檜山郡江差町陣屋町。1936〜2014)へはどのように行けば良いか檜山郡江差町中心部で地元の人に尋ねたら全く知らないと言われたという記述があったのを覚えているのだが、列車本数の減少やモータリゼーションの進展、過疎化、少子・高齢化により鉄道が使われなくなり、存在感がなくなっていったことをうかがわせている。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |