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秘湯めぐりの旅(26)

<中間温泉・久美浜温泉−兵庫県・京都府>

1998.9.18-19

インデックス

9/18中間温泉 9/19久美浜温泉


*1998年9月18日(金) 勝山町→高梁市→成羽町→矢掛宿→中間温泉

・古い町並みが残る勝山町 

  美作の温泉巡り を終え、8時半頃宿を立って、国道313号線を南下して、勝山町へと向かったが、道は空いていて、車はスイスイと進んだ。この町の中心部には古い街並みが残されていて、景観保存がされていると聞いていたが、確かに狭い道の両側に昔ながらの家並みが残されている。郷土資料館もあったが、まだ朝早くて開館していなかった。車を降りてゆっくり巡ってみたかったが、今日の旅程はきついので、次の目的地に急ぐことにした。さらに、車を南に向かわせて、山間地を曲がりくねりながら走って、高梁市街へと入っていった。

・備中松山城天守閣に登る

 ここには、唯一、山城で 江戸時代から現存する天守閣を持つ備中松山城 があり、以前から一度行ってみたかったのだ。この天守閣に登れば、日本に 江戸時代から現存している12の天守閣 すべてに登城したことになる。しかし、標高420mの臥牛山頂にあり、登るのは並大抵ではなく、以前高梁を訪れたときも、あまりの大変さに徒歩での登頂を断念したことがある。それでも、自家用車ならば、狭い1車線の自動車道が途中までは付いていて、なんとかなりそうだ。とにかく、慎重にハンドルを操作して、曲がりくねりながら、対向車が来ないことを祈り、山上の駐車場までは、車を上げることが出来た。ここからは、徒歩になるが、狭い山道を登って30分ほどかかると聞いていた。歩き始めてみたものの、坂がきつく、息が切れる。ところどころに案内板があって、ユニークな言葉で登坂者を励ましていることと、眺望の良さを救いにして、なんとか本丸へとたどり着いた。門や城壁などが復元され、その奥に小ぶりの天守閣が見えてきた。明治時代には、廃城になって荒廃し、一時は崩壊寸前の時もあったと聞くが、今はきれいに復元整備されている。全国でも貴重な山城の遺構なので末永く守っていってほしいと思いながら、しげしげと天守閣を仰ぎ見た。中に入ってみると、小さめながら、昔ながらの建築様式と防備のための狭間や石落としの仕組みがよくわかる。最上階から四囲の城下町や田畑、山川を見渡して、しばし大名の気分を味わうことができた。下りてきて、本丸の中を巡ってみたが、よくこんな山の上に城を築いたものだと感心する。防備にはすぐれていると思うが、江戸時代の平穏な世の中では、とても不便ではなかったか。最も、その不便さが明治維新期に破却を免れた原因だとも聞いたが....。再び、同じ道を戻って、駐車場までたどり着き、帰路も慎重に運転して、城下町まで下りていった。

備中松山城
高梁市商家資料館「池上邸」

・高梁市街を巡り、成羽へ

 高梁市街には、昔ながらの建物がいくつか残されていて、まず、武家屋敷を見学した。続いて、高梁市商家資料館「池上邸」に立ち寄った。ここは、高梁川水路の船主であり、両替商や醤油製造を営んでいた高梁を代表する豪商とのことで、立派なたたずまいだ。その次に、明治期の学校建築を使った高梁市郷土資料館と見て回ったが、以前の生活を知るよすがになったと思う。やはり、古い街並みには、古建築がよく似合う。いつまでも保存してほしいと願わずにはいられなかった。昼食をすませて、次は成羽に向かうことにして、車を西に走らせた。ここも、小さな城下町で、街の中心に陣屋の跡が残されているが、それも石垣と堀だけで、跡地には近代的な美術館が建っていて、驚かされた。中に入ってみたが、実に斬新な造りで、城跡にはそぐわない感じがした。もう少し、和風建築を取り入れたものにすればよかったのにと思わずにはおられない。そこを、出て街並みを車で巡ってみたが、カギの手になった枡形の地割りが残されている。その中程に郷土資料館の看板を見つけて立ち寄ってみた。あまり、展示物は多くないが、この城下町と藩のあらましはわかった。再び車に乗って、さらに道を南にとって、矢掛宿を目指すことにした。

矢掛宿の旧本陣「石井家」

・矢掛宿の旧本陣を見学 

 矢掛は、山陽道の 宿場 町で昔ながらの 本陣脇本陣 が2つそろって残り、国の重要文化財に指定されている希少なところなのだ。残念ながら、郷土資料館は開館していなかったが、そこの駐車場に停めて、まず、旧 本陣 「石井家」へと歩いていった。古い街並みの中に、ひときわ目立つ大きく、立派な構えが 本陣 で、案内を乞うと、いろいろと巡りながら説明してくれた。大名が座った上段の間などその格式を示す立派な部屋はすばらしい造りになっている。土間から裏庭に抜けてみたが、いくつもの蔵が並んでいて、この家のかつての繁栄をかいま見るようだった。そこを、出て街道筋を東に向かうと 脇本陣 「高草家」のどっしりとした構えが見えてくるが、残念ながら今日は公開していないとのこと。周辺を写真に撮りながら眺めて回った。裏通りに回って 宿場 内を巡ってみたが、所々に古い建物が、昔の風情をたたえている。この街並みをいつまでも保存してほしいものだと願わずにはおられなかった。

中間温泉「なかま荘」の外観

・やっと中間温泉に到着

 矢掛宿の見学に、予想以上の時間を費やして、今日の宿への到着時間が心配になってきた。仕方がないので、山陽自動車道で時間を稼ぐことにして、玉島インターへと車を急いだ。自動車道は渋滞もなく順調に走り、竜野インターで下りたが、その後の国道179号で渋滞に引っかかった。日も暮れかけて、これからの山越えが心配だが、とりあえず宿に少々遅れる旨の電話を入れておくことにした。市街を抜けると、道も空いてきたものの、真っ暗な夜道となり、どんどん山間部へ向かって北上していく、若杉峠を越えるあたりは、カーブの連続する山道で、しかも霧が出てきて、路肩すら見えにくい最悪の状態だ。慎重に慎重にハンドルを回して、冷や汗をかきながらやっとのことで下ったところに今日の宿、中間温泉「なかま荘」を発見し、7時過ぎの到着となった。今日の行程はちょっと欲張ったせいか、きついものだったが、ホッとした。

・民芸風の造りの町営宿舎 

 ここは、山里にある町営の宿舎で、民芸風の造りとなっていて、部屋もきれいだ。まず、風呂に入って汗を流すことにしたが、浴室で工事関係者の人といっしょになった。今日はこの人達と私と2組しか泊まり客がいないようだ。大人3人程が入れる小さめのタイル張り浴槽で、少し熱めに沸かされていた。湯は、無色透明、無味無臭で、硫黄の臭いは感じなかったものの、のんびり浸かって、旅の疲れをいやした。上がってきて、食堂での夕食となったが、周りはとても静かで、宿の人や同宿者と語らいながらの食事となった。近隣には、日本の滝百選の一つ「天滝」や水芭蕉の自生地があり、それを訪ねて来る人も結構いるとのこと。お酒を冷やでたのんで、楽しみながら飲みかつ食べた。後は、部屋に戻って、テレビを見て、静かな環境の中で眠りについた。

☆中間温泉「なかま荘」に泊まる。<1泊2食付 10,395円(込込)>





源泉名なかま温泉
湧出地兵庫県養父郡大屋町中間
湧出量
知覚無色透明、無味、無臭
泉質単純硫黄泉
泉温分類14.9℃(冷鉱泉)
pH値7.4 
液性分類中性
溶存物質総量135.3㎎/㎏
浸透圧分類低張性
*一般的適応症(浴用)
 
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進

*泉質別適応症(浴用)
 
きりきず・慢性皮膚病・慢性婦人病・糖尿病
宿


中間温泉「なかま荘」のデータ
標準料金1泊2食付 9,000円〜(込別) 
入浴料金大人 500円
外来入浴時間10:00〜21:00
宿泊定員木造2階建 和室11室 50名
住所、電話〒667-0325 兵庫県養父郡大屋町中間399 TEL(0796)69-1062
交通JR山陰本線八鹿駅より大屋行きバスを乗換て中間下車徒歩2分
中間温泉「なかま荘」の夕食中間温泉「なかま荘」の朝食

*1998年9月19日(土) 中間温泉→久美浜温泉→経ヶ岬→伊根→湯の花温泉へ
中間温泉周辺の山里の風情

・朝の散歩で、日本の原風景に出会う

 朝6時頃に起きて、散歩に出かけたが、周辺は山里の風情があり、小さな渓流に沿って山間に分け入ってみたが、その流れが、なんともいえず清らかで、小さな滝や淵になっているところもあり、見ていて飽きないのだ。しばらく流れを追っていたが、道がとぎれてしまったので、しかたなく方向転換し、里の方へと戻ってきた。少し大きな流れに沿って、水田が開け、低い山が連なっている。とてものどかな風景が展開しているのだ。刈り上げられた稲穂が積まれ、コスモスの花が咲いている。そこに赤トンボがとまるといったような、まさに、田舎のどこにでもあるような風情、しかし、そこはかとなく懐かしく日本の原風景といったものに見せられてしまった。その構図に何枚も何枚もシャッターをきらずにはおられなかった。結構長い間その場にたたずんで見入っていたが、朝食の時間もあるので、離れがたい思いを残して、宿へと戻って行った。

・丹後半島へ向かう

 8時から朝食をとり、出立の準備をして、9時前にこの宿を出立したが、その素朴な環境が心に刻まれた。その後は、おだやかな日差しの中を東に向かい、国道312号線に出てからは、進路を北に取った。目指すは、京都府の久美浜町で、そこに良い温泉があり、日帰り入浴ができると聞いていた。

・久美浜温泉に入浴する

 北近畿タンゴ鉄道久美浜駅で場所を訪ねたが、道を間違えてしまい、かなり遠回りして、久美浜温泉「湯元館」に到着した。この温泉はなかなか湯量豊富で、自然の崖下に大きな露天風呂があり、温泉が滝になって流れ落ちている。打たせ湯、泡風呂、ジェット風呂、薬草風呂などあって、結構楽しめる所だった。ゆったりと、温泉に浸かり、内湯から露天風呂へ、そして、浴槽をいくつも移動して、いろいろな形の入浴に満悦した。

★久美浜温泉「湯元館」に入浴する。<入浴料 300円>

久美浜温泉「湯元館」の全景久美浜温泉「湯元館」の入口




源泉名久美浜温泉
湧出地京都府熊野郡久美浜町平田1106-4
湧出量750㍑/分(動力揚湯)
知覚無色澄明、弱苦味、無臭
泉質カルシウム・ナトリウム-塩化物泉
泉温分類50.0℃(高温泉)
pH値8.05
液性分類弱アルカリ性
溶存物質総量4,438.7㎎/㎏
浸透圧分類低張性
*一般的適応症(浴用)
 
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進

*泉質別適応症(浴用)
 
きりきず・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病
宿


久美浜温泉「湯元館」のデータ
標準料金1泊2食付 12,000〜20,000円(込別) 
入浴料金大人 300円、子供 100円
外来入浴時間午前8時〜午後9時
宿泊定員木造2階建 和室11室 50名
住所、電話〒629-3432 京都府熊野郡久美浜町平田1106-4 TEL(0772)83-1071
交通北近畿タンゴ鉄道丹後神野駅下車御徒歩25分(車で5分)
久美浜温泉「湯元館」の公式ホームページへ

・経ヶ岬へ至る

 ここを出て、丹後半島一週のドライブへと向かったが、天気も良く、日本海の眺めもすばらしい。気分良く、どんどん車を走らせて、先端にある経ヶ岬へと達し、駐車場に車を停めて、 灯台 へと向かった。ここからは、歩くしかなく、山道に息を切りながら登っていった。眼下にはすばらしい海岸線が連なっている。その眺めを、楽しみに歩き続けて、15分ほどで 経ヶ岬灯台 が見えるところまできた。日差しも良く、見晴らしを楽しみながら灯台の写真を撮った後、ぼんやりと海に目をやっていた。隣で、老夫婦が、写真を撮ろうとして電池がないのに気づき、別の夫婦が電池を都合してやっていた。そんなほほえましい雰囲気も、この雄大な景色の中では自然に見える。ちょっと長めに、楽しんでから、車に戻り、再び半島を回り始めた。

経ヶ岬灯台経ヶ岬からの眺望

・伊根の船小屋集落を巡る

 次に目指したのは、伊根の船小屋集落で、まず、丘の上にある眺望の良い道の駅から、伊根湾全体を俯瞰してみた。湾に向かって、独特の船小屋を備えた民家がびっしりと並んでいて、特異な景観を作り出している。海は、ライトブルーに輝き、とてもすばらしい眺めだ。こういう自然の中に息づいている人々の暮らしをいつまでも続けて欲しいものだと思いながら、空腹を感じてきて、そこにある郷土料理店で、魚料理をいただくことにした。けっこう新鮮な魚が出てきて、満足の昼食となった。腹を満たしてからは、丘を下りて、漁港の街並みを巡り、観光船乗り場まで行ってみたが、待合室には誰もいない。でも、とてもきれいな海なので、船で巡ってみたく思い、係員に聞くと他にも客が来れば船を出すとのことで出航までしばし待つことにした。はたして、ワンボックスカーで6人ほどが乗り付けてきて、船出となった。すぐに、かもめが餌をねらって集まってきて、客の投げるパン切れを見事に空中キャッチしている。その様子がとてもほほえましく、何枚かカメラに収めた。船は湾内を周航し、海上から船小屋集落を見させてくれる。それが、澄んだ海とマッチしてなんとも言えないような光景を作り出していて、しばらくそれを眺めいっていた。そういえば、「男はつらいよ」シリーズの映画の中でここを舞台に虎さんが活躍したのがあった。あれは、どのへんで撮ったのだろうか、などと考えている内に船は桟橋に戻りかけていた。短時間だったが、とてもすばらしい遊覧で、旅のアクセントとなった。下りてからは、車で、集落を巡ってみることにしたが、その途中で、「男はつらいよ」のロケ地を発見した。船小屋民家が民宿として営業しているところで、とても風情がある。こういうところに泊まってみるのもいいかなと思ってしまった。しかし、こういう漁村は家が建て込んでいて、道も細く曲がりくねっていて、車で巡るのは適していない。一通り街並みを眺めて、伊根の集落を後にすることとした。

伊根の船小屋集落

・丹後半島を南下

 丹後半島を南下し、天橋立の砂州を左手に見て、宮津市街を通過、峠越えをして、大江町の方に向かった。ここは、大江山の酒天童子にまつわる鬼伝説で有名だが、近年、町おこしで「鬼の博物館」を作ったと聞いていたので、立ち寄ってみたかったが、案内標識が不適切で通りすぎてしまった。しかたがないのでそのまま南下を続け、福知山、綾部と通過して、今日の宿泊地湯の花温泉へと急いだ。


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