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秘湯めぐりの旅(39)
<秋山郷の3湯めぐり−新潟県・長野県>
2002.6.1
インデックス
結東温泉「萌木の里」 | 小赤沢温泉「楽養館」 | 上野原温泉「のよさの里」 |
*2002年6月1日(土) 結東温泉→小赤沢温泉→上野原温泉→野沢温泉
・秘境秋山郷へ
関越自動車道で北へ向かい、新潟県へ入って、越後湯沢インターで下り、国道353号線、117号線と走って、長野県境へと向かった。この中魚沼郡と十日町市一帯は、妻有郷と呼ばれ、日本有数の豪雪地帯として知られている。その津南町の中心大割野からは、左折して国道405号線を南下し、まず、津南町歴史民俗資料館へ立ち寄った。ここには、国の重要有形民俗文化財(1668点)に指定されているものを中心に、豪雪地帯の貴重な民俗資料が多数展示されている。縄文展示室には、県指定の沖ノ原遺跡からの出土品1500点余の他、神山遺跡の石器類などが並べられているが、特に目を引くのが国保有の堂平遺跡の火焔式土器で、縄文中期のすばらしい炎の造形には驚くばかりだ。隣接して茅葺きの古民家も移築されていて、豪雪地帯の山村生活を垣間見ることが出来た。その後は、国道とは名ばかりで、途中からは、細い山道のような、かなりの悪路で、舗装はされているものの、道幅が狭く、曲がりくねって上り下りもきついのだ。断崖絶壁上の道が続き、ガードレールのない所も結構あり、ハンドルを切り損ねたら谷底に転落するような場所がいくつもみられる。そんな道をどんどん山奥へ向かって進んでいった県境付近が、平家の落人が住んだ秘境と呼ばれる秋山郷で、2000m級の山に挟まれたところ。今回で、3度目の訪問となる。
・学生時代の思い出
学生時代にはじめて訪れたが、その頃は今より道が悪く、舗装もされていなくて1日2往復しかないバスで行った。それも、秋山郷の入口にあたる小赤沢が終点で、後は屋敷、上野原と歩いていった記憶がある。当時は、冬季間はその道も閉鎖され、集落が孤立状態となるため、生徒達は津南町の冬季寄宿舎で過ごし、正月だけは、自衛隊のヘリコプターで帰省するという話を聞いたことがある。そのくらい不便なところなんだが、何物にも変えがたいぐらいのすばらしい自然と良い温泉があるのだ。
「萌木の里」の栃の実館 |
まず第1湯目は、新潟県に属する結東温泉で、結東集落を過ぎた見晴らしの良い場所にある「萌木の里」で入浴した。ここは、複合的な観光施設で、宿泊用のコテージが散在し、温泉入浴施設や釣り堀、そして野外ステージまである。レストランや土産物を売っている「栃の実館」というのが「萌木の里」の中心施設で、ここで受付をするのだが、この建物にある内風呂「桃源の湯」と少し離れた露天風呂「山彦の湯」とそれぞれ別料金で500円とのことだった。しかし、内風呂+露天風呂+休憩用大広間利用のセットで1日券800円なので、これを利用して、両方に入ることにした。「山彦の湯」は、そこから200mほど歩いた眺望のよい所にあり、右側の低い方に男性用、左側の高い方に女性用が作られている。岩造りの露天風呂からは、屏風のように連なる山々と深い渓谷を望む雄大な景色を眺望することができる。中央にある石組みから湯が注がれ、掛け流しにされているようだ。開放感は最高で、ゆったりと浸かりながら眺めていると、ほんとうに気持ちが清々しくなるのだ。脱衣場の壁を見ると、源泉名:やまびこの湯、泉温:43.5℃、泉質:ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉(弱アルカリ性・低張性・高温泉)と掲示されていた。「栃の実館」へ戻ってきて、今度は内風呂「桃源の湯」の方へ入ったのだが、こちらの方は源泉名:結東温泉、泉温:39.5℃、泉質:ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉(弱アルカリ性・低張性・温泉)と表示されていて、露天風呂「山彦の湯」とは源泉が異なるようだ。この浴室には大きな浴槽があるだけだが、全面のガラス窓から見える山と渓谷の風景がパノラマのように広がり、開放的なのだ。お湯は、無色透明、無臭で、なめるとわずかに塩味を感じたが、加熱循環されているように思った。
★結東温泉「萌木の里」で入浴する。<入浴料 800円>
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*一般的適応症(浴用)
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進
*泉質別適応症(浴用)
きりきず・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病
日 帰 り 入 浴 施 設 | 結東温泉「萌木の里」のデータ | |
入浴料金 | 露天風呂、内風呂どちらか入浴のみ500円、両方共と休憩料込み1日800円 | |
営業時間 | 午前10時〜午後5時、毎週水曜日休館(1月〜2月冬季休業) | |
住所、電話 | 〒949-8316 新潟県中魚沼郡津南町秋山郷結東 TEL(0257)67-2000 | |
交通 | JR飯山線森宮野原駅下車,バス津南行き終点で和山温泉行に乗り換え萌木の里下車 |
2湯目は、さらに南へ走り、長野県に入った小赤沢温泉「楽養館」で、小赤沢の集落より上の方へ登っていったところにあった。ここは、栄村振興公社の経営で、山小屋風の造りをしている。この温泉は、源泉45℃、容存物質総量22,535mg/kgの含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物強塩泉(中性・高張性・高温泉)で、赤褐色に濁り、なめると強塩味と鉄味を強烈に感じる。驚くほど濃度の濃い温泉で、療養効果も高いと聞いた。お湯は源泉そのままの掛け流しで、時々、炭酸ガスの影響か管からぼこぼこと音をたてて注がれている。濃厚な成分が析出して、浴槽や床にこびりつき、層をなしているのも見事だ。露天風呂はないものの、寝湯、打たせ湯、圧注浴などもあって楽しめる。全国でも珍しい泉質の特筆すべき温泉ではないだろうか...。休憩用に2階の大広間が無料で利用でき、1階には食堂も併設されていて、山菜定食や岩魚定食、きのこそば・うどん、わさびそば・うどんなどを味わうことも出来る。
★小赤沢温泉「楽養館」に入浴する。<入浴料 500円>
小赤沢温泉「楽養館」の外観 | 小赤沢温泉「楽養館」の赤褐色の湯 |
| *一般的適応症(浴用)
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小赤沢温泉「楽養館」の公式ホームページへ |
・秋山郷民俗資料館でそばを食べる
それから、中津川を渡り、屋敷集落にある「秋山郷民俗資料館」を訪ねた。ここは、学生時代に秋山郷へ来たおりに見学した、思い出の地で、その時、昼食に食べたシメジのたくさん入った山菜そばが美味しかったことを記憶している。この資料館は、民間の施設で、ご夫婦が集められた秋山郷の民具や風習物などを所狭しと展示してあるのだ。懐かしく思い、学生時代と同じように昼食にそばを所望したところ、快くざるそばを作っていただけた。山菜の付いたざるそばはとてもおいしく、思い出と共に賞味させていただいた。その後は、上野原の「のよさの里」へと向かった。
深い渓谷をつくる秋山郷の中津川 | 秋山郷の山々 |
「のよさ」の意味は、野の良さ、その土地がらの良さを表す言葉だそうだ。「秋山郷」は中津川の奥深い渓谷で,2000m級の苗場山と鳥甲山に囲まれ、冬は外部と遮断される豪雪地帯。信濃の三大秘境のひとつにあげられ、平家の落人が隠れ住んだところと言われている。『北越雪譜』で知られる江戸時代末期の文人、鈴木牧之(1770〜1842年)が『秋山紀行』で初めて紹介したところだ。「のよさの里」は、その鈴木牧之にちなんで、当時の秋山郷の暮らしと文化を再現した牧之の宿(本家)と400mの廊下で結ばれている7戸の分家からなっている。宿泊も出来る施設で、オートキャンプ場もあり、栄村振興公社が運営しているとのことだ。そこで3湯目に、露天風呂と内湯に入ったのだが、長い渡り廊下の先にある露天風呂は鳥甲山(2038m)を望む眺望はすばらしいものの、お湯は完全な循環のようで、あまり温泉としての浴感を感じられなかった。露天風呂よりは、牧之の宿にある内湯の方がお湯は良かった。
上野原温泉「のよさの里」の外観 | 上野原温泉「のよさの里」の露天風呂 |
| *一般的適応症(浴用)
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「のよさの里」の公式ホームページへ |
秋山郷の民家 |
・野沢温泉へと向かう
このさらに奥に、切明温泉があり、河原を掘ると温泉が涌きだして、手掘りの露天風呂が楽しめることで有名だが、前回来たときに入浴しているので、今回はパスすることにした。それからは、一端屋敷集落まで戻り、中津川を渡って、その左岸を秋山林道で延々と走っていった。眼下には、深い中津川渓谷と秋山郷の集落を望むことができ、所々に車を停めて、その絶景にシャッターを切っていった。結構整備された部分もあるが、曲がりくねり、アップダウンする山道が続き、気を許せない。やっとの思いで、JR飯山線森宮野原駅の近くで、国道117号線に出て、ホッと胸を撫で下ろした。その後は、整備された国道を西へ西へと走り続け、野沢温泉街へと至った。まだ、宿に入るまでには時間があったので、日本スキー博物館を見学し、4時半頃、温泉街の中にある、今日の宿「山田屋旅館」へと上がった。
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