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秘湯めぐりの旅(47)
<上越国境の5湯めぐり−群馬・新潟県>
2002.10.13-14
インデックス
10/13川古温泉 | 10/13三俣細越温泉 | 10/13上野鉱泉 | 10/14清津峡小出温泉 | 10/14大沢山温泉 |
*2002年10月13日(日) 川古温泉→三俣細越温泉→上野鉱泉
・上越国境へと向かう
朝から仕事を一つ片づけた後、急に思い立って、10時半から、車で北に向かった。カーラジオからは、関越自動車道の事故渋滞の情報が流れていて、しばらくは、渋滞を避けるため、一般道を走行することを余儀なくされた。それでも、花園インターから関越自動車道へ乗ったものの、走っている車は多く、流れはスムーズではない。観光地を控えたインターチェンジは、いずれも出口渋滞となっていて、高速道路の走行車線まで車がはみ出していた。こういうときは、どのインターチェンジで下りるのかが、問題となる。私は、経験上月夜野インターを選択したが、うまくいって、そんなに料金所に車が並ぶことなく、下りることが出来た。この後は、ひたすら国道17号線を利用して、上越国境へと北上する道を選ぶことにした。
どの温泉に入ろうか思案したのだが、まずは川古温泉を目指すことにした。猿ヶ京温泉で国道17号からそれ、さらに山中へ車で10分ほど分け入ったところにある一軒宿の湯治場だ。ここは、入浴料1,000円で、周辺と比べると少々高い気もするが、昔から名湯として知られ、一度入ってみたいと思っていたところだ。赤谷川の深い渓谷に沿っていくと、その行き止まりのような場所にあり、秘湯感漂う立地だ。しかし、建物は鉄筋コンクリートの4階建で、ちょっとそぐわないような感じもしないではない。フロントで入浴料を払い、階下に下りていくと、温泉分析書が掲げられていたが、源泉39.7℃、pH7.8、溶存物質総量1,491.92mg/kgのカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(弱アルカリ性・低張性・温泉)とのこと。その先に、男女別内湯と混浴内湯、混浴露天風呂があった。特に、混浴露天風呂がすばらしく、源泉が大量に投入され、掛け流しとなっている開放的な大岩風呂なのだ。ちょっとぬるめなのだが、とても気持ちよく1時間も浸かっていた。浴槽には、老若男女、家族連れなどが、静かに療養したり、少しはしゃぎながら湯を楽しんだりと、銘々のスタイルで入浴していた。普通ならば、少し恥じらいを感じるような混浴も、山奥の自然の大浴槽が、心を解放し、皆おおらかになっているようにも思えた。今回入浴した5湯の内では、川古温泉が泉質、景観、雰囲気共に一番良かったように思う。
★川古温泉「浜屋旅館」に入浴する。<入浴料 1,000円>
川古温泉「浜屋旅館」の外観 | 川古温泉「浜屋旅館」の男性用内湯 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・動脈硬化症
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川古温泉「浜屋旅館」の公式ホームページへ |
後は国道17号線で三国峠を越えて新潟県に入り、浅貝、二居と通過して、湯沢町三俣にある「街道の湯」にも入浴した。ここは、国道17号線に沿い、かつての三国街道三俣宿のはずれに位置する比較的新しい日帰り入浴施設で、入浴料500円だった。昔は、山中の静かな宿場町だったところも、かぐら・みつまたスキー場のベースとなり、民宿・旅館街となってしまっている。私が入浴した午後4時頃は、登山客の大型バスが着いた直後で、人でごった返し、芋洗い状態となっていた。源泉46.3℃、溶存物質総量385.3mg/kgの単純温泉(弱アルカリ性・低張性・高温泉)で、男女別内湯と露天風呂があるが、いずれも循環させているようだ。まあ、スキー・登山の立ち寄り湯といったところだろうか...。入浴後は、もう日も傾きかけていたので、急いで国道17号線を北上し、今日の宿泊地へと向かった。
★三俣細越温泉「街道の湯」に入浴する。<入浴料 500円>
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三俣細越温泉「街道の湯」の外観 |
日 帰 り 入 浴 施 設 | 三俣細越温泉「街道の湯」のデータ | |
浴室 | 内湯2(男1・女1)、露天2(男1・女1) | |
入浴料金 | 大人 500円、小学生 200円 | |
営業時間 | 午前7時〜午後9時、毎週火曜休館 | |
住所、電話 | 〒699-2501 新潟県南魚沼郡湯沢町三俣 TEL(0257)88-9229 | |
交通 | JR上越線越後湯沢駅より浅貝行きバス20分三俣下車 |
宿泊地として選んだのは、塩沢町にある上野鉱泉という鄙びた湯治場で、山間地に温泉宿5軒が点在しているところ。その中で、一番下手にある「名月荘」に電話を入れてあったのだが、1泊2食付6,120円(込込)とのことだった。周辺には、特にこれといった名勝があるわけではなく、ほんとうに長閑な山村風景が広がっている。スキー場にも近いので、冬季はスキーヤーも受け入れているのだろう。そんなことを考えながら、玄関をくぐると、女将さんが気さくに出迎えてくれた。入口にスキー立てがあるのは、この周辺の宿屋の特徴なのだが、ここは湯治旅館と温泉民宿を合わせたような感じなのだ。聞いてみると、近年スキー客は減少傾向にあるとのことだが、この時期は常連の湯治客が来てくれるという。今の時期はとても静かな湯治場の雰囲気が漂っていて私は気に入った。木造2階建て15室のこぢんまりとした宿なのに、新館にエレベーターが付いていて驚いた。これも、年配の泊まり客への配慮とのことで、湯治宿としての姿勢がうかがわれる。部屋に荷物を置くとさっそく浴室へと向かった。男女別に小さめの内湯が一つずつあるだけだが、加熱掛け流しとなっていて、お湯は新鮮だ。入り心地も良くて、のんびり湯に浸かっていた。掲示で確認してみると、源泉は22.5℃、溶存物質総量288.5mg/kgで、フッ素とメタホウ酸で温泉に該当しているとのこと。上がってきて部屋でくつろいでいるとほどなくして、階下の食堂での夕食となった。決して、豪華なものではないけれど、近辺で採れた野菜をたくさん入れたすき焼き鍋や山菜などで美味しくいただいた。この低料金でこれだけ食べさせてくれれば私としては満足だ。酒を2合冷やでたのんだら、地酒の「鶴齢」というのが出てきて、これもまた良い酒で、ほろ酔い気分となった。ほんとうに、何もない、山里だったのだが、妙に落ち着いた気分になって、後はのんびりテレビを見たり、本を読んだりして床についた。
★上野鉱泉「名月荘」に宿泊する。<1泊2食付 6,120円(込込)>
上野鉱泉「名月荘」の外観 | 上野鉱泉「名月荘」の浴槽 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進
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上野鉱泉「名月荘」の夕食 | 上野鉱泉「名月荘」の朝食 |
*2002年10月14日(月) 清津峡→鈴木牧之記念館→大沢山温泉→帰途へ
上野鉱泉周辺の長閑な風景 |
・朝の散策に出かける
翌朝は、6時頃には起床し、カメラ片手に恒例の朝の散歩へと出かけた。ぶらぶと、国道353号線沿いに上っていったが、ほとんど通る車もない。途中から川向こうの小道に入り、下ってみた。朝の山村の静けさと澄んだ空気、畦道には、コスモスや野菊など、秋の野草も色とりどりに咲いていて、とてもいい感じなのだ。新潟はもうすぐ雪が降って、長い冬に入るのだが、その前に精一杯咲いているってところかな...。赤や白、ピンクのコスモスのバックにため池や田舎道を撮し込んだり、小さな野草をマクロレンズでとらえたり、畦道の野菊を右端に置いて、山里の風景をあしらってみたり、小川のせせらぎをスローシャッターで切ったりといろいろな写真を撮ってみたのだ。小一時間の散策を終え、宿に戻ってからは、朝風呂を浴びることにした。まだ、誰も入っていない風呂には、惜しげもなく湯が掛け流されている。のんびり湯に浸かって汗を流しながら、のどかな朝の光景を反芻していた。入浴後、ほどなくして、8時前に朝食となったが、なんか田舎の気取らない朝飯といった感じがとても良くて、食が進んだ。
清津峡のみごとな渓谷美 |
・清津峡を散策する
8時半過ぎに宿を出てからは、一山越えて、日本三大渓谷の一つとして知られる清津峡へと向かうことにした。学生時代にも一度来たことがあり、昔は、渓谷沿いの崖道をおっかなびっくり通りながら探勝したのだが、崩落事故があって、閉鎖され、代わりに探勝用のトンネルが出来たと聞いていた。小さな温泉街の手前の駐車場に車を入れ、土産物屋や旅館の前を5分ほど歩くと、トンネルの入口がある。入坑料500円也を払って、進んでいくと第1〜3見晴所、パノラマステーションと4ヶ所の開口部があって、渓谷を探勝できるのだ。まだ、紅葉には早かったものの、柱状節理のすばらしい景観と雄大で荘厳な渓谷美を見ることが出来た。渓谷沿いを歩いた頃の醍醐味は無くなってしまったものの、そのトンネル掘削中に湯量豊富な単純硫黄泉が湧出したので、温泉の楽しみは増したとのこと。
良い温泉が涌いていると聞けば、もう入らずにはいられない。温泉街には、旅館・民宿が4軒ほどあったのだが、私は看板の出ていた探勝用トンネル出口にある食堂「苗場館」で入浴することにした。入浴料500円を支払い、案内されると小さめの男女別内湯と2階に露天風呂があった。それほど期待していなかったのだが、いずれも源泉掛け流しで、硫黄の臭いが鼻をつき、なかなか良いお湯なのでびっくりした。露天風呂からは覆いがあって、渓谷は見えないが、上部の山々は望むことが出来、とても清々しい気分で入浴できたのだ。
★清津峡小出温泉「苗場館」に入浴する。<入浴料 500円>
清津峡小出温泉「苗場館」の外観 | 清津峡小出温泉「苗場館」の露天風呂 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・慢性皮膚病・慢性婦人病・糖尿病
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鈴木牧之記念館 |
・鈴木牧之記念館へ
その後、来た道を引き返して、塩沢町の中心部へ向かい、鈴木牧之記念館を見学した。牧之は、この地に生まれ、特産のちぢみ仲買と質屋を家業としていたという。しかし、「秋山紀行」、「北越雪譜」を著した江戸時代後期の文人として知られている。この雪深い地にありながら、江戸の文人墨客との交流も深く、山東京伝、十返舎一九、曲亭馬琴、谷文晁などとの関わりを示す資料が展示されていて、興味深かった。ところで、「北越雪譜」の完成には40年近い歳月を費やしたとのことだし、「秋山紀行」は当時としては、隔絶した山村僻地へ旅した記録で、牧之の並々ならぬ探求心を現している。そして、江戸時代の雪深い僻地の生活を細かく書き留めた牧之の業績はとても貴重なものだと思った。見学を終えたら、もう正午を過ぎていて、腹も空いていたので、美味しい蕎麦屋を教えてもらい、少し車を走らせ、国道17号線沿いの「田端屋」で、天ざる蕎麦を賞味した。
それからは、山中にある大沢山温泉「高七城」(入浴料1,000円)でも立ち寄り入浴した。塩沢の町並みからずっと山の方へ登っていったところにあり、周囲は深い木々に囲まれ、築120年という豪農の民家を移築したものだ。みごとな玄関があるが、浴室は別棟にしつらえてあり、露天風呂は宿泊客しか利用できないとのこと。源泉27.5℃のナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(弱アルカリ性・低張性・低温泉)で、加熱循環させているようだが、ぬるぬるの浴感は充分あった。「謙信松の湯」と名付けられた内湯の浴槽には、真ん中にある1億年前の珪化木が湯口となっており、浴室の床にも珪化木が敷き詰められていたのが面白かった。
★大沢山温泉「高七城」に入浴する。<入浴料 1,000円>
大沢山温泉「高七城」の外観 | 大沢山温泉「高七城」の謙信松の湯 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病
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大沢山温泉「高七城」の公式ホームページへ |
利根川河畔に沈む夕日 |
・帰途につく
入浴後は、高速道路の渋滞が気になったので、早めに帰途につくことにした。2時半には、塩沢インターから関越自動車道に乗ったものの、予想通り大渋滞に巻き込まれ、渋川伊香保インターで下りざるを得なかった。その後、ずっと下道を走り、途中、妻沼の聖天様に立ち寄り、利根川堤で夕日を撮ったりしていたので、時間がかかってしまった。少々運転疲れはしたが、天気もとても良くて、まずまずのドライブとなった。今回は全部で5湯に入ることもでき、いいリフレッシュにはなったかな。
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