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秘湯めぐりの旅(61)
<道東の12湯めぐり−北海道>
2003.9.15-18
インデックス
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*2003年9月15日(月) 濁川温泉→夕張→日勝峠→菅野温泉
・一気に夕張へ
翌朝、濁川温泉「中央荘」を立って、道央自動車道を使って一気に東へ向かった。豊浦噴火湾パーキングエリアで、小休止した以外は走り続けて、千歳恵庭ジャンクションからは道東自動車道へ乗り換えて、夕張へと至った。まず、「ゆうばりユーパロの湯」に入浴して、汗を流してから、周辺を巡ることにした。
・「幸せの黄色いハンカチ」ロケ地へ
最初に訪れたのは、夕張の旧炭坑住宅だが、山田洋二監督の代表作「幸せの黄色いハンカチ」のラストシーンを撮影したロケ地が保存されていて、とても印象深かったのだ。1977年の松竹映画で、高倉建、倍賞智恵子主演、第1回日本アカデミー賞作品賞、昭和52年度キネマ旬報ベストワン、ブルーリボン作品賞など、この年の映画賞を総ナメにしたロード・ムービーの傑作なのだ。撮影当時の炭坑夫の長屋が残され、黄色いハンカチがたくさん風にはためき、撮影に使われた赤のマツダファミリアが展示されていて、感動的だった。映画の一部も流されていて、くいいるように見ていたが、封切り当時に映画館へ足を運び、何度もテレビ放映も見た、私の好きな作品の一つなので、とても懐かしかった。
・郷愁の丘ミュージアムを見学
その後は、夕張市街を通って、石炭の歴史村の一角にある「郷愁の丘ミュージアム」へ向かった。ここには、「シネマのバラード」、「生活歴史館」、「センターハウス」と並んでいて、順次見学していった。「シネマのバラード」には、懐かしい映画のポスターや撮影に使われたグッズなどが展示されていて、映画ファンには答えられない。また、「生活歴史館」には、炭坑で栄えた当時の古民具や文化遺産が並べられていて、往時を追想することができるのだ。さらに、「センターハウス」には、夕張ゆかりの作家たちの絵画や書籍などが飾られていて、見応えがあった。しかし、時間を使いすぎてしまったので、後の行程を急ぐことになってしまったが...。
「幸せの黄色いハンカチ」の旧炭坑住宅 | 郷愁の丘ミュージアム「シネマのバラード」 |
・日勝峠を越える
夕張市街を後にして、国道274号線をひたすら東に向かって走り、原生林の残る日高山脈を通って、日勝峠(1,106m)を越えた。すると、いっぺんに視界が開けて、眼下に十勝平野が広がって、感激した!ドライブインで小休止して、写真を撮ったが、この雄大さは内地ではみられないもので、農場がどこまでも、どこまでも続いていた。
日勝峠下のドライブインからの十勝平野の眺望 |
然別峡菅野温泉「かんの温泉」の外観 |
清水町から鹿追町に広がる農場地帯を突っ切って、原生林の中の林道へと入っていくと、ダートとなる。途中、車の前をエゾシカが横切っていったり、キタキツネが姿を現したりした。撮影することは出来なかったが、北海道の大自然を感じる道行きとなった。林道は、どんどん林の奥へと入っていき、幾度かカーブを切って登っていって、やっとのことで、然別峡菅野温泉まで至った。
・「かんの温泉」に泊まる
一軒宿の「かんの温泉」は、奥まった山間の傾斜地に、築50年以上にもなろうかという古びた木造2階建の湯治棟が建ち並び、その間を抜けていくと鉄筋コンクリート3階建の宿泊棟玄関にたどり着く。敷地内には泉質の異なる7種類もの温泉が自噴し、それぞれ効能も異なり、昔から「かんのの湯で治らぬ病気はない」と言われているとのこと。部屋に荷物を置くと、さっそく湯巡りを始めたが、8ヶ所に点在する浴槽に全部入るつもりで、まず露天風呂の「福録の湯」と「寿老の湯(クロレラの湯)」へ行ってみた。もちろん源泉掛け流しで、大自然の中で入るのはすばらしい!次に、大浴場へ向かったが、ここには「毘沙門の湯」「恵比寿の湯」「布袋の湯」とあって、温泉の良さを堪能した。そろそろ、食事の時間となったので、戻っていったが、夕食には、アマメ塩焼、刺身(甘エビ・ハマチ・サーモン)、牛乳ドウフ、天ぷら(シシトウ・キノコ)、茶碗蒸し、漬物、デザートなどが並び、お酒も2合頼んで、美味しく飲みかつ食べた。食後は、横になりながら、明日のコースを考えていたら、眠くなってしまった。そうこうして、秘湯の一夜は過ぎていった。
★然別峡菅野温泉「かんの温泉」に宿泊する。<1泊2食付 10,650円(込込)>
「かんの温泉」の湯治棟 | 「かんの温泉」の宿泊棟 |
「かんの温泉」の露天風呂 福禄の湯 | 「かんの温泉」の大浴場毘沙門の湯 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・慢性婦人病・虚弱児童・月経障害など
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然別峡菅野温泉「かんの温泉」の夕食 | 然別峡菅野温泉「かんの温泉」の朝食 |
*2003年9月16日(火) 然別湖→山田温泉→糠平温泉→屈斜路湖→仁伏温泉
早朝宿を抜け出し、ユーヤンベツ川上流に向かって林道を1.5km、約20分ほど歩いて、然別峡の野湯群へ入りに行った。周辺は原生林に囲まれ、快適なのだが、ヒグマが出るのではないか少々緊張していた。砂防ダムの手前から、林道脇の小径に逸れ、草をかき分けるようにして、ユーヤンベツ川に下りていくと、大自然の中のすばらしい清流に出会える。その河原に、石で囲った湯船が作られていた。本来はこの崖の上に「メノコの湯」と呼ばれるきちんとした木の浴槽があったそうだが、国立公園法の自然保護との関係で、今は壊されてその湯が下に流れて石囲いの浴槽に注ぎ込んでいるとのことだ。もちろん、脱衣所もなく、誰もいないのをよいことに、河原石の上に着衣を脱ぎ捨てて、湯に浸かった。湯温もちょうど良くて、大自然の中での入浴は実に爽快、目を閉じると清流の音が聞こえて、心地よい。上がってから、少し下流に行くと、そこにも「ペニチカの湯」と呼ばれる石囲いの浴槽があって、身を沈めたが、こちらの方は、源泉温度が高いようで、熱い。この下流にも、「ビラの湯」「テムジンの湯」などがあると宿のパンフレットに出ていたが、河原沿いにすばらしい野湯群が存在するものだ。今回は、ここで切り上げて、来た道を引き返していった。
ユーヤンベツ川沿いの「メノコの湯」 | ユーヤンベツ川沿いの「ペニチカの湯」 |
・再び館内の湯めぐりに
宿に戻って、再度館内の湯巡りをはじめて、中浴場「不動の湯」「大黒の湯」、小浴場「弁天の湯」とめぐって、すべての浴槽に入り終えた。浴後に、朝食を取って、出立の準備を済ませた。
「かんの温泉」の中浴場 不動の湯・大黒の湯 | 「かんの温泉」の小浴場 弁天の湯 |
・白樺峠、駒止湖付近の紅葉がみごと
出立してからは、まず然別湖を目指した。途中、扇ヶ原展望台で写真を撮ったが、十勝平野の景観が雄大だ。さらに、登っていくと、白樺峠(標高910m)へと至るが、紅葉がはじまっていてきれいなので、車を駐めてカメラに収めた。そこから原生林の中を下っていくと、駒止湖という小さな湖があり、付近の紅葉がすばらしかったので、道端に駐車して、カメラのシャッターを切った。この湖は、あまりの美しさに旅人が馬を止めて見入ったところから命名されたとか...。貴重な、ナキウサギが生息していることでも有名だ。
白樺峠付近の紅葉 | 駒止湖 |
・然別湖の湖岸から眺める
次に至った、然別湖の湖岸からの眺めはとても落ち着いていて、山奥の静かな湖という風情が漂っていた。冬季には全面結氷し、名物の湖の氷上温泉露天風呂が開設されると聞いている。
然別湖の湖岸からの眺め |
その後、然別湖畔を北に向かい、山田温泉「ホテル福原」に立ち寄った。ここは、然別湖に注ぐヤンベツ川沿いの一軒宿で、トド松の原生林に囲まれた、大自然の中に立地している。然別湖ホテル福原と同じ経営だが、10月〜5月は休業するとのことだ。フロントで、500円を払って、浴場へと向かったが、内湯だけではあるものの、男女別に分かれた浴室は広い。そこに、大小の浴槽があり、無色澄明な源泉が、惜しげもなく掛け流しになって、溢れている。入ってみると少しぬるめだが、柔らかくて新鮮で、心地のよい湯だ。のんびりと浸かって、朝からのドライブの汗を流した。入浴後は、さらに北へ向かって走っていった。
★山田温泉「ホテル福原」に入浴する。<入浴料 500円>
山田温泉「ホテル福原」の外観 | 山田温泉「ホテル福原」の浴室 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進
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糠平湖畔へと至って、ひがし大雪博物館見学後、昼食に、食事処「みはる」で豚丼を食べた。網焼きにした豚肉が2枚のっているのだが、1枚が大きく、タレも美味で、満足、満足!腹を満たしたところで、糠平温泉「糠平館観光ホテル」へも入浴した。大きな観光ホテルなのだが、館内から長い木道を下りていくと、自然林の中に、露天風呂「仙郷の湯」(混浴)があった。ほんとうに木々に囲まれた、静寂の中で入浴できるのがいい。その雰囲気が気に入って、ゆったりと浸かっていた。その後、館内の大浴場にも入り直し、上がってきて、国道273号線を東へ向かった。
★糠平温泉「糠平館観光ホテル」に入浴する。<入浴料 500円>
糠平温泉「糠平館観光ホテル」の外観 | 糠平温泉「糠平館観光ホテル」の仙郷の湯 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進
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・屈斜路湖の夕暮れ
上士幌町の牧場地帯で写真を撮りつつ、国道241号線へ出て、東に走り、足寄の街を通過してからは、ひたすらに阿寒湖目指して車を飛ばした。広々とした大地が広がり、雄阿寒岳も見えて、すばらしいドライブコースだ。阿寒湖畔へも立ち寄って、写真も撮ったが、あまり時間がなくて、すぐに立たなければならなかったのが残念だ。
屈斜路湖畔を走っている途中、ちょうど湖へ夕日が沈んでいく光景が見えた。湖岸に車を停め、湖の際まで下りて、夕日に向かってシャッターを切り続けたが、みごとな夕暮れだった。
屈斜路湖の夕日 |
仁伏温泉「湖畔の宿にぶしの里」の愛犬クック |
その後、仁伏温泉「湖畔の宿にぶしの里」に宿泊した。アイヌ語で「ニ」は木、「ブシ」はプシプシと木が割れ裂ける音とのことで、木が割れるほど寒いところという意味の地名から来ている。ここには、クックという飼い犬がいて、着いたときには吠えていたが、すぐに慣れて、愛嬌を振りまいて出迎えてくれた。とてもかわいいのだ!この宿は、阿寒国立公園の屈斜路湖畔の林間に位置し、ロッジ風木造2階建のしゃれた造りだ。吹き抜けになったコミュニケーションルームには大きな暖炉があり、通された部屋もきれいで、気持ちがいい。荷物を置くとさっそく浴場へと向かったが、男女別の内湯だけではあるものの、大きな窓から木々の間に屈斜路湖が望める。浴槽には、無色澄明の源泉が掛け流しになって、静かにあふれ出していた。湯に浸かると、弱アルカリ性の柔らかな湯が肌に心地よく、のんびりと一日の汗を流して、疲れを癒した。浴後は、ほどなくして夕食となったが、食卓には、石狩鍋、ホタテ陶板焼き、にぶし団子、刺身(甘エビ・イカ・サーモン)、十勝産そば、コゴメ、ワカサギの佃煮、ギョウジャニンニク、漬物など道東産食材を使かった料理が並べられ、とても美味しくいただいた。特に、にぶし団子とギョウジャニンニクは絶品で、他では味わえないものだ。お酒も2合頼んで、酔い心地となった。食後は、部屋に戻って、テレビを見ながら、明日の旅程を考えてみたが、知床に向かって、秘湯の露天風呂巡りをしたいなどと思い描いている内に眠くなってしまった。おやすみなさい!
★仁伏温泉「湖畔の宿にぶしの里」に宿泊する。<1泊2食付 8,025円(込込)>
仁伏温泉「湖畔の宿にぶしの里」の外観 | 仁伏温泉「湖畔の宿にぶしの里」の浴室 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進
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仁伏温泉「湖畔の宿にぶしの里」の夕食 | 仁伏温泉「湖畔の宿にぶしの里」の朝食 |
*2003年9月17日(水) 川湯温泉→摩周湖→岩尾別温泉→羅臼→岩尾別温泉
・朝の散歩へ出かける
早朝宿を抜け出して、湖岸を散歩して、たくさん写真を撮った。早朝の湖はとても静かで、人一人いないし、見渡す限り自然の中で、人工物はいっさい見えない。ほんとうにすばらしい景観だ。大自然に中静かに湖水を湛える姿は、神々しいものさえあった。小一時間の散策を終えて、また一風呂浴び、その後朝食となった。
早朝の屈斜路湖 (仁伏) |
宿を出立後、まず川湯温泉「川湯公衆浴場」に立ち寄り入浴した。ここは温泉街の中にある共同浴場だが、ほんとうに地元向けの目立たない建物である。浴室に入ってみると、男女別に分かれた内湯のみだが、長方形の浴槽は、二つに仕切られて、源泉が掛け流しになっている。大きい方は、白濁して熱く、慣れないと入りづらい、しかし、pH1.6の強酸性泉は、肌を刺す感じで、そうとう効き目がありそうだ。逆に、小さい方は、透明な湯でぬるく、長時間浸かっていないと、温かみを感じないほどだ。この熱すぎの湯とぬるすぎの湯がミスマッチの用に並んでいるのが面白くて、気に入った。交互に入って、良質の湯をしっかりと味わったのだ。
★川湯温泉「川湯公衆浴場」に入浴する。<入浴料 200円>
川湯温泉「川湯公衆浴場」の外観 | 川湯温泉「川湯公衆浴場」の浴室 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・慢性皮膚病・慢性婦人病・動脈硬化症・月経障害・糖尿病
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川湯温泉観光協会の公式ホームページへ |
・硫黄山に立ち寄る
入浴後は、少し南へ走って、硫黄山に立ち寄った。ここは、川湯温泉の南側にある小高い活火山(標高512m)で、地肌がむき出しになった山塊のいたるところから、硫黄臭のする白煙が上がっている。アイヌ語ではその形状通りアトサヌプリ(裸の山)と言われているそうだ。駐車場から遊歩道で噴気地帯まで入ることができるのだが、黄色い硫黄分がこびりついていて、かつては硫黄の採掘で賑わったとのこと。写真を撮りながらぶらぶらと巡って、30分ほどで駐車場まで戻ってきた。
硫黄山の景観 |
・摩周湖を見学し、カメラに収める
それから東に向かい、摩周湖を見学したが、湖がくっきり見えたのがすばらしかった。「霧の摩周湖」といわれるくらい霧がかかることが多く、前回行ったときは全く霞んでみれなかったのだ。それが、紺碧の湖が完全に姿を現し、実にきれい!霧もなくすばらしい景色だった。摩周湖には三つの展望台があるのだが、川湯温泉から上ってきた第三展望台の次に、第一展望台へと向かった。展望台のうち最もポピュラーなのが第一展望台で、ここからの摩周湖の写真がよくガイドブックなどに掲載されている。正面にカムイヌプリ(摩周岳)、湖の中の小島がカムイシュ(中島)、遠くそびえる斜里岳などが一望できて、すばらしい景観だ。何回もカメラのシャッターを切ったのは言うまでもない。
摩周湖第三展望台からの景観 | 摩周湖第一展望台からの景観 |
その後、国道243号線に出て、東へ向かい、途中から同道へ左折し、さらに林道で山中深く分け入って、「からまつの湯」という露天風呂に入浴した。営林署の職員が、カラマツを材料にして脱衣所等を作ったことから、この名前になったと聞く。標津川の支流パウシベツ川沿い混浴露天風呂で、ほんとうに手つかずの大自然の中に立地し、清流に望んでいて、すばらしい!一応、脱衣所は男女別に分かれているものの、石造りの浴槽が一つだけで、無色透明、無臭の湯が掛け流しになっている。肌触りも良い湯で、底に敷いてある玉砂利が足裏を刺激して心地よいのだ。ゆったりと、湯に浸かって、森林浴も楽しんだ。
★「からまつの湯」に入浴する。<入浴 無料>
「からまつの湯」の外観 | 「からまつの湯」の露天風呂 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・慢性婦人病・虚弱児童
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・牧場地帯で蝶の写真を撮る
入浴後は、養老牛温泉街を通過し、知床半島に向かって、標津郊外の牧場地帯を抜けていった。周辺は、大平原が広がり、大規模な農場が点在していて、北海道らしさを感じられるところだ。何カ所かで写真を撮りながら走っていったが、野草にいろいろな蝶が群れていて、接写でカメラに収めておいた。
牧場の風景 | モンキチョウ(しろちょう科) |
国道335号線に出て、右手に根室海峡を見ながら、知床半島を北上していった。羅臼市街地からは、知床横断道方行に曲がらず、道道をまっすぐ進んで、半島先端に向かって走り、「セセキ温泉」の露天風呂に入った。「北の国から」の最終回<2002遺言>で高村吾平(唐十郎)と黒板純(吉岡秀隆)がいっしょに知床半島の海岸にある露天風呂に入るシーンがあるのだが、それがここでロケされ、かねてから入浴したいと思っていた。波打ち際にあって、干潮の前後2,3時間ほどしか入れないそうで、潮が満ちてくると波をかぶり、湯温がぬるくなって入れなくなるワイルドな天然温泉なのだ。私は、運良く干潮の2時間後くらいに行って、入浴したが、潮が満ちてきて、頭から波をかぶるような状態だった。しかし、当然混浴で、駐車場からは丸見えだし、脱衣場もないので、海岸のテトラポットのところで脱衣して、入浴しなければならなかった。入浴中は男性ばかりだったが、上がってくると入れ替わるように、若い女性2人が、水着着用で入浴しに行った。
★「セセキ温泉」の露天風呂に入浴する。<入浴 無料>
「セセキ温泉」の露天風呂 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・慢性婦人病・虚弱児童
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・「熊の穴」でドド鉄板焼定食を食べる
入浴後、知床半島のどん詰まり、羅臼側の自動車道の行き止まりにある相泊集落まで行った。天候が良ければ根室海峡を隔てて、国後島が見えるとか...。ここに「熊の穴」という店があり、トド、ヒグマ、エゾシカなどの珍味を食べさせてくれるのだ。私は、ドド鉄板焼定食を食べたのだが、少しトド肉には臭みがあるものの、秘伝のタレを付けて食べると臭みが消えて、美味しくいただける。これも、「北の国から」<2002遺言>の中で、唐十郎演じるドド打ちの名人高村吾平が出てくるのだが、トドは冬に、オホーツク海沿岸へ押し寄せる流氷に乗って現れ、昔からそれを捕獲して食用などにしているとのことだ。また、お土産用に、熊肉や鹿肉、トド肉の缶詰も売っていて、一つ買い求めていくことにした。
「熊の穴」の外観 | 「熊の穴」のドド鉄板焼定食 |
食後は、少し戻って、その海岸端にある相泊温泉の露天風呂にも入浴した。ここは、日本最東端にあたる温泉だ。この時期は、海岸に木枠で浴槽が有るだけのシンプルなもので、脱衣場もない。しかし、7月中旬から8月中旬までは、小屋がけがされ、男女別に分かれているとのこと。まさに最果ての秘湯中の秘湯と言える温泉で、なめてみると、しょっぱくて塩分味を感じる良い湯だ。しかし、湯船の底から次々と高温源泉が湧き出しているようで、そのままでは熱くて入り難いかもしれない。私は、高温浴に慣れているので、肩までは浸かったが、そう長くは入り続けられなかった。
★相泊温泉「露天風呂」に入浴する。<入浴 無料>
海岸端にある相泊温泉の露天風呂 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・慢性婦人病・虚弱児童
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その後は、羅臼町公民館に併設された郷土資料室見学後、羅臼温泉「熊の湯」にも入りに行った。知床横断道路(国道344号線)を、知床峠に向かう途中に駐車場があり、羅臼川に架かる橋を渡って、原生林の中を歩いて行くとすぐに建物が見えてくる。地元で管理している無料の露天風呂ではあるが、男女別に分かれた脱衣場がきちんとしつらえてある。川沿いの原生林に囲まれた最高のロケーションの中で入浴できるのは良いが、とにかく熱かった。湯は無色透明で、強い硫黄臭があって、いい感じなのだが、源泉温度が高いので、冷水管によるブレンドがうまくいっていないと入りがたいのだ。それでも、がまんして肩まで湯に浸かったが、肌がピリピリと刺激される。慣れてくると少しは和らぐものの、長くは入っていられなかった。
★羅臼温泉「熊の湯」に入浴する。<入浴 無料>
羅臼温泉「熊の湯」の外観 | 羅臼温泉「熊の湯」の男性露天風呂 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・慢性婦人病・虚弱児童・糖尿病
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・エゾシカと出会う
それから、知床横断道路を上っていったのだが、知床峠駐車場近くに、 エゾシカ の雄が1匹、草を食べていたので、6〜7mの所まで接近して、カメラに収めた。立派な角が目立っていた。さらに、岩尾別温泉へ向かう途中の河原に子連れの雌鹿、4匹の群がいて、シャッターを切った。雌の母親と思われる鹿が、こちらを注意深くうかがっていたのが印象的で、危害を加えそうなら、いつでも逃げられる体制と見た。
知床峠駐車場近くのエゾシカの雄 | 岩尾別温泉へ向かう途中の子連れの雌鹿 |
岩尾別温泉「ホテル地の涯」の外観 |
そして、夜は、知床半島の岩尾別温泉「ホテル地の涯」に宿を取ったが、秘湯の宿にはそぐわない鉄筋コンクリート3階建の立派なホテルで、170名ほどの収容能力がある。通された3階の部屋もきれいで、一般観光地の旅館にいるような感じだ。しかし、窓からの眺めはダイナミックで、周囲は原生林に囲まれ、大自然の中に立地しているのだ。知床の語源はアイヌ語のシリエトク「地の果てる所」とのことで、まさに地の涯てなのだ。部屋に荷物を置くと、さっそく温泉へと向かったが、ここで、ちょうど温泉入湯1,000湯の記念の入浴となった。まず、男女別の大浴場に行き、それから露天の庭園岩風呂に入った。ここで、持って行ったカメラで、「1,000湯」と書いたタオルと共に撮影してもらってメモリアルとした。その後、名物の丸太風呂にも入ったが、直径1mもの丸太をくりぬいて湯船としたもので、実にユニークだ。各種の浴槽に入って、最果ての地で入る温泉を堪能して、良い記念入浴となった。浴後しばらくして、大広間での夕食となったが、石狩鍋、刺身(甘エビ・紅サケ・イカ)、タラ、酢の物、茶碗蒸し、デザート(パイナップル・オレンジ)などが並べられ、お銚子も冷やで2本注文して、美味しくいただいた。それにしても、今日だけで、7湯に入浴して、1,000湯も達成し、気分も最高!気持ち良く酔って、部屋へと戻っていった。その後は、早目に床に就いて、眠った。
★岩尾別温泉「ホテル地の涯」に宿泊する。<1泊2食付 10,650円(込込)>
岩尾別温泉「ホテル地の涯」の庭園岩風呂 | 岩尾別温泉「ホテル地の涯」の丸太風呂 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・動脈硬化症
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岩尾別温泉「ホテル地の涯」の夕食 | 岩尾別温泉「ホテル地の涯」の朝食 |
*2003年9月18日(木) オシンコシンの滝→斜里温泉→能取湖→紋別へ
・朝、露天風呂に入る
早朝起き出して、洗面所へいったら、職場の同僚と偶然出会ったのには驚いた。同じ階に泊まっていたなんて、ほんとうにびっくりした。その後、宿を抜け出して、滝と露天風呂巡りの散策に出かけた。フロントからはヒグマが近くに出るので、あまり遠くへ行かないように言われていた。そこで、宿の前を斜めに下って、清流に出て、その上流にあるひぐまの滝までは歩くことにした。徒歩5分ほどなので、ヒグマに遭遇することはないだろうと高をくくったが、少々おっかなびっくりだ。しかし、原生林に囲まれ、風景はすばらしい。滝を見学してから、その下にあるこぢんまりとした露天風呂「滝見の湯」に入浴してみたが、ほんとうに大自然の中にあり、爽快な気分にさせてくれる。そこから、宿に戻っていくと、今度は露天風呂「三段の湯」があるが、こちらは、岩風呂が上中下と三段こなっていて、湯が流れ落ちている。ここにも入ってみたが、じつにみごとな湯なのだ。のんびり浸かってご満悦になって戻っていった。それから、朝食を取って、荷物をまとめ、出立の準備を終えた。
ひぐまの滝 | 岩尾別温泉「ホテル地の涯」の三段の湯 |
・オシンコシンの滝、知床博物館と巡る
宿を立って、国道334号線を網走方向へ走り、オシンコシンの滝へ立ち寄った。オシンコシンとはアイヌ語で「エゾマツの群生するところ」とのこと。駐車場から少し登ると、滝が見えてくるが、途中から流れが二筋に分かれていることから「双美の滝」とも呼ばれていて、なかなか迫力がある。この滝は、昔から有名で、「知床八景」のうちの一つでもあり、「日本の滝 100 選」にも選ばれている北海道を代表する滝なのだ。記念に、パチパチとシャッターを切ってカメラに収めておいた。
その後、国道をさらに走って、斜里町の中心部へ至り、「斜里町立知床博物館」を見学したが、斜里町の歴史を物語る資料が豊富に展示されていて勉強になった。特に、知床半島の動物や昆虫について展示していたのが興味深かった。
オシンコシンの滝 | 斜里町立知床博物館 |
斜里町立知床博物館の公式ホームページへ |
それから、少し西へ走って、斜里温泉「湯元館」に入浴した。「斜里町立知床博物館」の受付で聞いて、何気なく立ち寄った温泉なのだが、広い大地の中にたたずむ一軒宿だ。聞くと、敷地面積は12,000㎡(東京ドームの約1/3の広さ)あり、本館、北館、B館、西館、新館と並んでいるとのこと。本館と西館に浴室があるそうだが、本館が工事中なので、西館の風呂にはいることになった。こちらの浴室は、余り広くなくて薄暗いが、褐色の源泉が掛け流しになっている。湯に入るとぬるっとした感じがする植物性のモール泉だ。北海道では、十勝川温泉でも入ったことがあるが、全国的には希少な泉質で、その肌触りをじっくりと楽しんだ。とても心地よく、入浴でき、隠れた名湯があるものだと感心した。本館には、内湯の岩風呂と露天風呂もあるそうなので、今度来たときには、泊まりがけで、じっくり入ってみたいと思った。
★斜里温泉「湯元館」に入浴する。<入浴料 400円>
斜里温泉「湯元館」の外観 | 斜里温泉「湯元館」の西館浴室 |
| *一般的適応症(浴用) 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進 *泉質別適応症(浴用) きりきず・やけど・慢性皮膚病・動脈硬化症
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・能取湖でサンゴ草群落を見る
入浴後は、国道244号線を西に向かって走り、網走市街を通過して、能取湖に立ち寄りった。ここは、湖岸の日本一のサンゴ草群落で有名だが、私が行ったときは、一面が真っ赤に染まっていて、実に不思議な光景だ。近づいてよく見るとサンゴのような形をしている。なんか最果ての湖らしい景色のようにも思われた。その後は、国道238号線で、サロマ湖畔を経て、紋別方面へと走っていった。
能取湖のサンゴ草群落 |
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