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Mistic Goast〜幽霊の 正体見たり 枯れ○○○〜

 

 

細身の四脚AC、プレイフェアはブースターを吹かして一気に距離を詰めると、両腕部のハンドガンを撃ち込んで来る。ジャスティスロードは左腕部を盾にしてコアへの直撃を防ぎつつ、プレイフェアを回り込むようにして離脱した。さらに追撃で放たれるロケット砲を躱し、柱の影へと退避する。

「この、教科書通りながら力強い戦法……やっぱりヴァーチカルの動きだ。でも、あいつがこんな事を……テロリストに協力する筈……」

 ヴァーチカルは本社襲撃事件の時、セイルが共に戦ったレイヴンだった。ほんの一時間にも満たない邂逅だったが、その真っ直ぐな戦い方と礼儀正しい性格は今でも印象に残っている。そして、全てのレイヴンがいずれ迎えるであろう死の恐怖を、身をもって教えてくれた存在でもあった。

「ヴァーチカル、俺だ、セイルだ。聞こえてたら返事をしろ!」

 セイルはジャスティスロードを柱の陰に隠したまま、外部スピーカーでプレイフェアに問いかける。しかし当のプレイフェアは何の反応もせずに攻撃を続けていた。やがて耐衝撃処理が施されていた柱も限界が訪れ、セイルはジャスティスロードを飛び退かせる。一瞬遅れて柱と、それが支えていた天井の一部が崩れ落ちた。

「聞く耳持たないか……本当にヴァーチカルならこんな一方的な攻撃はしてこない筈。だとしたらやっぱりゴーストは……」

 ジャスティスロードはリニアライフルを放ち、プレイフェアを牽制しながら別の柱へと滑り込む。瞬間、TOBを起動したジャスティスロードは進行方向とは逆の方向へと身を躍らせていた。プレイフェアのFCSがその動きに対応しきれず、ハンドガンの射線が明後日の方向を向く。

「元々のレイヴンとは別人って事だな!」

 宙に浮いた姿勢のまま、ジャスティスロードはリニアライフルを放った。プレイフェアはそれを躱しきれず、コアに直撃させてしまう。機動力を重視する為に軽量化されたそのボディは、ジャスティスロード以上に装甲が薄い。プレイフェアはボディを大きく仰け反らせ、攻撃を中断させた。

「もし本当にあいつならと思って躊躇ったけど……その必要はなかったようだな。お前がナハティガルの一員なら容赦はしない。コクピットから引きずり出してその……」

 セイルは一瞬言葉を詰まらせる。今自分が言った言葉に違和感を覚えたのだ。その隙に体勢を立て直したプレイフェア———プレイフェア・ゴーストは、再びジャスティスロードへの攻撃を開始する。セイルはとっさにジャスティスロードを柱の陰に隠し、今の自分の言葉を反芻した。すぐに違和感の正体に気が付き、セイルは歯噛みする。

「まずった……何でこんな事を今の今まで思い出さなかったんだ?」

 

………………同時刻、クロノスシティ、コーテックス賃貸ガレージ05

「この死に損ないが、とっと地獄に帰りやがれ!」

 ハヤテはアメノカザナギを大きく飛び上がらせ、ハイレーザーライフルを連射させる。敵ACは撃ち出される光弾を蛇行して躱し、右腕部のパルスライフルを放ってきた。アメノカザナギはそれを急降下で避け、着地した瞬間に地面を蹴って敵ACに接近する。そして激突の瞬間、二体のACはブレードを発生させた左腕部をぶつけ合っていた。

「ほぅ……オレの剣に反応できるとは、腕を上げたもんだなシューティングスター」

 アメノカザナギはそのまま左腕部を振り抜き、敵AC———かつてシューティングスター使っていた機体、キングフィッシャー・ゴーストを弾き飛ばした。

シューティングスターもまた、本社襲撃事件の時に戦闘に参加したレイヴンだった。ただしそれはセイル達とは違い、コーテックスを裏切った離反レイヴンとして、である。

彼はSL事件の頃からレイヴンをしている年長者であったが、高慢な性格の割りに技術は低く、かつてアリーナでセイルと戦った時も、当時初心者だったセイルに敗北している。そして本社襲撃事件の時も、アメノカザナギに奇襲を仕掛けておきながらあっさり敗北するという醜態をさらしていた。

「あの時確かに機体を爆発させた筈だが、随分しぶてぇじゃねぇか」

 ハヤテは再びアメノカザナギを突進させた。キングフィッシャー・ゴーストはパルスライフルを放ってきたが、アメノカザナギはレーザーブレードを振るってパルスライフルのエネルギーと相殺させ、迎撃する。そしてそのまま懐に潜り込むと、パルスライフルの銃口にブレードを突き入れた。パルスライフルが爆発を起こし、キングフィッシャー・ゴーストの右腕部が吹き飛ばされる。

「セイル譲りのマズルブレイクだ。ちったぁ効いただろ」

 キングフィッシャー・ゴーストは破壊された右腕部をパージすると、背部のロケット砲を起動する。さらに再びレーザーブレードを発振させ、戦闘態勢を取った。

「やめとけ、テメェの腕とその武装じゃオレには勝てねぇよ。見逃してやるからとっとと……っ!」

 不意にアメノカザナギのディスプレイを紫色の光が覆い、コクピットに警告音が鳴り響いた。ハヤテは即座に機体を横に跳ばせるが、頭部のカメラアイを破壊されてしまう。

「…………っ」

 ハヤテは一瞬呆然としたが、すぐにコアのサブカメラを起動する。回復した視界には、ブレードを振りぬいた姿勢のキングフィッシャー・ゴーストが居た。

「野郎、まさか……」

 キングフィッシャー・ゴーストは刃を返すようにして再度ブレードを振る。その紫色の刀身からは同じく紫色の閃光が放たれ、アメノカザナギに向かっていった。アメノカザナギは眼前に構えたブレードでそれを迎撃し、キングフィッシャー・ゴーストから距離を取る。

「ブレード光波だと? あいつはPLUSじゃなかった筈だが……まぁどっちにした所で……」

 アメノカザナギは右腕部のハイレーザーライフルを左腰に添えるように持ち、前傾姿勢をとる。キングフィッシャー・ゴーストは続けてブレード光波を放ってきたが、距離が離れているうえに狙いが甘く、アメノカザナギには掠りもしない。

「オレに勝つなんざ十年早ぇ! もう一回サイレントラインで遊んで来な!!

 アメノカザナギは腰に添えていたハイレーザーライフルの巨大な銃身を、横一文字に勢いよく振りぬいた。発振機のオーバーロードによって連続照射されたレーザーは巨大な光の剣となり、周囲の壁や柱を切り裂いてキングフィッシャー・ゴーストに襲い掛かる。

 ハヤテが編み出したアメノカザナギの必殺技『ヨモツヒラサカ』を真正面から受けたキングフィッシャー・ゴーストはそのボディを一瞬にして融解させられ、倒れ伏す暇もなく爆散した。

 

………………同時刻、クロノスシティ、コーテックス賃貸ガレージ03

無数のミサイルが推進剤の尾を引いて飛翔し、施設の内壁を幾箇所も陥没させる。その爆発を横目に見つつ、アメリアはグラッジを加速させた。正面には一体のタンク型AC。全身を重厚な装甲で覆い、多数のミサイルランチャーを装備している。

「…………っ」

 グラッジはタンクACとの距離を一気に詰めるとEOを展開し、両腕部の武装と共に一斉射撃をかける。しかしタンクACはそれを物ともせずに受けきると、機体を旋回させてグラッジの方に向き直り、再び大量のミサイルを発射した。

「……ふん」

 アメリアは無表情のまま鼻を鳴らすと、グラッジとリンクしている自分の神経を通して指示を送った。するとグラッジが左腕部から放ったグレネードが射出後すぐに爆発し、周囲に大量の榴弾を撒き散らす。タンクACのミサイルは榴弾の雨によって一つ残らず迎撃され、グラッジは何事も無かったかのように攻撃を再開した。

 彼女のような生体強化型のPLUSは、このように自身とACを神経的にリンクさせる事でACを自分の体の一部として扱う事が出来る。搭乗者の思考がタイムラグ無しで機体の行動に反映されるこの仕組みにより、生体PLUSは秒にも満たない時間で一つの行動を起こせるのである。

『レイヴン、確認が取れました』

 その時、彼女のオペレーターから通信が入った。アメリアはディスプレイを注視したままそれに返答する。

「どうだった?」

『以前地方の支社に登録されていたレイヴンです。SL事件後の戦闘で死亡が確認され、既に登録抹消されています』

「ゴースト……と言う事ね」

『俗説的な言葉を借りるなら、その通りです』

「……ありがとう」

 アメリアは意識一つで通信を切ると、タンクACへの攻撃を続行した。至近距離からの集中砲火によってタンクACの分厚い装甲にも限界が来はじめている。対するグラッジは先程ミサイルを迎撃した時に自分が放ったグレネードの榴弾を数発受けただけで、ほぼ無傷に近い状態だった。

これがアメリア———かつて復讐鬼として恐れられたレイヴン、カラードネイルの戦法である。相手の機体にピッタリと張り付いて至近距離から強力な攻撃を撃ちこみ、反撃のスキを与えずに叩き潰す。彼女はこの戦法により、ごく短期間でアリーナの上位へと食い込んだのだった。

(ゴーストと言っても、他のACと何が変わる訳でもない。このまま…………っ!?)

 不意に自身の感覚に新たな要素が入り込み、アメリアは攻撃を中止してグラッジを飛び退かせる。その足先で爆発が巻き起こった。

「…………チッ」

 アメリアは舌打ちをすると、乱入してきた存在を睨みつける。そこには一体の逆関節ACが居た。こちらもかなりの重装甲で、大型のグレネードランチャーを背負っている。

「オペレーター、この機体は?」

『……おそらく、一つ余っていた施設を制圧してきた機体でしょう』

「向こうはACを五機も投入してきたというのか? これ程の戦力をどうやって……」

『わかりません……戦況が不利なら無理に交戦する必要はありませんが?』

「いえ、このまま戦闘を継続するわ。両機を撃破しだい、帰還する」

『……了解しました』

 アメリアは通信を切ると、参戦してきた逆関節ACに攻撃を開始した。逆関節ACは高く飛び上がってそれを躱し、武器腕のマシンガンを放ってくる。瞬時に形成される弾幕を避け、グラッジはブーストダッシュで後退した。

(腕は中堅クラスと言ったところ……マシンガンを露払いに、主砲のグレネードを……)

 敵の戦力を一瞬で分析し、アメリアは攻勢に出た。左右に大きく動いて逆関節ACのFCSを混乱させ、一気に距離を詰める。逆関節ACはジャンプして離脱しようとするが、動きを予測していたアメリアは即座にブースターを吹かし、グラッジを浮遊させた。同時に横合いから放たれたタンクACのミサイルを回避し、攻撃を開始する。

「…………っ」

 右腕部のバズーカ、左腕部のハンドグレネード、さらにEOのマシンガンが次々に火を噴き、逆関節ACの装甲を打ち据える。逆関節ACは離脱しようとブースターを吹かすが、被弾による反動でバランスを崩され、姿勢を制御するのが精一杯だった。

(問題ない……下半身はともかく武器腕は軽装甲、このまま……っ!)

 アメリアの感覚空間にまたも異物が入り込む。背後に回りこんだタンクACが再びミサイルを放ったのだ。アメリアはグラッジを逆関節ACの方に向けたまま、感覚だけでミサイルの数と位置を把握すると左腕を後ろに向けてグレネードを放った。撒き散らされる榴弾がまたも全てのミサイルを迎撃する。

(…………っ!)

 しかし一瞬攻撃がゆるんだその隙に、逆関節ACはさらに上方へと離脱してしまっていた。逆にグラッジはジェネレーター内のエネルギーが限界を向かえ、落下していく。そのグラッジに向けて、逆関節ACはグレネードランチャーを構えていた。

「なっ!!

 爆発、さらに落下音。グラッジは半ば激突するように着地すると、脚底部を接地させて慣性を押し殺した。とっさに防御の姿勢をとったせいでコアへの直撃は免れたが、コアを守った右腕部は肘から先が吹き飛んでいる。アメリアは素早く右腕部をパージすると機体を最適化した。APがかなり減少し、機体温度も大きく上昇している。

「くっ…………?」

 アメリアは鳴り響くアラートに苛立ちを覚えたが、同時に別の感覚に意識が向く。その感覚から瞬時に取るべき行動を割り出したアメリアは、ダメージの抜け切らないグラッジを無理矢理飛び上がらせていた。強烈なGを目を細めるだけで耐え、上方の逆関節ACを凝視する。排熱と再装填が終わったグレネードランチャーが、再びグラッジを狙っていた。

「…………っ」

 再び放たれる破壊の剛弾。しかしアメリアはそれが放たれるより一瞬早く、グラッジのブースターを吹かしていた。グレネードの射線から直角に、地面に向かって空を蹴るように移動したグラッジは、膝を曲げながら低い姿勢で着地する。その背後で、またも死角に回り込もうとしていたタンクACがグレネードの直撃を受けていた。関節部分から紫電が弾け、薄煙を吐きながら機体が沈黙する。

「っ…………あの機体……いえ、ひょっとしたらゴーストの機体全てがPLUS専用機なの? じゃあ搭乗者は……」

『ジャスティスロードより全機! その機体は無人だ。頭部パーツを狙え!』

 突然の無線により、アメリアは思考を中断される。またも襲い来るマシンガンの雨をとっさの円運動で躱し、アメリアはジャスティスロードとの回線を開いた。

「こちらグラッジ。セイル? 今言った事は間違いないの?」

 

………………同時刻、クロノスシティ、コーテックス賃貸ガレージ02

「ああ、間違いない。前にゴーストと戦った時、コクピットを破壊しても動いてたのに頭部を破壊したら停止した。こいつらは通常の無人ACと同じ、頭部のコンピューターで直接機体をコントロールしてる……今確認した。やっぱりコクピットは無人だ」

 セイルはアメリアの問いに答えつつ、目のピントを調節して網膜に投影される景色をズームした。そこには頭部を破壊され、機能停止したプレイフェア・ゴーストが映っている。レーザーブレードで切開されたコアからは輪切りにされたコクピットシリンダーが覗いており、無人のコクピットシートを晒していた。

「今になって思い出すなんて馬鹿げてるけど、結局のところゴーストは無人機だ。頭部さえ破壊すれば動かなくなる。他二人も、聞こえてるか?」

『…………こちらフェアリーテール。今頭部を狙ってみたけど……やっぱりそうね、機能を停止したわ』

『遅ぇよセイル。こっちはもう終わっちまったっての』

 スキウレとハヤテからもそれぞれ応答が届く。共に戦闘を終わらせたようだった。セイルはプレイフェア・ゴーストの残骸から施設の出口へと視線を移し、ジャスティスロードを移動させる。

「アメリアは? そっちはどうだ?」

『今交戦中、じきに終わるわ』

「……大丈夫か? 敵ACは全部で五機現れたって聞いたけど……」

『……流石に察しが良いね。でも…………大丈夫。一機はもう片付いてる』

「……分かった」

 セイルは通信を切ると、施設の入り口でジャスティスロードを停止させる。視界の隅にあるレーダーには接近してくるいくつかの光点が映っていた。

 

………………同時刻、クロノスシティ、コーテックス賃貸ガレージ03

機体の脇を掠めていくグレネードを横目に、アメリアは逆関節ACを追撃していた。逆関節ACはマシンガンで弾幕を張りつつ、後ずさるようにブーストダッシュしている。

グラッジはそれほど最高速度に優れていないため、積極的に攻めてこない敵に対してはいつもの戦法を使うことが出来ない。さらに今は右腕を失っている為。ただでさえ少ない攻撃手段がさらに減少してしまっていた。

(いいかげんこの機体も限界か……一度アセンブルを組み直さないと……)

 そう思いつつ、アメリアは追撃を続ける。逆関節ACは狭い施設の中で次第に追い詰められ、隅の方に追いやられていた。

(そろそろか……)

 アメリアはグラッジを加速させ、正面から逆関節ACに接近する。それを見た逆関節ACは武装をグレーネードに切り替え、発射した。完全に補足されていたグラッジにそれを躱す手段は無く。砲弾は一直線にグラッジのコアへと向かっていく。

「……ふ」

 しかし、グレネードは命中する寸前で爆発し、グラッジは直撃を免れる。アメリアが神経接続によってコアの迎撃機銃をマニュアルでコントロールし、迎撃したのだった。傷つきながらも榴弾の雨を潜り抜け、グラッジは逆関節ACに肉薄する。逆関節ACはとっさに腕部を交差させて防御するが、次の瞬間には頭部にハンドグレネードの直撃を受けていた。

(…………?)

 逆関節ACのボディが力を失い、仰向けに転倒する。アメリアは一瞬怪訝な表情をしたが、すぐにオペレーターに通信を入れた。

「敵ACを撃破、これより帰還する……結局ミッションは失敗なの?」

『そうですね。施設自体は奪還できましたが、目標だった敵兵士の確保は出来ませんでした。他の施設も…………待ってください』

 オペレーターの声が遠くなり、別の声が混じって聞こえてくる。どうやら誰かと話をしているようだった。その時、別の周波数で通信が入る。オペレーターがまだ戻って来そうにないのを確認し、アメリアは周波数を切り替えた。

『アメリア、お疲れ様』

 通信を入れてきたのはセイルだった。アメリアは一瞬反応を遅らせたが、すぐに応答する。

「お疲れ様セイル。でも残念だけど、ミッションは失敗みたいね」

 アメリアの声からは僅かながら落胆の色が窺えた。

 無理も無い。このミッションは、コーテックスだけではなくセイルにとっても重要な意味を持っていたのだ。敵兵を確保することが出来れば、ナハティガルに対する情報が手に入る。

 それはオペレーターを通じて、僅かながらセイルの元にも届いていただろう。しかし予期せぬゴーストの乱入によって敵兵を逃がしてしまい。ミッションは失敗に終わってしまった。

『気を落とすなよ。別にアメリアが直接損をする訳じゃないし、予想外の事態にも関わらず全員無事だったのは幸いだった。それに…………別にミッションが失敗したわけじゃないしな』

 

………………同時刻、クロノスシティ、コーテックス賃貸ガレージ02

『どういう事? 敵兵は全員逃がしてしまったんじゃ……』

「そうなんだけどさ、俺、戦闘中に施設内の扉を破壊して何人かをコントロールルームに閉じ込めてたんだよ。ゴーストを倒したらすぐにコーテックスに連絡入れて部隊をまわしてもらったから…………っと、これでいいか?」

「OKだレイヴン、協力に感謝する」

 ジャスティスロードがこじ開けた扉の中に、パワードスーツを着た歩兵たちが入っていく。その傍らや施設の周囲にはコーテックスのエンブレムをつけたMTが配置され、周囲を警戒していた。セイルはジャスティスロードを立ち上がらせると会話を再開する。

「そういう訳で、じきにレナやケイローン経由で情報が入ると思うからさ。また集まって会議でもしよう。新しい協力者も紹介したいし……じゃあな」

 セイルは通信を切ると、ヘルメットを外してシートにもたれかかった。ふと、今言った新しい協力者の事が頭に浮かんでくる。その、あまり人付き合いがうまく無さそうな仏頂面を思い出し、セイルはコクピットの中で一人微笑した。

 

 

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