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Jetstarで札幌に行ってみる〜〜そのⅡ

GK115便に搭乗





■Jetstarで札幌に行くには

 平成24(2012)年末現在、Jetstar 成田−千歳便は日に 3往復しか設定されていない。朝昼(夕)晩の 3往復というと、あたかも地方ローカル交通の如き趣さえある。一機だけで回す機織ダイヤというわけではなく、何故敢えて融通がきかないダイヤにしているか、意図がわかりにくい。

 朝の便は成田発 6時25分。千歳着 8時05分は至便である一方、成田出発がかなり厳しい時刻だ。朝のアクセスは羽田とは比較にならないほど成田は不便であるうえに、搭乗受付の締切は他キャリアよりも早いのだ。これに間に合わせるためには、成田に前泊するか、早朝・未明からクルマを飛ばすか、どちらかの選択となる。トランジットならば成田前泊を厭わないにしても、首都圏住民にとっては両者とも富裕層の選択肢であり、LCCにはマッチしそうにない。

Jetstar
成田空港で搭乗中のJetstar GK115便


 夕の便は成田発15時25分で千歳着は17時05分。札幌に泊まるだけならばこの便でも用は足りるが、到着したその日は何も出来ないに等しい。

 よって筆者が選んだのは昼の便、成田発12時30分→千歳着14時10分の GK115便となった。実は GK115便に搭乗したところで、札幌到着は早くとも15時を回ってしまい、就業時間はほぼ費えているのが実態である。筆者参加の会合は夕刻開始のため間に合ったとはいえ、一般的な所用では Jetstarは選択肢になりにくい。運行本数が少なく利用しにくい点は、現時点におけるLCCの課題の一つ、と認識しておかなければなるまい。





■受付から搭乗まで

 Jetstar 窓口までの案内は、オレンジ色が目に鮮やかで、見失う懸念はなかった。それでも不安心理を持つ利用者はいるようで、経路を尋ねている方もいた。筆者においても、歩いていくにつれ「遠い」という印象が際立ってきた。階段を上がり更に細まった通路を進むことから、物理的な距離は大差ないにせよ、心理的には「遠くまで歩かされている」感覚が湧いてくるようだ。

 たっぷり 5分以上は歩いただろうか。ようやく Jetstarの窓口が見えてきた。オレンジが目立つ一方、簡素を通り越し素寒貧と呼ぶべき造作である。こういう部分に注力しないのがLCCの特色か。さっそく自動チェックイン機で手続きしてみる。JAL・ANAのものと比べ、やや扱いにくい感じがする。その一方、一度の手続で帰路のチケットまで同時出力された点は優れている。

Jetstar
成田空港のJetstar窓口


 受付完了時点で11時を少し回ったばかり。行程にたっぷり余裕を見込んでいたことから、搭乗時刻まであと一時間近く残っている。早めの昼食をとるにあたり、Jetstar 受付窓口近傍の供食はかなり貧弱そうだと見て取れる。コンビニおにぎりで腹を満たすのでは情けない。ここは国際線ターミナルまで移動して、やや高めでも満足できる昼食をとることにしよう。

 おいしいメンチカツカレーをいただき、札幌に明日の予定を連絡すると、すぐに12時だ。さっそく搭乗口に並んでみる。話に聞いたとおりのバス搭乗で、LCCはまだ疎外されていると認識せざるをえない断面である。

Jetstar
成田空港で搭乗中のJetstar GK115便


 飛行機を間近に見られるバス搭乗は、筆者個人の感覚ではなんとも楽しいイベントで、童心の如く素直にワクワクする。しかし、それは筆者が健常な利用者ゆえにいえることであって、例えば足に負傷しているならばタラップは難所のバリアとして立ちはだかるはずだ。LCCが一般的な選択肢に育っていくためには、ボーディング・ブリッジ常用は必須条件である。

 機内に入り指定された席に着席する。筆者は実は昨年度、出張先の某国でLCCに搭乗している。その際、シートピッチのあまりの狭さに閉口した記憶がある。前席と自席とに圧迫される感覚は快適にはほど遠く、その苦行の再来を懸念していたのだが、Jetstar には相応の余裕があった。A320で30列。前述の寿司詰めを狙わなかったあたり、日本らしいサービスが提供されているといえるかもしれない。





■GK115便の空中散歩

 着席してぼんやりと出発を待つ。 GK115便が動き出したのは定刻過ぎの12時35分。そこから先がまた長かった。離陸待ちの渋滞につかまったようだ。ついうとうと眠りに落ちてしまう。軽い衝撃に目覚めると、まさに離陸の瞬間。時計を見ると12時55分であった。

Jetstar
Jetstar GK115便から遠望した富士山


 成田からどのように飛び立ったか、方向感覚がよくわからない。ふと窓外をうかがうと、富士山が遠望できるではないか。成田から千歳に向かう便で富士山が見えるとは意外で、雪化粧した姿も美しく、思わず撮影してしまった。

 地上に視線を移すと、幾筋かの川の流れが見えた。飛行時点では、利根川に沿って飛び江戸川が遠くに見えていると思いこんでいたが、違った。後ほど地図を照合したところ、遠くの大河こそが利根川で、画面左隅の三日月湖(常総市吉野付近)は小貝川、その間を流れているのは鬼怒川だった。 GK115便は筑波山南麓から西ないし西北方向に向け飛んでいたことになる。

Jetstar
Jetstar GK115便から遠望した富士山


 渡良瀬遊水池が見えたところで GK115便は右旋回しつつ高度を上げ、地上の様子は見えなくなった。千歳到着まではまだ時間がかかる。機内の様子を観察することにしよう。

 席はほぼ埋まっていた。30列は 6席全て、29列は 2席空きがあるなど、満席でないとはいえ、 180席に対する搭乗率は90%を少し超すというところか。客層は、背広にネクタイの業務系利用者は筆者含め数名にとどまり、圧倒的多数をカジュアルな格好の観光・私用系利用者が占めている。しかも、外国人の率がかなり高い。国際線からトランジットしてきた利用者が相当数いると見受ける。

Jetstar
飛行中のJetstar GK115便機内の様子


 就航から間がない新規路線が選択されたという事実から、Jetstar には外国人観光客のアンテナに引っ掛かるだけの何かがある、と考えなければなるまい。カンタス・グループのブランド力があるゆえなのか、 Web空間のプラットフォームがグローバルなもの(※)だからなのか。

※Jetstar のチケット申込はインターネット経由が基本である。このホームページの造作は日本的センスから遠く、筆者には使いやすいものとはいえず、JAL・ANAホームページのチケット申込と比べ倍近い時間を要してしまった。しかし、筆者ら日本人にとっての使いやすさと、外国人にとっての使いやすさが一致するとは限らない。アクセスしやすく利用しやすい環境があるからこそ、外国人客が多かったと考えるべきであろう。

 飲食有料という条件は予め知っており、それゆえ早めの昼食をとったわけで、機内での買物は避けるつもりでいた。ところがCAがサンタの扮装で登場したため、ついうっかり転向しかけてしまった(^^)ゞ。かような小細工は当然ながら販売促進の一環であって、先行航空会社との差別化を図るLCCらしさが出ている断面といえよう。それにしても、写真を撮りそこなったのは残念至極(^^)ゞ。





■北海道到着

 新千歳空港に GK115便が着陸したのは14時15分。降機したのは14時25分。定時より15分ほど遅れたようだ。新千歳空港ではボーディング・ブリッジが利用でき、寒気のなか率直に助かる。ただし、Jetstar はターミナルビルの端っこをあてがわれており、JRの駅に着くまでがまた遠い。予想どおりとはいえ、こうも不遇が続くと嫌気がさしてくる。

Jetstar
新千歳空港に到着したJetstar GK115便


 JR新千歳空港駅に到着し、「エアポート 147号」uシートに着席する。新千歳空港発時刻は14時49分、やや間延びした感は否めない。JAL・ANAであれば先発「エアポート」に間に合ったかもしれない、という思いもよぎる。

快速エアポート
新札幌に到着した快速「エアポート 147号」


 本日の所用の都合より、新札幌にて快速「エアポート 147号」を降車した。降車は定刻15時16分、このまま乗り通せば札幌到着は15時25分となる。Jetstar を使う限り、札幌での活動開始は最速でも 3時半がいいところだと、身を以て実感した次第。





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