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Jetstarで札幌に行ってみる〜〜そのⅣ

今度はGK113便に搭乗





■成田空港まで未明のバスに乗る

 本シリーズを仕上げる前に平成25(2013)年度に入り、札幌まで往復することになった。私用で行くことから、費用を最小化し、かつ札幌滞在時間を最大化したいという動機づけが働く。その点、 Jetstarには早朝便があるため、好適な選択肢となりえるはずである。

 ただし、選択するには問題もある。離陸する時刻がいささか早く、しかもチェックインの締切時刻も他キャリアと比べて早めに設定されているため、公共交通機関の始発を利用しても、間に合わない可能性があるのだ。前の記事では「成田に前泊するか、早朝・未明からクルマを飛ばすか、どちらかの選択となる」と記した課題を如何に解決するか。毎日運行便の出発時刻は 7時10分に繰り下がっているから、ハードルもまた下がっている。

 時刻表のうえでは、自宅からタクシーに乗り、田端発の京浜東北線始発から東京で総武快速線始発に乗り換えれば、間に合うと考えられる。……はず……なのだが、確信を持てない。なにしろ成田空港での電車到着からチェックイン締切まで10分しかない。徒歩移動に必要な時間はおよそ 5分。何かに引っ掛かれば、間に合わなくなる懸念が残る。

 札幌往復は今後もありえることから、今回は安全策を採り、京成バスの東京シャトルを第一候補とした。しかし筆者は迂闊だった。東京シャトルは事前予約が基本で、自由席では着席どころか乗車そのものが必ずしも保証されないと気づいたのは、予約締切後の時刻であった。まさに後の祭り。幸い、東京駅八重洲口発 1時30分と 2時の二便があるから、両方とも乗れないことはないだろうと、努めて楽観的に考えた。

 ちなみに、自宅からタクシーに乗り、高砂から京成電車始発に乗っても間に合う。とはいえ、高砂までのタクシー料金は田端・西日暮里までの倍以上を要しかねず、何のためにLCCを選択したか、という話になりかねない。そのため、身を削るつもりで敢えて夜行アクセスに挑んでみた次第。

舎人ライナー
筆者が乗車した日暮里・舎人ライナーの時刻表示(終電一本前)
平成25(2013)年撮影


 自宅で仮眠をとり、日付が変わってから日暮里・舎人ライナーに乗車する。この時間帯の上りに乗車するのは初めてである。東京駅八重洲口に到着したのは0:40頃。既に先客が 7名もいる。このぶんでは、1:30便に乗車できるかどうか、かなり怪しい。

 列に並んだ早々、「成田空港」との行先を掲げたバスが到着する。まだ早い時刻なのにといぶかしく思ったところ、同じ京成バスでも深夜急行、即ち成田空港へのアクセス利用よりも深夜の退勤者を主たるターゲットとする便であった。運賃は東京シャトル自由席の倍額 2,000円と高いため一瞬躊躇したものの、車内の様子は空席多数。これが決断材料になった。確実に乗車できるうえ、少なくとも40分以上の行列を回避できることから、安全策として選択した。

 行列を離れ、深夜急行に乗車した利用者は、筆者一人だけだった。観光客風の若い女性が乗りかかったが、運賃を聞いて引き返した。この判断基準は個人の属性によるところが大きいだろう。筆者にしても、もし深夜急行車内が混んでいたならば、寒さを押して行列を続けていたところだ。





■京成バス深夜急行

 東京駅八重洲口出発は 0時50分。先客は13名、筆者が加わり14名乗車で走り出す。以降の乗降状況については、箇条書で記していこう。

   0:50 東京駅八重洲口出発(1名(筆者)乗車・合計14名)
   1:12 西船橋駅到着(降車なし・ 8名乗車)
   1:15 西船橋駅出発(合計22名)
   1:29 馬込沢駅到着    (2名降車)
   1:31 二和道到着     (1名降車)
   1:33 鎌ヶ谷大仏駅到着  (3名降車)
   1:42 西白井駅到着    (3名降車)
   1:49 白井駅到着     (4名降車)
   1:59 千葉NT中央駅到着 (2名降車)
   2:09 三丁目南到着    (1名降車)
   2:10 原到着       (1名降車)
   2:11 印西牧の原駅到着  (1名降車)
   2:37 成田税務署前到着  (1名降車)
   2:40 JR成田駅到着   (降車なし)
   2:45 京成成田駅到着   (1名降車)
      <路傍に停車して時間調整>
   3:25 セキュリティ・チェック・ゲート通過
   3:30 成田空港第Ⅱターミナル到着(筆者含め 2名降車)

深夜急行
筆者が乗車した京成バス深夜急行(成田空港にて)


 深夜急行の車種はトイレ付で、多少呑み過ぎて乗車しても安心である。運賃は乗車時に行先を申告して先払い。申告のない停留所は通過する。また、うっかり寝込んだままでも運転手が起こしてくれるから、乗り過ごしの心配もないほどの手厚い対応といえる(実際に途中で二名の方が起こされていた)。

 京葉道が空いている限り、西船橋まではかなり速く着ける、というのが率直な印象だ。ただし、西船橋から千葉ニュータウンまでは小一時間を要しており、実距離も相当あると感じざるをえなかった。

 成田市内での到着時刻は 3時前というところ。確保できる睡眠時間は短いから、都心泊とどちらを選ぶかは個人の状況次第であろう。





■早朝の成田空港からGK113便に

 次回の利用に備え、鉄道駅改札から Jetstarカウンターまでの所要時間を実測しておく。ゆっくり歩いて 5分ジャスト。次回の選択肢がほぼ決まった。

 時間は充分すぎるほどあるから、昼間の行動に備えて、待合室のソファで仮眠をとっておく。もっとも、旅の途中とあっては落ち着いて眠れない。 5時には目が覚めてしまう。起きるにはまだ早くとも、 GK113便のチェックイン開始時刻が近い。手続に赴いたところ、利用者が三々五々集まっていたのには驚いた。冷静に考えてみれば GK113便より早く出発する便もある以上、成田空港の朝は既に動き出しているというわけだ。

成田空港
成田空港のJetstarカウンター
(撮影は帰路<翌日午後>だが早朝でも状況は似たようなもの)


 成田空港では相変わらずのバス搭乗。チェックイン締切時刻ちょうどに先発バスが出発したので、早朝アクセス状況の「やぶにらみ」を試みる。チェックイン締切時刻の 5分後以降に駆けこんできた利用者はおよそ20名。彼らはおそらく総武快速線始発電車から乗りこんできたものと推察できる。次回は筆者自身が試してみよう。

 搭乗は順調に進み、 GK113便は定刻に動き出す。出発を待つLCC機体を横目に見つつ、滑走路に向かう。離陸待ちの渋滞に巻きこまれることもなく、 7時15分に離陸した。これはかなり早い。

成田空港
LCC機体@成田空港


 機内にはまとまった空席が目立つものの、均してみれば八割前後は乗っている感じだ。もう一点付け加えると、スーツ姿のビジネス系利用者がそれなりにいる。四捨五入すれば十名に届く一桁、というところか。出発地が成田空港で、出発時刻が早いから、閑古鳥が鳴く状況もありえるというのが筆者の事前想定だった。あに図らんや、かなり利用されているというのが、率直な実感である。

 詰まるところ、始発電車が接続しようがしまいが、当該便に効用を見出す利用者はその便を選択するという、ごく単純明快な断面を筆者は経験したことになる。前泊する、バス未明便に乗る、マイカーで乗りつける……という違いはあっても、それは各利用者が認識する当該便利用の効用に応じてアクセス手段が分布するにすぎない、と考えられる。羽田空港発の早朝便にも同じことがいえるのではないか。

 ちなみに筆者の感覚。当日の所用は成立したものの、翌日の疲労がかなり大きかったので、未明バス利用は次回以降避けるつもりでいる。この筆者個人の価値判断と、未明バスそのものの価値とは、必ずしも関連しない。この点、交通論において混同されがちなので、敢えて記しておく。

 同じことの繰り返しになるので、帰路便(翌日のGK112便) の記述は控えておく。概略まとめておくと、搭乗率は八割前後の高率、台湾を主とする外国からの観光客が利用者の多くを占め、ビジネス系利用者も二桁に近い数だった、即ち今まで記してきた GK113便と同様の状況だったことを付記しておく。





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