このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





Jetstarで札幌に行ってみる〜〜そのⅤ

サマリー(前編)〜〜敢えて選択し続けた理由





■筆者のJetstar選択理由

 筆者が Jetstarを敢えて選択し続けた理由は下記三点に要約される。

  ・旅費を節約したかった
  ・新サービスのLCCを実体験したかった
  ・空港までのアクセスが便利





■旅費の低廉化

 第一点の要素はいうまでもなく重要である。時期により多少の変動が伴うものの、東京(足立区)−札幌間の往復旅費合計が 2万円を切るというのは大きい。 2万円というと、大手キャリア前割での片道旅費、Air DOや Skymarkの正規片道旅費にほぼ相当する。

 これらと比べれば、Jetstar の運賃は圧倒的に安く、スカイライナーを利用してもそれ以上の効用があると認められる。

Jetstar
安さが魅力のJetstar


 さらに低廉な宿泊費のホテルを確保すれば、二泊三日札幌往復旅行の旅費・宿泊費合計が 3万円を切ることもありえる。かつては5〜6万円が標準だったところ、旅費の低廉化は利用者にとって効用・魅力が大きいと考えなければならない。

 観光・私用目的の場合、利用者にとって旅費・宿泊費はことさら切実である。 Jetstarは低廉な交通手段の選択肢を用意したという意味において、重要な意味を持つ。





■仕事目的では厳しい

 ただし、いくら運賃低廉であろうとも、それだけが交通手段の選択要因になるわけではない。現状で仕事目的でLCCを利用する層がどれほどいるかと問われれば、甚だ疑問といわなければなるまい。

 筆者にしても、単に低廉なだけで利用してみたわけではない。LCCという新しい交通サービスがどれくらい魅力あるのか、実体験してみたかった点が大きく効いている。

Jetstar
飛行中のJetstar GK115便機内の様子


 LCCを仕事目的で利用するにあたっては、運行本数が少ない点が最も厳しいだろう。大手キャリアが毎時一本は飛んでいるのに、LCCは日に僅か数本しか運行されていない。即ち、利用者がLCCを選択できる時間帯は限定されることを意味する。現状のLCCは時間を犠牲にして低廉運賃を実現しているようなもので、時間を無駄に出来ない利用者にとっては選択しにくい。

 筆者が搭乗便で実見した限りでは、満席に近い状況でも仕事目的利用者はたかだか十名前後の人数しか見出せなかった。利用者の大半は観光目的と見受けられ、しかも外国からの観光客が多い様子だった(豪州・台湾などが発地らしい)。Jetstar の早朝・深夜便に関しては、一日を有効に活用出来るという意味において、実は観光客のニーズに良く合致しているから、盛況も当然と考えなければなるまい。

深夜急行
筆者が乗車した京成バス深夜急行(成田空港にて)


 現実問題として、 Jetstar早朝便の搭乗はかなり辛い。この早朝便は札幌着時刻が早く、運賃も一日のなかで相対的に安く、際立って効用が高いと認められる。その一方で、バスアクセスが未明・早朝便になることから肉体的疲労が厳しく、これと比較考量したうえでの選択となる。

 そして、 GK113便には席の八割が埋まるほどの利用者がいたわけだ。アクセスの不便をものともせずに、札幌着時刻の早さ、運賃の安さに効用を見出した利用者がこれほど存在する事実は重い。

 筆者自身に関していえば、今後 GK113便に搭乗するならば、未明便によるバスアクセスだけは避ける。あんな苦行はたった一度の経験でも充分すぎる(苦笑)。それでも、 4時自宅発で田端から京浜東北線始発に乗りさえすれば、総武快速線始発への乗換で間に合うことがわかったから、 GK113便には利用価値があるのだ。





■空港アクセス

 これは人それぞれだろう。日暮里・舎人ライナー沿線住民の筆者にとって、日暮里発着のスカイライナーはありがたい交通機関だ。筆者から見れば、成田空港は必ずしも遠くはない。うまく接続すれば90分程度で着いてしまうので、時間距離は羽田空港とほぼ同等だ。

Skyliner
160km/h走行中と思われるスカイライナー(成田湯川にて)


 しかしながら、成田にせよ羽田にせよ、首都圏における空港立地は偏している。筆者の恵まれた地理的条件を全利用者にあてはめるわけにはいかない。横浜市民にとって成田はかなり遠いし、さいたま市民にとって羽田はじゅうぶん遠い。これは各利用者の居住地によって決まってくる部分だ。





■LCCには総合的な魅力があるか?

 詰まるところ、筆者の興味はこの点に尽きる。LCCは、Jetstar は、安いだけの徒花に終わるのか、それとも交通サービスの主役になりうるかどうか、見極めたかったのだ。自称「鉄道ナショナリスト」の筆者にしてみれば「敵情視察」のようなもの。その結論を先に示そう。

  ●LCCは今のところ観光目的など限定的な利用にとどまる。
  ●ただし、将来大化けし、遠距離交通の主役になる可能性がある。
  ●そうなるためには、大手キャリアになんらかの決断を要する。

 何故このように結論するか。理由は次章に記そう。





先に進む

元に戻る





このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください