このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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そのⅤ 小川高校下(キハ431)鉾田(前編)
鉾田行キハ431 がやってくる。緑色に塗られた車両で、趣味的には幸運とすべきところなのかもしれない。しかし、実はとんでもない不運であることがすぐわかってしまった。乗り心地があまりにも悪いのである。特に縦揺れがひどすぎる。軌道の整備状況は必ずしも悪くない様子だし、先ほど乗車したキハ432 の乗り心地が決して悪くはなかったから、原因は台車の整備状況あるいは老朽劣化に求めるべきであろう。ともあれ、とんでもない縦揺れは閉口もので、車体のきしむ音が「ヘキエキ辟易」と聞こえてくる。当然ながら、旅情を味わうどころではない。こんな車両を「よい」と肯定できる方はマゾヒストである、と断定しきっても差し支えあるまい。
常陸小川−小川高校下間を走るキハ431
TAKA様はたいへん多忙な方で、キハ431 車中にもたびたび携帯電話がかかってきていた。ここで、筆者のすぐ隣で通話されても(しかも大声で)、まったく気にならかった事実は大きい。キハ431 車中の騒音レベルはそれほどひどいわけで、縦揺れもさることながら、今日的基準に合致しない車両と評するしかない。廃線間際の趣味的観点に配慮していると一応理解できるものの、日常の利用者に過酷な乗り心地を強要している面は否定できない。かように老朽劣化著しい車両を今まで存置してきたことは、サービスが低水準にとどまるのみならず、実はコスト増加要因でもあることから、鹿島鉄道の経営姿勢には大きな問題が含まれているといわなければなるまい。
列車は霞ヶ浦にほど近い桃浦に到着する。桃浦は交換駅であり、先に記した点とあわせ考えてみれば、鹿島鉄道の経営姿勢には気になる疑問点が多すぎる。需要が明白に段落ちする常陸小川以東の区間に多くの交換駅がある(桃浦・玉造町・榎本・巴川)点は、どのように理解すればいいのだろう。小湊鉄道の上総牛久以南が一閉塞であることと比べれば、あまりにも対照的というしかない。
霞ヶ浦の湖畔に沿って列車は進む。湖に張り出す尾根を巻くように坂を上ると、深山の如き雰囲気に包まれ、その頂が八木蒔になる。尾根の先端は湖面に迫り出す格好だ。このような地形から按ずるに、もともと海にいくつかの島が浮かぶなか、島々を結ぶ浅瀬が時を追って陸となり、今の関東平野になったのではないかと連想されてならない。してみると霞ヶ浦はその昔、大きな入江の一つだったのかもしれない。さて、八木蒔は一面一線の無人駅で、縦書表示の時刻表がずいぶん時代がかって見える。
坂を駆け下ると再び霞ヶ浦湖畔を走り、すぐ浜に至る。
八木蒔駅の時刻表
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