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オサ狂 高麗編



この日は、センターリスニング(11/15.16付日記参照)がある。
というわけで、午前中はフリーなのである。最近、どうも土日は寝過ごして無駄に過ごしているので、
3時におきて虫とりに行こうという魂胆である。
そろそろ寒くなり、オサムシも冬篭りを始める頃だ。そんなわけで、飯能を目指す。
(今回は、採集に関して詳述しますので、経路などは 16日の日記 をご参照ください。)
目的の高麗駅に着き、外に降り立つと非常に寒い。雨もパラパラ。先が思いやられる。

まず、巾着田を目指す。地形図を見る限りでは、河畔林が発達しているものと思われたが、そこはヒガンバナの群生地と全く被っており、中に立ち入ることすら許されない。20081116.jpg.jpg
ちなみに、ここは遊歩道が整備されており、景観を損なう倒木等は一本たりとも目にすることが出来ない。秋のシーズンは、ここ一面が紅のヒガンバナ(曼珠沙華)に染まり、それは美しいらしい。
秋も深まり、すっかりオフシーズンの名所に、小雨交じりの朝っぱらからカッパを羽織って徘徊するような人はそうもいない。しかし、このように人間との邂逅の可能性が低いところに、私は魅力を感じてやまない。
巾着田の終端付近に、馬が放されている。牧場だろうか、ロバも見える。一頭の白馬が物憂しげにこちらの様子を伺っており、興味本位に近づいてみるが、向こうは慣れているのだろうか動じるそぶりも見せない。
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おでこをなでてやるが、ただじっとしている。これがなんともかわいらしく、しばらく観察していると、もう一頭やってきた!
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いったい彼らは何を訴えているのだろうか、私には解せない。きっと、シーズンには観光客にチヤホヤされていて、今は寂しいのだろう。でも、こちらもいつまでもかまっている訳にはいられない。

マイマイカブリは早急に諦め、オサ掘りに専念する。まず、地形図で目星をつけておいた登山道を目指す。
山に入ると、何もないところ以上に水滴の量が増える。それで、写真の枚数も必然的に少ないのだがご了承いただきたい。
当初は、頂上まで行ってしまおうかと目論んでいたが、途中に崖を見出して気が変わる。しかし、その崖の状態は決して良好ではない。恐らく昨年度以前の同業によるものだろうが、その掘りっぷりはすさまじい。
崖の形状を変形させるほどに—例えば、目に見えないはずの木の根が丸見え—掘り返している。これはもはやオサを探しているというよりも、オサが見つからない事に対する焦燥の表れではなかろうか。
経験上、また様々なwebサイトを見た結果、オサムシはそんなに土中深くで越冬はしない。せいぜい、崖を2、3回掘ればたいてい事足りる。まぁ、オサ堀はある程度運と実力に左右されるものだから、ここに居る!と思っても出て来ないと焦ってしまう気持ちは分かる。
さて、どこもここも結構手が入っており、とても成果は見込めない。それでも、かつての三浦半島での経験を生かして( 参照 )エサキオサ2♂を掘り出すことに成功。
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この先、崖は岩肌が露出しており、進んでも成果が期待できないのでいったん下山し、別の林道に向かう。
歩き始めると、一見良い雰囲気に見えるが、崖に近寄ってみると岩肌だったり、そうでなくともオサ掘りに適しているとはいい難い。”先駆者”もあまり手をつけていない。
仕方がなく、ひたすらいい場所を求めて詰めていく。しかし、進めども状況が変化することなく、そろそろ場所を変えたほうがいいか...と思っている矢先に、忘れ去られたような”美崖”を見出す。
先に荒らされた様子もなく、土のコンディションも良好。これは期待ができるというので、手鍬だけ持って”崖問ひ”開始。
程なくエサキ♂を掘り出すか、よく見ると頭部が無い。それでも完全に欠損しているわけではなく、少し残っているからか動く。気味が悪いがタッパーへ。
雨はやんだが、あたりは薄暗く、あまり写真が撮れない。まぁ崖を掘っている時はそんなことも忘れ、ひたすらオサムシが輝きを放って発掘される姿をのみ想像しているものだ。
しかし、当初の期待に反して、オサムシすら出てこない。こんな具合の崖から、過去は掘り出してきたのだが...久々の崖掘りに、勘がなまってしまったのだろうか。
内心焦りを感じていた。当初は手を加える予定ではなかった崖にまで手を伸ばす。そして突然、予期せぬ出会いに腰が引けるのであった。












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(よく分からない写真しかなくて恐縮ですが)このスレンダーな脚の持ち主は!!
さっき高麗川で諦めたヤツに相違あるまい、ヒメマイマイカブリだ!!!
一般に、マイマイカブリはエサのカタツムリが多い、ジメジメした河畔林に多く、そこの倒木に集団で越冬するので、採集は河川敷で行うが、当然野山にだって分布している。しかし、その棲息密度は低い。
そういう個体も当然越冬するわけだが、山ではこのように崖に越冬する個体も少なからずいる。ちなみに、過去に1度同様の体験をしている(参照: 北方旅行記 ) また、まだオサムシに対する造詣も浅かった中3の春に、マイマイカブリの幼虫が崖で越冬しているのを確認したことがある(未発表:気味が悪かったので放置してしまった)
うまく文章で伝え切れていないのが情けないが、とにかく”崖からマイマイ”は珍妙だと思っていただければ幸いである。
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マイマイカブリが潜んでいたあたりからは、エサキオサ・スジアオゴミムシ・ハネカクシ.sp・コルリアトキリ?が掘り出される。やっぱり私の見解は正しかったようだ。   
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とりあえずこれだけ採集できれば上出来だ。あまり取りすぎても、後で処理に困るものだから。マイマイ採集の喜びは、匹数のリミットがまだ制限されていない。それだけいっぺんにたくさん採れないからだ。
そういうわけで下山を開始する。そろそろ腹も減ってきたことだし、手を洗いたい。沢に降りられるところまで下っていき、いざ手を洗おうとするとサワガニが目に留まる。
それもこの時期にしてはたくさんいるように思われた。とはいうもののカニの知識は皆無だからよく分からないのだが、ふと食べてみたらおいしいのではないか?と思い立つ。
折りしも、『虫の味』を読了して日は浅い。加熱して食せば安全だということも記憶しており、タッパーも余っていたので採集。10分もしないで、結構な数を稼ぐ。
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ここで手を洗い、冷え切った焼き芋を、胸を詰まらせつつほお張りながら駅へ急ぎ、試験会場へ向かうのであった。

さて、高麗駅に着き、改札を通った瞬間にレッドアローが通り過ぎる。それは全くどうでもいいのだが、ホームにあがる階段にヒメヤママユがいた。
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ヤママユとは一味違う、おとなしい色合いの中にも精錬された、日本の”和”を感じるなぁと、美術に関しても門外漢な私が無理やりに連想してしまうくらい、この蛾の第一印象が美しかったのである。 いわれも無く虫を毛嫌いする人にはモスラにしか見えないのだろうか…

【採集成績】
エサキオサムシ・ヒメマイマイカブリ・スジアオゴミムシ・サワガニ・etc...
3/9 都幾川以来のオサ掘り。久々にしては満足のできる結果になった。これはマイマイカブリの掘りでの採集が負うところが大きい。
これからしばらくテスト勉強なので、ひたすら忍耐が続くが、この解放を機に、今度は狭山でクロカタビロにリベンジを挑みたい。

道中の写真は、 こちら にも掲示しております。併せてご覧ください。

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