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(館山・安房九市町村合併の問題点を考える)

館山・安房九市町村合併で、

「地域の衰退」と「財政破綻」が現実に

 

1、九市町村に交付されていた普通交付税は35億円も減ります。

安房九市町村のそれぞれに平成13年度に交付された普通交付税の合計総額は、146億1千万円でしたが、九市町村が一つの市だったとすると110億4千7百万円で、35億6千3百万円もマイナスになります。

345号 で詳細をお知らせしました)

合併すれば、一定の猶予期間を過ぎれば確実に普通交付税が減額となるので、それにみあう歳出の節減をしなければなりません。

 

2、九市町村の市町村長、助役、収入役、教育長を現在の九人から一人にし、市町村議会議員(145人)を法定上限数の34人に減らしても、特別職給与費や議員報酬の節減分は、併せて7億円ほどです。これだけでは、差引28億円の財源不足となり、新市は合併後、とおからず、「財政破綻」します。

 

3、合併後の新市の職員数は、九市町村の職員をかかえるので、1368人(平成14年4月1日現在。 資料は以下の表1 )になります。市町村職員は、公務員として法律で身分保障されているので、職場である市役所や町村役場がなくなっても民間事業所のように整理解雇はできません。合併後10年間で定年を迎える職員が500人ほどですので、その間の採用人数を300人にすれば、その10年間で、200人の削減ができることになります。一人の減員で1000万円とすれば、20億円の節減になります。200人規模以上の職員の削減をしなければ、「財政破綻」となります。

4、しかし、これは、この地域で200人の雇用の場をなくすことでもあり、地域の衰退をいっそう促すことになるという問題点を含みます。

また200人の減員は、その分、住民サービスの後退をもたらすことになるのはさけられません。いずれにしても、合併は地域と住民に大きな痛みをもたらすことは避けられず、住民にそれを率直に示し、その可否の判断をもとめ、理解と協力が得られることが絶対に必要です。

 

具体的には、どのようにするのかは論議を深めなければなりませんが、私はつぎのように考えます。

 

   市町村の旧役所・役場は廃止し、新市の支所や出張所は設置しない。

館山市は富崎や西岬などかなりの距離がありますが、支所や出張所を設置していません。もし八町村に設置するとなると館山市の旧村との関係も見直すべきであり、そうでなければ「不平等」となります。

もし、支所や出張所を設置すれば、人も配置しなければならず、その維持は、財政的に大きな負担となります。

 

   ハコモノ公共施設は新市の全体的な視点から見直して、利用が少ない公共施設は廃止し、整理統合をすすめる。合併協定項目の調整方針に「公平負担の原則による行政格差の是正」がありますが、最大の行政格差は、公共施設の設置状況が住民あたりで比較すると町村に極端に偏っていることです。この格差を解消するには、町村の公共施設を大幅に縮小し、人口規模にふさわしく見直すことが必要です。この問題にはあらためて詳しく論じるつもりです。

 

   中学校は、現在は12校ありますが、新市の中学校区を6校区程度に統廃合する。12校のうち7校では、10年後には一学年一学級程の子どもの数であることが見込まれます。教科担任制の中学校では、専門教科の教員配置に支障が生じることになります。一定規模以上に統廃合を検討すべきです。なお、小学校区については教科担任制の中学校とは違うので、統廃合にはより慎重な対応が必要です。( 資料は以下の表2

 

   鋸南町と富山町の町立国保病院は廃止を検討する。現在、二つの町立国保病院がありますが、年間1億円の資金が繰り入れられています。新市が特定の公立病院に資金の繰り入れを続けることは全市的な視点から再検討すべきことです。( 資料は以下の表3

 

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 ○年齢別市町村職員数 

千葉県市町村課 平成14年市町村職員の状況より作成したものです。

平成1441日現在

区分43歳以下44歳以上4445464748

49

50

51

52

53

54

55

56

57

58

59

60

館山

467

243

224

24

20

24

39

44

39

21

12

1

富浦

73

33

40

5

8

4

7

3

7

3

3

0

富山

114

68

46

1

5

6

12

11

6

1

4

0

鋸南

206

104

102

19

14

19

13

14

14

2

7

0  

三芳

66

32

34

3

7

3

6

3

4

4

4

0

白浜

90

46

44

6

9

6

10

5

6

1

1

0

千倉

175

61

114

7

17

19

24

25

9

7

5

1

丸山

92

55

37

2

5

8

4

7

5

2

4

0

和田

85

50

35

3

4

7

10

3

2

1

1

4

1368

692

676

70

89

96

125

115

92

42

41

6

 

○中学校区別の学年別生徒数と将来見込み 1歳児と小学校1年生人数

学区

1歳児

1

1

中2生

中3生

特殊

学級数

館山一中

72

62

84

74

97

5

10

二中

140

157

144

164

148

9

15

三中

182

168

190

175

172

7

17

房南中

21

36

34

34

39

1

4

鋸南中

58

72

76

94

88

3

9

富山中

28

35

41

49

55

2

8

富浦中

30

48

46

48

57

4

8

三芳中

22

33

43

50

55

2

7

白浜中

36

36

44

59

48

2

8

千倉中

67

97

109

125

121

2

12

丸山中

28

43

44

59

60

0

6

和田中

30

50

51

52

51

3

8

合計

717

837

906

983

991

40

112

一クラス40人すると、6年後には、一年生が一クラスの学校が4校になり、さらに11年後には、7校になる。

 


○病院事業会計の決算状況 平成12年度決算

(市町村合併検討基礎調査報告書42ページより)

(千円)

国保病院

総収益

うち他会計繰入金

総費用

純利益

経常収支

比率

富山町

527,383

74,198

503,096

24,287

104.8

鋸南町

826,459

27,231

801,497

24,962

103.1

 

富山国保病院は、二千四百余万円の純利益をあげているが、他会計からの繰入金が七千四百余万円もあり、実質的には五千万円の赤字と見込まれる。経常収支比率が100を超えていることがそれを示している。

鋸南国保と併せて、一億円を超える繰入金で病院会計が成り立っている。この負担を一般会計でまかなうのか、だとすれば、合併後は富山・鋸南地域以外の住民も税を通じて負担することになるのかどうか。

 

○人口についての基礎資料

平成12年の国勢調査結果より

 

館山市51,412人の内訳

総数館山北条那古船形西岬神戸富崎豊房館野九重

51,412

13,351

12,629

5,318

4,095

3,071

3,305

1,256

2,755

3,725

1,907

 

安房八町村

総数富浦町富山町鋸南町三芳村白浜町千倉町丸山町和田町

57,675

5,689

6,070

10,521

4,744

6,029

13,161

5,777

5,684

 

安房の八町村のうち、富浦、富山、三芳、白浜、丸山、和田の六町村の人口規模は、概ね五千人前後で、館山市の那古地区とほぼ同じである。

鋸南と千倉は、1万人を超えるやや大きな規模である。人口規模では北条地区に匹敵する。

 

   市町村合併を考えるのに「こんな資料が欲しい」ということがございましたらご連絡ください。担当部局に求めて、ご要望にそうようにします。

   基礎的な資料としては、「市町村合併検討基礎調査」報告書(平成145月安房広域市町村圏事務組合)があり、インタネットで公開されています。

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