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9月30日、九月館山市議会最終日に、 「合併協議に関する館山市長への要望の決議について」 が全会一致で議決されました。神田議員はこの決議の賛成者として、次の賛成討論を行ないました。

 

(神田議員の賛成討論)

 

本決議案の賛同者のひとりとして、賛成討論をいたします。

 

14年度〜16年度までの各市町村の主要事業調査表が合併協議会に提出され、拝見しました。平成17年4月の合併を想定するならば、各市町村の主要事業は、原則的に全て凍結し、合併後の新市にとって、それぞれの事業が必要な事業となるのかどうかの検討がまずされなければなりません。しかし、それらは全くされませんでした。

よもやとは思いますが、町村はそれらの検討をしないようにしておいて、駆け込みをお互いにやろうということを暗黙の了解事項にしていたのではないか。辻田市長が、それらを知りながら、成り行き任せの態度をとることにしていたとすれば大変重大です。

いずれにしても、町村は、事業凍結がないことをいいことに、この間隙を「千載一遇のチャンス」と、いわゆる「駆け込み」と目される事業にいっせいに走りはじめました。

 

例えば、三芳村の「地場の技伝承館」です。もともと三芳村役場の建替えとして計画されていたもので、名前を変えたに過ぎません。合併すれば果たして、必要となるのかどうか、合併協議では、そこからの議論をし、その結論をまつべきは当然であります。また、丸山町では22億5千万円も投じて中学校の建てかえをし、隣の和田町でも6億8千万円ほどで中学校の改築を予定しています。いずれも10年後には各学年とも単学級で100人ほどの小規模な中学校になります。合併を想定するならば、中学校統合も当然、重要なテーマであり、それらの協議の結論を得るまで、建てかえ等の事業は待つべきは当然であります。さらに、白浜町では、防災行政無線更新事業を15年〜16年度に予定しています。平成17年に合併すれば白浜町がなくなるのですから町の広報は不要となります。2億6千5百万円の工事費用の財源は、国の補助金は3千8百万円ほどで、残りの2億2千3百万円のうち白浜町が負担するのは、たったの3万6千円にすぎません。他は全て借金であり、合併した新市にいわば「つけまわし」となるものです。

各町村の14年度〜16年度の事業計画に貫かれている考え方は、合併新市には自分の町や村で積み立てた金は、駆け込みだとか、無駄な事業と批判されようが、とにかく今のうちに使い切ってしまえ、合併新市には基金や積立金は引き継がない。逆に、借金は、借金でできる事業は、この際だからできるだけ借金して実施してしまえ、その借金の返済は合併新市に付けまわしすればいい、というものではないのかと疑念を感じざるを得ません。

三芳村や丸山町、和田町、白浜町など四つほど実例を挙げましたが、駆け込み事業はそれにとどまりません。鋸南町や千倉町、富浦町など、いちいちあげませんが、各町村の事業計画には、いずれも駆け込みと目される事業が余りにも多く、目に余る状況であります。

辻田市長は、「各町村の事業に口を挟むことは内政干渉になる」とか、「各町村長を信頼している。駆け込みはないと認識している」とか、現実を無視した発言に終始していますが、これら町村のいわゆる「駆け込み事業」を野放しにしては、館山市民に説明ができません。館山市長としての立場はどこにいったのでしょうか。

 

各町村はそれぞれの町村の個別的な利害からいわゆる「駆け込み」事業に走り始めているのでしょうが、それが放置されたままで、本当に合併したら、合併新市は財政破綻の危機に陥ることになるのは確実であります。

 

平成15年3月末時点での9市町村の地方債残高の合計は480億円です。15年度、16年度と駆け込みで起債が増えれば、合併時点では間違いなく500億円を超える地方債残高になると予測されます。人口10万人の合併新市で500億円の地方債残高になりますが、これは極めて異例であり、異常であります。

千葉県内では人口10万クラスの9万〜12万人未満の市が、成田市、茂原市、鎌ヶ谷市、君津市の4つあります。平成13年度一般会計決算によると、財政力のある成田市でも地方債残高は298億円ですし、茂原市は280億、鎌ヶ谷市が206億、君津市が170億で、4市の平均で238億円です。合併すれば財政力も極めて弱い新市がその二倍を超える500億円規模の地方債残高を抱えることになります。いかに無謀で危険な財政状況となるのか、この数字からも明らかではないでしょうか。「借金500億円でも心配ない」とは辻田市長の発言ですが、市の財政を預かる市長の発言として、信じられないものであります。これでは、「わが亡き後に、洪水きたれ」ではありませんか。

 

さて、この巨額の借金でありますが、いったいだれが負担することになるのでしょうか。もともとこの借金は大まかにみますと館山市の借金が約200億円、八町村の借金が300億円で町村の借金の方が多いのですが、税収では、八町村で50億円ですが、館山市が60億円と館山市の方が多くなっています。これは、合併新市では、旧町村から引き継いだ借金300億円のうち、70億〜80億円相当分を旧館山市の市民が、肩代わりして負担することを意味します。

 

私は、合併すればある程度の負担の肩代わりはありうるとは思っていましたが、70〜80億円では規模が大きく、市民に説明し了解してもらえる額ではありえません。しかも町村は、合併を自分たちの負担を最小限にしてハコモノ事業ができる千載一遇のチャンスとし、借金(起債)をどんどん増やすという、付け回しされる館山市民から見れば背信ともいえる行為に走っているのであります。合併協議は、互いの信頼が前提であり、これらのいわゆる「駆け込み事業」は、この信頼を根底からこわすものです。目に余るほどの駆け込み事業を目の当たりにして、どうして信頼していられるでしょうか。

駆け込み事業凍結は、合併協議の初歩的な前提にすぎず、これがお互いに守れなければ、そもそも合併協議そのものがありえないことです。

 

館山市議会は、町村の駆け込み事業の現状は、この初歩的な前提をこわす大規模なものと認識しており、この事態を重く受け止め、駆け込み事業を凍結させるための緊急の申入れするよう館山市長に求めるものです。

 

さる26日には、勝浦市議会において、夷隅法定合併協議会から勝浦市の離脱をもとめる決議が議決されるなど、全国各地で合併協議会が頓挫する事態が生じています。各市町村の利害がぶつかる「本音」の協議に入ると、協議そのものが壊れてしまうなど合併協議には解決すべき様々な問題点があることを示しています。

 

八町村とも50年からのそれぞれの歴史があり、館山市は63年の独自の歴史があります。

合併は、簡単なことではなく、「合併さえすればよい」「まず合併ありきだ」として、合併後に問題を先送りすることができるという安直なものではありえません。その協議では、市町村の利害が激しく衝突し、真剣な協議の結果、合併をしない選択も当然ありうるのであります。

 

辻田市長においては、館山市議会のこの意思をしっかりと受け止めていただくよう求めて、本決議への賛成討論とします。

2003.9.30

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