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<館山市議会>日本共産党議員団の「市政報告」
合併問題特集2 2003年10月号
9月議会で館山市議会は、駆け込み大型事業の凍結を求める
館山市長への要望を全会一致で決議
しました。そこで合併協議の問題点をお知らせし、合併の是非をいっしょに考えていきたいと思います。なお、決議文は神田もりたかのホームページでも見られます。
九市町村合併は、財政危機で大増税の危険
館山市は合併しなくても問題はありません
1、町村の「駆け込み」事業は、目に余る現状
町村は、駆け込み事業凍結の協定がないために、いわゆる「駆け込み」と目される大型事業にいっせいに走りはじめています。
例えば、三芳村の「地場の技伝承館」です。もともと村役場の建替えとして計画されたもので、合併後にも必要かどうか疑問です。また、丸山町では22億5千万円も投じて中学校の建てかえをし、隣の和田町でも6億8千万円で中学校を改築します。いずれも10年後には各学年とも一学級の小規模な中学校になります。合併するならば、中学校統合も重要なテーマで、それらの協議の結論を得るまで建てかえ等の事業を待つべきは当然です。
さらに、白浜町では、防災行政無線更新事業を15〜16年度に予定しています。合併すれば白浜町はなくなり町の広報無線は不要ですから、本当に必要な事業なのか検討すべきです。この事業は、2億6千5百万円の事業費で国の補助金(3千8百万円)を差し引いた2億2千7百万円のうち白浜町が負担するのは、たったの3万6千円にすぎません。他は全て地方債(借金)であり、合併した新市に「つけまわし」となるものです。
各町村の基本的な考え方は、「無駄な事業と批判されても、事業を実施して合併前に積立金は使い切る。借金でできる事業もできるだけ実施する。返済は合併新市につけまわしとなるので構わない」というのではないかと思われます。辻田市長は、「町村に口を挟むのは内政干渉。駆け込みはない。町村長を信頼している。」と現実を無視した発言を繰り返していますが、各町村の事業計画には駆け込み事業があまりにも多く、目に余る状況です。
2、合併新市は500億円の借金で財政破綻の危機
各町村はそれぞれの利害から「駆け込み」事業に走り始めたのだと思いますが、それが放置されたままで合併したら、新市は財政破綻の危機に陥るのは確実です。
平成13年度末の9市町村の地方債残高合計は472億円です。14年度、15年度、16年度と駆け込みで起債が増えれば、合併時には500億円を超えると予測されます。人口10万人の新市で500億円の地方債残高は異例であり異常事態です。
千葉県内では人口10万人クラス(9万〜12万人未満)の市が、成田市、茂原市、鎌ヶ谷市、君津市の4つあります。平成13年度一般会計決算では、財政力のある成田市でも地方債残高は298億円ですし、茂原市は280億円、鎌ヶ谷市が206億円、君津市が170億円で、4市の平均で239億円です。財政力の弱い合併新市がその二倍を超える500億円の地方債残高を抱えることが、いかに危険なことであるのかは明らかです。
<参考資料>千葉県内の人口9万〜12万未満市の地方債残(平成13年度決算より作成)
市名 | 成田市 | 茂原市 | 鎌ヶ谷市 | 君津市 | 4市平均 | 合併新市 |
人口 (人) | 95,850 | 95,091 | 102,712 | 92,666 | 96,579 | 109,915 |
地方債残(百万円) | 29,864 | 28,086 | 20,617 | 17,054 | 23,905 | 47,175 |
合併新市の庁舎建設など新市のハコモノ事業をすすめるために、あらたな借金(合併特例債起債可能額525億円)が認められますが、それはさらに深刻な財政破綻への道です。
3、駆け込み事業の凍結は合併協議の初歩的前提
町村は、駆け込み事業の自己負担を最小限にして借金(起債)を増やし、新市に「つけまわし」しようとしています。館山市民や住民から見れば背信ともいえる行為です。合併協議は互いの信頼が前提であり、これらの駆け込み事業は、この信頼を根底からこわすものです。駆け込み事業凍結は、合併協議の初歩的な前提であり、これがお互いに守れなければ、合併協議そのものがありえないことです。
4、九市町村合併は、館山市民には新たな重い負担を背負うこと
合併協議中の九市町村の合併は、「とにかく合併すればよい」と合併後に問題点を先送りできる安直なものではありません。合併協議から見えてきたことは、この合併は館山市民にとってはプラスになることはほとんどなく、新たな重い負担となるのは避けられないということです。駆け込み事業が依然として止まらないとすれば、勝浦市のように合併協議をやめる選択もありえます。無理に合併しなくても館山市は十分にやっていけます。
5、「つけまわし」で財政破綻、市民犠牲で財政再建・・・「昭和の合併」の痛苦の歴史
館山・安房9市町村合併協議会が実施した住民意向調査では、合併に「特に不安はない」は8.9パーセントに過ぎず、「きめ細かいサービスが受けられなくなる」、「税金・水道料・保険料などが高くなる」、「財政状況が悪くなる」等の不安が大きいことが示されました。
問2、合併において感じる不安
項目 | 回答数 | (%) |
きめ細かいサービスが受けられなくなるおそれがある | 2,808 | 50.8 |
税金・水道料・保険料などが高くなるおそれがある | 2,334 | 42.2 |
中心になる地域が発展し、周辺地域がさびれる不安がある。 | 2,274 | 41.2 |
財政状況が今よりも悪くなるおそれがある | 1,722 | 31.2 |
役所が遠くなり、不便になるおそれがある | 1,519 | 27.5 |
保育園・幼稚園や小、中学校が統廃合されるおそれがある | 1,152 | 20.9 |
地域の個性や歴史・文化・コミュニティが失われるおそれがある。 | 934 | 16.9 |
議員の数が減り、住民の意見が届きにくくなる。 | 558 | 10.1 |
特に不安はない | 492 | 8.9 |
その他・わからない・無回答 | 355 | 6.4 |
調査総数 | 5,525 | 100.0 |
館山市は「昭和の合併」では財政破綻しました。旧六村の「つけまわし」がその大きな原因の一つでした。財政再建のために、増税・料金値上げ・サービス切り捨てなどの市民犠牲でのりこえた痛苦の歴史でした。合併前の駆け込み事業が放置されるならば、この歴史が繰り返されることになります。目に余る駆け込み事業の現状は「新市は財政破滅」の心配をさらに強めるものです。
新市は人口10万人で500億円の借金・・合併すれば財政危機が現実に
(神田もりたか議員の九月議会の質疑より)
神田)合併すると9市町村の借金(地方債残高)の合計はいくらか。
答弁)平成15年3月末現在で、九市町村の地方債残高の合計は、482億円です。
神田)駆け込みを止めなければ新市は500億円を超える借金になる。10万の市で借金500億円は全国的に見ても異常だ。これでは新市は財政破綻の危険が大変高い。
辻田)500億円の借金でも問題ない。国が認めた借金なので心配はない。
神田)これでは話にならない。新市が出発するにあたって、各市町村がその分に応じて積立金を持ち寄ることが必要とおもうがどうか。新市の財政運営では、出発にあたって、積立金はいくら必要だと考えているか。
辻田)新市の財政運営を心配していただいて感謝するが、いくら持ち寄るかということを考えたことはない。
神田)考えていないとは、驚いた。そういう市長の姿勢が問題だ。新市に各市町村がもちよる積立金がいくらか、決めなければ、町村が今持っている積立金は合併前に全部使い切ってしまおうとなるのは当たり前ではないか。駆け込み事業を奨励しているようなものだ。
辻田)私が無為無策のように言われるが、神田さんとは立場が違う。私は合併協会長としてまとめる立場で一生懸命やっている。
神田)合併協会長だというが、館山市民を代表する市長の立場を忘れてしまっては困る。
(館山市民の立場よりも「とにかく合併ありき」という辻田市長の本音が見えました)
硫酸ピッチ違法放置で逮捕された吉野容疑者から選挙資金
丸山定夫議員は、産業廃棄物である硫酸ピッチを入れたドラム缶1080本が館山市薗の農地に、10年近く前から違法に放置されてきた問題を取り上げ、質問しました。
この硫酸ピッチは萬有産業(鴨川市)と常盤興産(三芳村)が出したもので、ドラム缶が壊れて流れ出し、今も周辺の土壌や水路を汚染しています。千葉県や館山市は社長の吉野容疑者に再三にわたり撤去を指導し、2月16日までに撤去をするよう県は措置命令を出していました。これにも従わなかったため8月26日に吉野容疑者は逮捕されました。
丸山議員は、これらの経過の上にたち、昨年11月の市長選挙における辻田候補の収支報告書では吉野容疑者から、選挙資金10万円をもらったとあるがどうかと質問、選挙管理委員会はこの事実を認めました。さらに、「吉野容疑者の10万円は選挙寄付者では最高額だが、辻田市長とはどういう関係か」と質しました。辻田市長は「街であえば挨拶する程度。顔と名前が一致しなかった」と、特別の関係ではないと強調しました。
「10年位前から、黒い水溜りができているというのに県の代執行を見守るなどと悠長なことを言っていられる問題ではない」との追及に、辻田市長は、「市民に迷惑がかかる。公害があるのだから万全を期す」と答えました。しかし、県と市が撤去させるために全力で取り組んでいる時に、その相手側である吉野容疑者から選挙資金をもらっていたのですから、毅然とした態度を本当に取れるのか、口先だけでなければと心配です。
この市政報告は市費で発行しお届けしています
館山市議会日本共産党議員団は、年額20万円の政務調査費でこのビラを発行しています。◎ご意見、ご感想をお寄せください。
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