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遍路ころがしへ挑む

ここが入り口
いざゆかん

・10月7日

最初は中1日おいて月曜日(体育の日)に歩くつもりだったのだが、妙に気分がノッて しまったのと、月曜の天気があまり良くなさそうだったために、予定を繰り上げて2日連続の ハイキングとなった。日帰りで。
藤井寺周辺で泊まっておけば楽だっただろうに、 ビデオの録画予約をしに わざわざ家まで帰ってから出直した。 04:30起床。同50発、まだ暗い国道438号を南下。三頭トンネルを抜けて徳島へ。

06:20、藤井寺着。車は門前の駐車場にとめる。ここ有料なんだよなぁ・・・ 朝早いのに集金の人がいた。
案内板によると焼山寺まで12.7km、徒歩6時間 健脚5時間、初心者は7時間くらいの 道のりらしい。その先は13番札所 大日寺まで22km。焼山寺まで6時間もかかった日には 途中で日が暮れる。さてどうするか。焼山寺に着いた時次第である。

 

12番札所 焼山寺まで
06:30、出発。さぁ山道・・・。おっと車に忘れ物。あわてて戻って再度出発。06:40

何人か追い越しながらもペースを守って登山道をゆっくり登る。07:36、長戸庵到着 休憩。 後から数名追いついてきて同様に休憩している。07:45発。
8時頃だったと思う。後ろから鉦の音が聞こえてきた。杖かカバンにくくりつけられているらしく、 歩くテンポに従い鐘が鳴る。チーン チーン チーン。なんかペースが早くないか?と思いながら歩いているうちに すぐ後ろに音が迫り、観念して道を譲る。黄色いTシャツ姿、30歳くらいの坊主頭が、 挨拶を交わしながら山道とは思えん速度で追い抜いていった。背中のリュックに結んだ鉦が 規則正しく音を奏でる。黄色いシャツと鉦の音が、あっという間に林の奥へ遠ざかっていった。

気を取り直して黙々と山を歩く。と、再び後ろから足音が。 また道を譲ろうとすると、こんどは追い抜かずに話しかけてきた。
同年代の香川から来た勤め人で、こちらと同じく日帰り予定なのだそうな。 でもきちんと笠、白衣、杖の3点セットを持っている。 こちらはシャツに(山に入るのでさすがに今日は)ジーパン。なんとはなしに同行することになった。

すこし下って08:40、柳水庵着。ここがだいたい中間地点。このペースなら4時間くらいで着けそうだ。 08:50発。再び登り。

前を行く香川の人は、平気な顔?で坂を上っていく。こちらは若干遅れ気味なのだが、 無理にペースを崩すと後が怖い。「遅れたら、先に行ってください」と声をかけると 「大丈夫ですか?」と心配してくれる。 ペースを守って歩いているので、などと大きな口は叩けず、大丈夫ですよ、と返すことにした。
坂も道も次第に険しくなってくる。ようやくサミット。09:17、一本杉庵に到着。その名の通り 杉かどうかは分からないが、大きな木が生えていて、お大師さんの像が立っていた。 腹が減ってきたこともあり、パンを口に押し込んで09:30まで休憩。
ここから、今までの貯金を吐き出すかのように一気に下る。30分間下り続けて谷まで降りた 所で、向こうから人がやってきた。休憩も兼ねてしばし立ち話。
何回か順番に廻った後、今回は逆打ちをしているそうな。死国か? 死国なのか? 

「いや あんた、それしかネタ無いんかい」  「すんません」

ここから、前にも増して急な登り坂。岩をけずって階段っぽくしている場所もあるが、 歩き辛いし、坂も急。なんとかかんとか足を前へ出しつつ、 呼吸に合わせて意識せず、掛け声を呟く。「1、1、1、2、デンジャー 」  デンジャー?
10分登って休憩。さらに登ってまた休憩。そんな坂道。

途中で上から聞き覚えのある鉦の音が聞こえてきた。 こちらを振り向いた香川の人と顔を見合わせて立ち止まると、坊主頭に黄色いTシャツ。 さっきのあの人が軽い足取りで下ってきた。なんちゅう速度。 もう焼山寺まで行って戻ってきたんかい。
残り5町の石碑とあと1kmの案内標識の傍らで3回目の休憩をしていると、学生風の人が来て 追いついて来た。黄色い人の話でしばし盛り上がる。
最後の休憩地点から少し上ると人通りの多い道に出た。駐車場からの道らしい。 車で来る人はこんなにたくさん居るんやね。 もっともらしい装束で駐車場の方から歩いて来る人々を見ていると、 笠と杖くらいは手にしてもバチは当たらないような気がしてきた。10:50分、ついに山門に到着。

13番札所 大日寺まで
少し早い昼食を済ませ、11:45、焼山寺を出発。急な坂を降り、道路を少し歩いた後で 再び細い山道へ。 車が走る程度の坂道ならばどうということはないのだが、階段みたいな急傾斜になると とたんに歩く速度が落ちていく。それでも13:00、どうやら峠に着いた。今回の登り坂は これで最後と信じたい。
その後1時間ほど、山腹をダラダラと下り、あとは川沿いの平坦な道路が続く。 途中で、焼山寺への登り道で会った、学生風の人と合流した。話を聞くとアメフトで有名な 某K学院の4回生だそうで、あとは卒論出すだけだとか。

峠で休憩してから3時間。ひたすら歩き続けるなかで香川の人のペースがどんどん早くなる。 17時で終わる大日寺の納経受付時間に間に合いそうで気がせいているのだろうか。 しばらく歩いているうちに、学生さんと二人して置いていかれてしまった。
そんなに急がなくても、十分間に合いそうだが。オーイ 後で筋肉痛が大変だよ〜
急ピッチについていき、疲れて帰りの車の運転が億劫になっては大変だ。

第一、歩いて移動するのは手段の1つなのだから、到着後に次の行動に移る余力が なければどうしようもない。と、新人教育の時に言われた。あんときゃ目的地に着いた後で しばらく走らされたなぁ・・・。

ま、学生さんと適当なペースで歩こうということになった。
実はまだ就職先が未定という学生さんに、「わが社」の話も持ちかけてみたら、 実は受けたけどだめだった、という一幕もあり、 あとから考えてみれば、なんだかエラそうなことを口走ったなと反省もしきり。

16:30。大日寺到着。3人合流して無事にお参りした後、 学生さんに「明日もガンバッテネ」と無責任な激励をとばして社会人二人は徳島バスで帰途につく。

徳島駅前到着17:57。ここから徳島線に乗って鴨島で下車、藤井寺に置いたままの車の 場所まで戻らないと家に帰れない。
駅へ向かうと、間に合わないと思って諦めていた17:59発の 阿波池田行に乗れそうな雰囲気である。これを逃す手は無い。足を引き摺りぎみな香川の人への 別れの挨拶もそこそこに、改札で無札証明証をもらうってホームに出る。

乗り場は? くそっ 一番端の切り欠きホームか。

走れ〜〜

全力疾走のわりに足が軽い。何事にも余力は必要だ。でも、なんか大人気ない。

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