このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
国道56号紀行
あの虹、ずいぶんと低いなぁ
・11月23日
霜月23日、通算22日目。6時半に朝食を頂き、食後のコーヒーまでご馳走になって民宿を出発する。 時刻は7時をまわったところ。天候は雨。 非常にお世話になり、食事も魚たっぷりで大変美味しかったが、部屋その他の施設は、だいぶあれな 民宿だった。
風邪は未だ治まらない。そりゃ、家で安静にしておけば良いものを、こんな天候の中を歩いたりしていたら 治るものも治りはしない。今日は一日中雨っぽいので、降り方がひどくなったら直ちにバスに飛び乗り、 宇和島まで直行してしまおうと思う。愛南町内海地区で、遍路道は柏坂越えの山に入る。こちらは昔ながらのルートであり、途中にいくつか大師堂もある ようだ。峠からの宇和海の展望は素晴らしいらしい。 しかし、この天気。そしてこの体調。
怖気づいて、そのまま国道を直進してしまった。
国道は海岸沿いの各集落を結んでいる。途中の半島や海に突き出した尾根は 容赦なくトンネルで貫き、起伏はかなり穏やかだ。トンネルを掘る前の昔は、半島や尾根を一つ一つ越えたり迂回したり しなければならなかった筈で、そんな手間を繰り返すことを考えると一直線に柏坂越えルートを通った方が楽だろう。 工事技術と交通路の進歩、流れた時間の差である。雨は、ほとんど止んだり一時的に強く振ったりで一定しないが、すぐにバスに逃げ込むような状況にはならないまま に昼になった。機会があれば宇和島バスにも乗ってみたいので、空の顔色をうかがってバスに乗る口実を探しているのだが、 結局は歩き続けることになる。旧津島町の中心部付近で、定食屋に入って昼ごはん。入れ違いに出発する人が声をかけて きた。そういえば昨日、松尾峠の登りで一緒になった人だ。
日替わり定食のエビとカキフライ、そして暖かい味噌汁にご飯を美味しく頂いて外に出ると、雨は止んでいた。 北の空に虹がかかっている。続いて今回最後の山越えだが、また不精をして国道のトンネルに進む。このトンネル、歩道があったので 歩きでも楽に通れるのだが、交通量は多いし天井の排気ファンは轟音をたてるし、排気ガスで空気は悪いし 1700mもあるし、おまけに出口・入口ともにカーブしていて、中を歩いていると出口も入口も見えない。 15分以上も歩いているうちに泣き出したくなった。 不精してすんません。
トンネルを抜けて下りにかかると、山を越えてきた遍路道から先ほど食堂を先発した松尾峠氏が下りてきた。 今日は宇和島駅まで行くそうなので、なんとはなしに一緒に歩く。 話からすると、大分の日田から休み毎の区切り打ちで来ている、どうやらお医者さんらしい人である。 歳のころは50後半から60くらいだろうか? 荷物がコンパクトにまとまっており、歩く速度も早いので なんとか喰らいついているうちに約1時間経過。15時少し過ぎに宇和島駅前に到着。いやいや、思えば遠くに来たもんだ。松尾峠氏も16時の特急に乗るとのことで、それまでの間、駅前の喫茶店で 談笑。お互いの区切り遍路前半戦(1番からここまで)の話でけっこう盛り上がった。
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