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海外旅行記(6)

 ベトナム:5 

 

見た事、聞いたこと、感じたこと


  1)以下は現在のベトナム状況について、現地ガイド(中年の女性)の方から聞いた話である。

ベトナムでは北部の人は良く云われ、南部の人は良く云われない。例えば、北部、特にハノイの人は堅実な人が多く、信仰深い人が多いという。南部の人は遊び人が多く、お金を貰うと直ぐに使ってしまうと云う。中部の人は頭の良い人が多く、偉い人も多いという。北部の人は南部の人と結婚したがらないという。なお、ハノイの言葉がベトナムの標準語になっているという。

また、ベトナム戦は北部の人に言わせれば、北部ベトナム軍だけで、特にホー・チミンの指揮下で構成された生え抜きの兵隊だけでアメリカに勝ったようなことを云っている。北部の人はそれほど北部の人間であることを誇りに思っている。

私のベトナム旅行期間は11日間であったが、ガイドの云う事に真実味を覚えた。何故か?それはガイドが南の女性だからである。南の女性は南の男性に魅力が無いのかもしれない。以下、ガイドとは全てこの人のことである。

 

  2)アメリカ軍はベトナム軍の抵抗を撃退できず、クチの地下トンネルも攻略できず、ベトナム戦争は終局に向かった。ベトナム軍はアメリカより劣る戦力で多大な犠牲を払ったが、アメリカ軍をベトナム本土から撤退せざるを得ない様に追い込んだ訳である。クチだけの戦争で、ベトナム人は10,000人が死亡、6,000人が生き延びたという。この時、南ベトナム政府は自壊状態にあった。戦争が終局に向かうことが解って来ると、南部の有力者、富のある者はアメリカ大使館を通じて亡命しようと、群れとなって押し寄せたという。

因みに、ベトナム戦で戦死したベトナム人は300万人、負傷者は400万人でアメリカ人の戦死者は5,800人だと云う。ベトナム人が植民地から脱却するために如何に高い犠牲を払ったかが解る。国力が弱っている時に欧米人の侵入を許したことが原因であるが、この付けは後世の人達に莫大な犠牲を払わせることになるのである。欧米人の方々はご存知なのかな?

 

  3) 枯れ葉剤の人体への災害は日本人の皆さんならよく御存じと思う。今、その災害は彼らの子供たちにも及んでいる。子供達は身体の異常者が多く、彼らは保護施設に入って、例えば、団体で刺繍、漆器作りなどの職業を持ちながら生活している。大変可哀そうな話である。勿論、その後のアメリカの援助はない。また、ガイドの説明によれば、こうした枯れ葉剤の影響はベトナムと日本の国民以外はよく知られていないそうである。ベトちゃんドクちゃんのお話はベトナムと日本だけの話だそうだ。特に、直接加害者のアメリカの国民たちは知らない人が少なくなく、関心も薄いという。

なお、ガイドに“アメリカ人観光者は来るか”と聞いたら、非常に少ないと云う。流石にアメリカ人はベトナムに来るのに気が引けるのであろうか。

 

  4) ベトナムでは共産党員やベトナム戦で戦死した人の家族は優遇されているという。アメリカ関係の仕事をしていた人は未だに阻害されているという。また、親、子、孫の3代に亘った履歴が将来の生活を左右すると云う。

 

  5)夫婦が持てる子供の数は2人までで、それ以上は罰金と云う。これは相当厳しくやっているらしい。中国と似たような政策をしている。

 

  6) ハノイやホー・チミン市など大きな町には良く化粧品屋を見るが、彼女等は何時化粧品を使うのかと考えてしまう。大変失礼な話ではあるが。彼女等は日本の女性と違って化粧をしましたと云う顔になっていない。多分汗水たらして働くので化粧はあまり意味無いのかも。でも、彼女等は健康的で綺麗である。

 

  7)ベトナム政府は、宗教に対して、かってはお寺まで破壊して弾圧したが、現在は自由であると云う。現にベトナム人の80%が仏教徒である。北部の人に多いという。

 

  8) 共産党員は、生活が裕福になるという。共産党員には袖の下のお金が入るという。高級党員、税関職員、医者、看護師、学校の先生などは典型的なこうした部類に入るという。身分が高くなるほどその額も大きいという。賄賂が月収を支えていると云っても過言ではないらしい。国民の側でも、人に何かお願いすればお金か何かでお礼するのが当たり前だろうと思っているらしい。因みに、学校の先生に何かお願いした時のお礼(賄賂)は4,000〜5,000円が相場であるという。こうした問題は社会主義国の共通した悩みでもある。自由主義国でも尽きない現象であるが。  

しかし、彼らは共産党員の悪口を云わない。まして政府の政策の批判はしない。この点は中国と同じである。我々が麻生総理大臣の悪口を言ったら(ベトナムに行った時は麻生さんが総理大臣であった。)、ガイドは眼を丸くしていた。“そんなことを云っても大丈夫か”といった調子である。彼らの周りには政府に対する批判分子を摘発する組織が隠れているのかもしれない。

  9) トナムにはバイクが多く16歳からライセンスを撮れるが、ライセンス持っているのは15%位だと云う。ライセンス無しでも運転できるし、見つかったら1,000円位の賄賂でOKだそうだ。ライセンスは7,000円位の賄賂で十分買えるという。ガイドは4,000円の安い賄賂でライセンスを買ったという。ベトナムの国の実情が解ると云うものである。

 

しかし、ベトナムと云う国は今後著しく発展するとの印象を受けた。国民は戦後復興に対して良く働くし、特に若い人達は日本と全然違う。日本の戦後の復興時と似ている。なにしろ、あのアメリカをベトナムから追っ払ったという自負がそうさせるのではないだろうか。
現代の日本のように親の金で生きようとする若者は居ないのであろう。近い将来、東南アジアでは最も発展した国になるのではないだろうか。

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