このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

TOMIXロコにKATOカプラーアダプターを装着



1.鉄コレ第4弾を見て、製作を開始


*ついに登場した旧型国電
これまで私鉄、それもどちらかというとマイナー私鉄の旧い車両ばかりだった鉄コレ、
第3弾で小田急、南海という大手私鉄新性能電車にもジャンルを拡げ、
第4弾ではついに、旧型国電がラインナップされました。
しかも、旧モハ32・・・戦前の横須賀線のエースを富士急に払い下げられた車両も入っていたのです。

このモハ32系は、狭窓が並ぶ2扉車ですが、
国電が木製車から半鋼製車に、17m車から20m車に移り変わる過渡期にできたため、
(登場時は)正面の雨樋が木製車のように一直線になっていたし、
モハだけが17m車、サハ、サロ、サロハ、クハといった付随車はは20m車、という変り種でした。
電車王国だった関西に比べて貧弱な電車しかなかった関東において、
当時にしては長距離の横須賀線を颯爽と走る、関東で唯一の高速電車だったそうです。

*往年のスカ線を再現する!
実はこの富士急モハ7032は学生の頃に見たことがあります。
特にモハ32は大好きな車両なので、GMのクモハ43キットを使って、
側面を数箇所も(!)切り継ぎ、正面雨樋を直線に改造して、 製作したことがありました。
そんな大好きなモハ32が発売されたのだから、たまったものではありません。
早速1BOX(10両セット)を購入した後、
さらに、往年のスカ線を再現すべく、単品(開封品)も2両購入して、構想を練り始めたのでした。

ちなみに、自作のモハ32は、架空の私鉄に払い下げられたという想定で、
フリーの塗装(西武ベージュ+ぶどう色2号)にしてありますす。
今回の富士急モハ7032と比べてみると、長さはピタリ!・・・でも、一部の窓の大きさが違っていました。
参考にした「陸蒸気からひかりまで」のイラストは、この大きさだったんですけどねぇ・・・(苦笑)
今回は、このリメイクも兼ねている感じです。


左写真:クモハ43改造のモハ32と、鉄コレ富士急モハ7032
右写真:我ながらよくできていると思います。窓寸法が違うところがあるけど。。。

編成の参考にしたのは、今回も機芸出版社刊「 陸蒸気からひかりまで 」です。
ここに載っているモハ32系の編成イラストは、モハ32+サハ48+サロ45+サロハ46+モハ32の5連でした。
モハ32は鉄コレ第4弾の富士急モハ7032の改造でまかない、
サハ48とサロ45はGMのキットがそのまま使えるはずです。
しかしサロハ46は・・・サハとサロを単純に切り継げばできるかと思いきや、
サロ、サハとは窓位置が微妙に異なることがわかったので、今回はさっぱりと諦めました。

但し、ここで妥協しなくてはならないことが、何点か起きました。
登場時の姿を再現するのであれば、テールライトは正面向かって左側1箇所だけだし、
ドアは木製であるべきです。
テールライトは製品のモールドを削って、左側に吊り掛け式のパーツを貼ればよいのですが、
パンタからの引込み線がすぐ横を通っていて、綺麗にモールドを削り取る自信がありません。
ドアは全て切り抜いて、これも木製ドアの市販パーツを貼ればよいのですが、
5両編成ではドアが20枚にもなり・・・・かなり面倒です。
そこで、これらの改造は諦め、「タイプ」で妥協することにしたのです。

*まずはモハ32を
富士急のモハ7032を分解し、まずはボディの塗装を落とします。
車体の分解は実に簡単。
ボディの裾を膨らまして下回りを外し、2つのネジを緩めて屋根を外します。
窓ガラスやパンタも取り外したら、IPA(イソプロピルアルコール)にドボン。
このIPAは、カー用品店で売っていた、一番安い水抜き剤(IPA99%以上)を使いました。
この車両の場合、3時間くらい漬け込んでおいてから、筆で軽くこすると、ほぼ綺麗に落とすことができました。
鉄コレの車体は柔らかい樹脂でできているので、あまり強く擦ると窓枠が折れるので要注意です。
その点、シンナーのようにボディを溶かさないIPAは、実に便利ですね。

続いて正面の加工です。
弧を描いている雨樋を一直線にするため、側面雨樋の高さに合わせて正面を切り、
ヤスリで平らに整形します。
そこに0.56mm×0.56mmのStripStyrene(細いプラ板)を貼り、雨樋に見立てました。
但しこれでは厚みがありすぎるので、貼り付けた後に、できるだけ薄くヤスっておきます。
特にサイドの雨樋との連絡部に、不自然さが出ないよう注意しました。

左写真:IPAに漬け込んで、塗装を落としました。
右写真:雨樋を一直線に加工した正面。

次は屋根の加工です。
グロベン、パンタ、ヘッドライトを取り外し、グロベンの台座、避雷器、パンタ横のランボード、
引込み線といった一体モールドを、全て削り落としました。
そしてグロベンの取り付け穴を縦に広げて、
KATOのスハ43系用ガラベン(ASSYパーツ)を同じ位置に貼り付けました。
グロベンがガラベンに代わるだけでも、車両の古さが際立ってくるものですね。
尚、パンタ引込み線は、後で作り直すつもりです。

続いて正面部分との接続部の加工をします。
雨樋が一直線になったため、前面と屋根とに隙間ができてしまうので、その隙間を埋めなくてはなりません。
ここはプラ板を適当に貼り付けた後、ヤスリ、耐水ペーパーを用いて、
一直線になり、かつ曲面が自然に繋がるように整形しました。

左写真:屋根のモールドを全て削り取り、KATOのガーランドベンチレータを貼りました。
右写真:雨樋の形状変更に合わせて、屋根の前端部を加工。

*続いて・・・クハ47を作る
今回編成を組むにあたり、GMから発売されているサハ48/サロ45のセットを、2セット購入しました。
一方はそのまま組んで、サハ、サロとして編成に入れます。
そしてもう1方は、先にも書いたとおり当初は切り継いでサロハにするつもりでしたが、
それが難しいことがわかったので、結局、キットに付属するオプションパーツを使い、クハ47にしました。
これは車端部の窓部分を切り取り、代わりに乗務員室扉部分を付けるだけなので、加工は簡単です。
でもこの車両は細かいリベットがあり、継ぎ目をきれいに修正するのは難しそうですね。
出来る限り目立たないように切り継ぎしましたが・・・仕上げはどうしましょう。。。

左写真:付属しているクハ化パーツを利用して、サハ48をクハ47に。
右写真:前面雨樋を一直線に。屋根は無加工で利用可能。

もちろん、クハ47もモハ32同様、正面雨樋を一直線に加工しました。
正面パーツの上端を切り取り、0.56mm×0.56mmのStripStyreneを貼って雨樋とし、
薄く削って形を整えるのは、モハ32の場合と全く同じです。
もともとサハ/サロ用の屋根は雨樋が一直線になっているので、そのまま無加工で使用できます。
でも・・・よく見たら前面窓は、Hゴム化された晩年の姿になっているんですね。
うーむ・・・ま、いっかぁ。

*とりあえず2連にして・・・眺めてみる
今回は、ここまでやりました。

まだ、クハにはベンチレータも付けてないし、塗装もしていませんが。
それでも、早速この2両を連結してみたくなってしまうというものです。

すると!
なにしろこのGMの平妻旧国シリーズは、スケールよりも車幅が1mmほど広いんです。
つまりスケールに近いモハ32が・・・車体長の関係もあって、かなり小振りに見えてしまいました(苦笑)
でも、たった2両であっても、狭窓がずらりと並ぶ統一された編成は、さすがに美しいです。
もう1両の富士急モハ7032の改造と、GMキットのサハ、サロの製作も、進めていくことにしましょう。


左写真:クハ47とモハ32。GMのこのキットは車幅が広いので、クハの方が一回り大きい。。。
右写真:とりあえず・・・モハ32とクハ47の2連。なかなかいいんじゃない?

2.編成を揃える
*どんな編成にするかを決める
ここで・・・最終的な編成を、再度考えました。
モハ32とクハ47の2両は、ほぼできています。
そしてサハ48とサロ45が既にあるので・・・モハ32をあと2両揃えれば、
モハ32−クハ47+モハ32−サロ45−サハ48−モハ32
という、3M3Tの美しい編成になることに気づきました。

実物のモハ32系が、横須賀線でどのような編成を組んでいたのかとは関係なく、
模型的に手ごろなこの編成にすることに決定。
そこで・・・富士急モハ7032をさらに2両購入し、IPA漬けにして、塗装を落としたのです。

*全車の屋根、ベンチレータを加工
既に前回ご紹介したように、追加購入したモハ32も、前面雨どいを一直線に加工し、
屋根のモールドを全て削り取りました。
そしてグロベンが付いていた穴を拡げ、KATOのスハ43系用のガラベン(ASSYパーツ)を取り付けます。
同様に、サロ45、クハ47、サハ48にも、ガラベンを取り付けました。

しかしこのASSYパーツは、ディテールがすばらしいため人気が高いようで、
既にKATOのホビーセンターにも在庫がなかったのです・・・
発売と同時に2袋買っておいて助かりました。
6両だと、2袋ぶんが必要でしたから。。。


左写真:モハ32の前面雨どい・屋根加工が3両とも完了
右写真:同じく3両のガラベン化も完了

GMキットの3両もガラベン化

ここで、TOMIXのPS13パンタグラフを仮装着し、6両編成ぶんのボディを並べてみると・・・
いいじゃないですか!
いよいよ、戦前のスカ線編成の全容が見えてきた、という感じです!

でも一方・・・屋根上がちょっと単調な感じも、しなくもありません。
「きれいな編成」とは言っても、そこは旧国、製造年の違いで微妙なディテール差があったりするものです。
そこで、モハの1両のガラベンを、3列化することを考えました。
T型のガラベンを、元のガラベンの両脇にも貼るという魂胆です。
そうすれば、屋根上のちょっとしたアクセントになるはず。。。

早速、模型屋でパーツを漁ってみると、
まさにお目当てのパーツが、キングスホビーから発売されていました!
しかも、KATOのスハ43系用に負けず劣らず、なかなかのディテールをしています。
そこでこれを早速購入し、モハの1両に貼り付けてみました。

・・・・かっちょええ!!

3列化したガラベン

いやー、これぞ戦前の旧国といった姿です!
思わず他の車輌も・・・と思いましたが、これはあくまでアクセントのつもりなので、1両だけにしておきました。
クハも含めた他の先頭車は、ヘッドライトの位置でバラエティを持たせようと思います。
つまり・・・オーソドックスに屋根上に設置するもの2両、
登場時の姿でオデコに設置するもの2両・・・というふうに考えています。

ちなみに、鉄コレのモハ3両は、ここで屋根とボディを接着しました。

*台車の加工
鉄コレのモハ32の3両は、製品そのままのDT11を、黒く塗装して使うことができます。
では、サロ、クハ、サハはどうしましょうか・・・
簡単なのは、GM製のTR23を使うことでしょう。
私も、当初はGMのTR23を使ってみました。

ところが、GM製のTR23はどうも不格好で・・・軸受け部分が大きすぎるんです。
繊細な雰囲気を持っているTR23とは、どうも似ていないのです。
かつて、中村精密がスハ32系キット用に出していたTR23は、素晴らしいディテールを持っていました。
当時、もっと買っておけばよかったのですが、今となっては、モデモの完成品でしか入手できません。

そこで、ディテールが優れ、転がりもよい、KATOのTR23(オハ47用)を使うことにしました。
オハ47用はコロ軸受けなので、厳密には形状が違います。
オハ35用TR23なら、軸受け部の形状もピッタシなのですが、残念ながら売り切れでした。。。
まぁ・・・追ってオハ35系用が入手できたら、交換できますからね。

さて、KATOの台車をGMキットに取り付けるには、若干の加工が必要です。
室内灯や標識灯のための集電用金属パーツの突起が出ているので、床板と干渉してしまうのです。
私はこの作例ではライト類を点灯するつもりはないので、
それをニッパーでばっさりと切り取り、台車上面を平らにしてしまいました。
そして、KATOのTR23に付属していたネジは使わず、
GMのTR23の樹脂製ボルスターで、床板に固定したのです。

さぁ、これで軸受けの形状違いという点に目をつぶれば(苦笑)、黒染め車輪の色合いとも相まって、
実にいい感じに装着できたようです。


左写真:集電の金属パーツを切り取り、樹脂製ボルスターで床板に固定します。
右写真:とてもいい感じでしょ?

*次は・・・
今回の工作はここまでです。

この状態で、クモニ13の動力をちょっと拝借し、6両編成を組んでエンドレスを走行させると・・・
もうウットリです。
私の悪い癖で、こうなると工作の速度は一気に落ちます(笑)

しかし、まだヘッドライトは未装着だし、屋根車端部の小さなランボードも(1両を除き)付いていません。
そういえばこのランボード、鉄コレではあっさりと省略されていますね。
また、屋根モールドを全て削ってしまったので、配管も新たに作らないといけないし、
それらが済んだら・・・「塗装」という、私の苦手な大仕事が残っています。

まぁ、焦るとロクなことがないので、これからもマイペースで続けていきたいとは思っていますが。
(つづく)






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