この写真で見ると小さな違いにしか見えませんが・・・・
*昔から変わらないもの
最近の電機ってよくできていますよね。
ディテールは素晴らしく、走行性能もよく、塗装やレタリングの出来も見事です。
しかしそんな中でも、昔から進歩していない部分もあるのです。
特にKATO製の電機でよくあるのが、屋根上モニター窓のHゴム。。。
ここが車体色のままで、ちゃんとHゴムの色に塗り分けられていないというケースです。
そもそもボディ側面の窓にガラスが入っていないという構造は、
もう30年以上も前、同社初めての電機だったEF70から何も変わっていませんが、
1980年前後から、ここのHゴムはちゃんとグレーに塗り分けられるようになりました。
(最初は何故か銀色に塗られてしまいましたが!)
新しい製品であるEF64では、側面のHゴムは別パーツとなり、窓ガラスも入るようになっています。
屋根上はHゴムを塗り分けています。
なのにEF65とEF60の屋根上モニター窓は、
ボディがリニューアルされた今でも、ガラスがないだけでなく、Hゴムの色さえ塗られていないのです。
最新ロットでも、屋根上モニターは・・・・・・
ここをどうにかしたい!
そう思う方は結構いるようで・・・
小筆を使って一所懸命に色差しした例を、中古模型ショップなどでよく見かけます。
しかし、同じ形の小窓がたくさん並ぶため、どうしてもはみ出したり線が乱れたりしがちです。
哀しいかな・・・綺麗にできている例を見たためしがありません。。。
*発想の転換
「ならば塗装をそぎ落としたらどうだろう?」
ふとそう閃いたのは、確かOKIとHゴムの塗装の話をしていたときだったかと思います。
「DF50のHゴムに色差しをすると、とてもいい感じになるんだよ・・・」という話を熱く語るOKI。
確かにOKIの正統派
Hゴム塗装
の効果は素晴らしいです。
でも、大きくて数の少ない正面窓ならともかく、
面相筆でも大きすぎるような小窓がたくさん並ぶ屋根上モニターを、
一糸乱れず仕上げることは・・・私には無理そうです・・・・
エナメル塗料を使えば、何度も修正がきくし、はみ出た部分は簡単に拭きとれますが、
どうしても根気が続きません。。。
そのとき、私の頭にいつもの閃きがやってきました(笑)
「ボディの樹脂がもしHゴムの色だったら、それを見せればいいんじゃないか?」、
塗るのではなく、剥がす・・・・・・まさに発想の転換でした。
ここではその簡単工作を紹介します。
作例は、EF65 500・・・未だに30年前の構造を継承している代表格のロコです。
*分解
まずはボディと下回りを分離します。
やり方は
初期EF65とラストEF70のスカート交換
に詳しく書きました。
KATOの電機は、全て同じ方法で分離できるはずです。
ボディと下回りを分離。ボディの樹脂が灰色であることを確認。
このとき、ボディの裏側の無塗装部分の樹脂の色を見てください。
KATOの車輌は、ほとんど灰色になっているはずです。
この灰色がHゴムの色になる、という寸法。
もし樹脂が黒かったら、仕上がった色は黒になります。いわゆる黒Hゴムです。
樹脂の色は変えることができないので、側面や正面窓のHゴムと違う色だったら、
この工作はさっぱり諦めましょう
他社製品には、実際に黒い樹脂を用いている場合があります。
さて、お目当ての屋根上モニター部分は、都合の良いことに、はめ込みの別パーツになっています。
それを取り外します。
余談ですが、このモニターパーツの裏を見ると驚きますよ。
「302」という製品番号が刻印されているんです。
そう、製品番号3桁時代の部品を、まだ使っているんですね。。。
モニターを取り外したところ
*塗装・・・・ならぬ、塗装剥がし
あとは簡単です。
モニター部分のHゴムは、ややオーバースケール気味に浮き上がって表現されています。
なのでここを、目の細かい耐水ペーパーかカッターの刃を垂直に立てた「キサゲ」で擦り、
Hゴム部分の「ボディ色」を落としていくのです。
工作のポイントはひとつだけ。
ちょっと擦っては確認し、また擦る、というのを繰り返し、
余分なところまで削ってしまわないよう注意することです。
削りすぎたら修正はききませんから・・・
私は、直線部分はカッター、曲線部分は耐水ペーパーを用い、
仕上げとして耐水ペーパーを用いました。
2,3回も擦れば、地の色・・・灰色が見えてくるはず。
そうしたら、全体の太さが均一になるよう、より慎重に塗装落とし作業を進めていきます。
決してラクな作業ではないかもしれませんが、
息を止めて手の震えを我慢し、塗装していく・・・・なんてことを繰り返すよりは遥かに易しく、
また綺麗に仕上がることは、保証します。
特に、塗装でありがちな「はみ出し」がないのが、精神衛生上、かなり好ましいですよ。
塗装の剥ぎ取り作業が終了したら、モニターのパーツを屋根上に戻し、
ボディと下回りも元の状態に戻します。
たったこれだけで完成です。
慣れれば所要時間は15分くらいではないでしょうか。
左写真:塗装を剥がすことで、モニター窓のHゴムが灰色に!
右写真:装着したところを横から見ると・・・・スバラシイ!!
*まとめ
元通りになったロコを眺めると・・・・有頂天になることは確実です!
今まで・・・なんとなく無表情な感じのした屋根上が、
細かい楕円形の窓が協調されることで、とても表情豊かで実感的になるものだと、感じることでしょう。
全てのロコに同じ加工をするのはさすがに根気のいる作業ですが
(なにしろ・・・KATOのEF60、EF65はたくさん持っているので・・・)
手の空いたときに少しずつでも加工していこうと思います。
左写真:EF60茶での施工例
右写真:施工していないEF65一般色との比較。差は歴然。
最後にEF60茶の完成写真もお見せします。
青い車体よりも茶色の方が灰色が一層目立つようで、
より効果的なのがわかっていただけると思います。
この技法、屋根上モニターだけじゃなくて、いろいろなところに応用できると思いませんか?