このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ローカル駅セクション(ストラクチャー工作編)



  1. 工場の建設
  2. 工場の完成
  3. 火の見櫓と藁葺き農家
  4. 詰所キットで駅舎を作る!1
  5. 詰所キットで駅舎を作る!2
  6. 詰所キットで駅舎を作る!3
  7. 詰所キットで駅舎を作る!4
  8. 詰所キットで駅舎を作る!5
  9. TOMIXの跨線橋を実感的に
  10. 跨線橋の完成度を上げる


1.工場の建設
完成した姿(ベース板には固定していません)

レイアウト建設の順序は、人それぞれでしょう。
私は以前、とにかくまず線路を敷いて、動かせるようにしたい、と思っていました。
でもそうすると、走行できることで満足してしまい、その先の進捗が遅れてしまうような気がします。
そこで・・・レイアウトの建設に必要なストラクチャーやアクセサリーをあらかじめ準備しておき、
建設がスムーズに運ぶようにする・・・ということを考えてみることにしました。
本編では「土地に合わせて建物を作るべきだ!」・・・なんて偉そうなことを書いておきながら、
いきなり矛盾する話かもしれませんが(苦笑)、今回はストラクチャーのひとつ、工場の建設です。

*使用したキットの紹介
実は最近、目をつけていたキットがあります。
ドイツFALLERの煉瓦積みの工場です。
安直に国産の完成品を使いたくなかったので、使えそうな外国製キットを物色し、見つけたものです。
1/150の1軒家とさほど変わらぬ小ぶりなサイズなのと、
ちょっとした加工で、日本の田舎でよく見る古い工場にもなるデザインが気に入ったのです。
価格も2000円台で、外国製品にありがちな、「目が飛び出るほど高価」というほどでもありません。
しかも、それを買い求めに行ったところ・・・全く同じ型を使った米国のモデル・パワー製品が、
数百円だけ安く売られていたので、こちらを購入することにしました。


全く同内容のキットがFALLERからも出ています。

*外国製ストラクチャーキットの留意点
かつて外国製のストラクチャーキットをいくつか組んだ経験から、留意点があります。
それは・・・「部品の合いが悪い」ということです。
各部品は寸法が合わなかったり、位置決めがしづらかったり、のりしろがなかったり、
部品が反っていて合わせにくかったり・・・そんなことは日常茶飯事です。
位置がパシッと決まって簡単に組むことのできるキットを想像していると、痛い目に遭います。
国産品に比べ、プラの質が柔らかいのも特徴です。
なので加工がしやすい一方、組みあがった後での反りにも注意する必要があります。

そのような特性を踏まえ、組立にはプラ用接着剤(タミヤセメントなど)を使うのがよいでしょう。
反りやズレが生じても微調整が効くし、素材が柔らかいのですぐに接着でき、作業がはかどります。
なお、瞬間接着剤は、組み上がった後の補強用として考えるのがよいと思います。

また、外国製のストラクチャーの特徴として、「細密ではない」という点も理解が必要です。
デフォルメされているというか、玩具ちっくな箇所が必ずあるのです。
そのあたりの理解は必要かと思います。

*組立を開始
さて、このキットは、予想に反し、意外としっかりしていました。
窓にはまる窓枠はきっちりと入るし、妻板、側板の寸法に狂いもありません。
但し、無修正というわけにもいきません。
妻板の上部(屋根に接する三角形の部分)を固定するための位置決め用の突起は、
このまま使用すると妻板上部が中央に固定されません。
なので、これは削り取ってしまいました。

また、煙突のパーツは2つを合わせる構造ですが、
それぞれのパーツが反っている上、直径が微妙に合わないし、位置を決めるポイントもありません。
反りは指の腹で少しずつだましだまし曲げ戻しましたが、
煉瓦積みのディテールがあるため、径の違いの修正は困難でした。
そこで、接合部を微妙にヤスって目立たなくしてみました。
(それでも、縦に太い筋が入ってしまいますが・・・)


左写真:この突起は削りとります
右写真:2つのパーツを曲げ戻してなんとか接着。でも、径が合わず、縦に太い筋が。。。

側面と妻面、張り出し部分は、L型→コ型→ロ型と組んでいきますが、
パーツに反りがあったり、各パーツの端が直線になっていなかったり、
時には直角が出ていなかったりする部分もありました。
なので、こういう箇所はヤスリで仕上げながら、接着していきます。
さもないと、全体が傾いたり、接合部に隙間ができたりしていまうので、注意しました。

不都合な部分を削りながら組んでいくと、どうしても若干寸法が小さくなります。
キットに付属している土台とは寸法が合わなくなるのです。
でも、それよりも仕上がりの美しさを優先するべきでしょう。

屋根上に乗る換気塔(正式名称知らず)も苦労しました。
こういった小さなパーツを組み立てる部分は、パーツの精度が悪いため、大きく狂いが出ます。
しかも斜めに2枚の屋根板を貼る構造なので、位置決めがしづらいものでした。
屋根くらい、一体整形にしてくれれば、すいぶんと楽になるんですけどね。


左写真:あちこちを整形しながら、ここまでできました
右写真:屋根の上にある換気塔(正式名称わからず)。

*煉瓦の塗装
とはいっても、このキットを組むに当たって一番配慮しなくてはいけないのは、煉瓦でしょう。
如何にして「やや古びた煉瓦積み建築」の味を出すか。。。
幸い、プラの色は既に煉瓦色になっているので、プラスチックの質感を消せばいいことになります。

私の場合・・・ハンブロールの艶消し灰色を薄めに溶いて全面に塗り、
半乾きのときにシンナーを含ませたティッシュで軽く拭き取るという方法を試してみました。
結果としては、これで成功です。
ちゃんと煉瓦の目地にだけ灰色が残り、煉瓦を積んだ感じが出てくれました。
ハンブロールに含まれるフラットベースが、プラのツヤツヤした質感も抑えてくれたので、
煉瓦色の塗料は必要ありません。
これは、後で好結果を生むことにもなりました。

もちろん、大きな煙突にも、同様のことをしておきます。


艶消し灰色のハンブロールで目地を表現。目地の色をもっと白っぽくすると、新しい感じになります。

*煙突の製作
キットには、大きな煙突が2つ入っています。
工場や機関庫の屋根には必ずある、排煙用の煙突です。
ところがこれ・・・小振りな工場にしてはずいぶんと図体が大きく、かなりアンバランスです。
笠の部分だけで、直径2m以上にもなりそうなんです。
ディテールもお世辞にも良いとは言えず、バリもかなりあって・・・このキットで一番幻滅した部分でした。
これをこのまま使用する気には、どうしてもなれませんでした。

KATO製のクラウンと並べてみました。大きすぎますよねぇ

そこで私は、煙突を自作することにしました。
方法は簡単です。
煙突本体はキットのランナーを使用します。
笠の部分は、資料をバインダーに閉じるための穴開け器(事務用品)を使い、円形に抜いた0.3mmプラ板。
これの一部を切り欠き、欠いた部分を接着すると、笠の形になるので、
適当な長さに切り出したランナーに載せれば、はい出来上がり。

手作りの笠は、微妙にいびつになっているので、却って使い込まれた古さを表現できるし、
そのシンプルな造型は、欧州型を日本型に見せるためのポイントのひとつにもなりました。
「変な煙突に目が行く」ことを防ぐ効果も見逃せません。
本来、このようなパーツは目立たつべきfではないのですからね(笑)


左写真:事務用品で切り出したプラ板を加工して笠を作る
右写真:ランナーに接着すれば、煙突の出来上がり

*全体の組み上げ
さて、ここで全体を組み上げていきます。

建物の窓サッシや扉は、あらかじめハンブロールで塗装しておきました。
全体を地味にしたかったので、サッシと扉は濃い茶色です。
接着面についた塗料をペーパーで落としてから、各部の裏面からはめ込み、
タミヤセメントを流して接着しました。

建物の屋根は・・・表面に「玩具ちっく」な継ぎはぎなども表現されています。
プラ板で自作することも考えましたが、地味に塗装することで目立たなくすることにしました。
また、この屋根は中央で継がなければならないので、傾きや寸法合わせに注意しなくてはなりません。
そこで、あらかじめ自作煙突を固定し、全体に渋い緑の塗装を済ませた後で、
建物に組み込み、タミヤセメントを裏から流して固定しています。
やはり屋根板や妻板に反りがあったので、接着剤が乾くまで、輪ゴムで固定することをお勧めします。

屋根が固定したら、先に作っておいた換気塔を接着しました。
ここは接着剤を流しづらかったので、ゴム系接着剤を用いています。

大きな煙突が載る張り出し部分は、よく見れば屋根に勾配がありません。
これじゃ雨水が流れないジャン・・・なんてことは、この際気にしないことにしました。
その屋根表面には大袈裟な木目表現もありますが、濃い茶色に塗って、目立たなくしました。
こういう部分が、先に書いた「外国製ストラクチャーキットならでは」の部分なのです。

そして、大きな煙突を接着しました。
接着後、煙突先端周辺と内部をハンブロールの艶消し黒で塗装し、煤けた感じにしておきました。


左写真:ひととおり組み上がった姿。結構いい感じでしょ?
右写真:煙突の先端部

*追加工作
ここで・・・なんとなく物足りなさを感じたのです。

「普通、高い煙突には、掃除やメンテナンス用の梯子があるよなぁ」

そうなんです、このキットには、煙突用の梯子が付いていません。
まぁ、なまじっか・・・ぶっといおもちゃみたいな梯子が付いてくるよりはマシかもしれませんが。
そこで、この梯子を自作することにしました。

材料は、私の好きなevergreen scale modelsのStripStyrene。
0.56mm×0.56mmの角材があったので、これを切って貼り合わせ、梯子にすることにしました。
材料にプラを選んだのは、作業が簡単ではかどること、強度を必要としないものであることからです。
そして寸法は・・・例によって「目分量」です。
ちゃんと寸法を測って作ろうとしても、どうせ私の腕では誤差やひずみが出ます。
だったら、最初から目分量でイイジャン・・・という考え方です。

長く切り出した角材に、短い角材をひとつずつ接着していき、最後に反対側に長い角材をはり、
意外と簡単に「梯子らしきモノ」を製作することができました。

細いプラ角材で梯子を作る

これを艶消し黒で塗装した後、煙突の側面に貼り付けました。
もちろん・・・接着面は塗装していません。
先に書いた、「煉瓦そのものを塗装しなかったことによる好結果」とは、このことです。
煙突本体は塗装していない(塗料が乗っているのは目地だけ)ため、
タミヤセメントを流して固定することができたのです。

梯子の太さは・・・スケールからすると太すぎますが、黒くすれば目立ちません。
むしろ、模型的にはよいアクセントになりました。
また、煙突側面に残る接合部の太いスジ・・・これを隠すのにも絶好のアイテムとなったのでした。

煙突に梯子が付きました

*ウェザリングと仕上げ
今までの写真でも既にお気づきの部分もあるかとかと思いますが、ウェザリングに凝ってみました。
煙突の上部には煤汚れを表現、タイルの目地部分は一部を黒っぽく汚したり、逆に白っぽくしたりしました。
建物表面に水が垂れた部分は、黒い筋を残しました。
窓枠の下や屋根の下に表現しています。
梯子や屋根の一部は金属部分なので、表面に錆を浮かせています。

そして、日本の古い工場や倉庫によくある、「屋号」「記号」を入れてみました。
白いハンブロールを面相筆で手書きしたものです。
場所は煙突の両面、張り出し部の壁、そして張り出し部のない側の妻板上部です。
「やま」型の下に「ト」・・・「やまと」とでも読むのでしょう。
これで、醤油醸造所のような雰囲気が一気に高まったと思いますが、如何でしょうか?


左写真:煙突のマーク
右写真:裏から窓を接着

そして、窓を入れました。
これはキットに付属していたものを使いましたが、完全な透明ではなく、微妙に曇った感じが絶妙です。

これで完成!

どこか田舎の片隅にある、古びた醤油醸造所といった趣の工場が完成しました。
レイアウトに設置する際には、周囲にあわせてパステルウェザリングをしたり、
工場にふさわしいアクセサリー類を配置すると思いますが、単体ではここまでにしておきます。


左写真:張り出し部付近。壁面の汚れに注意。
右写真:反対側妻面。「やまと」マークがあります。


左写真:側面の一部
右写真:屋根上の換気塔(?)と、自作の煙突

*最後に
以上述べてきたように、欧州の小さな鉄工所(?)は、日本の田舎の醤油醸造所になりました。
この姿なら、日本型レイアウトの環境に置いても、全く違和感ないのではないかと思います。
このように、ちょっとした加工で日本型に応用できる外国製品は、まだ他にもあるでしょう。
他人のレイアウトと同じストラクチャーが並ぶ・・・
そんなレイアウトは、天邪鬼な私の目指すものではないので、
これからもいろいろと考えてみたいと思っています。

そして、せっかくの自信作ですから、下に4面の写真を全てお見せしておきますね(笑)





2.工場の完成
前回、欧州製のキットを使って日本風の工場を作りました。
しかし、ここでいつもの「凝り性」が首をもたげてきたのです。
もっともっと・・・らしい雰囲気を出したい!
・・・そこで、完成を目指し、いろいろと増改築に取り組んだのでした。

*増築する
手元に、KATOの鉄道官舎(イージーキット)が1棟残っていました。
これの側板をうまく使えば、工場に張り出し部分を作ることができそうです。
なるべく「住居らしくない部分」ということで、引き戸と開き戸、そして小窓の部分を切り出し、
コ型に組んで、煙突のない側の妻板に貼ることにしました。
組み立てる際にどうしても隙間が生じるので、StripStyreneを使って縁を隠し、
また土台の部分も作っておきました。

ところが、工場の煉瓦は凹凸があるので、そのまま貼り付けると、どうしても隙間ができてしまいます。
そこで・・・張り出し部分を接着する際にタミヤセメントを多めにつけて、素材を解かして圧着してみました。
KATOのストラクチャキットは欧州製造なので樹脂が柔らかいため、このようにすることで、
煉瓦の側面に密着させることができました。

貼り付けた後に、屋根を作りました。
屋根板は1.0mmプラ板から切り出し、トタン風の筋は、StripStyreneを貼っています。

塗装は貼り付けた後に行いましたが、これは失敗でした。
窓を装着し、塗装を済ませた後に接着するべきでした。
非常に塗りにくかったです。。。


KATOの鉄道官舎キットから切り出した延長部分を妻板に貼り付けます。

*土台への接着
ここで、工場を「土台」に接着することにしました。
キットの樹脂が柔らかいので、このままだと歪みを生じやすいし、
建物の周囲も含めて仕上げたいと思ったからです。
土台に使用したのはは1.0mmプラ板で、周囲の地面も兼ねます。
レイアウト設置の際には土地の形に合わせて切り、
境界部分は側溝を作って目立たなくすることを考えているので、ご安心ください。
また、後の作業を考えて、建物の裏はくり貫いておきます。

プラ板に貼りました

*御影石の表現
そして・・・続いてやったのは、御影石の表現です。
東京駅丸の内駅舎みたいな、赤い煉瓦と白い御影石のコントラストが美しい建物にしたくなったのです。
このキットもよく見ると、窓の上下や屋根付近に飾り表現があるので、
この部分を御影石にすると、好都合です。
そこで、その部分を薄い灰色に塗り分けてみました。

結果は大成功です。
もしこの工場が実在したら文化財指定されるのではないかというような、格調高い雰囲気になりました。


御影石の雰囲気が出ているでしょう?

*雨樋をつける
ここで、かねてから表現したいと思っていた雨樋をつけました。
StripStyreneの0.56mm×0.56mmを屋根の端に貼り、もっともらしいところに縦樋もはっただけのものです。
もちろん、増築部分にも貼ります。
Nゲージサイズだと、樋の断面が半円でなくとも、充分に感じは出てくれました。
接着はタミヤセメントで行い、貼った後に灰色に塗りました。
この手の細かいパーツは接着してから塗るか、塗ってから接着するか、いつも迷いますね。
接着してからだと塗り分けが難しいし、塗装後だと接着しづらくなってしまいます。
私は大体接着後に塗るほうですが・・・ケースバイケースで考えるしかないでしょうね。

雨樋に注目

*マンホールとタンク
大きな煙突がついている部分のすぐ横には、マンホールを作りました。
まず、事務用の穴開け器で0.3mmプラ板に穴を開けたものを用意します。
これを土台に接着した後、コンクリート風に薄い灰色で塗装しました。
塗料が乾いたら、マイクロギャラリーのマンホールをはめ込み、瞬間接着剤で固定しました。
両者はどちらも直径5mmなので、マンホールの蓋がツライチになった状態にできるのです。

続いてはタンク。
これはGMの工場付帯設備キットにあったものです。
そのままでは味気ないので、タンクの周りに厚さ0.25mmのStripStyreneの帯材を貼り付けました。
これで、金属板を張り合わせた雰囲気にすることができたようです。

タンクは土台に接着する前に、足も含めて赤茶色に塗っておきます。
塗り分けることも考えたのですが、一色でも充分にそれらしく見せることはできます。
そしてお約束・・・タンク側面には「やまと」マークを描きました。


左写真:マンホールの周囲のコンクリート部分
右写真:側面に細工したGM製のタンク

*地面を塗る
さて・・・ここで地面を仕上げないといけません。
紙粘土を用いた場合などと違い、なにぶんツルツルのプラ板なので・・・
あまり表情の変化は期待できません。
なのでここは、ハンブロールの重ね塗りで、それらしく仕上げるにとどめました。
一度だけではどうしても地のプラ板が透けてしまうので、
やや色調を変えながら、数回重ね塗りしています。
用いた色は黄土色が中心で、灰色を加えたりしています。
まだ筆ムラが消えていない状態ではありますが、なんとか土の地面の雰囲気は出てきました。
ここはおいおい、きれいに仕上げていくつもりです。

*アクセサリーの設置
地面ができたら、いよいよ「大好きな」アクセサリーの設置です。

増築部分の屋根には、何かのキットに入っていた煙突を立ててみました。
そしてその横・・・工場本体の角には、マイクロギャラリーのパレットを3枚置きました。
2枚は重ねて、1枚は壁に立てかけた状態で瞬間接着剤で固定してあります。
この、さりげない置き方にもこだわってみました。

増築部分の引き戸の前には、市販のダイカスト製ダイハツミゼットを置きました。
もともと日通仕様だったので、山吹色になっています。
日通マークのシールを剥がしてそのまま使いました。
ただ、全体の艶を抑えようと薄墨を流してから拭き取ったら、
ヘッドライトやバンパーの銀色もなくなっちゃいました!
瞬間接着剤で貼り付けたので、ちょっとしたショックですぐにはがれてしまいます。
やがてはきちんと固定しないといけないでしょう。

ミゼットの反対側には、開き戸の横にガスボンベが立てかけてあります。
これは確か、GMのキットに含まれていたもの。
そしてその横に、先ほど紹介したタンクを立てました。
タンクはパステルで目一杯ウェザリングをして、かなり年季の入った感じにしています。


左写真:3枚のパレット、ダイハツミゼット、増築部分の煙突。
 増築部分には窓ガラスを入れ、扉も塗り分けています。
右写真:立てかけてあるガスボンベと年季の入ったタンク。

続いては、大煙突のある反対側です。
まず鉄扉の横には、KATOのドラム缶を置きました。
そしてその鉄扉には、ヒサシを設けています。
これは鉄道官舎の側板の余った部分を適当な大きさに切って使いました。

煙突下の張り出し部分の壁には、エコーモデルの木箱を置きました。
中に何かが入っているようだったので・・・黒く塗って、石炭のようなものにしてみました。
そして上で紹介した2個のマンホールに続き、新たに梯子をかけています。
これは煙突の梯子に登るためのもので・・・自作ではありません。
GMの工場付帯設備の、タンク(大)用のものを短く切って使っています。
その横には再びエコーモデルの木箱があり・・・こちらは中身が空のものを置きました。

毎度思うことですが、これらのちょっとしたアクセサリーが、いきいきとした世界を作り出してくれます。


左写真:鉄扉のヒサシ、その横にドラム缶。雨樋と石炭のようなものの入った木箱にも注意。
右写真:マンホール、梯子、そしてもうひとつの木箱。

*草を生やす
既に今までの写真にも写っていますが、
今回は・・・模型屋で見つけた「繊維が細かく切ってあるもの」(メーカー失念)を使ってみました。
非常に細い繊維が、既に適当な大きさに切られているもので、
木工用ボンドを塗った上にピンセットでつまんで置くだけでよく、とても使いやすいものでした。
しかも、背が低く、細い雑草の雰囲気をよく出してくれるので、これはとてもお勧めできます
(製品名を覚えてないんじゃ、お勧めできないけど・・・)
但しこれだけでは単調になるので、ところどころウッドランドシーニックスのウレタンも使いました。

このような草は、「人が歩かないところ」に生えるもの。
たとえば・・・建物と地面の境界に生やすと、地面と建物が一体化した感じが出てきます。
地面と建物の間に隙間ができてしまった場合など、特に効果的です。

*ウェザリング仕上げ
仕上げは、再度ウェザリングです。
金属部分には錆色をところどころにつけ、煉瓦部分は苔を表現する黒をつけます。
どちらも水の流れを意識して汚します。

そして全体には土ぼこりを表現するため、黄土色のパステルをまぶします。
これは地面に近いところを多めにすると、感じが出ます。
但し、あまり大袈裟にするとおかしくなるので、やりすぎたときは適宜拭き取りながら・・・
それらしい「ムラ」を演出しました。

*工場の完成にあたり
たかだかひとつのストラクチャーに、ここまで凝ってしまうとは!
レイアウト全体の建設はいったいどうなるんだ・・・って感じですが、
とことん納得したものを目指したいという気持ちの表れということで。。。
そこは納期のない自分のレイアウトですから、これからも納得するまで作りたいと思います。

最後に、完成した工場を4方向からお見せしましょう。
前回の写真と見比べると、違い(進化)がわかっていただけるのではないかと思います。





3.火の見櫓と藁葺き農家
レイアウトに使用する、ストラクチャーの製作は、まだまだ続きます。
続いては、GMキットを組んだ火の見櫓と、TOMIXの藁葺き農家です。

*火の見櫓
①.櫓部分
GMキットを組んだ火の見櫓(ピンボケ失礼)

火の見櫓のハイライトとも言うべき櫓部分は、この手のキットにしてはかなり頑張っている方で、
パーツはスチロール樹脂の限界なのではないかと思えるほど、細くできていました。
しかしさすがに高さを稼ぐには強度的に無理があったのか、
消化ポンプの格納庫の上に櫓が載ったタイプになっています。

梯子状のパーツを4面張り合わせて櫓を組んでゆきますが、
細いパーツの接着面が45度になって、それを張り合わせると直角になるとか、
緩い曲線を描くようになっているとかで、結構神経を使います。
端の方から少しずつタミヤセメントを流し、
ズレないで、かつきちんと密着することを確かめながら、慎重に組んでいきました。

なにしろ接着面が小さいので、組んでから塗装する方法を選んだものの、
複雑で入り組んだ櫓を塗装するのには、結果的には苦労しました。
面相筆を用いて、なんとか裏側まで塗ることができましたが。。。
尚、キットでは銀色を使うよう指定されていますが、古めかしい雰囲気をだしたかったので、
消防らしく赤・・・それもくすんだ艶消し朱色のハンブロールにしてみました。
梯子、スピーカー、展望台(?)も同色です。

屋根と避雷針、半鐘は、艶消しのこげ茶色に塗りました。



②.ポンプ格納庫
続いては消防ポンプの格納庫。
そのまま組むと・・・細密な櫓と違い、ほとんど何のディテールもない、実にあっさりとしたものです。
なので、屋根の縁にStripStyreneでふち取りをして、側面にも太い帯状のものをつけました。
キットで指定されたクリーム色は、「モルタル造り」を想定しているのでしょう。
しかし、鉄骨の大きな櫓を支えるのですから、頑丈なコンクリート造りの方が自然だと考え、
それっぽいディテールを追加した・・・という次第です。
もちろん、色も艶消し灰色にしています。

前面扉は開け放った状態にして、ポンプを出した消防団員の姿を表現できるようにしておきました。
これはレイアウト設置後のお楽しみです。
・・・って、ポンプはどうしよう。。。
また、看板の上のR部分には薄手のStripStyreneを張ってエンジ色に塗り、
トタンの飾りが付いているようにしてみました。

格納庫はちょっと加工

③.櫓と格納庫の接着、そして仕上げ
櫓部分と格納庫の接着には、結構気を使いました。
なにしろ、細い曲がった4本の脚で支えるので・・・ちょっとした加減で、大きく傾いてしまうのです。
櫓の脚と格納庫の屋根との接着部分にタミヤセメントを流し、櫓を差し込んでから、
定規で垂直を確認し、調整しました。

全体が組みあがったら、パステルでウェザリングをします。
櫓部分は錆色、格納庫部分は土ぼこり色がメインです。
特に櫓は全体にまぶして、より色褪せた感じを出しておきました。
このような派手な色彩を使っても、色褪せを表現できると、違和感がなくなるものです。
また、格納庫には、ハンブロールで錆汚れも軽く表現しておきました。

完成

*藁葺き農家
これはTOMIXが80年代からずっと販売し続けているもので、
かなり簡略化された表現ではあるものの、全体のバランスは悪くありません。
いやむしろ、最近のものよりもいいくらいです。
しかも!なにより、その1000円を切る価格が魅力です。
そこでこれを・・・主に塗装で雰囲気を出してみようと考えたのです。


製品の状態

①.藁葺きの表現・・・鋸屑を使う
まずはこの製品の最大の弱点・・・プラの質感丸出しの藁葺き屋根を、実感的にしないといけません。
都合の良いことに、手元に、20年以上も前にローカル駅舎を作った際、
大量に出た「鋸屑」が保管してあったので・・・
ふと、これを貼り付けたらどうかなと思い立ったのです。

秘伝のタレ・・・ならぬ鋸屑

農家をばらし、屋根の部分に木工用ボンドを塗って、鋸屑をまぶし、押さえつけていきます。
木工用ボンドは、乾くと薄いビニール皮膜となり、鋸くずをしっかりと保持してくれます。
もしも、接着が不十分だった部分があれば、
乾燥を待ってから、さらにボンドを塗り重ね、鋸屑を追加していきました。

結果は・・・「ほぼ成功」と言えるのではないでしょうか。
塗装前の状態でも、少なくともプラスチックの質感は消せたし、藁らしい雰囲気は出ます。
ただ、あまり実物をよく知らないので、「本物そっくり!」なのかどうかはわかりませんが・・・

塗装は、ハンブロールです。
艶消しの黄土色系を薄く溶いて、浸み込ませるように数回塗っていきます。
この色も、私の頭の中にある藁葺き屋根のイメージなので、
実物に近い色にできたかどうか、ちょっと自信がないんですけど、
自分としては満足な色調になりました。

また、ハンブロールが完全に乾く前に黄土色のパステルをまぶしてみたら、
色に適度にムラが出て、さらにいい感じになりました。
さらにちょっとしたお遊びで、ところどころに草を生やしてみました。

なかなかいい感じだと思いませんか?

②.その他・・・建物本体
ここは塗装が中心です。
屋根の一番上・・・棟の部分は、製品では簡略化されているので、
細いStripStyreneを1本貼って、雰囲気だけ出してみました。
そして棟全体を艶消しこげ茶色に塗りました。

建物の白壁は、大袈裟なひび割れが表現されているため、艶消し白で再塗装します。
また、木の部分は無塗装なので、艶消しこげ茶色に塗装します。
物置は肌色の無塗装だったので、屋根は艶消しアズキ色、側板は艶消しこげ茶色にしました。
縁側にある踏み石は艶消し灰色、井戸は艶消し灰色、ポンプは艶消しこげ茶色です。
尚、開け放たれた縁側から、室内も見えてしまうので、室内もそれらしく塗り分けておきました。



③.地面と仕上げ
レイアウトに用いる際には状況に合わせて加工しますが、地面も仕上げておきます。
ハンブロールを調合して、「灰色に近い黄土色」といった色で土を表現しました。
地面もプラだと塗料が浸み込まないので、ハンブロールは濃い目に溶いて、一気に塗ります。

ところどころには、工場でも用いた草を植え、
物置の横にはエコーモデルの木箱を置き、その反対側には製品に付属していた薪を積みました。

そして最後に、全体にパステルウェザリングを施します。
年季が入り、「使い込まれた感」を出したかったので、かなりの量をまぶしました。
白壁は地面に近い部分ほど黄色っぽくなるようにして、
木の部分は元がこげ茶色であったことがわからないほど白っぽくしています。

以上で、製品にあった玩具っぽさは、ほとんど払拭できたのではないかと思います。
最後に、4面の写真を載せておきますので、どうぞご覧ください。

ここまで、ストラクチャー工作ばかり続けてきましたが、
そろそろレイアウト本体の工作も本格化しないといけないですかねぇ。。。





4.詰所キットで駅舎を作る!1
ストラクチャー工作は、まだまだ続きます。
・・・っていうか、すっかりストラクチャーに夢中になってしまい、レイアウト本体のことは先送り状態です。
まぁ、自分のことですから、好きなようにやればいいんですけど。

というわけで、今回は駅舎を作りました。
しかも・・・ほとんどの方が想像もつかないような方法で(?)、です。

*材料
当初、駅舎はGMの「ローカル駅舎」キットを使い、切妻型に大改造する予定でいました。
ところが・・・たまたま複数の模型屋へ行っても、このキットの在庫がなかったのです。
そこで私はどうするか考え、「GMの詰所キットを切り継いで、駅舎にする」ということを思いつきました。
誰もがみんな同じ駅舎を使っているなんてのは、天邪鬼な私の最も嫌うところであり、
このアイデアはなかなかのものだと思ったのです。

そこで私は、詰所キットを、まず2箱買ってみました。
・・・しかし、詰所は思いのほか小さなもので、これだけではとても足りません。
結局、なんと4箱(!)ものキットを用いることになってしまいました。
これだけで、ローカル駅舎キットの倍近い費用がかかったことになります。。。

左写真:4箱もの詰所キットを使用!
右写真:キットの中身はたったこれだけですから。。。

*側板を作る
この手の改造をするとき、私は図面を書くことは、まずありません。
全てはパーツをつき合わせ、頭の中でイメージしながら、現物あわせで加工していきます。
しかしさすがに今回は、ホーム側の側板だけで結果的に9箇所もの切り継ぎをすることになりました。
国鉄標準型の駅舎らしい窓割りとするため、キットのどの部分をどう使うか、
かなり悩みながらの作業となったのです。
そして、なかなか・・・全体の長さや出来上がった形を想像するのが難しく、かなり堪えました。

側板同士の接続部分には、柱に見立てた1mm×1mmプラ角材を挟みます。
いつもならStripStyreneを使用しますが、このサイズの角材の在庫がなかったので、今回はタミヤ製です。
これを挟むことで、木板同士の切り継ぎ処理が不要になるのです。

使用する接着剤はタミヤセメント。
この手の工作では歪みが出やすく、後になって無理矢理修正したりしますので、
ガチガチに固定してしまう瞬間接着剤はお勧めできません。


1mm角材を挟みながら、側板を貼り付けているところ。

一番苦労したのは、ホーム側の凸部分です。窓1列分だけ出っ張っています。
これがないと、昔の国鉄駅らしさが半減してしまうので、がんばってみました。

ようやく全体の形ができたところで、1mm厚プラ板に貼り付けました。
こうすることで、継ぎはぎの側板の補強になり、後の屋根工作が楽になります。
またこれで、室内を作りこむという楽しみも味わえそうです。

それにしても・・・最初の構想よりも随分と大きな、立派な駅舎になってしまいました。
まぁ、材料が詰所キットで、窓配置にも制限があるので仕方ないところではあります。

側板ができたら、プラ板のベースに接着。ホーム側の凸部分に注目。ここの切り継ぎは苦労しました。

*側板の高さを延長
続いて、側板の上部の土壁部分を・・・1mm厚プラ板を帯状に切り、貼り付けました。
これでまた、側板の強度を向上させることができます。

尚、この部分の幅は、屋根の高さを決定するものなので、実はかなり重要です。

 ・駅入り口のポーチ部分をつけても、駅舎屋根と干渉しないこと
 ・ホーム側に差しかけを設けても、差しかけの端に充分な高さがあること

の2点に気を付けなければいけないのです。
私は結果的に若干高さが不足してしまったので・・・
上端にさらに1mm角材を貼り付けて、高さを稼ぎました。

続いて、妻面に三角状の部分を作ります。
これも、1mm厚のプラ板です。
勾配は・・・これも現物あわせ。
なんと、GMの瓦板(素材)を縦に半分に切り、それがちょうどよい塩梅になる角度にしました。


左写真:側板を縦方向に延長し妻板の三角部分も製作。いよいよ屋根を作る直前です。
右写真:駅舎の入り口部分は、詰所キットの屋根を切手使いました。

*屋根を作る
さて、屋根ですが・・・上に書いたとおり、GMの屋根瓦を使います。
縦に半分にすると、ほぼ幅がぴったりではあるものの、ちょっと不足気味です。
そこで、1mm角材を貼り、そのぶんだけ延長してから両者を接着しました。
その上に同じく1mm角材で棟瓦を作り、両端にGMの瓦板に付属していた鬼瓦を置いています。

ホーム側差しかけも、1mm厚プラ板です。
適度に傾けた状態で屋根板に接着しました。
そして差しかけの上面には、StripStyreneの細い角材を貼り、トタン風にしました。

尚、屋根は側板に接着しません。
これから室内を作り、塗装する必要があるためです。
屋根の勾配は妻板の三角部分に合わせ、癖をつけておきます。
タミヤセメントはしばらくの間固着しないので、ある程度の角度は変えられるのです。
しかも、完全に固着した後は、びくともしない強度になります。
こういったところでも、瞬間接着剤よりもよいと思う点です。


屋根、差しかけ、駅舎入り口などが完成したところ。かなりいい感じになってきたぞ!

尚、ここで、宿直室側に張り出し部分を作りました。
建物にこのような変化があると、雰囲気がずいぶんと違い、なんだか実感的に見えてくるもの。
なので私は「張り出し部分が好き」なのです。
想定では、ここは宿直室のトイレということにしています。
この部分の屋根も、キットの屋根から切り出しました。

そして、駅舎入り口のポーチには、1mm角材で簡単な柱を作っておきました。

・・・さぁ、いよいよ塗装に入ることにしましょう。


左写真:宿直室側の張り出し部分
右写真:駅舎入り口の柱

*一次塗装
ここで、最初の塗装をします。
まだ室内は完成していないので、あくまで「一次塗装」です。

用いた塗料は全てハンブロールで、側板の木板部分は明るいチョコレート色、土壁部分は白、
窓枠と扉は黄土色、瓦は黒、ホーム差しかけはワインレッドです。
おっと・・・ここでまだひとつ忘れていました。
妻板の三角部分は木板を縦に並べたように見せるため、
1mm×0.25mmのStripStyreneを貼り付けておき、それからチョコレート色を塗りました。

塗装で特に苦労したのは、窓枠部分。
さすがに寄る年波には勝てず、私も最近は目が衰えてきました。
なのでこういった細かい部分の塗り分けが・・・よく見えずに難しいのです。
かなりはみ出してしまう結果となりましたが・・・後で修正すれば、どうにかなるでしょう。







*この先も続く、駅舎製作・・・
ご覧のとおり、まだ塗りムラ、はみ出しの修正や、ウェザリングは行っていません。
色合いもくっきりしていて・・・なんだかペンキ塗りたてみたいで、玩具っぽいです。
私が得意とする(?)アクセサリー類も、まだ何も付いていないので、
活き活きとした感じもありません。
これから、内部の作りこみと一緒に、このあたりを修正し、実感的に仕上げていく予定です。

それにしても、いったい何人が、GMの詰所キットの改造だと気がつくでしょう?
それこそが、私にとって、「最大の満足」なのであります。


5.詰所キットで駅舎を作る!2
前回に引き続いての駅舎工作。
今回は仕上げ塗装・・・と思いきや、なんと!いきなり「過激な改造」から始まったのです。

*長さを詰める
ローカルな駅舎のわりには長さ・・・特に待合室が長いのが、気になっているところでした。
ところが、まぁこういう駅舎があってもいいだろう・・・と自分を納得させ、
パステルウェザリングにいそしんでいる最中、
「これ、長くない?」とOKIからも指摘されてしまったのです!

他人から指摘されると、やっぱりそうだよなぁ・・・ということになってしまうのが人情というもの。
それならば短縮化してしまえ!と、
なんと、プラ板のベースごと、糸鋸でザクザクと切断!
待合室の窓を一組なくしてそのぶん短くするという、実に荒っぽい改造をしたのです。。

しかし、これは思ったよりも意外と簡単にできました。
木目同士の接合部分には1mm角材があるので、きれいに仕上げれば、継ぎ目は全くわかりません。
改造の際、駅舎入り口のポーチ部分の柱が取れてしまいましたが、
これは後で付け直せばいいことです。


窓1組ぶん短くしました。塗装の剥げは、後で修正します。

もちろん屋根も、短縮加工します。
端のほうからから長さを切り詰めて、改めて棟瓦と鬼瓦を仕上げました。
このとき、接着した部分がばりっとはがれてしまいましたが、
簡単に修正できますから、ご安心ください。

それにしても、たったこれだけのことで、建物のバランスがとてもよくなったのには、驚きです。
やはり、待合室部分がバランス的に大きすぎたんですね。。。
思い切って切り詰めてよかったです。
前回の写真と比べてください


*室内を作る ①出札窓口と待合室
いわゆる「切符売り場」と「手荷物取り扱い窓口」、そして改札です。
入り口側からも、ホーム側からも丸見えなので、この部分だけは、作らないわけにはいきません。
「シーナリーガイド」や「レイアウトテクニック」という古い書籍を参考にしながら、
昔の国鉄標準タイプともいうべき構造を、
ベースとなるプラ板の上に1mm×3mmのStripStyreneを積み上げて作りました。
・・・なので、全て現物あわせ工作です。
そのわりに、形はうまくできたと思います。

柱や木の板は、1mm×0.25mmのStripStyreneで表現しました。
柱はとても効果的ですが、窓口下の木の板は・・・苦労したわりには目立ちませんでした。。。
また、この部分は床に固定してしまったため、後で塗装に苦労することになります。

窓口と反対側の待合室は、壁に沿ってくくりつけのベンチを作りました。
これは、1mm×3mmのStripStyreneを貼っただけです。


出札窓口周辺。左写真が待合室側から、右写真が事務室側から。

*室内を作る ②宿直室
実はこの部分、間取りをよく考えずに建物を作ってしまっていたので、
宿直室入り口と建物の窓割りのつじつまが、合わなくなっていました。。。
なんとか無理矢理合わせた結果、和室がいびつな形になってしまい、
ちと不自然ですが、まぁ仕方ありませんね。
ここは待合室のようにザクザク切って改造する、というわけにはいきませんから。。。

また、ここは非常に狭く、工作も塗装も苦労することが容易に想像できたので、
一体で作ったものをはめ込む形にしてみました。
「ユニット工法」とでも言えばよいでしょうか。

宿直室のユニット

*室内を作る ③建物内側の仕上げと塗装

続いて室内を塗りますが、それに先立ち、建物の内側を仕上げます。
今回は室内もそれなりに作りこもうと考えているので、
白壁、柱、窓部分などを内側も作り分けておくのです。

柱は1mm×0.25mmのStripStyreneを基本にしています。
白壁部分は塗装で表現します。
壁の下部・・・木の板が貼られている部分は、当初は板を1枚1枚縦に貼って表現しましたが、
あまりにも時間がかかることと、苦労するわりに目立たないことがわかったので、
途中から4mm×0.25mmの1枚貼りにしてしまいました。

それでも、柱の表現だけで、随分と時間がかかります。
というのも・・・建物の古めかしさを出したいと思い、当初より柱を多くしたからです。
おかげで外側にも、柱表現を追加することになってしまい、余計に時間がかかったのです。

本来、窓枠部分は、後から窓ガラスを接着するために、
接着力が弱くならないよう、無塗装にしておきたいところです。
しかしそれでは、屋根を外したときに内部を見ると不格好になってしまいます。
窓の内側にも窓枠を作ることは、現実には不可能なので、
せめて窓ガラスは窓枠に沿って、きれいに貼り付けたいと思います。
なので、内側から見た、(ガラスの向こう側の)窓枠にも、色が付いているべきと考えました。

また、床はコンクリート、ということで、明るい灰色で表現します。

さぁ、それでは塗装をしましょう。
塗料はやはり、ハンブロールです。

まずは床のコンクリートから・・・明るい灰色を塗っていきます。
白や灰色は地の色が透けて見えやすいので、二度塗りしました。

続いては木の部分・・・柱、壁の下部、ベンチなどを、外側にも用いたチョコレート色に塗りました。
白壁部分は、もちろん白を塗っていきます。
宿直室はユニット工法にしたので、塗り分けるのは容易でしたが、
それとは対照的に、出札窓口付近は複雑な形状なのに固定してしまったため・・・、
相当に苦労しました。
結果、はみ出しや塗り残しもあります。
やっぱり本来は、内部を作りこんで塗装も済ませてから固定するべき部分なのでしょう。

窓枠は、前回塗った窓枠の色が、どうもどぎつい感じに思えてきたので、
今回薄いクリーム色に変えることにしました。
幸い、細かい塗装にも多少はなれてきたようで、前回ほどには苦労しなくて済みました。
同じ色を、建物の内部にも塗っておきます。

白壁部分も、苦労したところです。
白も下の色が透けやすく、2度塗りを余儀なくされる上、柱との塗り分けが面倒だったのです。。。

なんとか全てが終わったら、別に塗装を施していた宿直室ユニットを組み込みます。
畳の部分はクリーム色にしてあります。
尚、このユニットはきつくはまるように作っているので、接着はしていません。


内部が塗り分けられた状態。

いやー、それにしても・・・
既に固定されたストラクチャーの内側を塗り分ける、というのは、実に大変でした。
どうしても線が乱れたり、はみ出したりしてしまいますが、
他に方法がないため、仕方ありません。
遠めに見れば「素晴らしい!」と自画自賛できますが、
でも・・・アップで見ると、「自己嫌悪」になってしまう状態なのです。

その上、屋根を取り付けると、苦労した室内が全く見えないんですよね・・・



*外部の仕上げ
思いがけない切り継ぎ工作や内部塗装で、せっかく塗った色があちこち剥げてしまったので、
外部塗装の補修もしておきます。
今回、新たに追加した柱にも色を入れます。
そして、切断面が見えてしまった屋根にも、色を差します。

これで外側は完成、薄墨とパステルで軽くウェザリング・・・
っと、屋根にはパステルをまぶしすぎてしまいました!まだらになってるし!
・・・後で修正することにしましょう。





*これからの作業
ここまで来るのに、既にかなりの時間がかかっています。
しかもまだ、差しかけの柱、改札口、雨樋など、未着手の部分もあるし、
ポーチの柱は直さなくてはいけないし、窓を入れて、事務室内の作りこみも必要だし・・・
ということで、これからも・・・さらに長時間の作業が続きそうです。

ということは、まだ当分「この駅舎で遊べる」ということです。
私には珍しく、あまり妥協していない工作・・・楽しみながら、これからも続けます。


6.詰所キットで駅舎を作る!3
*駅舎内部の塗装修正と、窓口・改札の製作
さて今回は、まず内部の塗装の修正から始めました。
「照明付きの拡大鏡」という、工作に心強い味方を入手したので、
老眼気味の私には、非常に助かりました。
これで、室内のはみ出しと塗り残しを、ほぼ修正できたようです。

続いて、出札窓口と手荷物扱い窓口を作りました。
これは、GMのローカル駅舎キットから切り出したものです。
もともと、このローカル駅舎を改造して自分なりの駅舎を作るつもりだったのに、
どの店にも在庫がなく・・・仕方なく詰所キットで製作したという、いわくつきのキットです。
それが、遅まきながら入手できたので・・・まずはこの部分に使ってみました。
これで、懸案だった窓口も、ほぼ完成です。
残る時刻表や料金表、時計などのアクセサリーは、最終的ににどうにかすることにします。


左写真:出札窓口と手荷物扱い窓口をローカル駅舎キットから切り出して埋め込みました。
右写真:その塗装後。床のコンクリートもやや濃い色に変えています。

次は改札です。
ローカル駅らしく、非常に簡素なものです。
これも、ローカル駅舎キットに付属していたものを若干加工し、塗装した後に取り付けました。
これがつくと、より駅らしく見えてくるというものです。

改札も付きました

*荷物上屋の製作
機芸出版社の「シーナリィガイド」の写真を見ていて、気づいたことがあります。
古い駅舎には、手荷物の積み込み・積み下ろしのための場所・・・
「荷物上屋」が駅本屋に隣接して設けられていることが、結構あるようなのです。
これがあると、手荷物を扱っていた時代の雰囲気を、一層出してくれるというものです。
なので、早速これを作ることにしました。

まずは、駅舎を設置しているベース板(1.0mmプラ板)を上屋のぶんだけ延長し、
延長した部分も含めて、ベース板に、あらためて灰色を塗っておきました。
今まではかなり薄い灰色にしていたのですが、どうしても下地が透けてしまうので、
今回はもっと濃い色を使ってみました。

上屋本体は、GMのローカル駅舎の側板の一部と、ホーム差し掛けを使い、それらしく作りました。
特に屋根は、差し掛けの幅があまりなかったので、切り継ぎをして延長する、という手間をかけました。
そこまでするなら自作すれば・・・とも思いますが、このような「流用」が好きなのです。
柱は、1.0mm核のプラ角材(タミヤ製)で、外から丸見えなので、骨組みも「らしく」作ってみました。
これらは全て現物合わせのいい加減な工作ですが、そこそこ実感的になったと自負しています。


左写真:荷物上屋外観。
右写真:内部の骨組みは結構凝ってみました。

*ホーム差し掛けと駅入り口ポーチの柱
上屋の骨組み工作にすっかり味をしめた私は・・・
ホーム差し掛け屋根や駅入り口ポーチの柱にも、凝ってしまいました。

まず、差し掛けの柱・・・これは、GMのローカル駅舎キット付属のものをベースにしています。
偶然にも、私が作った駅舎と、長さが一致していたのです。
本当なら、駅舎の骨組みにあわせて柱の位置が決まるものですが、
せっかく「ピタリ」の長さのパーツなので、このまま流用してみました。
なので、建築に詳しい方が見たら、おかしいと言われてしまうでしょうね。
でも、そんなことは気にしないことにします。

但し、若干、柱の高さが不足したので、1.5mm角のStripStyreneを継ぎ足しました。
駅舎側に斜めの補強材も追加し、細密感を持たせてみました。
差し掛けの裏にも、縦横に梁のようなものを貼っています。

駅入り口ポーチの柱は、既に以前・・・簡素なものを作っていましたが、
ここまでの工作で破損してしまっていたたので、
各種のStripStyreneを用いて、より凝った構造に作り直しました。
このようなちょっとした部分でも、細かく作ると、一層雰囲気がよくなるものですね。


左写真:駅ホーム差し掛け裏。柱の補強材と継ぎ足し部分に注目。
右写真:駅入り口ポーチの柱も、細かく作り直しました。

*荷物上屋入り口の扉
荷物上屋は、駅構内と構外との間に扉を設けます。
これには適当なパーツがなかったので、StripStyreneを組み合わせて、それらしく作ってみました。
例によってこれも・・・全くの現物合わせです。
但し、出来上がったものを仮設置してみると、
背の高いデザインにちょっと違和感があったため、
扉上部の斜めの補強材をやめ、変わりに扉自身に補強を付けることに変更しました。

荷物上屋の扉・・・あとでちょっと変更しています

*塗装と取り付け
荷物上屋の屋根は、くすんだ緑色です。
本音を言えば、もうちょっと濃い緑がよかったのですが・・・あいにく手元になかったので。
でもこれはこれで、個性があってよかったかもしれません。
また、側板と骨組み、そして扉は、駅舎とはちょっと色合いの異なる、こげ茶色にしてみました。
塗料が完全に乾いたら、駅舎に隣接するように、延長したベースボードに貼り付けました。


左写真:荷物上屋をホーム側から。ここに手荷物を置くと雰囲気が出ます。
右写真:同じく構外から。手作りの扉がいい感じです。

ホーム差し掛けとポーチの柱は、駅舎と同じチョコレート色です。
差し掛け屋根は、駅舎内部の作りこみのために、ベースには接着していません。
なのでよく見ればまだ柱が浮いた状態になっていますが(笑)、
最終的にはどうにかする予定です。


左写真:ホーム差し掛けの柱。がつくと、俄然実感的になりますね。まだ浮いていますけど・・・
右写真:ポーチもがっしりした感じになりました。

*まだ完成には遠く・・・
以上、凝りに凝った駅舎の製作は、まだまだ続きます。
この駅舎に、ここまで手間隙をかけることになるとは・・・予想していた以上になってしまいました。
しかし、まだ内部の「作りこみ」が残っているし、照明の組み込みも考えているので、
いつどのような形で完成するのか、現時点ではまだ、見当がつきません。
なのでこうなったら、もっともっと徹底的にやってみようと思います。

・・・ってことで、レイアウト本体の建設は、いったいいつになったら再開できるのでしょう。。。


7.詰所キットで駅舎を作る!4
レイアウト本体の工作はそっちのけで、延々と続くストラクチャ工作・・・
その中でも、駅舎に対しては、並々ならぬ情熱を注いでしまっています。
今回もまた、駅舎の工作が続きます。

*屋根を塗り替える
工作の当初から、屋根は「普通瓦」ということで黒くしていました。
しかし・・・どちらかというと切妻型駅舎は、国鉄の木造駅舎の中でも新しいものに分類されるので、
工作を進めるにつれ、スレート瓦の方が似合うような気がしてきたのです。
工作している間に、塗装もあちこち剥げてしまったし。。。

そこで思い切って、瓦を全て、明るい艶消しグレーに塗りなおすことにしました。
これなら、色が剥げてもプラの地色がグレーなので目立たない、という思惑もあります。

でも、ちょうどよいグレーが手元になかったので、白に暗いグレーを混ぜて自家調合した、
ハンブロールを用いました。
ところがやはりグレーは隠蔽力が弱いため、下の黒が透けてしまうんですよね。
結果的に、3回重ね塗りしています。
また、黒では目立たなかった「工作のアラ」が、明るいグレーだと一気に目立ってしまいました。
屋根の勾配が妻板となかなか合わず、何度か取ったり付けたりした結果のアラが。。。

でも、全体に明るくなり、ある意味「より駅舎っぽくなった」、と自己満足しています。

屋根が明るくなると雰囲気がずいぶんと変わります

*雨樋の製作
工場製作のとき、その視覚効果に驚いた雨樋を、いよいよこの駅舎にもつけました。
材料は同じくStripStyreneの0.56mm×0.56mm角材です。
(製作途中で材料が切れてしまったため、一部は0.5mm×0.4mm)
雨樋だから、本来なら断面が半円や円の方が実感的なのは承知しています。
でも、このサイズだと肉眼では全くわからないし、
角材の方が接着面積が広く、しっかりと接着できるメリットがあります。

そして今回の雨樋は、茶色にしてみました。
例によって接着後に塗装することにしたため、
塗料がはみ出しても目立たないよう、建物本体の色に近くしたのです。
その結果、屋根に沿って付いている横樋などは、ほとんど目立たなくなってしまいましたが・・・
でも雨樋は、存在を自己主張するようなものでもないので、これでいいでしょう。
縦樋の「斜めの部分」を見ると、思わずにんまりとしてしまいますしね。

Nゲージのストラクチャの細密化に、雨樋の装着はお勧めです。


左写真:駅入り口ポーチの雨樋
右写真:見づらいですが・・・荷物上屋にも雨樋があります


左写真:ホーム差し掛け屋根の雨樋。縦樋部分の形状に凝りました
右写真:駅舎屋根の雨樋とさしかけの雨樋を連絡する雨樋

尚、駅舎本体の屋根の雨樋から、ホーム差し掛け屋根の雨樋へは、
差し掛け屋根の上に雨樋を通して連絡しています。
こういう・・・さりげないこだわり表現が好きなんです。

ただ・・・一点、妥協しなくてはいけない部分もありました。
このストラクチャは屋根を取り外し式にしているため、
差し掛け屋根から柱まで一体になっているホーム側と違って、
入り口ポーチのある側は、縦樋を表現することが困難なのです。
せっかくの「縦樋の斜めの部分」を作れないのは悔しかったのですが・・・思い切って省略しました。

*駅事務室内部を作る
続いて、駅事務室の内部を作ります。
このような駅舎の事務室など、実物を見たことはありませんが、
幸い私の手元には、機芸出版社の「シーナリーガイド」や「レイアウトテクニック」があるので、
その記事を参考に、配置を考えました。

まず、宿直室側の壁には、戸棚を並べました。
大きさや形を敢えて不揃いにした3つの戸棚をプラ板で一体に製作し、
塗装を済ませた後で、ゴム系接着剤で固定しています。

切符売り場、手荷物扱い所の窓口には、机と椅子を置きました。
手荷物扱い所は荷物を置くために、ちょっと背の低い机、切符売り場は普通の事務机です。
事務机の寸法は、事務機器メーカーのサイトで確認し、5mm×8mm、高さ5mmとしてみました。
椅子も1脚試作してみましたが・・・製作が面倒だったので、まだ量産はしていません。
どれも材料はSrtipStyreneとタミヤのプラ板で、できるだけ簡略化したんですが・・・
それでもこのような細かいものを複数作るというのは、やっぱり面倒です。
駅員を配置するときに、残りの椅子も製作することにしましょう。


左写真:事務室壁の戸棚。形を不ぞろいにして、なるべく地味な色合いにしました。
窓具と側には3つの机。椅子はまだ1脚しか作っていません。

そして、事務室のほぼ中央には、4つの事務机を島状に配置しました。
4つの机をまとめて(繋がった状態で)作っています。
ここは事務室の中央、四方から目立つので、SrtipStyreneを使って脚も作ってみました。
残念ながら、椅子はまだありませんけど(笑)

この机の上には、電話機、ノート、湯呑みなどがあると、実感的になるのでしょうね。
しかし、1/150スケールでこれらを再現する方法が、まだ考えついていません。
なんとか、「それらしい雰囲気」を出せるようにしたい部分です。


事務室中央に置かれた4つの机。椅子と駅員を早く配置したいですね。

*(今回の)終わりに
今回もまだ、駅舎は完成に至りませんでした。
いったいいつまで、どこまで作るのか、自分でもわからなくなっています。
ただ、完成させることが目的なのではなく、どちらかと言えば工作を楽しむことが目的なのですから、
まだまだいろいろと楽しもうと思っています。


8.詰所キットで駅舎を作る!5
*トラブルをきっかけに・・・
前回、屋根をスレート瓦のグレーに塗り替えた後、実は大きなトラブルに見舞われたんです。
ちょっとした油断で、手を引っ掛けてしまい・・・ホーム差し掛け屋根の柱を2本、折ってしまいました。
荷物上屋側から数えて、2番目と3番目の柱です。
すぐに修正しましたが、やはりスチロール樹脂には強度がないということを改めて実感し、
この先、取り外し式のままにしておくことに対する不安が残る結果となりました。

そこで、前回グレーに塗ることで工作のアラが目立ってしまった、
駅舎本体の屋根の修正をするのと同時に、この部分にも大きく手を入れることにしたのです。

ちなみに屋根のアラとは・・・
いい加減な角度で屋根を製作したところ、屋根と妻面との勾配が合わず、
無理に合わせようと曲げたら接着面がはがれる・・・それを数回繰り返した補修痕です。


今回の工作後の姿。この角度が一番好きです。柱の折れたところが目立ってるけど。。。

*その前に室内を細工
屋根周りの大改造をする前に、
前回、「電話機、ノート、湯呑み・・・」などと書いた、事務室の机の上、
その再現に挑戦してみました。

電話機は、昔よくあった黒電話で・・・これはどうやって再現するか、ひとしきり悩みました。
しかし結局、Nゲージサイズでは肉眼ではほとんど見えないので、
1.5mm角のStripStyreneを「らしい」形に切り出し、
受話器に見立てた0.4mm×0.5mmを貼り付けただけのものです。
こんなものでも黒く塗って中央の机に2つ置いてみると、
なかなかどうして、らしく見えるものですね。

ノートだか書類だかわかりませんが、「紙」も用意しました。
これは0.25mm厚のStripStyreneを適当に切り出し、無塗装のまま置いたもの。
重ねたり、拡げたりしている雰囲気にして、壁際の戸棚にもちょっと置いてみました。
ただ、無塗装では真っ白・・・未使用の画用紙が置いてあるみたいです(笑)
なので、わら半紙っぽいものや、ノートっぽいものもあったほうがいいでしょうね。。。

また、手荷物扱い所窓口には、秤を置きました。
これはGMのローカル駅舎キットに付属しているものをそのまま使いました。
今後、この周辺には、手荷物らしきものを置くことにします。

まだ、椅子の量産は叶っていませんが(苦笑)、
このようなちょっとしたアクセサリーを置くことで、ずいぶんと「らしさ」が向上するもんですね。


机や戸棚には、資料やノートが置いてる雰囲気を出しました。黒電話もあります!

*駅舎屋根と差し掛け屋根の分離
さて、先ほどお話したとおり、ホーム差し掛け屋根の柱の強度不足への対策が必要です。
スチロール樹脂を用いる限り、このままではまた破損することが避けられません。
そこで思い切って、駅舎屋根と差し掛け屋根とを分離し、
差し掛けの方は、駅舎本体とベースのプラ板に固定してしまうことにしました。

差し掛け屋根と駅舎屋根は、「バキバキ」とはがします。
このとき、駅舎の屋根は壊れてしまいましたが、新たに作るので気にしません。
逆に・・・差し掛けは再利用するので慎重に作業します。
無事に取り外したら、柱をホームに接着し、屋根を駅舎側面に接着しました。
これで、強度を心配することもなくなるでしょう。
(差し掛けの裏側の工作は、かなりしにくくなりますが・・・)

尚、接着面をはがした部分は面が乱れているので、
ペーパーで平滑に仕上げ、適当なStripStyreneを貼り付け、赤茶色に再塗装しています。
ウェザリングをすれば、目立たなくなると思います。


差し掛け屋根を駅舎の屋根と切り離し、ホームに固定。これで安心。

今回新たに作った駅舎の屋根は、前回と同じく、GMの瓦屋根板を使っています。
ちょうど真ん中で切り、上下に注意しながら(瓦には重なる向きがある)中央で接着、
1mm角材で棟瓦を作り、両端に鬼瓦を置きます。
基本的な作り方は、前回と全く同じです。

しかし今回は、あまりにも現物合わせ過ぎた前回の反省から、
ねじれや歪みが生じないよう、より慎重に(ちゃんと寸法を測って)製作しました。
裏面には、妻板と同じ傾斜を持たせた1.0mm厚のプラ板を張り、
角度を固定するとともに、補強をしました。

駅舎の両妻板も、あらためて計測してみると、明らかに勾配に差があるじゃないですか!
これじゃ、屋根がねじれるわけです。。。
最初は同じ大きさ、形に切り出したはずなんですが、
現物合わせの「削り」を入れているうちに、変わってしまったようです。
なので、この部分の修正も合わせて行い、しっかりと屋根が密着するようにしました。

こんな当たり前のことをせずに工作していたの?とお叱りを受けそうですが・・・
私の工作は、いつもこんな感じなんです。
・・・直感だけが頼りです(笑)

今回はしっかりと作ったおかげで、反ったり割れたりするようなことは、もうないと思います。
おっと・・・屋根を新調したため、せっかく一旦は完成していた雨樋を、作り直さないといけませんが。


屋根は改めて作り直しました。今回はしっかり寸法を測り、角度も合わせ、裏面に補強も入れて・・・

*駅舎周辺のアクセサリー
続いては、私の大好きな「アクセサリーの配置」です。

まず・・・駅舎のホーム側には、
KATOのローカルホームアクセサリーに付属のシールを用いて、駅名標を作りました。
駅舎の壁面には、隣駅表記もある大きなもの、柱には縦書きの小さなものを、
それぞれ2個ずつ使っています。
どちらもプラ板にシールを貼ってから、プラ板ごと接着しました。

尚、使用した駅名は、KATOのシールにあった「生野」です。
これには意味はありません。
駅名には全くこだわりがなかったので、印刷済みのものを用いたというだけです。

また、ホームに面する駅舎の両端付近の壁には、ベンチを置きました。
これもKATOのローカルホームアクセサリーに含まれているもので、
設置場所に合わせ、背丈や長さを切り詰めています。
そして実はこれ、塗装していないんです。
使い込んでツヤツヤした木材の感じが出ていると思ったので、
茶色いプラ・・・そのままにしています。


駅名標は、ホーム壁と柱に2箇所ずつ。ベンチも2箇所に設置。

続いて、宿直室の張り出し部の屋根に、T型の煙突をつけました。
これは、GMのローカル駅舎キットのもの。
屋根に穴を開けて差し込みました。
この部分は風呂とトイレがあるという想定でしたが・・・それにしてはちょっと狭いですね(笑)

駅入り口ポーチの横には、おなじみの・・・古いタイプの郵便ポストを置きました。
これは、マイクロギャラリーに含まれていたものです。
ちょっとポーチに近づきすぎているようですが、貼り付け場所がなかったので、仕方ありません。
レイアウト本体に設置する際には、やや左の方に移設することにしましょう。

そしてポーチ屋根には、今回、ちゃんと棟瓦と鬼瓦をつけました。
実はこの部分、今まで省略していたんですが・・・
やはりあるべきところにあるべきものがあると、ぐっとよくなりますね。


左写真:宿直室の張り出し部分にはT型の煙突を。ここは風呂場という設定です。
右写真:入り口ポーチ横には郵便ポスト

今回の工作・・・最後は、荷物上屋の横に、ドラム缶と木箱を置きました。
どちらもマイクロギャラリーに入っていたもので、
車止めセクション 製作の際に買い漁ったものの「余り」です。

これらをここに置くことには、大した意味はありませんが、
実物を観察してみると・・・このようにさりげなく、「何か」が置かれているものなのです。
そしてこのようなものを置くことにより、それを置いた人の存在や、
置いた目的、今後起こることなどを想像できるようになり、
「見えない部分の実感を向上させられる」と思っています。


荷物上屋横にはドラム缶と木箱

*次なる工作は・・・
まだ、事務室内の仕上げが残っています。
面倒な・・・椅子をつくらないといけません。
時刻表、料金表、時計、広告、ポスター、看板・・・といった、
駅につきものの細かいアクセサリーの、充実化も必要です。
もちろん、活気のある駅とするには、駅員や乗降客も置かないといけません。
ローカル駅らしくするので、あまり多くしてはいけませんけど。

窓ガラスを入れたり、室内照明を作りこんだり・・・という、
私にとってはやっかいな作業も残っています。

しかし、前回の終わりにも書いたとおり・・・作ること自体を楽しむ私には、
このように「やることが尽きない」という状態は、実は嬉しいのです。
逆に・・・完成が見えてくると、つまんないんですから(笑)

さぁ・・・まだまだ凝りますよ!


また、確実に一歩、進歩しました!


9.TOMIXの跨線橋を実感的に
TOMIXに、古めかしい跨線橋があるのをご存知ですか?
もともとは'80年代初頭に、ローカル駅や藁葺き農家などとともに製品化されたもので、
一体成型を駆使した量産品でありながら、なかなかのディテールをした、好ましいものでした。

私が構想中のレイアウト・・・その駅舎にまさにぴったりと考えていたところ、
その中古品を安く手に入れることができたので、
これをもうちょっと実感的にすることを考えてみました。


このままでもなかなか好ましい仕上がりですが、プラの質感丸出しはちょっと。。。

*製品をバラす
なにしろ安価な大量生産品ですから、一体成型パーツの組み合わせでできており、
バラすのは実に簡単です。
跨線橋の裏にある2箇所のネジを緩めれば屋根が取れ、階段部分と窓ガラスも取り外せます。
階段部分はさらに上下に分解できます。
ネジ以外の部分は緩いはめ込みになっているので、特に苦労することもありませんでした。

部品はこれだけ。

*ちょっと加工
製品のプロトタイプは、古レールとH型鋼で組んだ足場にコンクリート製の階段を付け、
木製の本体とトタン屋根を載せた、結構旧いタイプです。
一昔・・・いや、二昔前のローカル線では、ごく普通に見ることが出来たものです。

当時でさえ旧いタイプだったので、まずは特に「新品っぽい屋根」をどうにかしようと思いました。
そこで思いついたのが、「わざと、面や縁を乱す」ことです。
デザインナイフやヤスリを使い、削ったり傷をつけたりすることで、
旧いトタンにありがちな「乱れ」を表現してみたのです。
・・・いわゆる「エイジング」というやつです。
しかし、結構過激にやったつもりだったのですが、濃いグレーのハンブロールを塗ったところ・・・
あまり目立たなくなってしまいました。
デフォルメするつもりで、もっともっと過激にやってもよかったのかもしれませんね。

屋根はあまり「乱れ」てないですね。。。

旧いタイプ、ローカル線とくれば、非電化路線を思い浮かべます。
もちろん、蒸機も活躍している時代・・・・・・とくれば、「煙除け」は必須です。
蒸機が活躍した頃の跨線橋には、ほぼ100%これがついています。

この製品は複線を跨ぐ寸法になっているので、煙除けは2枚、
0.3mmプラ板から切り出し、適当に曲げ、黒く塗ったものを用意しました。
これは、全体の塗装が終わってから、ゴム系接着剤で固定しています。
尚、複線間隔はPECO線路の利用を想定し、27mmとしました。
KATOやTOMIXよりも狭くて実物に近いため、より実感的です。

*塗装
この手のストラクチャーの塗装には、ハンブロールは最適。
用いたのは薄緑で・・・タミヤのコクピット色よりさらに明るく、
製品よりもかなり明るい感じになります。
実際の国鉄でも、このような色をよく見かけた記憶があります。
濃い色より白っぽい色の方が、風雨にさらされて風化した感じが出ると思います。

跨線橋は結構複雑な形状をしていて、吹き付けでは塗料の回らない部分ができてしまうので、
2、3種類の筆を使って、全体を手塗りしていきました。
また、薄い色は隠蔽力が弱く、1回塗りでは下地の色が透けてしまうので、2回塗りにしてあります。
窓からちらっと見える内部は1回塗りで手を抜きましたが、
それでも、たかが塗装に・・・数時間!もかかってしまいました。。。
今回の工作のメインは、この塗装にあった、といえるかもしれません。

続いて、コンクリートになっている階段部分と足場の土台を、明るいグレーにしました。
製品をバラバラにしておくのは、階段の上部までちゃんと塗るためです。
このグレーは、かなり明るい色を使ったほうが、コンクリートの感じが出ると思います。

塗装が乾いたら、先に作っておいた煙除けを接着しておきましょう。


左写真:煙除けはこんな感じで取り付けます。
コンクリート部を塗り分けるだけで、実感度が違います。汚れはメリハリをつけて。

*ウェザリング
蒸機の煙・・・これは周辺(特に上部)の建造物に、煤汚れをもたらします。
煙除けがあっても、その周囲は真っ黒に汚れているのが普通です。
なので、ウェザリング用のパステル(粘っこいタイプ)の黒を用いて、
付属のスポンジで、煙除け周辺を中心にすり込んでいきました。

トタン製の屋根と金属製の柱には、錆が浮いているものです。
今までの私は、錆は塗料で表現していましたが、
薄い色では汚らしくなってしまいがちなので、
今回はウェザリングパステルの茶色を、軽くすり込むだけにしました。
特に柱部分は、水の流れを意識してすり込みます。
コンクリート部分の一部にも、錆が流れた感じにしてみました。

いつもウェザリングをして思うのは、ついつい全体を同じように汚してしまいがちですが、
汚れの激しい部分とそうでもない部分とで、
メリハリをつけたほうが、「らしい」感じになるし、「美しい汚れ」を再現できると思います。


もうちょっと煤けたほうがよかったかな。。。

*完成
これで、ひとまずは完成です。
この製品は意外なほどディテールの出来がよいので、
艶消し塗装とウェザリングだけで、充分に実感的にすることが可能なのです。
駅名標を貼るとか、雨樋をつけるといった作業は、おいおいしていきたいと思います。
(塗装だけでも結構疲れたし!)

それよりも・・・なかなかいい感じに仕上がったからには、
KATOのUNITRACK線路とホームと適当な車両を置き、この跨線橋を置いてみるしかありません!
もちろん、製作中の駅舎も並べてみました。

スバラシイ!!

こりゃ、たまりません。。。
この状態で、いつまでもいつまでも眺めていられそうです!

しかし・・・非電化路線にしては、跨線橋と線路のクリアランスが高すぎる気もします(笑)
パンタ付き車両の通過にも支障がないようにとの配慮なのでしょうが、
レイアウトに設置する際には、高さを下げることを考えないといけないでしょうね。


マイクロエースのC11単機と学研キハ55を置いてみました。
こんな雰囲気の駅を作りたかったんですよ〜

10.跨線橋の完成度を上げる
前回、主に塗装とウェザリングで実感的にした、TOMIXの跨線橋。
しかし実は、まだ不満なところがありました。
ひとつはウェザリング・・・薄い色に汚れを表現すると、とかく汚らしくなってしまいがちで・・・
これもご多分にもれずそうでした。
もうひとつは雨樋。はい、まだ雨樋が付いていなかったのです。
そこで今回は、この2点を改良することにしました。
・・・って、言ってしまえば、これだけなんですけどね(笑)

*ウェザリング・塗装のやり直し
まずは、前回粘っこいパステルを使って汚しすぎてしまった部分を、修正することにします。
ここはあらためて、上から薄緑色のハンブロールを重ね塗りしてみました。
すると、前回塗った部分とは、パステルの混ざった分だけ、ほんの少し色合いが変わります。
これが自然なグラデーションのように、なってくれるのです。

また、このパステルは付属のスポンジですりこんだので、
でこぼこした部分の隅には届いていません。
なのでここは、パステルをエナメルシンナーに溶き、小筆で塗ってみました。
これで、隅の方もウェザリングされるようになります。


写真では、あまり変化がないように見えてしまいますか?随分と濃くなったのですが・・・

ただし筆を使うとどうしてもムラが出るし、濃くなりすぎてしまうきらいがあります。
そこで、やりすぎてしまった部分は、エナメルシンナーを含んだ筆でなぞってやります。
するとパステルが浮いてくるので、ティッシュで拭きとって加減してみました。

そしてさらにスポンジでなぞったり、シンナーを含ませた筆でなぞったりして、
なじませるようにしてみました。

結果は、まぁまぁのようです。

*雨樋をつける
既に醤油工場や駅舎でも用いたやり方で、跨線橋にも雨樋をつけました。
StripStyreneの、0.4mm×0.5mmを用います。
横樋はそのままタミヤセメントで、屋根に貼り付けていきました。
縦樋は、横樋と接続する斜めの部分に注意しながら、貼り付けます。

そしてこの雨樋、今回も貼り付け後に塗装しました。
貼り付ける前に塗装したほうが、はみ出しもなく仕上がりはきれいになるのですが、
なにしろハンブロールは乾きが遅く、工作の効率がよくないので。。。


今回の色は、くすんだ緑です。
面相筆を用いて慎重に塗っていきました。
取り付け後に塗るとどうしてもはみ出してしまうので、
はみ出した部分にもウェザリングパステルをすり込み、錆が浮いたように見せました。

雨樋は細いので、それ自体は良く見ないとわからないのですが、
これがあるとないとでは、ずいぶんと雰囲気が変わってくるものです。
この跨線橋も、細密感が上がったように感じます。


*やはりウェザリングは難しい・・・
今回の工作はこれだけなんですが・・・でもまだ納得のいく出来にはなっていません。
雨樋はともかく、やはり、薄い色のストラクチャに対して、
錆や煤のような濃い色の汚れを表現するのは、非常に難しいです。
やりすぎると汚くなってしまうし、遠慮するとメリハリがつきません。。。
なのでまだ、試行錯誤が続くと思います。

これからも折を見て、修正していくつもりです。






このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください