このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
北海道遠征記 〜世にも珍しい円形校舎〜 S. Klimov in Hokkaido 小雪の舞う中、三菱美唄炭鉱の方向を目指す…今回の探索のメインである円形の廃校舎、沼東小学校へ乗り込む為だ。出発前に既に衛星写真にて場所を特定…近くの公共施設の駐車場から向かうのだが現場へ続く道は今となっては冬季閉鎖の登山道に近い状態であり、人が殆ど立ち入らない場所にあるために除雪が全くなされていなかった。数日前に先客が訪れていたのか、明らかに人間の物である足跡がまっすぐ廃墟へと続いており、安全な足場を教えてくれた。半ば雪に埋もれながら歩く事十数分、問題の建築物が見えてきた。 円形の廃校舎、沼東小学校。斜め奥には無残にも骨組みだけとなった体育館が残っている。 しかし、同じような骨組みだけとなった建築物を10年近い昔に行方不明者を捜索する番組で見た事があるような気がする…。 もしやここではないのか、なんて思いつつも校舎へ向けて雪の中を進んでいく。 1906年に盤之沢簡易教育所として設立し、1947年には沼東小学校と名称が変更となった。校舎の老朽化と増え続ける児童数に対応する為に改築を行う事になり、少ないスペースで多くの児童・生徒を収容出来る円形の建築デザインを採用して1959年に現在の3階建ての円形校舎が完成、開校時に児童数が僅か20名だったこの学校はピーク時には1570名が在籍していたという。やはり石炭産業の衰退化による影響を免れる事が出来ず児童数が減少、炭鉱の閉山から僅か2年後の1974年に閉校となった。 このような建築様式は全国的に一時期流行(?)した建築様式で他の地域でも稀に見られるものであり、特徴として収容能力・部屋数を多く出来る他、眺望製にも優れている事が挙げられるが、その形状から長方形若しくは正方形の部屋を設ける事が困難な構造であり、扇状の室内に於ける物品のレイアウトも困難である事から現在では採用する施設は殆ど無く、話題となった当時に建造された円形建築物も老朽化等の理由で解体され、年々その数を減らしている。 現在の状況を見て校舎は元から1棟だけだと思われる方がいるかもしれないが、元は同じ円形の校舎が対になって建造されており、2つの校舎を連絡通路で結んでいた。上空から見ると眼鏡のような姿である事から当時は俗に「めがね校舎」等と呼ばれていたようだ。しかし、何故片側だけ解体されて残りが放置されているのかは不明である。 美唄炭鉱の遺構の一つでもあるといえる沼東小学校だが、巷では心霊スポットというイメージが強いらしい。某霊能力者もこの地には霊が多く集まるとか語っていたようだ。 廃墟全般にいえる事だが、廃墟=心霊スポットであるという法則が必ず成り立つものであると勘違いされている方も多い。確かに廃墟は怪しい。その怪しい姿から真実を知らない人々が不謹慎な作り話を語り始め、それがあらぬ噂となって広まっていく。怖いもの見たさに暗い中、軽装で現れて転がっている破片等で怪我を負って出てきた時に「これは心霊によるものだ」等と錯覚しては吹聴する…これらの繰り返しが、その場所が勝手に心霊スポットに決め付けられている要因にもなっている。更にはあらぬ噂が都市伝説へと変化する事もある。こうして廃墟全般は霊の有無に係わらず心霊スポットとして扱われている事が多く、DQNの破壊活動の標的となってしまっている。貴重な廃墟を失わない為にも、又、廃墟探索を楽しむ我々の為にも、この様な愚かな行為はすぐに止めていただきたい。我々廃墟探索者はこれらの噂話を元に、廃墟の位置を特定して探索する事も多いのだが、これらの愚行によって探索が困難・不可能となっている物件も多く存在するのだ。 但し、実際に不可解な現象が発生した廃墟も僅かながら存在する。過去に某炭鉱病院の廃墟を訪れたのだが、霊感が弱い俺でも常に数名の気配を感じる程であり、場所によってはこの世の者ではない呻き声が聞こえた程である。某番組ではスタッフの照明が割れる等の不可解な現象が放映されていた(詳細については過去の探索レポートを参照の事)。 …あらぬ方向へ脱線してしまい、レポートではなくなる前に話を戻すとしよう。閉校から30年以上の年月が経過した現在、全ての窓ガラスが割られ、窓枠も錆だらけの無残な姿のまま荒れ果てた森の中に佇んでいる。周辺地域の廃れ具合も相成ってとても1000人以上が在籍していたとは思えない。体育館に至っては外壁・内壁・屋根共に朽ちてしまい、骨組みしか残っていない。恐竜の骨格模型の如く残るその姿は日当たりのよい場所でも十分に怪しいオーラを放っている。1階部分は半分程雪に埋もれかけていた。 では、世にも珍しい円形校舎に侵入してみよう… 果たして、目の前に広がる世界とは如何に…?! |
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