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調子に乗って120mm (Kenko SE120)                                   


調子に乗って120mm!     (撮影協力 ミッフィー1号、ミッフィー2号)
     SE120の付属ファインダー
     夜の色収差  
昼間の色収差
アイピース視界の簡易計算


 調子に乗って120mm !  (まあ、アクロマートの120mmだけど)
 また調子に乗って、望遠鏡まで増殖。
タカハシFS−60Qを入手してから半年も経たないのに、また望遠鏡を増殖させてしまった。 
FS−60Qは、口径6cmのミニスコープながら2群2枚のフローライト・アポクロマートにエクステンダー( CQ1.7x )を組み込んだもので、小口径だが収差のごく少ないシャープな望遠鏡。
しかし、シャープさに不満は全く無いものの、やはり口径6cmでは絶対的な集光力の不足を感じる。

そんな時、特価で出ていた口径12cmのケンコーSE120。 
焦点距離600mmでF=5の短焦点アクロマートなのでかなり色収差は予想されるものの、星団・星雲の眼視専用と割り切れば12cmの集光力は期待できそうと、発作的に新規加入。
小口径で集光力は小さくともシャープさ命の小型軽量FS−60Qと、少々色収差はあるだろうけど口径勝負の集光力に勝るSE120。 
性格の全く違う望遠鏡なので、優劣を比較してもあまり意味はないけど、SE−120で一番気になっていた色収差を中心に試してみた。
 
  
(2011.01.06)
また増殖・・・ 今度は12cm級!
まあ、アウトレット特価品のアクロマートだけど。 (ケンコー  SKY EXPLORER SE120 ) 

今使っているFS−60Q、さすがにフローライトだけあって色収差は全く感じないし、キレもいい。 
コンパクトなミニスコープとしてはベテランのサブ・スコープとしても不満はあまり無いんじゃないかと思う。
しかし口径60mmなのでの極限等級は10.7。 等級差+0.6で11.3となる82mmフィールドスコープと比べるても集光力は半分ほどで、見えてくる星の数は倍に近い差があり、星雲や星団を観ようとすると集光力の力不足は否めない。

そんな時、口径120mmのSE120がアウトレット特価の¥○7,500! 
メーカーは50mm225倍と有効倍率を軽く超えた高性能(?)望遠鏡で有名なケンコー製だったので躊躇したものの、KDS経緯台のように良いものは良い実績はあるし、付属のアイピースは10mmと25mm、倍率でいえば60倍と24倍、いたって良心的なスペック。
また口径120mm、焦点距離600mm、F=5 という仕様から推測して色収差は相当あるだろうから高倍率は期待せず、中・低倍率専用なら十分に使えるかも、と期待して、KYOEIへ行ってみる。

主に星雲星団を眼視するのに使ってみたいが、といつもの店員さんに尋ねてみると、その用途ならピッタリでコストパフォーマンスもよく、KYOEIでもポルタと組み合わせてオリジナルセットとして販売しているとの事。
この店員さんのアドバイスは神のご宣託、それなら大丈夫だろう、と即決でお持ち帰り。 
梱包はサイズ・重量ともバス・電車でお持ち可能な範囲。 
その梱包の側面に堂々と”MEDE IN CHINA” !  いいんじゃないですか、自信があるんでしょ。期待しましょう!



(2011.01.21)
今日、書店で立読みした、天体望遠鏡徹底ガイドブック(誠文社)に、このSE-120 も掲載されていた。  この本に掲載されているなんて思ってもみなかった。 立派なもんだ! 
構造図や各種収差図、ロンキーテスト(?なんのこっちゃ?)など、信頼できる性能評価はこの書籍で確認してください!!
この本でも、青の色収差が大きい事や、やはり「中・低倍の星雲・星団向き」というような事が書いてあった。  

 仕 様

主鏡有効径

 120mm(アクロマート)


 仕様では重量 3.6Kgとあるが、ファインダー、鏡筒バンド、天頂ミラーを実装すると実測4.9Kg。
  (ポルタの耐過重5Kgいっぱいなので高倍率では少々きつい。)
 全長は、天頂ミラーを装着して、実測 約70cm。

 鏡筒バンド、天頂ミラー、アイピースなど最低必要なものはすべて付属していたので、経緯台なり赤道儀なりあればすぐ使える。
 付属アイピースは10mmと25mm。 焦点距離は600mmなので それぞれ60倍と24倍となり、星雲・星団には丁度いいかも。
 視界周辺部で多少流れるが粗悪品ではない。十分実用。
 特に 25mm はアイポイントも長く、眼鏡をしたままでも余裕で眺められる。 またデジスコにも使い易い。
 ただし2本を差し替えるたびにピント位置はかなりずれる。

 鏡筒バンドに付属しているマウントプレートは、そのままビクセンのアリミゾに装着可能。(だった。) 

 9X50 のファインダーは少し倍率が高くて実視界は4.8度。 
 もう少し倍率を落として視界を広げてくれた方がいいのに、とは思うけど贅沢言ってはいけない。 
 まあ、ひとみ径が 50/9 で 5.6 となるので薄明るい空には丁度いいかもしれない。    
対物レンズ焦点距離 600mm
口径比 1:5
集光力 293.88倍
分解能 0.97秒
極限等級 12.17等星

接眼アダプター径

 31.7mm / 50.8mm

ファインダー 9×50mm (実視界4.8度)
サイズ

 143mm

鏡筒全長

 660mm

重量

 3.6kg(ファインダー、鏡筒バンドを含まず)

付属品

 接眼レンズ(プローセル25mm/プローセル10mm)

 2インチ天頂ミラー(31.7mmアダプター付属)

 鏡筒バンド(マウントプレート、ピギーバックブラケット付属)

 
アイピース
○現在使用しているアイピース

メーカー 品 名 焦点距離
(mm)
見掛け視界
(度)
アイレリーフ
(mm)
SE−120での値このページ更新日現在の主な用途
 倍 率 実視界(度)ひとみ径(mm) 備 考 
VixenNLV 5mm5.04520.01200.3751.0有効倍率  ポルタでは視界が揺れて少々見づらいが、惑星用に使用 
VixenNPL10mm10.0506.5600.8332..0有効倍率の1/2FS-60Qで常用
Kenko付属10mm10.0不明不明60不明2.0〃 SE-120 ではちょっと拡大用
VixenNPL20mm20.05015.0301.6674.0有効倍率の1/4 FS-60Qで常用
Kenko付属25mm25.0不明不明24不明5.0最低倍率の 140% SE-120 での常用
VixenNPL30mm30.05024.0202.5006.0最低倍率の 118% 夜空のお散歩用
 
 
大きさの比較 (SE120 vs FS−60Q) 
当然、大きい方が口径120mmのSE−120、小さい方が60mmのFS−60Q

焦点距離は共に600mmだが大きさの違いはかなりの差! 
長さは SE120 の実測70cm(天頂部ミラー実装状態)で、実測重量は4.9Kg
一方、FS−60Qは実測55cm(天頂プリズム実装状態)で、実測重量 2.4kg 
(FS−60Qの場合は元々焦点距離355mmのFS−60CBをエクステンダーで600mmに伸ばしている。) 

2台とも同じ焦点距離なので、同じアイピースで同じ倍率になり、私には丁度いい。
※ ひとみ径は倍になる。  

※ 撮影にご協力頂いたのは、米韮工務店のミッフィー1号さんと、ミッフィー2号さん。


おいおい、遊ぶのはいいけど、落ちるなよ!
で、使ってみる
○第一印象は
 SE120、当初予想したより いい感じだ。 120mmとはいえアクロマートの¥27,800(希望小売価格¥45,000)という事で少々ナメていたかもしれない。
 まず外観。 価格からはもう少しチャッチィのを予想していたけど、口径120mmを支える鏡筒はかなりしっかりした作り。
 各結合部分のガタや歪もなく、ビント合わせも充分に滑らかで操作感も悪くはない。 
 とりあえず外観は合格。 
 
○早速、試見してみる。
 持ち帰ったSE120が梱包の中から、”俺様の実力を、早く観て見ろ!” とうるさいし、久しぶりの星空。
 梱包を解いて組み上げたSE−120を外に持ち出し、本当なら昼間調整しておきたいファインダーも西空に輝く木星を目印に根性で合わせ、そのまま木星でファーストライト。
 ファインダー調整したままの付属25mm(24倍)アイピースでは、模様までは苦しかったものの、10mm(60倍)なら判別可能。 当然衛星は無問題。
 そこでグルッと東の空へ向け、オリオンへ向け、縦三つ星へと降ろしていけば、本来目的のオリオン星雲がモヤモヤッと広がって、台形に並んだトラベジウムも十分確認できる。
 うん、当初の予想より いいねぇ。 

○月を見る。
 日を改めて、夕方の月を観る。
 アクロマートなのである程度は、と予想していた色収差、月の周りが青く色づいて見える。 撮影用には少々つらいが、眼視で使う限りにおていは さほどは気にならないレベル。 
 ポルタ経緯台では、10mm(60倍)アイピースなら眼視には充分シャープ、かつ安定して眺められるが、5mm(120倍)では、荷重に負けかけているらしく、かなり視界が揺らいでしまう。

○惑星(木星、金星、土星)
 夜の木星、10mm・60倍で縞模様は十分確認可能。 5mm・120倍だとやはりピントを合わせたりするたび視界の揺れが大きいが、揺れさえ収まればシャープには見えている。
 早朝の土星・金星も、シャープ感はFS−60Qに一歩譲るものの、60Qで見えるものはSE120でも全部見える。 (口径差が2倍あれば当然か・・・) 
 やはり倍率を上げるとポルタ経緯台の耐過重不足と思われる視界の揺れが大きくて使いづらい。
 脚の開閉もきついほと゜にボルト・ナットを締め上げたら揺れはかなり改善されたが、120倍ではせっかく捉えた星もすぐ視界から外れてしまい、落ち着いて眺められない。
 やはり経緯台で快適に使えるのは60倍程度、少々無理しても120倍が限度と思える。 (しかし土星は少々無理しても120倍で見たい!) 
 耐過重の十分な赤道儀が使えれば もっと安定して眺められるので、有効倍率120倍での実力から推測して150~200倍程度の過剰倍率でも、ある程度は使えるのでは? とも思える。 
 
○星雲、星団
 オリオン星雲、口径が大きいだけあって星雲のモヤッと感は、より濃く見える。 (口径とともに倍率も高い方が、より濃く見えるようだ。)
 星雲中心部に4つ台形に浮かんでいるトラペジウムのシャープ感は、FS−60Qに一歩譲る。 しかし望遠鏡の差より、お空の条件による差の方がはるかに大きい。
 次は・・・少々苦しい体勢で天頂近くに上ったすばるへとファインダーを向ける。  ”なんだこりゃ、・・・見える星が増えすぎて何が何だかわからない・・・、やはり”すばる”は双眼鏡で眺めるのが一番だ・・・。
 惑星のように明るい星や星団などの小さな星々はフローライトのFS−60Qに一歩譲るが、星雲などのボンヤリ系の相手には やはり口径が大きいほど偉い! 
 (注: オリオン星雲などは、そのまま凝視しても見えてこない。 目の中心部を僅かにずらした辺りで眺めると浮かび上がってくる。) 

○現在所有しているマウントとの相性
Vixenポルタ経緯台○ 60倍以下なら安定して使える。
△ 120倍ではかなり視界が揺れ、かつ揺れの収まりも遅い。 
 ※ 耐過重 5Kg のポルタに、実過重 4.9Kg の SE-120 はかなり苦しい。 バランスをしっかりとらないと微動が滑ってしまう事がある。
(追記:ポルタの三脚根元を クイックレリーズ で補強すれば 揺れに対しては かなり改善した。)  
×KenkoNew KDS
マウント
× KDSの場合、望遠鏡の重心がマウントの支点より高くなるのでSE−120の様に重量のある望遠鏡では”お辞儀”するなど不安定になる。
 フリクションが緩んだりするとガクンとお辞儀して鏡筒をぶつけて傷めてしまう恐れがある。
 KDSマウント自体は軽量機材にはうってつけだが、さすがにSE−120の重量は辛い。
KenkoNew KDS
マウントⅡ
▲ 一応は実装でき、またKDSと違って望遠鏡重心=マウントの支点なので、一見は安定しているように見える。
 しかし良く見るとSE−120の重量に負けて経緯台自体が撓んでいる。 
 望遠鏡を損傷する可能性はKDSより低いが、荷重に負けたKDSⅡ自体が損傷するのではと不安がある。    
 −カメラ用三脚
と雲台 
△ 25mmアイピースでの24倍程度までなら、カメラ用三脚と雲台でも使えない事はない。 (倍率を上げると微動がないので星を追いかけるのが難しくなる。) 
  ただし、SE−120の荷重に十分余力のあるガッチリしたものが必要。 (たぶん、ポルタの方が安くつく?)
(その後の追加した架台)
VixenSXD赤道儀問題なく余裕で使用できる。 (本来、耐過重に十分な余裕のある赤道儀で使うべきとは思う。)
タカハシPM−1赤道儀(PM-1 のマウントは標準ではタカハシ規格のボルト止めでなのではアリミゾを実装したが、まだ実際に使用していない。 
  以下、”実際に試した事しか載せない” という、このサイトのポリシーに反して予想・想像・妄想?)
▲ 耐過重ギリギリだがフォーク仕様でフォークアームの撓みが不安。 敢えて使用して見る気は・・・無い。
△? ドイツ式で組んで、眼視限定なら十分に使えるとは思う。 
  (当然、まだ試していないけど、スペック2割、使えたらいいな、という期待8割。)
△ カメラ、アダプター類を実装し、質量5kg超の FSQ-85ED でも載った(かなり苦しそうだが・・・)ので SE-120 でも載るとは思うが・・・
  まあ、SE-120 を載せるためにPM−1を買うように勧める人はいないと思う・・・
 現在使っている架台はもちろんポルタ。  付属の25mm(24倍)、10mm(60倍)アイピースでなら全く問題なく快適に使える。  
しかし5mmアイピースで120倍に上げると、架台や鏡筒に触れた時の、視界の揺れがなかなか収まらない。
もっと軽量コンパクトなFS−60Qではこれほどの揺れは感じなかったので、どうやら耐過重に問題があるのかと、実測してみた。
ポルタの耐過重は5kg、一方、SE−120の鏡筒単体重量は3.6kgとあるが、鏡筒バンド、ファインダー、天頂ミラーを実装して実重量を実測してみると4.9kgあり、やはり荷重オーバー気味。
ポルタの根性を期待して三脚の開閉も出来難い程にボルトを締めあげたら、経緯台の微動ハンドル操作での揺れは多少はマシにはなった。(その後、 クイックレリーズ で補強。結果上々。) 

注: 鏡筒のバランスをとっておかないと水平方向の微動が滑ってしまう。 (これは、 クイックレリーズ で補強しても改善されない。) 
  また、バランスも鏡筒取付部でなく、水平回転軸上でとるのが吉。 (ただし上下方向のバランスが崩れるので、水平・垂直微動の感触をみながら最適位置を探ればかなり改善する。) 

 しかしポルタに限らず、自動追尾の無い経緯台で倍率を120倍にまで上げても、視界の中心に捉えた星も45秒(端から端まで1.5分)程度で視界から外れてしまうので 頻繁に位置調整が必要となり 快適とは言い難い。  まあ経緯台の場合、倍率を欲張らず60倍 程度までに押さえておけば、視界内での星の動きも穏やかで、安定して眺められる。
通常は24~60倍程度に抑えて、どうしても拡大したいなら120倍程度までで、という使い方が吉か。 
 口径120mmの有効倍率である120倍で安定して使おうとすると、やはり耐荷重に余力のある赤道儀が欲しい。
 (ケンコーのセットでは、鏡筒単体定価 \45,000 に対し、赤道儀とのセット定価(自動追尾・自動導入付き) \215,000  ・・・やはり足回りの方がはるかに高くなる!)
 (自分の責任でもないのに、最高倍率まで実力を発揮できないのは可哀相だけど、君のために赤道儀を買ってやれる甲斐性は無いので我慢してくれ、SE−120君。
  追記:その後、搭載可能重量15kgのSXD赤道儀を入手。 手持ち最大倍率アイピースの120倍は、全く問題なし。 やはり望遠鏡を活かすも殺すも足回り次第か・・・。)


○構造的な欠点(注意点)をひとつ発見。 (SE102でも全く同じ。)
 ファインダーを固定しているツマミと、ビントを固定するツマミの位置が近いので、ピントを取り直そうとした時、誤ってファインダーのツマミを緩めてしまい、ファインダーを落としてしまった。
  (幸い膝の上に落ちたので破損はしなかったけど・・・。)

○手持ち望遠鏡との比較 
 ※大口径(120mmでも今の私にとっては大口径)短焦点アクロマートの SE-120 と、フローライトとはいえ全く性格の異なる小口径 60mm のミニスコープのFS-60Q 、
  そして82mm, 67mm のフィールドスコープを同じ土俵で比較するのは無理があるとは思うが、一応見比べてみた。 
 ☆ 
星像の収束、シャープ感、キレの印象を惑星やオリオン星雲のトラペジウムでで比較すると、
      ①FS−60Q >
②SE120>> ③82mmフィールドスコープ ≧ ④67mmフィールドスコープ という感じか。
    フローライトの60Qには一歩譲るものの、EDとはいえ余分な正立プリズムがあるフィールドスコープよりシャープ感は勝る。 大口径の恩恵か? 
    (しかし色情報の多い日中に覗いてみると色収差で輪郭が淡くボケたようになり、
      ①FS−60Q > ②82mm,③67mmフィールドスコープ > ④SE−120 )   

 ☆ オリオン
星雲・星団の見え方では、順当に口径順で、
      
①SE120 >  ②82mmフィールドスコープ > ③FS−60Q ≧ ④67mmフィールドスコープ。 やはり口径が大きいほど偉い! 
    ”すばる”など眺めると見える星が増えすぎて何が何だか分からなくなってしまい、口径の大きなSE120の圧倒的勝利! 

 ☆ 月の端での
色収差は、 
      ①FS−60Q > ②67mmフィールドスコープ ≧ ③82mmフィールドスコープ >>
④SE−120 の順。 
    やはりアクロマートのSE−120と、他のフローライトやEDの望遠鏡と比べれば格段の差がついてしまったが、アクロマートとしては想定の範囲内。 SE−120が特別悪い訳ではないと思う。
    撮影用に使うには少々辛いかな、と思えるが眼視なら十分許容範囲。
    写真では月の端など青色の色ずれが強く出てしまうが、私の青に対する感度が鈍いのか 眼視でならさほどは気にならない。 
    ※ 色収差は兄弟機の SE102 の方が多少良いようには感じられる。

 ☆ 
昼間、望遠レンズ(デジスコ含む)として使う場合も、
     ①FS−60Q > ②82mmフィールドスコープ ≧ ③67mmフィールドスコープ >>④SE120 の順。 
    夜より昼間の方が色収差が目立ち、記録用には充分だが観賞用の写真には向かない。 

 ☆ 夜、カメラを直焦点で実装して写真用として使う
    まだFS−60Qで遊ぶのに忙しく、じっくりとは試していないので、評価は気が向いた時にでも。 
 
○さあ、どう使ってやるか・・・  
 良くも悪くも、口径120mm、焦点距離600mm、F=5の短焦点アクロマート。
 色収差は短焦点のアクロマートという仕様から推測したとおり、フローライトやEDと比べれば、かなり不利。 
 また高倍率に対しても600mmという短い焦点距離なので、短焦点アイピースが必要になり、向いているとは言い難い。
 しかし焦点距離が短いという事は、より長焦点の望遠鏡と比べ、同じアイピースでも低倍率が得られるというメリットにもなる。
 また集光力に関しても良心的なマルチコートの望遠鏡であれば口径が大きいほど有利。 (・・・のはず。)

 で、実際に使ってみて・・・
 やはり短焦点のアクロマートなので
、ある程度の色収差はやむを得ないと割り切れば、星団などを60倍程度以下の中・低倍率で眺めている限りでは さほど気にならなかった。
 高倍率に関しては口径120mmの有効倍率120倍はもちろん実用範囲だが、それを超える過剰倍率域でも使えない事はないだろうが、過大な期待をしない方がいい。 
 やはり高倍率で使うより、600mmという短焦点のメリットを活かせば 25mmアイピースで ひとみ径5mmの24倍、 30mmアイピースを使えばひとみ径6mmで20倍が得られ、中・低倍率で使いたい私には理想的。 
 写真撮影に関してはまだデジスコ(コリメート)してみただけなので何とも言えないが、直焦点でもやはり色収差の影響はあると思われるので、過大な期待をせず、お気軽に試す程度なら使えるだろう、と思われる。
 ただ、昼間は色情報が豊富だからなのか、更に色収差が目立つようなので、超望遠レンズ代わりに使いたいという目的もあるなら価格相応の妥協が必要だが、3万円程で入手できる 600mm、F=4 の望遠レンズとしては破格のコストパフォーマンス。 観賞目的には適さなくとも、記録用の写真なら十分実用範囲と思われる。 

 一方、
120mmの口径による集光力はスペックからの期待通りで、80㎜級と比べても2倍以上、60mmとは4倍の差。 見える星の数も80mmの2倍、60mmとでは4~5倍程に増えたように思える。
 素人の私には、多少色収差があった方が明るい星が僅かに膨らんで見えるので、かえって星図を追い易く、星雲・星団を探し眺めるにはちょうどいい。
  
 120mmの口径によるスペック上の分解能は0.97秒、一方口径60mmの分解能は1.93秒。
 カタログスペックだけで比較するとSE−120の方がシャープそうに見えるが、実際に二重星で見比べてみると理論上の性能をほぼ出しているフローライトの60Q方がシャープさ、キレとも格上。
 しかし明るい分だけ見易いのは確か。 色収差でのやや滲むのを大口径の解像度で補っているようには感じられる。
 短焦点アクロマートのSE−120では色収差だけでもかなり分が悪く理論性能には満たないと思われるが、それでも口径の大きさでカバーして、
意外と悪くはない。 
 シーズンになったら、こと座のダブルダブルスターで見比べてみたい。 
 ようやく天頂近くに昇ってきたこと座のダブルブブルスターε1、ε2 で見比べてみた。 アイピースは特価のアウトレットで入手した Mead の 4.7mm 、どちらも600mmなので130倍弱。
 FS−60Qではそれぞれ2つの粒が僅かに接触しているか のように見え、SE−120では淡く滲ん中に光の核が二つある程度に見える。
 口径は大きいが、実力分解能はカタログスペックに及ばないと思われるので、過度の期待はしない方がいい・

 使い方はやはり大口径を活かし、また色収差の弱点が気にならない、中・低倍率での星雲・星団の眼視。  
 ついでに、土星なり木星が出ていたら、5mmアイピースに替えてみる。 (まだ初心者の入り口なので、今のところ、ぜひ120倍で眺めたいのは土星の環くらいかな・・・)
 初めから惑星などを眺めるつもりなら、よりコンパクトで軽量で、同じポルタでも揺れ難く安定して使えるFS−60Qの方が使い易いし、より高倍率で見るなら焦点距離の長い望遠鏡か。
 まあ、目的によって使い分けるのが吉。  
 (120倍で観る場合、FS−60Qでは ひとみ径は0.5となって眼の位置がずれると見づらくなってしまうが、SE120なら ひとみ径1.0なので、望遠鏡に慣れていない人には見易いと思う。
  ”わぁぁっ、土星だ、土星だ、本当に輪が見えるっ!” と楽しむ私レベルには向いている。) 

 まあ、望遠鏡は ”倍率が高いほど偉い!" という主義の方にはお薦めしないが、 大きい・重いとは言え、他の10cm超級と比べれば十分コンパクトで軽量なので扱い易く(重量的にポルタに載せられる限界?)、少々色収差はあっても構わん、少しでも大口径で賑やかな星々をローコストで気軽に眺めたい、という人(私のこと)には文句なしにお薦め。  
 
 1本で60Qのシャープさと、SE120の集光力を求めようとするとスカイタワーの天辺からバンジージャンプする覚悟が必要だが、
 1本で完璧を求めず120mmの集光力で、60倍程度以下の中~低倍率で星雲・星団などを眺める用途ならこれで当面充分と割り切って使うのが吉。
   ・・・ と、タカハシ のFSQが買えない負け惜しみ・・・か。   (;一_一)  (-。-)y-゜゜゜ 
 

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SE−120のファインダー
 
  
 SE−120付属のファインダー  
FS−60Qと同じようなものだろう、ナメてかかったのが間違いの元。 以下、タカハシFS−60Qとの相違点。
○まず、ファインダーのピント調整。  
ファインダーを覗いてもボケていたので調整しようと手探りであちこち探しても動く部分が見つからない。
 一旦室内に戻って薄いマニュアルで確かめ、また外に出て対物レンズの枠を動かそうとしても動かない。あちこち弄っているうち、初めは単なる飾りと思っていた黒いリングを緩めれば対物レンズ部分が動くようになる事が判明。
 そうか、そうかと黒いリングを緩めて対物レンズ筒を廻してピントを合わせ、再び黒リングで締め込めばキッチリと固定できる。 分ってみれば良い構造と思う。 
○次に途惑ったのはガイドの位置調整
Y字型の下のピンにスプリングでテンションが掛かっている構造。
初めはこれに気付かず(ファインダーを枠に取付ける時、あ、スプリングが入ってるな、と気づいていた筈なんだけど、調整する時には忘れていた。)、下のツマミをいくら廻しても視界が動かないので戸惑った。
調整する時は下からテンションが掛かっているので、上側左右2本のビスで調整するだけなので、タカハシなどの3本ビスのタイプより簡単。
上の二本を同量同方向に動かせば上下に、左右反対方向に同量廻せば左右に動く。 
これもよくできた構造。  
○注意しなければならないのはファインダー枠の固定ビス。 
すぐ手前にあるピント固定ビスと似たような位置にあるので、ピントを再調整しようとした時に誤ってファインダー固定ビスを緩めてしまい、ファインダーを落下させてしまった。
  (幸い、膝の上に落ちたので破損には至らなかったけど・・・危ない、危ない・・・)  
破損させてしまう前に、夜でも手触りで分るようなものと交換するのが吉か。(現在、物色中)
 

 

   


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 夜の色収差
FS−60QとSE−120の色収差比較 (2011.01.15 23゜09'、 23゜23'
FS−60Qは Nikon D200 による直焦点、SE−120は付属25mmアイピースを使用して Nikon P5000 でのデジスコ。 撮影条件が異なるので、傾向として参考掲載。 
なお、画僧は大きさと向きをほぼ合わせたが、レベル補正、フィルターとも無加工。
 



露出過剰だが、その方が色収差が目立つので・・・と言い訳。
本当は、零下の屋外にまた出て撮り直すのは、もう勘弁して、が本音。

SE-120 付属25mmアイピース(24倍)を手持ちでデジスコ (Nikon P5000) ISO 200、シャッター速度 1/500、焦点距離 8mm(最広角側) 
 (画像は、天頂ミラーのため上下反転加工し、FS−60Q画像に合わせて縮小した。)
 
※ デジスコしてみると左画像のように、月周辺が青く色づく。 (もちろん、アイピースの影響もあると思う。) 
※ 眼視では青色に対する感度が鈍いのか、付属の 25mm(x24)、10mm(x60) アイピース程度なら、この画像ほどまでは目立たない。
  しかし5mmアイピースで x120 まで倍率を上げるとかなり目立ってくる。

元画像2592 x 1944 からの現寸切出し。
他、無加工。
ノートPCではよく見えなかったので、 
青を強調加工。

【参考比較】  
FS-60Q 直焦点 (Nikon D200) IISO 200 、 シャッター速度1/80 

※ 左画像は元画像(3872 x 2592)の42.9%に縮小。 
  色収差は、等倍でどの色を強調加工しても確認できない。 ”何か文句あっかっ!”ってな感じだ!
 
 
この画像は元画像から現寸で切出し。
他、無加工。


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 昼間の色収差

昼間の色収差比較 

昼間での色収差の出具合を、参考までに近くの電柱で比べてみた。  
SE−120
25mm(x24)アイピースでのデジスコ画像を、そのまま縮小。
ただし天頂ミラー使用しているので左右反転画像。
(使用デジカメは Nikon P5000 ) 

拡大画像は元画像の100%切出しのほか、無加工。

色収差は、目視では右に黄or黄緑、左に青色が強く出る。
 (夜の月とは反対に目視の方が、写真より強く感じる。) 

※この写真ではデジカメは最広角側だが、望遠にすると色収差を拡大するのか、更に強くなってしまう。 

観賞用には ”少々難あり” だが、記録用には充分か。
  
FS−60Q 
左画像は直焦点撮影をそのまま縮小 
(使用カメラは Nikon D200 )

拡大画像はSE-120に合わせて縮小。
その他は、これも無加工。

100%画像で確認しても色収差は確認できない。

これなら600mmF10の超望遠レンズとしても、
  ”何か文句あっか?” 
   

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 SE−120を使うために・・・アイピース関係簡易計算

○アイピースの倍率と実視界、および視界内通過最短時間の簡易計算   (タカハシ FS−60Q のページと同じもの)
  注意事項: 1恒星日=23時間56分4.09秒 として、天の赤道上にある星の移動速度(=最大値) を計算した (つもり?) 

   望遠鏡の口径(mm)        (例:SE−120の場合、120mm)
   望遠鏡の焦点距離(mm)      (例:SE−120の場合、600mm)
   アイピースの焦点距離(mm)   (例:Vixen NPL10mm の場合、10mm)
   アイピースの見掛視界(度)    (例:Vixen NPL10mm の場合、50度)

                 

   倍率   =(倍)
   実視界  =(度)
   ひとみ径 =(mm)
   通過時間 =(秒) ※星が視界の中を通過する時間
        =(分)

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このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください