川棚防空監視所 防空監視所 川棚駅の南、川棚川の側に防空監視所が残っています。 監視所としましては例えば、大牟田に残りますものが２つあります。 これらと比較しましてまず感じます特徴としまして、非常に小さい事が挙げられます。 参考： 大牟田防空監視所（市役所上） 大牟田防空監視所（三井化学工場棟横） 防空監視所屋根クローズアップ 当ＨＰ管理人の目線で、屋根の部分のクローズアップを取って見ました。管理人背丈は１７５センチですので、監視所の円筒部分が大人の背丈ほども無いことがお判りいただけるかと思います。 防空監視所入り口 入り口です。 管理人のひざまでしかありませんでした。 もし、こちらを訪問されます場合、太っている方、または背の高い方は中へ入らないことをお勧めします。 中も非常に狭く、体が引っ掛かって出られなくなる可能性があります。 監視窓クローズアップ さて、監視窓です。等間隔に全周囲に向けて開いています。 大牟田で見ましたものとの比較しましても、窓が小さい事がわかります。 防空監視所内部 内部から窓を見ます。入り口から手を入れて撮影しました。 大牟田と違い、セメントを流した際の木の枠の跡がくっきり残っています。 窓の断面はラッパ状ですが、大牟田の監視所と逆に、外へ向けて狭く、内側へ向かって広がっている事が判ります。 この形状ですと、広い視野角はあるのでしょうが、顔を動かさないと見渡す事が出来ません。 窓から中を 窓から反対側の窓を見ます。 あまり工作は丁寧とは言えないなという印象が有ります。また壁にはある程度の厚みが有る事が判ります。 監視所の全景と大村湾 遠くに見えます山のうち、遠くの青く霞んで見える山の左端、丸みを帯びているものが川棚魚雷発射試験場のあります片島です。 魚雷発射試験場は、撮影位置から反対側（向こう側）になります。 さて、今回ご紹介致しました監視所ですが、一見、実用的でない様にもみえます。 しかしながら、川棚の土地の特徴から考察しますと、こうした形状になるのもやむを得ないのか、と考えました。 川棚には軍需工場などがあること、そして交通の要所である駅の近くであることから考えて、より切羽詰った状況で使う事を前提にしているのではないでしょうか。 つまり攻撃目標になり得る場所において、周囲に爆弾が落ちる中でも監視が続けられる様に工夫された形だということです。 窓のラッパが外側に向けて狭い事、そして出入り口も異様に狭い事も、防爆の為かと思われます。 ちなみに、周囲にはいくつかの防空壕もあった様です（現存するものもある様ですが、まだ見つけていません）。 所在地 場所を紹介致します。赤十時の場所です。 http://www.mapion.co.jp/c/f?grp=all&uc=1&scl=25000&el=129%2F51%2F55.640& pnf=1&size=500%2C500&nl=33%2F03%2F42.626 JR川棚駅の近くです。また、戦前から鉄道が通っていました。 またこの監視所のあります下百津には、魚雷工場がありましたが、空襲を避け、トンネル工場へ移動した経緯があります。 川棚駅には、長崎原爆の負傷者が多数運ばれた過去もあります。 その中には１０歳くらいの児童もおり、泣きながら母を呼び続け、力尽きて亡くなったのだとか。 現在はロータリーの有る明るい駅となっており、当時の面影を感じる事ものはありませんでした。 多くの戦争遺跡が残る川棚には、同時に命を落とした大勢の婦女子が居た歴史も合わせ持っている事を思い、併せて紹介いたしました。 合掌。 川棚町地図へ戻る →廃虚近代遺跡目次へ戻る →みに・ミーの部屋に戻る