このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

探索日 2011.09.24
No.N-011

中浦線■王滝村 ■全線ダート ■接続→五味沢線・大水無線
■五味沢線から分岐して大水無線に接続する

 ヒノキ天然更新を目指す三浦実験林を巡る、景観、雰囲気ともに抜群な1本! 

 ↓適度なガレ具合も心地良く、木曽ヒノキ天然更新を試みる広大な三浦実験林
 の明るい雰囲気、そして後半の尾根筋区間における景観の素晴らしさは最高! 


……こんな感じ……
■三浦貯水池にほど近い広大な「三浦実験林」を巡って延びる全線ダート。前半では随所に解説板の設置された緑豊かな木曽ヒノキの実験林内部を抜け、後半は登坂コースにて尾根筋に取り付くコースで、雰囲気、景観共に素晴らしい。路面的には地質的にそうであるのかは分からないが、前半はややガレ気味だが、ゆっくり走行すればさしたる問題はないだろう。なお、分岐元である五味沢線から入線すると、そのまま1本道でこれも五味沢線から分岐する大水無線へと接続しているため、コース的には周回も可能。いわゆる林道的な楽しさはもちろんだが、日本有数の銘木地帯「木曽ヒノキ」の産地でもあるので、機会があれば一度探索してみることをお薦めしたい。

■五味沢線を三浦貯水池方向から進んで急勾配の連続する登坂区間に突入すると、やがて右手に現れるのが中浦線。そこには林道標と共に「三浦実験林入口」と記された大きな木製看板が掲げられており、それを目にしてこの地が木曽ヒノキの本場であることを意識させられると同時に、広大な三浦国有林内の実験林に延びるという中浦線がどのような林道であるのか、期待感に胸の高まりを覚えてしまう中浦線の入口です。
■分岐元である五味沢線から中浦線へ地入線すると、入口から見えていたプレハブ小屋の前を抜けてダートは緩い登り坂にて延びています。小屋はおそらく実験林内にて行われる作業のための資材置き場を兼ねた休憩小屋にでもなっているのでしょう。もしもここにどなたかが詰めておられて、通りかかったエンジン音でドアがいきなりガラリと開いたらどうしよう…、とドキドキものでしたが、幸いにして探索時にはどなたもおられなかったようです。
■プレハブ小屋の前をそっと抜けてその先へと進みますが、ダートは思っていた以上にガタガタでした。「ひょっとしたらこの先はガレて荒廃しているとか?」との危惧感がふとよぎりましたが、中浦線の入口には「三浦実験林入口」と記された立派な看板が掲げられています。なので、まさかそんな事もなかろうと思いましたが、それはさらに進んでみなければ分かりません。
■散乱する岩屑や砂礫でズルズルとして、決して走りやすいとは言えないダートをなだらかに登坂していくと、銀色に鈍く輝く大きな看板がありました。ここは実験林なので、おそらくそれに関連する案内板であることは容易に予想がつき、事実、それは「三浦実験林試験配置図」なる看板でした。ただし、かなりの年代物で、残念ながら記載内容は文字がかすれて半ば消滅しています。
→案内板を眺める!
■その後、滴のしたたる岩肌が露出した壁面直下の区間が続きます。ダートは雨水などで路面の土は完全に流出、大きな一枚岩の岩盤上に無数の岩コロが散乱しているような状態。ガタガタと尻に伝わる振動は大きく、ここはちょっと走りにくい状態でした。
■壁面直下区間をたどって進むと、その先に岩崩れ地点とも滝とも言えるような、なんとも言いがたい形状の小滝がありました。元々、ここはどういう状態になっていたのかは不明であり、なにかの拍子に岩崩れを起こしてこのようになったと思われますが、階段状に切れ込むように露出した岩石群の隙間を沢水が滝のように流れ下っています。そしてその流れはそのまま自由に路面を横切っており、ダートへの洗堀作用が現在進行中。
→小滝を眺める!
■岩石崩れ地点に流れ落ちる小滝を過ぎると、その先のとある地点の路肩に立派な石碑と案内板が現れます。近づいて眺めるまでもなく、これも周囲に展開する実験林についてのものであると想像できましたが、やはりその通りで、石碑はその由来を詳細に記した「三浦実験林天然林施業記念の碑」でした。そしてもう一方の案内板には「三浦実験林試験配置図」なる実験林の配置図が、カラフルかつ詳細に区分されて記載されています。
→記念碑を眺める!
→案内板を眺める!
■記念碑と試験配置図を一通り眺めて、さらに実験林を貫く中浦線を進みます。ちなみに参考までに「天然更新」を一言でいうと、自然に落ちた種や切り株からの芽生えにて森林が更新されることで、それに対するのが苗木を植えて造る人工造林。成熟木を数年あるいは数十年ごとに抜き伐りすれば、理論上は残された樹木から落ちる種で幼木が育って森林を大きく変化させることなく持続できるはずで、それこそが天然更新の重要性なのですが、問題は理論と実際とは合致しなかったこと。そこで天然更新を成功させるべく様々な条件ごとの実験を行っているのがこの実験林なんですね。ちなみにこの地点の左側は平成5年以降に設定された代2次天然更新試験地で「50%漸伐法」が、右側の代1次天然更新試験地では「帯状皆伐法」が試されているのですが、見た目的には全く区別が付かないし、そう言われなければただの森林にしか見えません。
■見た目的には全く分かりませんが、細かく区分されて何がしらかの試験が実施されているヒノキ林の中を気持ちよく進みます。路面状態も落ち着いてきたみたいで、細かな岩屑は相変わらず散乱していますが、気が付くといつの間にかだいぶ走りやすくなってきました。ちなみに、この地点での試験項目は「30%保存群母樹法」ですが、もうそれはいいか…。
■その後、ダートは細かな蛇行を交えつつ、全体的なコースとしては右側に大きく半円を描くようにコース転換を開始します。今来た方向に大きく回り込みつつ、ここから一気に戻って登坂していくような感じでしょうか。で、とある右カーブ地点に差しかかると、路肩にはこの地点における実験内容についての小さな案内板が掲げられていました。
→案内板を眺める!
■広大な実験林の真っ直中に延びる中浦線の沿道では、その後も所々に実験内容を解説した案内板が掲げられていましたが、これにつてはどれか一つを眺めておけば十分でしょう。見た目には全く区別できませんが、先述の案内板の地点から「ポット造林試験地」→「その他試験地」→「ヒノキ産地別試験地」→「その他試験地」→「試験予備地内のカラマツ人工林」→「60%漸伐法試験地」→「その他試験地」の順に目まぐるしく細かく区画わけされた実験林を進んでいくと…。
■やがて三浦実験林を抜け出して、行く手の前方に神々しい御嶽山の雄姿が見えてきます。ヒノキの天然更新を目指す実験林も学術的にはそれなりに興味深くはありますが、やはりビジュアル的にはこちらの方が素晴らしいかと。というわけで、中浦線のハイライト区間がここから開始します。
■「こ、これは!!」登坂路にて登り詰めてきたダートは、ここから尾根筋に取り付いて大きく視界が開けてきます。そして区間によってはご覧の通り、走りながらにして常に神々しい霊峰御嶽山を眺められるという最高のロケーションが展開! ハァ…、こいつは凄いな!
■「にしてもこの中浦線、終点はまだ?」前方にどっしりと構える御嶽山の雄姿を堪能しつつさらに前進しますが、ダートは尾根筋に沿って等高線をなぞるように蛇行を繰り返しつつどこまでも続いていました。ここまでかなりの距離を進んできましたが、一向に終点が現れる気配がありません。
→右手を眺める!
■尾根筋コースはその後も途切れることなく延々と続き、「ひょっとしたらここはどこかに抜けている?」との思いが脳裏に浮かび始めた頃でしょうか、ダートは谷間のどん詰まりを大きく右カーブする地点が現れますが、なんとそこに「大水無林道」と記された1本の木杭タイプの林道標が! 大水無線といえば、この中浦線の入口から五味沢線を三浦ダム方向に進んだ地点に入口がある林道です。ということは、中浦線と大水無線とは1本道で接続されてループが形成されていたということになりますが、てっきりこっこはピストンであると思っていただけに、これでガスを無駄に消費することなく大水無線へと進めてしまう事態に幸運さえも感じてしまいましたよ! ヘヘ、全く未知の林道探索では何が起こるかわからないなぁ! というわけで広大な三浦実験林を貫く風光明媚な中浦線の探索はここまでです。
→探索終了!
→引き返して五味沢線に向かう!
→大水無線に突入!
→振り返る!

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