このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

探索日 2011.10.09
No.N-013

本谷線■王滝村 ■全線ダート ■接続→御岳御厨野線・五味沢線
■御岳御厨野線および五味沢線との接続地点から分岐して山中に延びる

 廃線マニアも容易に近づけない林鉄聖地に延びるかつての森林軌道跡 

 ↓景観的には特筆すべきはありませんが、ここはかつての林鉄軌道跡。レール
 が存在していた往時の状況を想像しつつ探索すれば、より楽しいかも。


……こんな感じ……
■かつての王滝森林鉄道三浦本谷線の軌道跡を林道化したのが本谷線で、随所に林鉄時代の面影が残るフルダートピストン。元軌道敷であるため平坦コース続きでコース的な険しさはみられないが、それでも深部へと進むにつれて感じらる通行量の希さゆえの僅かな荒れは否めない。基本的には走りやすい部類の1本だが、景観的には沿道には雑木や檜の森が広がるのみで、三浦貯水池周辺林道ならではの絶景ポイントは存在しない。ひたすらに深い森林地帯を行くのみとなる。となると見所としては林鉄時代の遺構となるので、林鉄廃線に興味のある方ならそれなりに楽しめるだろう。できることならば運材列車の行き来した往時に思いを馳せつつ探索してみたい。

■本谷線はかつての王滝森林鉄道三浦.本谷線の軌道跡を忠実にたどって延びる林道であり、鈴ヶ沢方向から開設されてきた御岳林道(現御岳御厨野林道)と、鞍掛峠方面から順次延伸された五味沢林道とがついに接続されて1本道となったこの地点が起点となっています。ただし、林鉄時代の軌道としての本谷線は、ここから少し離れた三浦貯水池湖畔に存在していた林鉄王滝線の終点である「本谷」が起点となっていたので、コース的には林鉄本谷線が全区間そのまま本谷線となっているわけではありません。言いかえれば、かつての林鉄三浦本谷線の後半区間だけが本谷線になっている…と、またもや林鉄マニアの領域を語ってしまいましたが、それだけこの本谷線には林鉄時代の面影が残っているということで、そこいら辺のところも頭の片隅に入れつつ探索してみれば、より一層楽しさも増すかもしれませんよ。というわけでいざ本谷線に突入せん!
■で、いざ本谷線に乗り入れてみると、両路肩から薮の茂りダートを圧迫してきます。路面には真新しい純白のバラストが敷かれていたので定期的な路面維持作業は行われているようでしたが、雰囲気的には関係車両といえども、その通行はほとんど希であると思わせるに十分な状況でした。
■立ち茂る樹木のせいであまりそのように見えませんが、やがてダートはちょっとした崖際区間に差しかかりました。そこには道を通すためにブロックによる盛土が施されていましたが、これは林鉄時代の線路敷であった時分から引き継がれたものなのでしょうか?
■山肌を切り崩して岩石が露出した区間では小規模ながらもお約束の落石の痕跡が。散乱する岩屑は路肩に寄せられてきれいに払われていましたが、場所が場所であるだけに、落石などは日常茶飯事にて発生しているのでしょう。ただし、路面がガレていないところをみると、やはり本谷線では定期的な路面維持作業が行われている模様です。
■けっして陰鬱ではありませんが、かといって明るくもなくどちらかと言えば暗めな雰囲気でダートは延びています。御岳御厨野線系の支線群は雰囲気的にみて明と暗がはっきりと分かれているのが特徴なのですが、本谷線については基本的に暗であることは間違いないですね。
■その後、ダートは再び崖際区間に差しかかりましたが、ここはちょっとした険しさがあるようで、右手の崖は今にも崩れそう。長雨の降った後などでは山の表面が緩んで僅かな振動ででも落石が発生するので、林鉄時代においてもこの地点を通っていた軌道上には、おそらく大小をとわず多くの石が落ちていたことでしょう。そしてそのたびに「あわや!」という具合に急ブレーキをかけていたのでしょうね。レールは取り外されても地形的な状況は現在とさほど変わっていないと思います。
■「なんと…!!」路肩に止め置かれた無人のミニバイクが2台ですが、どうみてもこれは林道探索が目的ではない様子。その後、帰りがけにバイクにまたがる2人のおっさんペアに遭遇しましたが、ひょっとして釣り系?
■ダートはさらに森の奥へと続きますが、路面には落ち葉が堆積して山道チックな趣が濃厚に。周囲の雰囲気もこれまで以上に鬱蒼さを増してきたようで、「本当にこんな山奥にかつてレールが敷かれていたの?」といった具合です。
■「かつてここを木材を満載した運材列車が下っていた」と言われれば、確かにそれも納得できるような、いかにも軌道跡らしい水平コースでダートは山中を突き進みます。付近はとうの昔に伐採し尽くされて往時の面影は薄いですが、かつてはこの辺りにも鬱蒼たるヒノキの大森林が展開していたのでしょう。今はひょろっとした細い木々が生える雑木のような山になっています。
■じゃじゃ〜。その後、滴る清水と表現には水量が多すぎる、山肌から路面へと激しく沢水が流れ落ちてちょっとした滝を形成している地点に遭遇。そのせいで付近の路面はびちゃびちゃです。沢水はダートを水びたしにしてそのまま横断、反対側へと抜けて崖下へと流れ下っていましたよ。
→滝を眺める!
→路肩(進行方向左手)を覗き込む!
■さらに崖際コースをたどって前進するとその先にてぐコンクリ橋が現れました。そしてこの地点には林鉄軌道跡ならではの遺構が存在、ここがかつての林鉄三浦本谷線跡に設けられた林道であったことをその目で確認することができます。
→林鉄三浦本谷線の遺構を眺める!
→もっとよく眺める!
■コンクリ橋を渡った直後に右折分岐のような箇所がありましたが、本谷線本道はどうみても明らかに左手。当然ながらそちらに進みます。
→右折分岐の様子をうかがう!
■林鉄遺構のあったコンクリ橋を渡ると、本谷線ダートにはより一層の簡易的な雰囲気が漂い始めます。両脇には激しく薮が茂って路面も心なしかちょっとボコボコ状態に。ピストンでの末端区間を思わせる作業道チックな感じといったところでしょうか。
■「路肩崩落だ!」ボコボコなダートをさらに進む(進行方向はXRのリア方向)と、その先に路肩欠落地点がありました。およそ幅員の半分ほどが左手の谷底に向かって崩れていましたが、なにせこんな山奥だからねぇ。幸いにして通行に問題はありませんでしたけど。
→現場を覗き込む!
■路肩崩落地点を越えてさらに前進しますが、かつての伐採跡に成長しつつあるヒノキ林の真っ直中にダートは延びており、きれいに立ち並んだヒノキがとてもきれいです。遠い昔の伐採以前の森の美しさをうかがい知ることはできませんが、まあ、かつてはこれと少しは似たような感じでもっと色濃くヒノキの大森林が展開していたのだなあ、とちょっと想像してみたりします。
■「こ、これは?!」ヒノキ林の中に延びるダートをさらにたどって前進すると、ここにも林鉄時代のなごりがありましたよ! 先述の橋梁跡どよりはその規模はぐっと小さいですが、生々しさという点ではそれを凌駕しています。画像にも写っているのですが、一体それが何であるのか分かります? こいつは林鉄マニアであれば、まちがいなく狂喜してしまうかもしれない代物ですよ!
→地面をよく眺める!
■林鉄時代の枕木遺構が残るやや登り坂となったダートをたどって進むと、やがてこのような開けた場所に到着。どうやらここがかつての林鉄三浦本谷線の終点でもあったようで、現在では林道としての本谷線の終点にもなっているようです。やけに開けた草ボーボーなこの空間はその昔、「本谷製品事業所」と呼ばれ、車庫や宿舎、倉庫などが建ち並び、木材搬出の拠点となっていたとのこと。当時はここからさらに「本谷作業軌道」および「小坂谷作業軌道」が奥地に延びていたそうですが、そこが林道化されている様子は残念ながらありませんでした。というわけで、王滝村エリアの中で最も林鉄時代の面影を色濃く残す本谷線の探索は終了です。
→探索終了!
→引き返して御岳御厨野線に向かう!
→引き返して五味沢線に向かう!
→付近を探る!
→振り返る!

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