このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
所属する山岳会の会報に「山と温泉」というテーマで原稿を書くことになった。 せっかくなので、当HPでも公開することにする。(写真も付けて)
今から20年近く前、当時会員のS君が、立山から剣沢を下り、仙人池で池に映る剣岳を見て、 欅平へ下る2泊3日の計画を作成した。
参加したのは、S君の会社の同僚とS君、筆者、 女性会員のTさん、Hさん、Wさんの6人(全員独身)だった。10月初めの土・日に加え、 月曜日1日、休みをとった。
金曜日の夜、出発し、富山地鉄のどこかの駅前で仮眠し、翌朝の一番電車に乗り込んだ。 ケーブル、バスを乗り継いで、室堂へ。この日は浄土山、立山雄山を登頂し、剣沢の山小屋 で泊。剣沢上部一面綿毛のチングルマが印象的だった。
翌日、朝日に照らし出される剣岳を背後に見ながら、剣沢を下る。途中の雪渓も支障なく通過。 (秋は雪がなくスノーブリッジが危険なことが多い)
剣沢は人を寄せ付けない深い谷を経て黒部川へ注ぎ、十字峡となるが、登山道は剣沢から 離れ、仙人池へ向かう。女性会員3人は休憩するたび、「露店」を開くので、歩がすすまない。 リーダがやきもきしているのがわかる。漸く、仙人池まで辿り着いたが、午後の雲が上がって きて、剣岳は雲の中。
この日は阿曽原温泉まで行く計画であったが、とても無理、と判断し、途中の仙人湯小屋で 宿泊することになった。
仙人湯小屋は発電機がなくランプが照明。ランプのもとで夕食。
温泉は露天風呂。(女性用の内湯あり)岩で囲って湯船がつくってある。樹木が覆いかぶさって いて、枝にランプを掛けているのが、何とも風流。湯は熱く、水で埋めないと入れない。 到着して、夕食前に入り、夕食後、寝る前にもう一度入り、翌朝、出発前にも入った。
写真は露店風呂の前。6人が立っている奥に岩で囲った湯船がある。
翌日、欅平へ向かう。途中、阿曽原からは日電歩道という仙人ダム(黒部第三発電所) 建設のときに付けられた道を行く。阿曽原小屋にも露天風呂がある。宿泊棟のはるか下に子供の プールぐらいの湯船がつくってあり、横のトンネルの奥から湯が湧き出していた。 開設当初に比べると湯の温度は下がっている。とのことだったが、それでも、水で埋めないと 入れない。
トンネル工事の際、岩盤の温度が高く、仕掛けたダイナマイトが自然発火したというから ただ事ではない。
日電歩道(水平道)は等高線に沿って付けられていて、登り下りがないかわりに、対岸に 道が見えているのに、ずっと沢の奥まで回り込んで行かなければならない。志合谷の沢の奥は 川の下をトンネルで抜けている。(もちろん明かりはないし、中でカーブしているからヘッド ランプが必要)
落ち葉をサクサク踏んで歩いたという記憶しかなかったのだが、写真を見ると、岩盤を半月に くりぬいて、丸太を渡したところを歩いている。(もちろん、はるか下まで絶壁!) 知っていたら、行くのをためらうような道である。
欅平に着いたのは3時半頃だった。月曜日だったが、観光客が多く、黒部峡谷鉄道は整理券を もらって、4時の列車に乗った。
帰り着いたのは0時を回っていた。
参加した女性会員は「さんざんだった」と言っていたが、あれから20年近くが経って、機会が あったら、もう一度行ってみたいところのひとつである。
よく、TV番組で秘湯紹介があったりするが、その比ではない。山屋でさえ容易に行くことが できない(おそらくTVが寄り付くのも容易ではない)、秘湯中の秘湯であろう。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |