このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

─ スーパーヒータ ─


山へ行って湯を沸かすと100℃以下で沸騰する。富士山の頂上(3776m)では87℃ぐらいで沸騰 する。これは高度とともに気圧が下がるから。水が100℃で沸騰するのは大気圧が1013hPaでの話。 逆に圧力を上げていくと、100℃になっても沸騰しない。D51のボイラ圧は14kg/cm2、 C57のボイラ圧は16kg/cm2。このときの温度はそれぞれ199℃、205℃となる。この温度 と圧力の関係は水の物理的性質なので、蒸気機関車のボイラであろうと火力発電所の大型のボイラ であろうと同じ。
運転席の加減弁ハンドル(自動車のアクセルに相当する)を引くとボイラ上部の蒸気溜のバルブが 開く。ボイラの中の蒸気は飽和蒸気といって、少しでも温度が下がると水に戻ってしまう。シリン ダまで到達するまでに水に戻ってしまってはピストンを押す力にならない。そこで、ボイラの蒸気 溜から出た蒸気は石炭の燃焼ガスで再加熱してからシリンダに送る。圧力はそのままで、温度だけ が上がる。これを過熱蒸気といい、この配管を過熱管、スーパーヒータという。本来の動力源の一 部を使ってブーストアップする、という意味では、内燃機関のメカニカルチャージャに似ている。

駅を出発した蒸気機関車が左右のシリンダからシャッシャッと大きな音とともに蒸気を吹き上げる のを見ることがある。写真撮影のためのサービスではない。「ドレン(排水のこと)を切る」とい って長時間停止中に冷えたシリンダに触れて凝縮した水(蒸気が冷えた凝縮水)を排水している。

写真は関西線関駅停車中の荷物列車。単線区間では対向列車待ちのため長時間停車があって、 シリンダが冷えてしまう。

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