このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
蒸気機関車が蒸気の力を、車輪を回転させる動力にする機構はピストンシリンダと連接棒、動輪で構成されている。 この機構は内燃機関のクランク機構によく似ている。内燃機関では歯車やチェン、タイミングベルトとカム軸でバルブ を開閉するが、蒸気機関車では返りクランク、加減リンクといった機構でピストンシリンダ機構の上部に設置した分配 弁をタイミングよく動かしてピストンの前後に蒸気を導いている。リンク機構の一部を機関士席の逆転器ハンドルで動 かして分配弁のタイミングをかえることができる。分配弁の動きを反転すると、バックさせることができる。分配弁は 内燃機関のバルブ、返りクランクはカムに相当する。バルブのタイミングを変えるのだから舶用の自己逆転機関と似て いる。
蒸気機関車が動き出して、速度が上がるにしたがって、逆転器ハンドルを操作して蒸気を入れる時間を短くして、 使用蒸気量を減らす。
4ストローク4気筒の内燃機関では、クランク軸1回転で2回しか燃焼行程がないから、クランクピンは180°の位 相をもって作られている。一方、蒸気機関車では、ピストンの前後に蒸気を入れて、往復とも動力を発生するようにな っているから、ピストン・シリンダ機構は左右2気筒だが、内燃機関なら2ストローク4気筒に相当する。動輪1/4回転毎 に動力が出るように、左右の動輪のクランクピンは90°の位相をもっている。右の動輪が死点(押し切ったか引き切っ た位置)にあるとき、左の動輪は最大力を出せる位置に近いから、必ず所定の方向に動き出せる。
ごく初期の蒸気機関車はシリンダが一つだったので、死点で停止するとどちらに動き出すかわからなかったらしい。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |